現生鳥類、共通祖先の出現は9500万年前

 日本語で"鳥類"とは言っても、そのクレードにはいろいろあって、しかも名称に一貫性がなくて煩雑です。

 包括的なグレードから順に、Paraves(パラベス)、Avialae(アヴィアラエ)、Aves(鳥類)、Ornithuromorpha(真鳥形類) 、Ornithurae(真鳥類)、Neornithes(新鳥類)、Neoaves (ネオアベス)などです。

 例えば、"Neornithes" を「新鳥類」と訳すと、"Neoaves"の日本語訳が難しいですね。

 今回、現生鳥類を含む系統のみからなるクレード、新鳥類(Neornithes)の起源や初期進化についての論文が報告されています。

 ちなみに、Neornithes の定義は、「ダチョウ( Struthio camelus )とイエスズメ( Passer domesticus )の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫」です。

 化石記録だけからの年代推定は難しいため、現生鳥類DNA配列データと、鳥類化石の組み合わせから解析したもの。 

 その結果、現生鳥類の最も新しい共通祖先は、約9500万年前の南米大陸が起源とされています。

 そして、大陸移動(プレートテクトニクス)と環境の変化という地球の歴史が、新鳥類の多様化に影響を与え、特に、世界的に地球が寒冷化する期間に、多様化したとされています。
 

 図は、新鳥類の初期の系統関係に時間軸をあてはめたタイムツリーの一部(Santiago Claramunt et al., 2015)。

 現生鳥類(新鳥類)の共通祖先は約9500万年前に出現したとされ、しだいに3つの大きなクレードに分岐します。

 最初は、9150万年前に、ダチョウなどの走鳥類が属する古顎類(Palaeognathae)と新顎類(Neognathae)に、8510万年前に新顎類がキジカモ類(Galloanseres)とネオアベス(Neoaves)に分岐します。

 いずれの系統も、白亜紀末以降、爆発的に多様化しています。
 



Neornithes.jpg

 論文では、ほとんどの系統を代表する現生鳥類230種の時計様遺伝子のDNA配列の違いと、すべての系統の130の鳥類化石を用いています。  

 その結果、現生鳥類の最も新しい共通祖先は、約9500万年前の白亜紀後期早期に、南米(ゴンドワナ大陸西部)に棲んでいたとされています。  

 しかし、白亜紀末までにはあまり多様化せず、新生代になってようやく、新鳥類は世界中に広がり、多様化したのです。  

 そして、ゴンドワナ大陸から世界への鳥類の放散には、主に2つのルートがあったとされています。  

 暁新世の間に北米を通り旧世界に到達するルートと、古第三紀の間に南極経由でオーストラリアとニューランド近くのジーランディア(Zealandia)に達するルートです。  

 正味の多様化率は、世界的な寒冷化期間中に増加しています。  これは、熱帯雨林が隔離され、熱帯生物群系が少数の集団に断片化されることで、分化を刺激したことを示唆するとされています。  

 つまり、二つの基本的な地球のダイナミクスの特徴であるプレートテクトニクスと環境の変化に、鳥類進化が影響された影響されたとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Santiago Claramunt and Joel Cracraft (2015) 
  4. A new time tree reveals Earth history's imprint on the evolution of modern birds. 
  5. Science Advances 1(11): e1501005 
  6. DOI: 10.1126/sciadv.1501005
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