| 恐竜本の紹介 訳本 ・ 一般 |
![]() 白亜紀に夜がくる 青土社 (2001/7) ![]() Night Comes to the Cretaceous Dinosaur Extinction and the Transformation of Modern Geology (ペーパーバック、1999/9) ハードカバー (1998/5) もあります。 |
白亜紀に夜がくる ジェームズ・ローレンス パウエル(James Lawrence Powell) 著 寺嶋 英志・瀬戸口 烈司 訳、青土社 ISBN: 4791759079、2001/7 発売、価格:¥2,800 原著は、Night Comes to the Cretaceous : Comets, Craters, Controversy, and the Last Days of the Dinosaursです。 1980年、恐竜の絶滅は隕石衝突が原因とする論文を発表したルイス・アルバレスを中心に、その後の大論争や恐竜絶滅について著しています。 話は以下の4章からなります。多くの重要な部分には必ずその元となる引用文献が示され、参考になります。 T 晴天の霹靂 U K−T衝突はあったか? V 衝突がK−T大量絶滅の原因か? W 地質学の変容 1980年、アメリカの物理学者、ルイス・アルバレス(Luis Alvarez) と息子の地質学者ウォルター・アルバレス(Walter Alvarez)ら4人は、Science誌に 「地球圏外を原因とする白亜・第三紀境界大絶滅」と題する論文を発表しました。 イタリアとポーランドにあるK/T境界で、多量のイリジウムが含まれていること を確認し、その理由を、地球以外からやって来た隕石によるものとしたのです。イリジウムは地球の地殻ではまれな金属(稀少金属)で、隕石や太陽系では豊富な金属です。 13ページの論文の大半はイリジウムの測定と分析で、衝突の生物学的影響については半ページほどだったそうです。発表者の中に古生物学者はいなかったのです。 そういうこともあってか、多くの古生物学者らはアルバレス論文を認めず、恐竜は徐々に絶滅したなどと反論しました。ニューヨークタイムズも「隕石なんて仕事は、星占家に任せるべき」と否定的な社説を書いています。「彼らの思い上がりは全く信じがたい・・・」ロバートバッカーは最も意地の悪い攻撃をしたそうです。 アルバレスは精力的に反論しました。「古生物学はそれ程良い科学ではない。どちらかと言えば切手収集家に近い」とまで述べています。 この時点では、まだユカタン半島に残る巨大クレーター跡は発見されていませんでした。1988年9月1日、アルバレスはクレーターの存在を知らずに食道癌で亡く なります。 アリゾナ大学のアラン・ヒルデブランドが、Geology誌に、ユカ タン半島の地下に衝突によるクレーター跡があると発表したのは3年後の1991年でした。 ノーベル物理学賞を受けたルイスですが、その科学的成功に満足することなく常に新しい挑戦を続けたのです。上の論文を発表したのは69歳の直前でした。 ルイスは、広島に原爆を落とし たB29爆撃機の1機に搭乗していました。原爆搭載機ではなく、観測機だそうです。 原爆投下の体験が、隕石による"衝突の冬"をひらめかせたのかもしれませんね。 参考:Luis Alvarez と 息子のWalter Alvarez イタリア、グビオにあるK/T境界層での写真です。 |