5m超では3種めの大型ドロマエオ、ダコタラプトル

 "ラプトル"の名で知られる、ほとんどのドロマエオサウリダエ(Dromaeosauridae、科)は、比較的小型から中型の獣脚類です。

 デイノニコサウリア(Deinonychosauria)の系統であり、鳥類へと進化したアヴィアラエ(Avialae)とは、既にジュラ紀後期に分岐している(分岐図 )のですが、小型化と羽毛は、この系統でも空へとチャレンジしていたようように思えます。

 一方、小数ですが、先祖返りしたような大型種も知られています。「大型」の基準があいまいですが、論文では、4種とあります。推定全長を5メートル超に絞ると、2種ですね。

 今回、ユタ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)のヘル・クリーク層から、推定全長5.5メートルほどの大型種が発見・記載され、Dakotaraptor steini (ダコタラプトル・ステイニ)と命名されています。

 ヘルクリーク層には、小型のマニラプトラと大型のティラノサウリダエがいたわけですが、ダコタラプトルは、そのギャップを埋めるボディサイズです。

 系統的には、ヘル・クリーク層でもっとありふれたドロマエオサウリダエ、(Dromaeosaurus albertensis)の姉妹群とされ、両者からなる群がユタラプトル(Utahraptor ostrommaysorum )の姉妹群の位置づけです。

 ユタラプトルは、ユタ州にある白亜紀前期(バレミアン、約1億2500万年前)の地層(Cedar Mountain Formation)で発見されており、系統的には近いのですが、時代はずいぶん違います。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起(quill knob)があり、前肢に長い羽毛があった証拠とされています。

 しかし、飛べそうにはない大型種であり、ディスプレイか、二次的に飛ばなくなった羽根の名残りとも考えられます。

 また、大腿骨が脛骨より短めで、そのプロポーションから、走るスピードは速く、大きなカギツメなどとあいまって、手ごわいプレデターだったようです。

 図は、ホロタイプ(PBMNH.P.10.113.T)からの復元骨格。右上は見つかっている部分で、その他は、他の近縁種からの推定です。

Dakotaraptor steini.jpg

 論文はカンザス大が発行するオンライン専用のオープンアクセスの雑誌です。  

 論文で示されている4種の大型ドロマエオサウリダエは以下のとおり。推定全長はWikipedia などから。全長1.5メートルのブイトレラプトルは大型といえるのかどうか、微妙です。


  1. Buitreraptor gonzalezorum (ブイトレラプトル、南米、白亜紀後期、全長1.5メートル)
  2. Deinonychus antirrhopus (デイノニクス、北米、白亜紀前期、推定全長3.4メートル)
  3. Achillobator giganticus (アキロバトル、モンゴル、白亜紀後期、全長5から6メートル)
  4. Utahraptor ostrommaysorum (ユタラプトル、北米、白亜紀前期、全長7メートル)
 
 なお、ユタラプトルの種小名、記載論文ではostrommaysi でしたが、複数形に改められています。  

 図は、ドロマエオサウリダエの分岐図(Robert A. DePalma et al., 2015)。5種の大型種は赤線で示しています。 


Dakotaraptor steini-2.jpg

 今回の標本は、2005年に四肢や尾の一部が発見されたもの。歯などは別の場所から見つかっています。同時に、サウロルニトレステス(Saurornitholestes)やアケロラプトル(Acheroraptor)といった他のドロマエオサウレダエの標本も見つかっています。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起があります。羽軸突起は、腰にコブのあるカルカロドントサウルス類(2010年9月)で紹介していますが、飛ぶことができる現生鳥類にみられ、次列風切羽が、靭帯により骨に固定されていた時の小さな突起です。  

 大型のドロマエオサウリダエでも、ユタラプトルは大腿骨:脛骨比が1:1で、中足骨は短く、がっしりした骨格あり、獲物を追いかけるプレデターとしての能力は劣っていたようです。  

 一方、ダコタサウルスの大腿骨は脛骨より17%短く、小型種に比べて相対的に中足骨は長めです。よりスピードが出せそうなプロポーションだったわけですね。


 


  1. References:
  2. Robert A. DePalma, David A. Burnham, Larry D. Martin†,Peter L. Larson and Robert T. Bakker (2015) 
  3. The first giant raptor (Theropoda: Dromaeosauridae) from the Hell Creek Formation. 
  4. Paleontological Contributions 14 (16 pp.) PDF 
  5. URI: http://hdl.handle.net/1808/18764
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