哺乳類が早く移動する手段は走ることですが、恐竜は競歩のように早足で歩けば、かなりの速度が出せたようです。
恐竜の移動速度についての報告が先のSVP年会で報告されました。Nature nwes で紹介されています。
従来、足跡から速度を計算するときに使われたアレキサンダーの式は、ほとんどの恐竜には適用できず、最低速度にすぎないとしています。
動物の移動速度は、足跡からアレキサンダーの式で計算するのが一般的でした。足の長さとストライドが決まれば、速度がわかるというのです。
たとえば、足の長さが25cmの人が、ストライド140cmで歩けば、速度は時速5.0km と計算されます。
アレキサンダーの式(Alexander's formula):
速度 (m/s) = (0.25) x (重力定数)0.5 x (ストライド長)1.67 x (腰の高さ) -1.17
重力定数:9.8 m/s/s
ストライド長:右足と右足、又は左足と左足の歩幅
腰の高さ:足の長さの4倍
アレキサンダー式では、同じ足ならストライド長だけで速度が決まってしまいます。しかし、同じストライド長でも、ストライド頻度を高めれば(早足で歩けば)、速度は早くなります。
今回はこの点がポイントになっています。
アレキサンダー式は、現生の哺乳類や鳥類では当てはまるのでしょう。しかし、今回、重力や質量分布を考慮してコンピュータモデルで解析したところ、アレキサンダーの式は、ほとんどの恐竜に当てはまらないとしています。
獣脚類以外の恐竜では、ストライド長とストライド頻度の比例関係がみられず、獣脚類でもその傾斜は小さくなるとのことです。
足跡から計算される速度は最低速度であって、しかもかなり遅いとしています。哺乳類や鳥類と異るのは、恐竜の後ろ足には大きな筋肉があることが一因のようです。
一方、ストライド頻度が多く、ストライド長が小さい場合は、以前考えられていたよりも速度が上がるとしています。
つまり、競歩のように早足で歩けば、かなりの速度が出せたというのです。
一方、恐竜の歩行速度に詳しいハチンソンは、恐竜が速い頻度で足を動かせるほどの筋肉があったのか検証する必要があるとしています。
- References:
- MALLISON, 2011
- Fast moving dinosaurs:why our basic tenet is wrong
SVP 2011 Program and Abstracts Book, p.150, 2011