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翼竜で初めての胃石

 鳥類を含む多くの主竜類で、胃石が見つかっていますが、翼竜では見つかっていないそうです。  今回、翼竜からは初めてとなる胃石が報告されています。

 アルゼンチンにある白亜紀前期の地層で発見された翼竜、Pterodaustro guinazui (プテロダウストロ)の2つの標本の胃のあたりから、細かい砂利が見つかったもの。

 プテロダウストロは、下顎にブラシのような歯が並んだフィルターフィーディング(濾過食)の翼竜ですが、同じ化石床で豊富に見つかっている殻をもつ甲殻類を消化するのに役立てていたようです。

 また、下顎前方の歯は後方の歯より厚くなっており、そのため、細かい砂利が飲み込みやすかったのではないかと考えられています。




  1. References:
  2.  
  3. Laura Codorniú, Luis M. Chiappe & Fabricio D. Cid (2013) 
  4. First occurrence of stomach stones in pterosaurs. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(3): 647-654 
  6.  DOI:10.1080/02724634.2013.731335



1歳未満の新種記載/中国

 未成熟な亜成体の標本のみから新種記載したり、系統関係を類推することは、後に問題が生じる場合があります。個体発生的な、成長に伴う変化を種の特徴ととらえる場合があるためです。

 今回、中国北東部、新疆ウイグル自治区にあるジュラ紀後期の地層で発見されたコエルロサウリア(コエルロサウルス類)が記載されていますが、組織学的な分析からは、一歳未満の幼体とされています。

 系統的には、コエルロサウリアの基盤的な位置づけですが、成体の標本などの発見によって、変更があるかもしれませんね。

 頭蓋骨や下顎骨などが発見されており、推定体長は1メートルほど。 学名は Aorun zhaoi と命名されています。属名は、「西遊記」に出てくる西海竜王に由来しています。


 Shishugou Formation からは、7つ目の獣脚類で、同地層からは最古のコエルロサウリアとされ、世界で最もジュラ紀の多様なコエルロサウリアを産出する動物相の一つとされています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Jonah N. Choiniere, James M. Clark, Catherine A. Forster, Mark A. Norell, David A. Eberth, Gregory M. Erickson, Hongjun Chu & Xing Xu (2013) 
  4. A juvenile specimen of a new coelurosaur (Dinosauria: Theropoda) from the Middle-Late Jurassic Shishugou Formation of Xinjiang, People's Republic of China. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2013.781067



 オヴィラプトロサウリア(Oviraptorosauria)といえば、大きなクチバシのある獣脚類で、白亜紀後期にかけて、様々に多様化していました。

 今回、その仲間であるカエナグナシダエ(Caenagnathidae、カエナグナサシド類)について、ユタ州で発見された新種が報告されています。

 発見された化石や系統関係は、Bite the Stuff で紹介されています。

 Leptorhynchos を新属として提唱していますが、植物に同じ属名があるそうです。動物名と植物名は、競合しないので、問題はありません。このような例、他にはGastoniaもそうです。

 また、系統関係について再評価し、カエナグナシダエとオヴィラプトリダエ(Oviraptoridae)を、単系統の姉妹タクサとして回復しています。

 さらに、カエナグナシダエが、白亜紀後期に北米大陸で幅広く分布し、多様化した2つの理由(ニッチ分割と高い固有性)に言及されています。


 カエナグナシダエは、白亜紀後期のアジアや北米大陸では一般的ですが、米国最南部では見つかっていなかったそうです。  

 カナダにあるカンパニアン後期の地層からは、3属3種のカエナグナサシド類が報告されているそうです。 そのひとつ、Leptorhynchos を新属として提唱しています。

 かつて Ornithomimus elegans とされていた Leptorhynchos elegans は、小型で、短く深い下顎骨と、先端が上向きのくちばしが特徴とされています。  

 ユタ州からのカエナグナシダエは、 Hagryphus giganteus. の1種が知られています。Aguja Formationからは、Chirostenotes sp. と Leptorhynchos gaddisi (新種)が見つかっています。   

 カエナグナシダエは、白亜紀後期に北米大陸で幅広く分布し多様化したとされ、その多様性は、次の二つの方法で維持されたと考えられています。  

 ひとつは、ダーウィンのフィンチの例に類似した方法で、ボディサイズとクチバシの形状の多様性が、ニッチを分割することで維持されたとしています。  

 第二に、多様性は、異なる生息地に異なる種がいたという、高い固有性によって維持されたとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich, Ken Barnes , Scott Clark , and Larry Millar (2013) 
  4. Caenagnathidae from the Upper Campanian Aguja Formation of West Texas, and a Revision of the Caenagnathinae. 
  5. Bulletin of the Peabody Museum of Natural History 54(1):23-49 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.3374/014.054.0102



 一般的に、恐竜の成長速度は速かったと思われていますが、装盾類のステゴサウルスなどでは、比較的遅いとされています。

 この遅い成長速度が装盾類で共通だったのか、より基盤的なケントロサウルスを調べた結果が報告されています。

 その結果、ケントロサウルスの成長速度は速いことがわかり、ステゴサウルスなどの遅い速度は、二次的に獲得された特徴ではないかとされています。


 かなり派生的なステゴサウルス類のステゴサウルスや、基盤的装盾類(thyreophora)のスクテロサウルス(Scutellosaurus)では、骨組織学的な研究から、たいていの恐竜とは異なり、遅い成長速度と考えられています。  

 今回の論文では、より基盤的なケントロサウルスでも成長速度が遅いのか、タンザニアにあるテンダグル単層で発見されたケントロサウルス(Kentrosaurus aethiopicus)の大腿骨化石を、骨組織学的に調べています。  

 その結果、ケントロサウルス類では、速い骨の沈着が観察されたとしています。  

 よって、ステゴサウルスなどの遅い成長速度は、装盾類の系統的な特徴ではなくて、また、装盾類の相似形態でもないとされています。  
 かなり派生的なステゴサウルスで成長が遅いのは、二次的に派生したものか、代替的なものではないかとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Ragna Redelstorff, Tom R. Hübner, Anusuya Chinsamy & P. Martin Sander (2013) 
  4. Bone Histology of the Stegosaur Kentrosaurus aethiopicus (Ornithischia: Thyreophora) from the Upper Jurassic of Tanzania. 
  5. The Anatomical Record (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1002/ar.22701



 北米大陸の白亜紀後期(カンパニアン後期から白亜紀末)には、さまざまな角竜がいました。しかし、より早期タイプの角竜はあまり知られていないそうです。

 今回、最古のカスモサウリネ(chasmosaurine)とされる新種が報告されています。

 眼の後にあるツノは適度に細長く、前外側に傾斜し、涙滴状の断面を持つ、ということですが、図がないと、特徴がわかりにくいですね。

 ジュディス川層(カンパニアン後期)で発見されたので、Judiceratops tigris という学名です。  このカスモサウルス類は、以前の角竜には見られない特徴の組み合わせを持つとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich (2013) 
  4. Judiceratops tigris, a New Horned Dinosaur from the Middle Campanian Judith River Formation of Montana. 
  5. Bulletin of the Peabody Museum of Natural History 54(1):51-65. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.3374/014.054.0103



最古級の胚化石/雲南省

 中国雲南省にあるジュラ紀前期(約1億9000万年前)の地層から、竜脚類の卵や胚化石などが見つかったボーンベーッドが発見され、報告されています。47News などが紹介しています。

 孵化前の恐竜化石である胚化石としては世界最古級とされ、ルーフェンゴサウルスのものではないかとされています。 

 ボーンベッドから、異なる巣からと思われる関節していていない胚の骨格化石が見つかっており、孵化過程の様々な段階を示していることから、孵化の様子がわかる貴重な発見とされています。  

 たとえば、大腿骨の比較では、発生期間を通して成長が早いことがわかり、この短い孵化時間が、竜脚形類の特徴だったと考えられています。 

 また、大腿骨幹(femoral shaft)の非対称な早い成長と第四転子の早い伸展は、この恐竜が孵化する前に、胚の筋肉の活性化が重要な役割を示していたとされています。
 



  1. References:
  2.  
  3. Robert R. Reisz, Timothy D. Huang, Eric M. Roberts, ShinRung Peng, Corwin Sullivan, Koen Stein, Aaron R. H. LeBlanc, DarBin Shieh, RongSeng Chang, ChengCheng Chiang, Chuanwei Yang & Shiming Zhong (2013) 
  4. Embryology of Early Jurassic dinosaur from China with evidence of preserved organic remains. 
  5. Nature 496: 210-214 (11 April 2013) 
  6. doi:10.1038/nature11978



 孔子鳥やサペオルニスなど、5種、11標本の基盤的鳥類の後足から、長く伸びた羽根の痕跡が発見されたと、Science に報告されています。

 ナショジオなどが、紹介しています。鳥の復元図の修正が必要かもしれませんね。

 このことから、基盤的鳥類は、4枚羽根で飛行したのではないかと考えられています。もっとも、後足に羽ばたくための筋肉などはなく、補助的な役割だったようです。

 最初は短い羽毛に覆われ、やがて長い羽根となり、最終的には、足の羽根はじゃまになったような進化のストーリーが示されています。後ろ足のうろこは、この羽毛が退化して生じた2次的なものではないかと考えられています。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Xiaoting Zheng, Zhonghe Zhou, Xiaoli Wang, Fucheng Zhang, Xiaomei Zhang, Yan Wang, Guangjin Wei, Shuo Wang & Xing Xu (2013) 
  4. Hind Wings in Basal Birds and the Evolution of Leg Feathers. 
  5. Science 339 (6125): 1309-1312 
  6. DOI: 10.1126/science.1228753 
  7.  
  8.   
  9. Michael Balter (2013) 
  10. Dramatic Fossils Suggest Early Birds Were Biplanes. 
  11. Science 339 (6125): 1261 
  12. DOI: 10.1126/science.339.6125.1261



 カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期の地層で発見されたオルニトミモサウルス類のボーンベッドについて報告されています。フリーで全文が読めます。

 たくさんの恐竜化石が埋まったボーンベッドは、成長過程や行動様式など、個々の骨格からは得られない貴重な情報が得られます。

 今回の発見は、オルニトミモサウルス類のボーンベッドとしては、中国(2例)とフランスに次いで世界で4例目、北米では初めてだそうです。

 形態的に類似した3個体の部分的な骨格化石が見つかっており、オルニトミムスと ストルティオミムス(Struthiomimus)を含むクレードのタクソンと考えられています。それ以上の詳しい種は不明のようです。

 オルニトミモサウルス類が群れで暮らしていたというさらなる証拠とされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Cullen TM, Ryan MJ, Schröder-Adams C, Currie PJ, Kobayashi Y (2013) An Ornithomimid (Dinosauria) Bonebed from the Late Cretaceous of Alberta, with Implications for the Behavior, Classification, and Stratigraphy of North American Ornithomimids. PLoS ONE 8(3): e58853. doi:10.1371/journal.pone.0058853



 ルーマニアにある白亜紀後期(7100万年-6600万年前)前の地層で発見されたドロマエオサウルス類、 Balaur bondoc (バラウル・ボンドック)について、アメリカ自然史博物館紀要に報告されています。 100ページもあり、フリーのpdf があります。

 2010年に記載され、第1指にも第2指と同じようなカギヅメがあるのが特徴です。当時のルーマニアは、多島海に浮かぶ島々で、特に"Hateg 島"と呼ばれるような島環境で矮小化したためか、2メートルほどと小型です。

 このモノグラフでは、ホロタイプの追加のプレパレーションにより、バラウルが、ヴェロキラプトルに近い、異様で、派生的なドロマエオサウルス類であるという更なる証拠を示しています。

 一方、白亜紀後期のローラシアにみられる派生的なドロマエオサウルス類にかなり近いとされ、島という環境で特殊に進化したのかどうか、議論されています。

 
 バラウルの特徴は、著しく変形した四肢骨格、ずんぐりと重い癒合した遠位の後肢、2セットある過伸展した足ヅメ、癒合し退縮した手です。  
 これらは、派生的なコエルロサウルス類には見られない特徴とされています。 

 また、別の場所から、ホロタイプより50%ほど大きい標本が見つかっているそうです。組織学的に、ホロタイプとこの標本は成熟した成体とされ、大きい標本は、Balaur sp.とされています。  

 系統的に、バラウルは、白亜紀後期のローラシアのタクサにかなり近い派生的なドロマエオサウルス類とさ れています。  

 このことから、ルーマニアの島における動物相が、長期間、地理的な固有性を保っていたという以前の仮説とは矛盾するとしています。  
 一方、特異な姿は、現生や最近絶滅した哺乳類に似ており、これは、"島効果"ではないかとの議論もあります。


 
  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Mátyás Vremir, Zoltán Csiki-Sava, Alan H. Turner, Akinobu Watanabe, Gregory M. Erickson, and Mark A. Norell (2013) 
  4. The Osteology of Balaur bondoc, an Island-Dwelling Dromaeosaurid (Dinosauria: Theropoda) from the Late Cretaceous of Romania. 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History Number 374 :1-100 
  6.  (AMNH(pdf)
  7. doi: http://dx.doi.org/10.1206/798.1



 鹿児島県薩摩川内市、下甑島(しもこしきじま)にある白亜紀後期(約8000万年前)の地層で、ケラトプス類の化石が発見されたそうです。

 6月に開催される日本古生物学会2013年年会(熊本)で報告される予定です。47NEWS が伝えています。

 2011年に発見された1センチほどの歯の一部の化石1点で、角竜類の中で最も進化したケラトプス類のものとされています。

 ケラトプス類は、国内で初めての発見で、アジアでは、ウズベキスタン、中国に続いて、3例目だそうです。

 



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年5月

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