初のベイズ分析:ティラノサウロイデアの系統関係

 ティラノサウロイデア(いわゆるティラノサウルス上科)といえば、ジュラ紀の小型種から、白亜紀後期の大型種まで、1億年にもわたる多様なクレードです。

 今回、その系統関係について再検討した論文が報告されています。

 新たに発見されたタクソンを加えた28種と4種の外群からの366の形質(解剖学的特徴)について、従来の最大節約法の他に、初めてベイズ(Bayesian)分析を行ったもの。

 なお、ナノティラヌス(Nanotyrannus lancensis)については、著者らが、T.rex の幼体で無効名という論文を出していることもあり、データセットには含まれてはいません。

 また、最大節約法は、形質の変化が最も少なくなる関係を求める方法ですが、ベイズ分析は、単系統群の出現頻度である事後確率(posterior probability)が最大となる関係を求めます。

 その結果ですが、最大節約法とベイズ分析を比較すると、2つの結果は非常に類似したコンセンサスツリーとなっています。  幾つかの相違点はありますが、両方のツリーの全体的な構造は同じです。

 今回の結果から、巨大なボディープランは、断片的に進化したことを示し、また、議論されているように、北米大陸西部での、南北で明確な種の区別があるわけではないとされています。

 さらに、おそらく、T.rex はアジアから北米へ移ってきたとしています。 

 図は、ベイズ分析の結果に地質年代をあてはめたもの(Stephen L. Brusatte & Thomas D. Car, 2016)。拡大図はこちら

 分岐点(ノード)の数字は、それぞれのクレードの事後確率(%、単系統群の出現頻度)を示しています。

 最節約法と比較すると、基盤的な位置などで、多分岐が少ないですね。最も基盤的(最古)なのは、単独でグアンロン(Guanlong)です。

 後で述べますが、Xiongguanlong と白亜紀後期の大型種の間には、化石が見つかっていない長いブランクがあります。


 srep20252-f2.jpg

 ベイズ分析は、分子系統学的研究では標準で、より広範な形態学的研究において使用されるようになっているそうです。  

 ティラノサウロイデアの進化や生物地理学的分布を理解するうえで、化石証拠が欠けていることによる3つのバイアスをあげています。  

 そのひとつは、白亜紀後期の大型種のクレードと、そのボティプランの兆しが最初に出現した白亜紀前期晩期の姉妹群、Xiongguanlong の間には、少なくとも2000万年、おそらく4500万年のギャップがあることです。  

 2つめは、アジアの大型ティラノサウロイデアの多様性が過小評価されていること。特に、カンパニアンの化石発見が期待されています。  

 そして、3つめは、北米大陸東部(アパラチア)について、ほとんど知られていないことです。



  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte & Thomas D. Carr (2016) 
  4. The phylogeny and evolutionary history of tyrannosauroid dinosaurs. Scientific Reports 6, Article number: 20252 (2016) 
  5. doi:10.1038/srep20252
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