初の心臓化石/条鰭類のラコレピス

 心臓はどのように進化したのか、大きな謎のひとつは、硬骨魚類の一種、基盤的条鰭類でみられた、弁の多い流出路(動脈円錐)から、進化した条鰭類でみられる、弁のない弾性的な流出路(動脈球)への移行です(下図)。

 しかしながら、このあたりの進化を解明するためには、保存状態の良い化石が必要です。    

 心臓化石といえば、心臓ではなかったウィロの"心臓化石"(2011年2月)で紹介したテスケロサウルスの"心臓化石"が話題になりました。    

 結局、その構造は心臓ではなく、鉄分を含む鉱物が侵入した痕跡ではないかとされています。  

 今回、ブラジルにある白亜紀前期の地層で発見された条鰭類、Rhacolepis buccalis (ラコレピス)の化石で見出された初の心臓化石について報告されています。  

 シンクロトロンX線断層撮影により、解析したもの。化石は、保存状態がよく、胃や筋肉の一部も残されているそうです。  
 
 少なくとも5つの弁がある動脈円錐を持つとされて、心臓の形態は、最も原始的な多弁型と、現生条鰭類にみられる弁のない進化型との中間状態を表しているようです。  

 今回のデータは、長い間不明だった心臓表現型を示し、心臓流出路の簡素化は、劇的なイベントというより、ゆるやかに進化したとされています。


 図は、条鰭類の心臓(流出路)の進化(Lara Maldanis, et al., 2016)。1心房1心室で、原始的な仲間にみられる多弁の動脈円錐(上)は、進化するにつれて小さくなり、動脈球(下)が大きくなります。


  cardiac outflow tract.jpg 


 


  1. References:
  2.  
  3. Lara Maldanis, Murilo Carvalho, Mariana Ramos Almeida, Francisco Idalécio Freitas, José Artur Ferreira Gomes de Andrade, Rafael Silva Nunes, Carlos Eduardo Rochitte, Ronei Jesus Poppi, Raul Oliveira Freitas, Fábio Rodrigues, Sandra Siljeström, Frederico Alves Lima, Douglas Galante, Ismar S Carvalho, Carlos Alberto Perez, Marcelo Rodrigues de Carvalho, Jefferson Bettini, Vincent Fernandez & José Xavier-Neto (2016) 
  4. Heart fossilization is possible and informs the evolution of cardiac outflow tract in vertebrates. 
  5. eLife 2016; 5:e14698 
  6. DOI: http: // dx.doi.org/10.7554/eLife.14698
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