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 モデルベースの系統学的アプローチで、ティタノサウリアの起源や放散時期について考察した論文が報告されています。

 その結果、ティタノサウリアは、白亜紀前期(約1億3500万年前)、南米が起源と推定されています。

 そして、ティタノサウリアが放散した時期は、白亜紀の超大陸の分離や離散と広く一致しているとされています。

 白亜紀中頃になると、しだいに南米大陸と南アフリカ大陸が分離していくのですが、それに一致して、アフリカ大陸の動物相は、半分離した亜赤帯型になったとされています。

 最終的に、白亜紀後期になると、アフリカ大陸は、ローラシアの系統と南米の系統をつなげたとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Eric Gorscak & Patrick M. O'Connor (2016) 
  4. Time-calibrated models support congruency between Cretaceous continental rifting and titanosaurian evolutionary history. 
  5. Biology Letters 
  6. DOI : http: // dx.doi.org/10.1098/rsbl.2015.1047
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 系統解析に用いる標本は成熟した成体でないと、個体発生(成長変化)による形質変化という誤差を含むことになります。

 しかし、絶滅動物の個体発生段階を決めるのは複雑です。

 今回、鳥類以外の恐竜の年齢を決めるのに利用できるいくつかの方法をレビューし、恐竜の成体の定義としてまとめた論文が報告されています。

 図はズニケラトプスを例に、何を持って成体とするか種々の方法(David W. E. Hone et al., 2016)。さまざまな方法が存在します。


  1. a)社会的シグナル(フリル)の発達程度 
  2. b)骨表面のテクスチャ 
  3. c)サイズ(図は腸骨)、あまりあてにならないようです 
  4. d)生殖成熟度(矢印は成熟した雌にしかない骨髄骨) 
  5. e)神経中枢弓(neurocentral arch)の癒合(矢印は消えてしまった軟骨が癒合した痕) 
  6. f)多種のデータに基づいた成長曲線の漸近線(矢印、最大成長点のこと)
  7.  

  8.  

F2.medium.gif

 今回、これら複数の基準から、成体の恐竜は、次のように定義されています。また、亜成体や幼体、胚も定義されています。


 成体の定義:生殖成熟に加え、骨学および組織学的特徴によって示される、急速な成長の停止に相当するライフステージの到達点に達している動物。

 
 生殖成熟だけでは不十分で、組織的にも、骨格的にも十分に成長しきっている必要があるのです。  

 タクソンの成長曲線を考慮するとなると、ひとつの個体だけの部分的な骨格からの判断は難しそうですね。  

 この定義によると、今まで成体とされた多くの標本は、幼体か亜成体とされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. David W. E. Hone, Andrew A. Farke, Mathew J. Wedel, 2016 
  4. Ontogeny and the fossil record: what, if anything, is an adult dinosaur ? 
  5. Biology Letters, published 17 February 2016. 
  6. DOI: 10.1098/rsbl.2015.0947
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 魚竜の系統関係(2015年7月)で示していますが、三畳紀前期に出現した魚竜は、白亜紀後期(セノマニアン末、約9300万年前)には絶滅してしまいます。

 かつて、白亜紀の魚竜は、ジュラ紀以降衰退した生き残りと考えられていましたが、最近では、白亜紀においても、魚竜の多様性を示す化石が発見されています。

 魚竜の進化や絶滅は、色々と議論されてきましたが、以前の研究は定性的な議論に集中していたとし、今回、定量的に解析した、とする論文が報告されています。

 最近開発したという定量的環境容量モデル(ecospace modelling)を使い、中生代をとおして、魚竜の食性や生態的地位の変化を高解像度で解析したというもの。

 白亜紀の発見例はあるのですが、今回のモデル解析では、早くてもジュラ紀中期には生態系が衰退傾向にあったのは明らかとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Daniel G. Dick & Erin E. Maxwell (2015) 
  4. The evolution and extinction of the ichthyosaurs from the perspective of quantitative ecospace modelling. 
  5. Biology Letters 2015 11 20150339 
  6. DOI: 10.1098/rsbl.2015.0339
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 Dreadnoughtus schrani (ドレッドノータス・シュラニ)は、アルゼンチンにある白亜紀後期の地層で発見されたティタノサウリアで、その推定体重は約59.3トンでした。

 「超ド級」ドレッドノータス/最も完全な巨大ティタノサウリア(2014年9月)で紹介していますが、かなりの部分が見つかっており、また精度を持って体重が推定された史上最大の陸上動物とされていました。

 今回、別の手法で計算し、下の表に示すように、その推定体重は27.7トン、最大でも38トン程度とする論文が報告されています。

 同じ方法で計算した、アパトサウルスとジラファティタンの体重は、それぞれ、27.4トンと25.2トン、最大体重は、それぞれ38トンと35トンです。ドレッドノータスは、これらと同程度で、「超ド級」ではなくなりましたね。

 計算方法が異なるのですが、どうしてこのような大きな違いが生じるのでしょうか。

 どうやら、大型竜脚類の場合、大腿骨などから体重を推定すると、かなり高めにでるようです。とすると、一部の骨しか見つかっていない他の竜脚類の体重も、不正確かもしれませんね。




Dreadnoughtus-mass.jpg

 最初の論文は、長骨(大腿骨と上腕骨)から体重を推定しています。このスケール関係を利用する方法は、従来から四肢動物の体重推定に用いられています。

 しかし、アパトサウルスやジラファティタンに比べて、骨格的にほんのわずかに大きいだけで、ドレッドノータスはかなり重く、体重が高めに出ているとされています。

 そこで、今回は3次元体積モデルを使い解析しています。3次元体積モデルでは、骨格表面を全て皮膚でおおって、最小の凸多面体である凸包(convex hull)モデルを作成することから始まります。

 比較のため、現生鳥類やクロコダイル、アパトサウルス、ジラファティタンなどのモデルも作成しています。

 今回の計算結果の上の表について、ドレッドノータスの数値を例に説明をすると、凸包モデルで計算されたドレッドノータスの最小総体積は、26.91立方メートルと計算されています。骨格を皮膚が最小限に覆う場合です。  

 この最小値に、筋肉や脂肪などの分を肉付けするのですが、ここでは現生動物の平均値である21%相当を増量しています。その結果、標準的な体積は、32.53立方メートルとなります。

  このあたり、ジラフティタンの体重はわずか23トン(2012年6月)で紹介した方法と同じです。  

 さらに、哺乳類や主竜類の最大値を考慮して肉付けした場合(1.6倍、論文の1.91は間違いか)、43.02立方メートルとなります。  

 これに、竜脚類の密度(約800kg/立法メートル)をかけると、体重は、22.12 から 38.22トンと計算されます。  

 従来の推定体重である59.3トンとするには、最小体積の2.38倍となる必要があり、また、その場合密度は、925kg/立方メートルで、竜脚類の推定密度範囲(791-900)を超えるとされています。  

 恐竜の質量推定には、体積モデルがふさわしいとのことですが、より正確に推測するには、現生動物の体積や密度データが必要としています。 

 また、今回の結果からわかるのは、最初の論文で高めの体重値が出たことから、大型竜脚類の場合、体重に比べて、大腿骨や上腕骨が長めなのではないかということですね。

 さらに、肉付けにおいて、21%の平均値ではなく、各パーツにおいて必要な筋肉量などを計算すると、より正確な体積や体重が推定できると思われます。

 空気の袋である気囊の位置や大きさなども関与しそうですから、複雑ですね。
 



  1. References:
  2.  
  3. Karl T. Bates, Peter L. Falkingham, Sophie Macaulay, Charlotte Brassey & Susannah C. R. Maidment (2015) 
  4. Downsizing a giant: re-evaluating Dreadnoughtus body mass. 
  5. Biology Letters 11: 20150215. 
  6. DOI: 10.1098/rsbl.2015.0215
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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