記載論文(恐竜)の最新ニュース

雲南省から新、真竜脚類

 竜脚類の頭部の発見は稀ですが、雲南省にあるジュラ紀中期の地層で発見された脳函から、新種が記載されています。

 学名は、Nebulasaurus taito (ノブラサウルス タイト)で、種小名はフィールドプロジェクトの資金援助をしたタイトーにちなんでいます。
 
 系統的には、新竜脚類(Neosauropoda)より原始的な、基盤的な真竜脚類(Eusauropod)の位置づけです。

 尾に2対のスパイクがある Spinophorosaurus nigerensis (スピノフォロサウルス ニゲレンシス) の姉妹群とされていますから、ノブラサウルスも持っていたことでしょう。

 
 なお、属名は、ラテン語の" nebulae"にちなんでいます。"深い霧の雲(misty cloud)"の意味で、"雲南"の意味に由来するそうです。  

 スピノフォロサウルスは、ニジェールにあるジュラ紀中期の地層で発見され、2009年に記載されています。  


  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Tetsuto Miyashita, Philip J. Currie, Hailu You, and Zhiming Dong (2013) 
  4. A new basal eusauropod from the Middle Jurassic of Yunnan, China, and faunal compositions and transitions of Asian sauropodomorph dinosaurs. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0151



 テキサスにある白亜紀後期で発見された新種の角竜が記載されています。

 カスモサウルス類(chasmosaurine)で、学名は、Bravoceratops polyphemus です。

 原始的な特徴と派生的な特徴をあわせもち、系統的には、Coahuilaceratops に近縁とされています。
 


  1. References:
  2.  
  3. Steven L. Wick & Thomas M. Lehman (2013) 
  4. A new ceratopsian dinosaur from the Javelina Formation (Maastrichtian) of West Texas and implications for chasmosaurine phylogeny. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-013-1063-0



 テリジノサウルス類といえば、獣脚類の系統ですが、植物食だったとされています。 動きも鈍く、腹部で植物を発酵させたのか、ずんぐりした格好です。

 今回、遼寧省にある白亜紀前期の地層から、基盤的な新種のテリジノサウル類(Therizinosauria)が発見され、記載されています。

 北大プレスリリース(pdf)やマイナビが紹介しています。

 特徴としては、鳥脚類や角竜に似た歯の配列が見られることで、他のテリジノサウルス類とは異なる方法で、植物食に適応していたと考えられています。

 また、長さが10センチもある原始的な繊維状の羽毛の痕跡が見つかっているそうです。

 
 尾の一部を除くほぼ完全な骨格が見つかっもの。  

 学名は、Jianchangosaurus yixianensis(ジアンチャンゴサウルス・イシアネンシス)で、テリジノサウリア(Therizinosauria)の、テリジノサウロイデア(Therizinosauroidea)の姉妹群の位置づけです。 

  最も驚くべき特徴は、歯骨の中央から後部にかけての歯の配列です。 後方では、上あごの歯が反対向きの配列になっており、上下の歯のかみ合わせで、植物繊維を切断する時に力を発揮しやすいようになっています。  

 これは、鳥脚類や角竜に似ており、このことから、他のテリジノサウルス類とは異なる方法で、植物食に適応していたと考えられています。  

 系統的には、基盤的な Therizinosauria とされ、ユタ州産のファルカリウスについで基盤的な位置づけです。Therizinosauroideaとは姉妹群とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Hanyong Pu, Yoshitsugu Kobayashi, Junchang Lü, Li Xu, Yanhua Wu, Huali Chang, Jiming Zhang & Songhai Jia (2013) 
  4. An Unusual Basal Therizinosaur Dinosaur with an Ornithischian Dental Arrangement from Northeastern China. 
  5. PLoS ONE 8(5): e63423. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0063423



 最古の鳥類というのは、新たな化石の発見だけでなく、既存種の新たな系統解析によっても変わります。

 たとえば、始祖鳥はもはや鳥ではない/Xiaotingia zhengi(2011年7月)で紹介しましたが、長い間、最古の鳥類とされてきた始祖鳥は鳥類ではなく、デイノニコサウリアとする論文が報告されています。

 今回、遼寧省にあるジュラ紀の地層から新種の鳥類が発見、記載され、Aurornis xui(アウロルニス・クイ)と命名されています。

 系統解析の結果、始祖鳥は鳥類(アヴィアラエ、avialae)に含まれ、また始祖鳥より基盤的、つまり、最も基盤的なアヴィアラエの位置づけです。

 Nature News に復元イラストがありますが、体長は50センチほど、前肢と後足に翼があったのですが、力強い飛行はできなかったようです。


 ジュラ紀の地層(Tiaojishan Formation)から、ほぼ完全な骨格が見つかったもの。ニュースでは、約1億5000万年前とされています。  

 系統解析では、トロオドン類(Troodontidae)をアヴィアラエの姉妹グループとしています。いずれも、パラエイブス(Paraves)です。 

 また、かつて複数の系統で示唆されたパラエイブス(Paraves)における力強い飛行の進化は、1回だけだったとされています。  

 一方、ルイス・キアッペは、アウロルニスは鳥ではなくて非鳥類型の恐竜で、始祖鳥の位置は揺るがないと言っています。    

 宜州の博物館には、まだ未記載の標本が多数あるそうで、基盤的なアヴィアラエの議論はまだまだ続きそうです。



  1. References:
  2.  
  3. Pascal Godefroit, Andrea Cau, Hu Dong-Yu, François Escuillié, Wu Wenhao & Gareth Dyke (2013) 
  4. A Jurassic avialan dinosaur from China resolves the early phylogenetic history of birds. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature12168



 今日の論文の要旨の最初は、"long-necked sauropod"。竜脚類といえば首が長いのが特徴ですから、"long-necked"といえば、"かなり"長い首という意味なんでしょうね。

 河南省にある白亜紀前期晩期の地層で発見された新種の竜脚類で、学名は、Yunmenglong ruyangensis です。 

  ユーヘロプス(Euhelopus)やエルケツ(Erketu)と共通の特徴を持ち、中国中央部からは初めての、かなり首の長い竜脚類とされています。 

  系統的には、ティタノサウルス形類の原始的な系統のソムフォスポンデリィ(Somphospondyli)に位置づけられています。

 ユーヘロプスより派生的な、エルケツやキアオワンロン(Qiaowanlong)からなるクレードで、キアオワンロンの姉妹群とされています。    


  1. References:
  2.  
  3. Junchang Lü, Li Xu, Hanyong Pu, Xingliao Zhang, Yiyang Zhang, Songhai Jia, Huali Chang, Jiming Zhang & Xuefang Wei (2013) 
  4. A new sauropod dinosaur (Dinosauria, Sauropoda) from the late Early Cretaceous of the Ruyang Basin (central China). 
  5. Cretaceous Research (advance online publication)
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.04.009



1歳未満の新種記載/中国

 未成熟な亜成体の標本のみから新種記載したり、系統関係を類推することは、後に問題が生じる場合があります。個体発生的な、成長に伴う変化を種の特徴ととらえる場合があるためです。

 今回、中国北東部、新疆ウイグル自治区にあるジュラ紀後期の地層で発見されたコエルロサウリア(コエルロサウルス類)が記載されていますが、組織学的な分析からは、一歳未満の幼体とされています。

 系統的には、コエルロサウリアの基盤的な位置づけですが、成体の標本などの発見によって、変更があるかもしれませんね。

 頭蓋骨や下顎骨などが発見されており、推定体長は1メートルほど。 学名は Aorun zhaoi と命名されています。属名は、「西遊記」に出てくる西海竜王に由来しています。


 Shishugou Formation からは、7つ目の獣脚類で、同地層からは最古のコエルロサウリアとされ、世界で最もジュラ紀の多様なコエルロサウリアを産出する動物相の一つとされています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Jonah N. Choiniere, James M. Clark, Catherine A. Forster, Mark A. Norell, David A. Eberth, Gregory M. Erickson, Hongjun Chu & Xing Xu (2013) 
  4. A juvenile specimen of a new coelurosaur (Dinosauria: Theropoda) from the Middle-Late Jurassic Shishugou Formation of Xinjiang, People's Republic of China. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2013.781067



 昨日の論文で紹介したパキケファロサウリア(パキケファロサウルス類)の多様性に続いて、小型の鳥脚類についても、同程度以上に多様だったとする論文が報告されています。

 カナダにある白亜紀後期(カンパニアン)の地層で発見された新種の鳥脚類の記載論文での話です。

 小型の化石は見つかりにくく、小型鳥脚類はかなり多様で、生態系で重要な位置を占めていたとされています。

 なお、新種の鳥脚類の学名は、Albertadromeus syntarsus で、属名の意味は、"アルバータのランナー"です。脚の骨の一部が融合し、走行に適していたようです。

 系統的には、非イグアノドン系で、Thescelosauridae の Orodrominae の位置づけです。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Caleb Marshall Brown, David C. Evans, Michael J. Ryan & Anthony P. Russell (2013) 
  4. New data on the diversity and abundance of small-bodied ornithopods (Dinosauria, Ornithischia) from the Belly River Group (Campanian) of Alberta. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(3): 495-520 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.746229



 カナダのアルバータ州にある白亜紀後期(約8500万年前)の地層で発見された新種のパキケファロサウルス類(Pachycephalosauridae)が記載されています。AFPBB などが紹介しています。

 パキケファロサウルス類の系統関係を再構築した結果、その多様性はかなり過小評価されているとしています。

 これは、大型恐竜に比べて、小型の恐竜化石は残りにくいという保存上のバイアスがあるため、以前から考えられてるよりも多様な小型恐竜が存在したと考えらるためです。

 中でも、パキケファロサウルス類の多様性は、他の小型恐竜よりもかなり大きかったと考えられています。

 
 今回の新種は、北米大陸最古のパキケファロサウルス類ではないかとされ、体長1.8メートルと比較的小型です。    

 学名は、Acrotholus audeti で、属名は、ギリシャ語で「高いドーム」を意味しています。


 

  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans, Ryan K. Schott, Derek W. Larson, Caleb M. Brown & Michael J. Ryan (2013) 
  4. The oldest North American pachycephalosaurid and the hidden diversity of small-bodied ornithischian dinosaurs. 
  5. Nature Communications 4 : Article number: 1828
  6. doi:10.1038/ncomms2749



 オヴィラプトロサウリア(Oviraptorosauria)といえば、大きなクチバシのある獣脚類で、白亜紀後期にかけて、様々に多様化していました。

 今回、その仲間であるカエナグナシダエ(Caenagnathidae、カエナグナサシド類)について、ユタ州で発見された新種が報告されています。

 発見された化石や系統関係は、Bite the Stuff で紹介されています。

 Leptorhynchos を新属として提唱していますが、植物に同じ属名があるそうです。動物名と植物名は、競合しないので、問題はありません。このような例、他にはGastoniaもそうです。

 また、系統関係について再評価し、カエナグナシダエとオヴィラプトリダエ(Oviraptoridae)を、単系統の姉妹タクサとして回復しています。

 さらに、カエナグナシダエが、白亜紀後期に北米大陸で幅広く分布し、多様化した2つの理由(ニッチ分割と高い固有性)に言及されています。


 カエナグナシダエは、白亜紀後期のアジアや北米大陸では一般的ですが、米国最南部では見つかっていなかったそうです。  

 カナダにあるカンパニアン後期の地層からは、3属3種のカエナグナサシド類が報告されているそうです。 そのひとつ、Leptorhynchos を新属として提唱しています。

 かつて Ornithomimus elegans とされていた Leptorhynchos elegans は、小型で、短く深い下顎骨と、先端が上向きのくちばしが特徴とされています。  

 ユタ州からのカエナグナシダエは、 Hagryphus giganteus. の1種が知られています。Aguja Formationからは、Chirostenotes sp. と Leptorhynchos gaddisi (新種)が見つかっています。   

 カエナグナシダエは、白亜紀後期に北米大陸で幅広く分布し多様化したとされ、その多様性は、次の二つの方法で維持されたと考えられています。  

 ひとつは、ダーウィンのフィンチの例に類似した方法で、ボディサイズとクチバシの形状の多様性が、ニッチを分割することで維持されたとしています。  

 第二に、多様性は、異なる生息地に異なる種がいたという、高い固有性によって維持されたとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich, Ken Barnes , Scott Clark , and Larry Millar (2013) 
  4. Caenagnathidae from the Upper Campanian Aguja Formation of West Texas, and a Revision of the Caenagnathinae. 
  5. Bulletin of the Peabody Museum of Natural History 54(1):23-49 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.3374/014.054.0102



 北米大陸の白亜紀後期(カンパニアン後期から白亜紀末)には、さまざまな角竜がいました。しかし、より早期タイプの角竜はあまり知られていないそうです。

 今回、最古のカスモサウリネ(chasmosaurine)とされる新種が報告されています。

 眼の後にあるツノは適度に細長く、前外側に傾斜し、涙滴状の断面を持つ、ということですが、図がないと、特徴がわかりにくいですね。

 ジュディス川層(カンパニアン後期)で発見されたので、Judiceratops tigris という学名です。  このカスモサウルス類は、以前の角竜には見られない特徴の組み合わせを持つとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich (2013) 
  4. Judiceratops tigris, a New Horned Dinosaur from the Middle Campanian Judith River Formation of Montana. 
  5. Bulletin of the Peabody Museum of Natural History 54(1):51-65. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.3374/014.054.0103



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年6月

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