Acta Palaeontologica Polonicaの最新ニュース

 真冬には一日中太陽が昇らず、逆に、真夏には太陽が沈まない北極圏からでも、恐竜化石の発見は珍しくはありません。

 アラスカ北部、最も高緯度の恐竜化石産地/アラスカ(2015年1月)で紹介しているプリンス・クリーク層(Prince Creek Formation)からは、これまでに、13種類以上の恐竜化石が見つかっており、そのうち、後に示すように、3つのタクソンが新種として記載されています。 

 マーストリヒチアン(約6900万年前)の地層で、極地方としては世界で最も多数の化石を産出する場所です。

 そこでは、エドモントサウルス属(Edmontosaurus sp.)の幼体が多数見つかっており、渡りをしなかったエドモントサウルス(2013年9月)で紹介しているように、極寒の冬でも渡りをしなかったようです。

 今回、そのプリンス・クリーク層で発見されたハドロサウリダエ(科)のエドモントサウリニ (亜科)の新種が記載されています。YouTube で発掘の様子ななどが紹介されています。

 4種目となる恐竜の学名は、Ugrunaaluk kuukpikensis で、発音は、"oo-GREW-nah-luk"で、日本語では、ウーグルナールク・クークピケンシスとします。

 体長は9メートルほど、近縁とされるエドモントサウルスとは異なり、眼窩後部ポケットを欠く比較的狭い後眼窩骨の頬骨突起を持つといった特徴があります。

 アラスカという極寒の環境で暮らしていたからでしょうか、同じララミディアでも、地域性があったようです。


 アラスカからの新種は、2006年に記載されたパキケファロサウリダエの Alaskacephale gangloffi(アラスカケファレ・ガングロフィ)と、セントロサウリネ(centrosaurine)の Pachyrhinosaurus perotorum (パキリノサウルス・ペロトラム、2012)、ティラノサウリネの anuqsaurus hoglundi (ナヌクサウルス・ホグルンディ、2014)です。  

 今回の新種の属名は、アラスカの原住民のイヌピアック(Iñupiaq)語で、"ancient grazer(太古のグレイザー)"の意味。同じ植物食でも、グレイザー(粗食選択)はブラウザー(良質選択)と異なり、食べられるものを無差別に刈り取って食べるタイプです。  

 骨格的に未成熟な標本からの記載ですが、他のハドロサウリダエの成長パターンを考慮して、解析されています。  

 系統解析からは、既に報告されているエドモントサウルス属の、 Edmontosaurus annectens (エドモントサウルス・アネクテンス)と E. regalis (エドモントサウルス・レガリス)からなるクレードの姉妹群とされています。    

 ウーグルナールクは、他のエドモントサウルスに見られる幼体の特徴は示さないとされています。 しかし、詳しくは、 E. annectensE. regalis の幼体など、さらなる標本の発見が必要とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Hirotsugu Mori, Patrick S. Druckenmiller, and Gregory M. Erickson (2015) 
  4. A new Arctic hadrosaurid from the Prince Creek Formation (lower Maastrichtian) of northern Alaska 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00152.2015
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 魚は箸でも食べられますが、ステーキとなると、ギザギザのナイフが必要ですね。
 
 そういうこともあるのか、円錐形で鋸歯のない歯を持つスピノサウルスは、魚食性と考えられています。

 もっとも、冒頭の話は、煮魚の話で、スピノサウルスの歯が本当に魚食性に最適だったのか、逆に肉食には不向きだったのか、定量的な解析がされているのかは、不明です。

 実際、スピノサウリダエ(Spinosauridae、科)の系統でも、バリオニクスやスコミムスには鋸歯があります。

 今回、スピノサウリダエのステムグループのものとされる、鋸歯がある歯の化石が発見され、報告されています。

 ステムグループとは、その(スピノサウリダエの)祖先にあたるグループで、スピノサウリダエではありません。

 図は、獣脚類の系統関係と、歯の形態(Alejandro Serrano-Martínez et al., 2015)。 中央(HB-87)が、今回見つかった歯のイラストです。

 分岐図ですので、分岐点がクレード名を示し、3がメガロサウロイデア(Megalosauroidea、上科)で、4の位置がスピノサウリダエです。今回の歯の化石は、スピノサウリダエにつながる系統としては、最古の化石となります。




phylogeny of spinosaurids.jpg

 ニジェールにあるジュラ紀中期の地層(Tegama Group)で発見されたもの。  典型的なスピノサウリダエの歯にはみられない、珍しい特徴が組み合わさっているとされています。  

 これは、獣脚類にありがちな、相似形態的なジフォドント(ziphodont、カーブして鋭く鋸歯をもつ状態)な歯から、白亜紀前期にかけてのスピノサウリダエの歯へと形態が変化する途中段階のようです。  

 また、ニジェールで見つかったことから、スピノサウリダエがゴンドワナ起源であることを支持するとされています。 


 基盤的な竜脚類、 Spinophorosaurus nigerensis (スピノフォロサウルス・ニジェレンシス)のホロタイプにともなって発見された、4本の獣脚類の歯の化石のひとつです。  

 なお、スピノフォロサウルスは、基盤的竜脚類の脳函と内耳構造(2012年1月)で紹介していますが、尾の先にトゲがあるのが特徴です。  

 歯は、2つのタクサに分けられ、そのうち3本の歯は、 メガロサウリダエ(Megalosauridae、科)の、たぶん、アフロヴェナトールの歯とされ、4つめの歯が、スピノサウリダエのステムグループの歯ではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Alejandro Serrano-Martínez, Daniel Vidal, Lara Scisio, Francisco Ortega, and Fabien Knoll (2015) 
  4. Isolated theropod teeth from the Middle Jurassic of Niger and the early dental evolution of Spinosauridae. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00101.2014
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 アベリサウリダエ(科)の尾椎について考察した論文が報告されています。予稿ですが、全文が読めます。

 アベリサウリダエの尾椎は他の獣脚類とは異なった進化をし、その形態は特殊で、特に横突起(transverse process)の形状が特異的とされています。

 この伸長した突起の下に、筋肉が発達したのではないかと考えられています。  これは、クレード間でも違いが見られ、それは、バランスや移動機能に関連しているそうです。

 また、南米のアベリサウリダエは、インドやマダガスカルの種とは別々に進化したとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Ariel H. Méndez (2012) 
  4. The caudal vertebral series in Abelisauridae (Dinosauria: Theropoda). 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0095
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 スペインにある白亜紀前期の地層で発見された新種のケラトサウリアが記載されています。 

 化石が発見されているのは、ジュラ紀中期・後期と白亜紀後期で、この2つの時代に繁栄したと考えられています。一方、白亜紀前期の約2000万年間ほどからの発見は稀だそうです。

 今回、テルエルのCamarillas Formation(lower Barremian)で発見され、 Camarillasaurus cirugedae と命名されています。

 系統的には、ケラトサウリアの基盤的な位置に近く、中国で発見されている基盤的ケラトサウリア、 Limusaurus より派生的とされています。 ケラトサウリアが繁栄した2つの時代の中間体のようです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Bárbara Sánchez-Hernández and Michael J. Benton (2012) 
  4. Filling the ceratosaur gap: A new ceratosaurian theropod from the Early Cretaceous of Spain. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2011.0144

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 モロッコにある白亜紀後期(Cenomanian)の地層で発見された新しいカルカロドントサウリダエ(科)が報告されています。

 発見されたのは左前頭骨(frontal)で、標本が不足しているためか、新種としては記載されていません。

 この時期のアフリカ大陸には、カルカロドントサウリダエ2種と、デルタドロメウス(Deltadromeus)、スピノサウルスの4種の大型獣脚類が共存していたとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Andrea Cau, Fabio Marco Dalla Vecchia, and Matteo Fabbri , 2011
  4. Evidence of a new carcharodontosaurid from the Upper Cretaceous of Morocco
  5. Acta Palaeontologica Polonica in press available online 11 Jul 2011
  6. doi:10.4202/app.2011.0043
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 疑問名とされていた Kelmayisaurus petrolicus (ケルマイサウルス・ペトロリクス)について再評価し、有効名とする論文が報告されています。

 新疆ウイグル自治区で発見され、1973年に報告されたのですが、疑問名とされていました。今回、タイプ標本を再評価しています。

 系統的には、基盤的カルカロドントサウリダエ(Carcharodontosauridae)に位置づけられています。

 

 他の大陸に比べて、アジア大陸からの白亜紀前期の大型獣脚類化石の発見例は少ないそうです。

 2009年にアジア初のカルカロドントサウリダエ、Shaochilong maortuensis が再記載されています。内モンゴルにある白亜紀後期(チューロニアン、約9100万年前)の地層で発見されました。

 ケルマイサウルスは、アジアからは2種目のカルカロドントサウリダエになります。

 この再評価で、白亜紀前期から中期にかけて、この系統のhypercarnivorous(純肉食性、大型で、70%以上が肉食)の獣脚類が地球規模で放散していたとされています。

 

  なお、Kelmayisaurus petrolicus  ですが、最初の報告は、ドン・チーミン。種小名は石油に絡んでいるようですが、石油会社がスポンサーだったのでしょうか。 

 

 図は、タイプ標本の左歯骨(IVPP V 4022)で、スケールは5センチ。上は内側から、下は背側(上)から見たもので、dは歯の番号。

 

 

Kelmayisaurus_petrolicus.jpg

 

 

 

  References:

  1. Stephen L. Brusatte, Roger B. J. Benson, and Xing Xu , 2011
  2. A reassessment of Kelmayisaurus petrolicus, a large theropod dinosaur from the Early Cretaceous of China
  3. Acta Palaeontologica Polonica in press available online 28 Apr 2011  
  4. doi:10.4202/app.2010.0125
  5.   
  6. Dong, Z.-M. 1973.
  7. Dinosaurs from Wuerho.
  8. Memoirs of the Institute of Vertebrate Paleontology and Paleoanthropology Academica Sinica 11: 45-52 [in Chinese].
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 中国河南省にある白亜紀後期の地層(Majiacun Formation)で発見された新種のトロオドンチダエ(科)が報告されています。  

 原稿案ですが、全文が読めます。発見地にちなみ Xixiasaurus henanensis と命名されています。  

 歯の前縁にも後縁にもセレーション(鋸歯)がなく、肉食から植物食又は雑食(omnivorous)への食性の変化が示唆されています。  

 モンゴル産の Byronosaurus(ビロノサウルス)に近縁で、これら2種と Urbacodon (ウルバコドン)をまとめてひとつのクレードを形成すると考えられています。

 セレーションの無いトロオドンチダエです。

 


  1. References:
  2.  
  3. Lu, Li Xu, Yongqing Liu, Xingliao Zhang, Songhai Jia, and Qiang Ji , 2010
  4. A new troodontid (Theropoda: Troodontidae) from the Late Cretaceous of central China, and the radiation of Asian troodontids Junchang 
  5. Acta Palaeontologica Polonica in press available online 19 Feb 2010
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