- References:
- Yong-Qing Liu, Hong-Wei Kuang, Xiao-Jun Jiang, Nan Peng, Huan Xu & Hui-Yi Sun (2012)
- Timing of the earliest known feathered dinosaurs and transitional pterosaurs older than the Jehol Biota.
- Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication)
- http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2012.01.017
注目の最新ニュース
最も完全な巣からは、卵化石がぎっしりつまったかたまりとして、少なくとも34個の卵化石が見つかっており、それぞれの容積は180mlほど、かたまり全体で6010ml になるととしています。
- References:
- Robert R. Reisz, David C. Evans, Eric M. Roberts, Hans-Dieter Sues, and Adam M. Yates Oldest known dinosaurian nesting site and reproductive biology of the Early Jurassic sauropodomorph Massospondylus PNAS, published ahead of print January 24, 2012, doi:10.1073/pnas.1109385109
ヴェロキラプトルといえば、大きなカギヅメで獲物の腹をえぐる・・・、といったシーンが浮かびます。
しかし、それらのドロマエオサウルス類は、そのカギヅメ(後ろ肢の第2指)を武器や木に登るために使ったのではないとし、新説を唱える論文が報告されています。
モンタナ州立大などが伝えています。
研究は、ドロマエオサウルス類や現生鳥類の足の指の長さを測定し、比較解析したもの。
その結果、カギヅメを、現生の猛禽類のワシやタカのように、捕まえた獲物が逃げないように押さえ込むアンカーとして使ったとされています。獲物に突き刺して、グリップ力を高めたのです。
また、獲物をつかんでいる時に、羽ばたくことで体の位置が安定化("stability flapping")されます。羽ばたかないと、獲物に動かれた時、しっかりつかんでいるだけに獲物と一緒に転がってしまいます。
この羽ばたきが、やがての飛行につながったと考えられています。
下の図はそのあたりを模式的に示しています。
こういうイラストで示すと、あたかもこれが真実のようにとらえられ、結論だけが広まります。実際、どんな根拠でこうなるのか、つかんでおくことが必要ですね。そのあたり、ここでは省略してますが(^^;;。
図は、RPR "ripper" behavioural model で復元した小型のドロマエオサウルス類。
図の説明は、獲物を足で捕まえ(A)、カキヅメをアンカーとして使っています(B)。
体重をかけ(C)、尾でバランスを取りながら(D)、中足骨(E)と前肢(G)で獲物を包み、獲物をむさぼります(H)。
安定化のための羽ばたき("stability flapping" 、F)で、常に獲物のトップの位置に体を維持することができます。
- References:
- Fowler, D.W., Freedman, E.A., Scannella, J.B.& Kambic, R.E. (2011)
- The Predatory Ecology of Deinonychus and the Origin of Flapping in Birds.
- PLoS ONE 6(12): e28964.
- doi:10.1371/journal.pone.0028964
カナダ、アルバータ州にある白亜紀後期(Campanian)の地層で発見された新種の角竜が記載されています。
ALF 博物館に復元イラストがあります。
化石は、1916年に、Charles H. と Levi Sternberg 父子により発見され、90年以上も博物館に保管されていたそうです。
学名はSpinops sternbergorum で、属名の意味は"スピンのある顔"。種小名は発見者にちなんでいます。
セントロサウルス類の角の生える位置について議論されていますが、複数の起源があるようです。
系統的には、セントロサウルス類(centrosaurine)で、セントロサウルスとスティラコサウルスに近縁とされています。
図は、頭部のイラスト。実線部分が発見されている化石で、破線は、セントロサウルス(Centrosaurus apertus)を参考にしています。
舌の図は、セントロサウルス類の頭頂骨(parietal)の比較。背部から見たもの。
Bがスピノプス。角に示している数字は角が生えてくる位置(locus positions)。
図のA、Bにある左側の数字は伝統的なスキームで、右側が今回の論文で示されている改訂スキーム。C-Fは、両者が同じです。
- References:
- Farke, A. A., M. J. Ryan, P. M. Barrett, D. H. Tanke, D. R. Braman, M. A. Loewen, and M. R. Graham. 2011.
- A new centrosaurine from the Late Cretaceous of Alberta, Canada, and the evolution of parietal ornamentation in horned dinosaurs.
- Acta Palaeontologica Polonica 56(4), p.691-702, 2011
- doi:10.4202/app.2010.0121
ブラジルにある三畳紀後期(2億3000万-2億2800万年前)の地層で発見された竜盤類が記載されています。
ただし、タイトルでは、"ステム竜脚形類(stem-Sauropodomorpha)"とされていますが、この表現は誤用です。"stem-"という接頭辞に続く"Sauropodomorpha "はクラウングループではありません。
このあたり、A Three-Pound Monkey Brain で指摘されています。
頭部などが見つかっており、系統解析からは"ステム竜脚形類"となるそうです。竜脚形類の外群になるとのことで、いくつかの竜脚形類の特徴が無いそうです。
学名は、Pampadromaeus barberenai (パンパドロメウス・バーベレナイ)で、"平原のランナー"の意味。発見された場所が、草の生えた平原(plane)にちなんでいます。
ただ、論文タイトルにも要旨にも新種名がありません。新種記載の場合は、いずれかで示したほうがいいと思いますね。
図は発見されている化石と、復元イラスト。推定体長は1.2メートルと小型です。
長い足と短い前肢、2足歩行で復元されています。属名のように、足が速かったのかもしれません。
歯の形状から、まだ十分に植物を噛めるほどではなく、雑食性だったとされています。
- References:
- Sergio F. et al., 2011
- New stem-sauropodomorph (Dinosauria, Saurischia) from the Triassic of Brazil.
- Naturwissenschaften (advance online publication)
- DOI: 10.1007/s00114-011-0858-0
哺乳類が早く移動する手段は走ることですが、恐竜は競歩のように早足で歩けば、かなりの速度が出せたようです。
恐竜の移動速度についての報告が先のSVP年会で報告されました。Nature nwes で紹介されています。
従来、足跡から速度を計算するときに使われたアレキサンダーの式は、ほとんどの恐竜には適用できず、最低速度にすぎないとしています。
動物の移動速度は、足跡からアレキサンダーの式で計算するのが一般的でした。足の長さとストライドが決まれば、速度がわかるというのです。
たとえば、足の長さが25cmの人が、ストライド140cmで歩けば、速度は時速5.0km と計算されます。
アレキサンダーの式(Alexander's formula):
速度 (m/s) = (0.25) x (重力定数)0.5 x (ストライド長)1.67 x (腰の高さ) -1.17
重力定数:9.8 m/s/s
ストライド長:右足と右足、又は左足と左足の歩幅
腰の高さ:足の長さの4倍
アレキサンダー式では、同じ足ならストライド長だけで速度が決まってしまいます。しかし、同じストライド長でも、ストライド頻度を高めれば(早足で歩けば)、速度は早くなります。
今回はこの点がポイントになっています。
アレキサンダー式は、現生の哺乳類や鳥類では当てはまるのでしょう。しかし、今回、重力や質量分布を考慮してコンピュータモデルで解析したところ、アレキサンダーの式は、ほとんどの恐竜に当てはまらないとしています。
獣脚類以外の恐竜では、ストライド長とストライド頻度の比例関係がみられず、獣脚類でもその傾斜は小さくなるとのことです。
足跡から計算される速度は最低速度であって、しかもかなり遅いとしています。哺乳類や鳥類と異るのは、恐竜の後ろ足には大きな筋肉があることが一因のようです。
一方、ストライド頻度が多く、ストライド長が小さい場合は、以前考えられていたよりも速度が上がるとしています。
つまり、競歩のように早足で歩けば、かなりの速度が出せたというのです。
一方、恐竜の歩行速度に詳しいハチンソンは、恐竜が速い頻度で足を動かせるほどの筋肉があったのか検証する必要があるとしています。
- References:
- MALLISON, 2011
- Fast moving dinosaurs:why our basic tenet is wrong
SVP 2011 Program and Abstracts Book, p.150, 2011
カマラサウルスが、季節的な渡り(seasonal migration)をしたとする論文が報告されています。低地と高地を行き来していたようです。
足跡化石から、竜脚類が群れで移動することは知られていましたが、直接の証拠はありませんでした。Nature News や朝日などが紹介しています。
ワイオミングとユタにあるジュラ紀後期(約1億5000万年前)のモリソン層で発見された32本の歯の化石のエナメル質に含まれる酸素同位体比を調べたもの。
付近の地層の同位体比と比較すると、当時飲んでいた水の環境がわかるそうです。
その結果、歯の先端では根元と比較して同位体比が低いことがわかり、高地の水は同位体比が低いことから、成長後期には高地に住んでいたとしています。
歯は5ヶ月ほどで形成されるとされ、半年ほどかけ、高地と低地の間を数百kmほど移動していた可能性を示唆しています。
図は、カマラサウルスの渡りを示す図。
水色の部分は、ジュラ紀後期に北米西部に広がるモリソン堆積盆地。
緑色の■は、化石発見場所。THはワイオミングのサーモポリスで、DNM はユタにある Dinosaur National Monument です。
カマラサウルスは、赤い線で示すように、内海に流れ込む河付近の低地と、火山のある高地との間を行き来したとされています。その距離は、片道で300kmほどです。
水やエサを求めて、植物が少なくなる乾季(おそらく夏)には高地に移動し、雨季(冬)には盆地に戻ったようです。

References:
- Henry C. Fricke, Justin Hencecroth & Marie E. Hoerner (2011)
- Lowland-upland migration of sauropod dinosaurs during the Late Jurassic epoch.
- Nature (advance online publication)
- doi:10.1038/nature10570
始祖鳥を、原始的な鳥類にひきもどす論文が報告されています。The Guardian が紹介しています。
7月に、シャオティンギアと鳥類の起源として、始祖鳥を鳥類から追い出す論文を紹介しました。
今回は、同じデータを用いながら、全ての特徴(形質)を同等に解析するのではなく、進化の遅い特徴に重きをおいて解析しています。
7月にの論文は、新たに発見されたXiaotingia zhengi (シャオティンギア・ツェンギ)を含めた解析から、始祖鳥はデイノニコサウリアの系統としていました。
今回は、サウスオーストラリア国立博物館のマイケル・リー博士らが、同じデータセットについて、新たな最尤推定法(Maximum-likelihood and related Bayesian methods)で再解析したもの。
全ての特徴(形質)を同等に解析するのではなく、進化の遅い特徴に重きをおいて解析しています。関係の無い系統で独立に進化した特徴の影響を最小限にするためです。
例えば、脊椎の進化はゆっくりして回数は少ないため、系統解析では信頼性が高い特徴となる一方、羽毛の色の進化は頻繁で信頼性が低い特徴だというのです。
その結果、始祖鳥を再び原始的鳥類と位置づけています。
また、先の結果からは、鳥類の飛行の進化は、デイノニコサウルス類で2度進化したか、あるいは、一度失われ修正された可能性がありました。
今回の結果からは、鳥類の飛行の進化は単一系統となるとしています。
本来、分岐分析では、全ての特徴に重みをつけず、同等に扱うのが特徴のひとつだと思います。研究者の恣意的な要因がなくなり、より科学的な解析結果になるからです。
今回の方法で、他のグループの系統関係はどうなるのかなどを含め、解析方法の妥当性の検証も必要でしょう。
ちなみに、以下は解析に用いた始祖鳥のデータマトリックス。
374のそれぞれの特徴(形質)の違いを、0、1、2・・で示しています。どの特徴にどのように重きをおくかによって当然解析結果は異なってきます。
Archaeopteryx lithographica
- 101?0010??000??112011010??11100?011?00012100010?00
- 00?0??100111?10000001100002?0000020??00000?1?1??10
- 0?0??010?0???0021012111000?????001031110000?110000
- 00101121?0001?102000221011101?111100000?10010010?1
- 010?0000001001100000?0?000010200101110100010010010
- 1?0??00?0001?11110?3?0121130110?010001000101001001
- 0202010011?101101112001000001000012100000000011010
- 1?0000000001100100100100
- References:
- Michael S. Y. Lee and Trevor H. Worthy, 2011
- Likelihood reinstates Archaeopteryx as a primitive bird
- Biol. Lett. published online before print October 26, 2011
- doi:10.1098/rsbl.2011.0884
ドイツにあるジュラ紀後期の地層から発見された、ほとんど完全な獣脚類の幼体化石が、ミュンヘン・ミネラルショーで展示されます。DailyMail などが伝えています。
9月にアルゼンチンで開催されたLatin American Congress of Vertebrate で報告されました。
"Otto"の愛称で呼ばれる化石は、バイエルン州で発見され、98%が保存されているそうです。
推定年齢は1歳で、体長は72センチほど、原羽毛や皮膚痕も残され、詳細は不明ですが、基盤的なテタヌラ類のメガロサウルス類ではないかとされています。
ドイツの文化遺産として、展示後は博物館に展示されるそうです。
画像は、The Munich Show から。化石発掘キットのような、完全でわかりやすい化石ですね。
尾はかなり長く、足は短めです。

- References:
- Rauhut, O. & Foth, C., 2011
- New information on Late Jurassic Theropod dinosaurs from Southern Germany
- Latin American Congress of Vertebrate
T.rex の10代の時の成長は従来考えられていたよりも速く、より重くなったとする論文が報告されています。
肉付きが良くなり、復元モデルを作るときに影響がありそうな報告です。Science Daily などが紹介しています。
ハチンソンらが、保存状態の良い化石を、3次元モデルで解析したもの。
骨格から筋肉のつき方や、筋肉そのものの重量を推定したりするのは、どういうパラメータを使うかによってバラツキが大きいのですが、この論文では、モデルや現生動物の筋肉密度などから推定しています。
その結果、成体の T.rex の体重は、6000-8000kgと推定し、最大級のスー(Sue)の場合、最大で9500Kgと、従来より30%ほど重かったとしています。
また、成長するにつれて、胴体が長く重くなり、相対的に手足が短く軽くなったとしています。
さらに、腰や太ももの相対的な筋肉量は動物としては最大ですが、相対的に現生鳥類ほどでは無かったとしています。成体は、時速17-40kmで走ることが出来たそうです。
下の図は、骨格から筋肉(M. caudofemoralis longus)を推定するモデルです。
下は、左から右大たい骨と、尾椎(8番目と、17番目)です。赤い部分が筋肉(M. caudofemoralis longus)です。

下の図は成長曲線。
典型的なS字カーブで、10歳まではほとんど体重増加がなく、10代の若い時の体重の増加は、年間1790 kgと、従来考えられていた2倍の速度で成長したとされています。
成長すると、最大10トンほどになります。
- References:
- John R. Hutchinson, Karl T. Bates, Julia Molnar, Vivian Allen, Peter J. Makovicky, 2011
- A Computational Analysis of Limb and Body Dimensions in Tyrannosaurus rex with Implications for Locomotion, Ontogeny, and Growth
- PLoS ONE 6(10): e26037
- doi:10.1371/journal.pone.0026037