高い鉤状突起で強い咬合力/大型植物食恐竜

 動物の下アゴの筋肉は、歯よりも奥にあって、てこの支点となる関節に近いため、筋肉で加えられた力は、先端にある歯ではより小さな力となります。

 しかし、今回、一部の大型植物食恐竜のアゴには、特徴的な仕組みがあり、強い噛む力(咬合力)だったとする論文が報告されています。

 カナダにあるダイナソーパーク層で発見された恐竜について、下顎の生体力学的なてこのモデルを作り、下顎内転筋組織を再構築し、相対的な咬合力を系統的に推論したもの。

 その結果、特に、アケラトプシダエ(ケラトプシア科)とハドロサウリダエ(ハドロサウルス科)の特徴的なアゴには、筋肉の力を強める顕著な仕組みがあり、内転筋組織の力を2-3倍増強した咬合力だったとされています。


 図は、ケラトプシアの下顎のてこシステムを図解したもの(Jordan C. Mallon, 2015)。 筋肉のつく鈎状特機の位置を高くし、下アゴの関節位置を下げることで、筋肉の力を強めています。

 
ceratopsid mandibular lever system.jpg

 


 作用点に働く噛む力はSで、力点に働く筋肉の力はFで、支点は▲で示されています。

 第3種てこであり、支点から近い力点に加えられた力は、支点から遠い作用点においては常により小さな力(大きな動き)となります。  

 しかし、図では、筋肉が付着する鉤状突起を発達させて高くし、力点を上に上げ、また、下アゴの関節位置を下げて、支点を下げています。  

 こうすることによって、支点から作用点への距離( a+e' )はほとんど変わらずに、支点から力点への距離(m)が長くなり、より小さな筋肉の力で、大きな力を生み出すことが可能になるのです。   

 アンキロサウリアやケラトプシダエ、ハドロサウリダエでは、これらの特徴が見られ、特に、ケラトプシダエとハドロサウリダエでは顕著だったとされています。

 アンキロサウリアの鉤状突起は低く、咬合力は弱かったのです。

 これらのアゴのメカニズムは、それぞれ独立系統で、段階的に進化したと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallon & Jason S. Anderson, 2015 
  4. Jaw mechanics and evolutionary paleoecology of the megaherbivorous dinosaurs from the Dinosaur Park Formation (upper Campanian) of Alberta, 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology, 35(2) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2014.904323
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