聴力に優れた新種のティラノサウロイデア/ウズベキスタン

 ティラノサウロイデア(いわゆるティラノサウルス上科)といっても、ジュラ紀中期(約1億7000万年前)に現れた基盤的な仲間と、白亜紀後期の大型種では、サイズなどがずいぶん異なります。

 初のベイズ分析:ティラノサウロイデアの系統関係(2016年2月)で紹介していますが、白亜紀後期の大型種と、その兆しが最初に出現した白亜紀前期晩期の、Xiongguanlong (シオングアンロン)の間には、少なくとも2000万年、おそらく4500万年のギャップがあるのです。

 今回、その論文と同じ著者であるエジンバラ大のステフェン・ブルサット(Stephen L. Brusatte )らにより、ティラノサウロイデアのギャップを埋める時期の新種が記載されています。Smithsonianmagが紹介しています。

 また、ブルサットは日経サイエンス7月号で、ティラノサウルスの系譜について語っています。

 ウズベキスタン、キジルクム砂漠での、1997年から2006年にかけての発掘調査で、白亜紀後期、チューロニアン(9000万-9200万年前)の地層(ビッセクティ層、Bissekty Formation)から、脳函などが見つかったもの。


 全長は3メートルほどと、現在のウマほどのサイズですが、特に脳函は保存状態がよく、内耳は後期の仲間の特徴を持っており、低周波音が良く聞き取れたとされています。

 この発達した脳と感度の良い聴力が、捕食者として大型に進化した理由の一つと考えられています。低い音が良く聞こえるといいのは、暗闇や茂みでも獲物の足跡を聞くことができたからでしょうか。

 しかし、なぜ耳がいいと大型したのか、アロサウルスなど、他の大型獣脚類ではどうなのか、エサとなる植物食恐竜の大型化が関与していないのか、いろいろと疑問もありますね。


 学名は、Timurlengia euotica(ティムルレンギア・エウオティカ)。意味は、"耳のいいティムール(Timurleng)"。ティムールは、14世紀の中央アジアにあったティムール朝の建国者です。

 図は、脳函だけからの系統関係(Stephen L. Brusatte et al., 2016)。甘粛州で発見されたシオングアンロンより基盤的な位置づけです。

 出現は、ティラノサウロイダエ(科)が分岐する、化石記録の乏しい白亜紀中頃(図のグレーゾーン)です。

 なお、シオングアンロンについては、新種のティラノサウロイデアとオルニトミモサウリア(2009年4月)で紹介しています。



 Timurlengia.jpg 


  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Alexander Averianov, Hans-Dieter Sues, Amy Muir, and Ian B. Butler (2016) 
  4. New tyrannosaur from the mid-Cretaceous of Uzbekistan clarifies evolution of giant body sizes and advanced senses in tyrant dinosaurs. 
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1600140113
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