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 かつて、竜脚類は首を高く持ち上げて復元されていましたが、ここ20年で、一部の竜脚類では、そういった首の姿勢は疑問視されてきています。

 首が水平に復元されるディプロドクスと、傾斜したブラキオサウルスにおける骨学的な違いは、それらのライフスタイルやエサを食べるスタイルが異なっていることを示唆しています。

 それらの脊椎の違いのひとつが、2股になった神経棘です。2股になった神経棘の有無にかかわらず、竜脚類は同じ首の姿勢を示すように復元されてきました。 

 最近では、神経棘に伴って靭帯の存在が示されており、今回、2股になった神経棘の生物学的メカニズムを理解するために、現生動物を参考に、靭帯などの軟組織について解析した論文が報告されています。

 モンタナ州立大が紹介しています。

 その結果、以前は、二股になった分岐部分のくぼみは、完全な空間か、空気室か筋肉がある復元でした。

 逆に、今回の研究では、二股の神経棘の頂点は、別れた項靱帯(nuchal ligament)が固定される場所であり、分岐部分のくぼみは、棘間にある靭帯で埋められていたとされています。  

 靭帯には、エネルギー効率の高い弾性反発があり、頚椎にある対になった靭帯は、水平面(すなわちエサを食べる時)に伸びて、首が横方向に移動するには役立ったようです。



  1. References:
  2.  
  3. D. Cary Woodruff (2016) 
  4. Nuchal ligament reconstructions in diplodocid sauropods support horizontal neck feeding postures. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2016.1158257
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ハドロサウロイデアの骨障害

 ハドロサウロイデア(上科)でも、派生した仲間の骨障害(Osteopathy)については比較的よく研究されているのですが、基盤的なグループについては不十分です。

 今回、メキシコで発見された基盤的ハドロサウロイデア、Huehuecanauhtlus tiquichensis (フエフエカナウトルス・チクイチェンシス)の異常な病態について報告されています。 

  フエフエカナウトルス は、メキシコ産、新種の基盤的ハドロサウロイデア(2012年2月)で紹介しています。

 背部肋骨や胸骨を観察したもの。ケガは前部肋骨骨折で、おそらく骨髄炎(osteomyelitis)に起因するものとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Angel Alejandro Ramírez-Velasco, Elizabeth Morales-Salinas, René Hernández-Rivera & Darren Hank Tanke (2016) 
  4. Spinal and rib osteopathy in Huehuecanauhtlus tiquichensis (Ornithopoda: Hadrosauroidea) from the Late Cretaceous in Mexico. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2016.1147033
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河南省初のアノモエプス

 Anomoepus(アノモエプス)は、北米大陸にあるジュラ紀前期の地層から見つかっている鳥脚類の足跡化石です。

 1848年、ヒッチコックが、コネチカットで、北米で初めて行った恐竜足跡化石調査報告で命名した名前ですが、当時は鳥類の足跡と考えられていました。

 今回、河南省にあるジュラ紀中期の地層から、初めてのアノモエプスの化石が報告されています。

 この足跡も、最初は鳥類の足跡と思われていたのですが、中生代の鳥類よりは大きくて、がっしりした足跡です。



  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Nasrollah Abbassi, Martin G. Lockley, Hendrik Klein, Songhai Jia, Richard T. McCrea & W. Scott Persons IV (2016) 
  4. The first record of Anomoepus tracks from the Middle Jurassic of Henan Province, Central China. 
  5. Historical Biology (advance online publication)
  6. DOI:10.1080/08912963.2016.1149480
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 アジアとアフリカ大陸から、無脊椎動物による食骨(osteophagia)としては最古の化石証拠が報告されています。

 雲南省にあるジュラ紀中期の地層(Chuanjie Formation)から、死後、虫に食われた穴の痕が残された竜脚類、チュアンジエサウルス (Chuanjiesaurus)の化石が見つかったもの。

 この生痕化石は、Cubiculum 属の新種とされ、C. inornatus と命名されています。穴を開けた虫のタクソンは不明です。

 加えて、アフリカにあるジュラ紀初期のエリオット層で発見された虫喰い痕も報告されています。

 これらの発見から、動物の骨の中で昆虫がサナギになる蛹化は、ジュラ紀中期からと、従来より、1億年以上古い記録とと考えられています。

 そして、その起源は中生代早期と考えられ、おおまかにいって、木材での昆虫蛹化の起源(三畳紀後期)に匹敵するとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Alexander H. Parkinson, Hao Ran, Cecilia A. Pirrone, Eric M. Roberts, Jianping Zhang, Michael E. Burns, Tao Wang & Jonah Choiniere (2015) 
  4. The earliest fossil evidence of bone boring by terrestrial invertebrates, examples from China and South Africa.
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2015.1111884
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 18世紀から19世紀にかけてイタリアで収集された化石から、プレシオサウリアの新種が記載されています。

 ジュラ紀中期から後期の地層(Rosso Ammonitico Veronese Formation)で発見されたクロコダイル形類のメトリオリンキダエ (Metriorhynchidae)やプレシオサウリアの化石からです。

 このあたりでは、2つのクレードが共存していたようで、メトリオリンキダエのほうは、Neptunidraco 属とされています。新種のプレシオサウリアの学名は、Anguanax zignoi です。

 系統的には、Marmornectes Thalassophonea を含むクレードと姉妹群の、基盤的なプレシオサウリアとされています。

 今回の両クレードは、1億7600万年から 1億7100万年前にかけて分岐し、その多様化速度は他のクレードに比べて有意に高かったとされています。  

 深海環境に素早く適応したのは、ジュラ紀、北部テチス海で起きた最新の海退状態に対応してのことと考えられています。




  1. References:
  2.  
  3. Andrea Cau & Federico Fanti (2015) 
  4. High evolutionary rates and the origin of the Rosso Ammonitico Veronese Formation (Middle-Upper Jurassic of Italy) reptiles. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2015.1073726
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 珍しい白亜紀後期早期の新種ハドロサウルス類/中国(2013年10月)で、 Yunganglong datongensis (ユンガンロン・ダトンゲンシス)を紹介していますが、これを含めても、白亜紀中頃(セノマニアン)のハドロサウロイデア(上科)は、今まで3種しか見つかっていません。 
  
 ハドロサウロイデアは、アジアから北米へ分散していったとされていますが、そのうち2種、エオランビア(Eolambia)とプロトハドロス(Protohadros)は北米からです。

 今回、山西省にある白亜紀後期早期の地層(Zhumapu Formation)で発見された基盤的なハドロサウロイデアが新種記載されています。

 ユンガンロンについで、山西省のこの地層からは2種目のハドロサウロイデアで、Zuoyunlong huangi (ズオユンロン・フアンギ)と命名されています。

 系統的には、最も基盤的な白亜紀後期のハドロサウロイデアとされ、モンゴル産の白亜紀前期晩期のプロバクトサウルスと姉妹群の位置づけです。

 今回の発見から、ハドロサウロイデアがアジアから北米へと、最初に分散したのは、白亜紀の初期と後期の境界あたり、つまり白亜紀中頃だったと考えられています。 

 
 見つかっているのは部分的な右腸骨と坐骨で、腸骨中央板の50%しかない非常に短い寛骨臼後方突起が特徴です。



  1. References:
  2.  
  3. Run-Fu Wang, Hai-Lu You, Suo-Zhu Wang, Shi-Chao Xu, Jian Yi, Li-Juan Xie, Lei Jia & Hai Xing (2015) 
  4. A second hadrosauroid dinosaur from the early Late Cretaceous of Zuoyun, Shanxi Province, China. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2015.1118688
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ネウケンサウルスに2種の形態

 1893年、英国の地質学者で博物学者のリチャード・ライデッカー(Richard Lydekker)は、南米大陸初となる恐竜を命名します。

 アルゼンチン産のティタノサウリア、"Titanosaurus" australis と "Titanosaurus" nanus、Argyrosaurus superbus(アルギロサウルス・スーパーバス)です。

 "Titanosaurus" australis は、その後、Neuquensaurus australis (ネウケンサウルス・オーストラリス)とされ、また、 "Titanosaurus" australis  は疑問名となっています。

 比較的小型のティタノサウリアであるネウケンサウルス属には、その後、1929年に、N. robustus が記載されるのですが、 そ の有効性については疑問が持たれています。

 なお、ネウケンサウルスの特徴(2010年5月)では、最も派生的で小型で竜脚類の進化の最終段階にある、と紹介しています。
 
 今回、この属の椎骨の形態学的変化を研究した論文が報告されています。


 その結果、N. australis の後部頸椎に解剖学的特徴を見出し、別のタクソンが存在することを示唆しています。

 ただし、今回の結果からは、N. robustus が有効種かどうかは判断できないのですが、ネウケンサウルスには、少なくとも2つの異なる異なる形態型があるとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Morphological diversity of Neuquensaurus Powell, 1992 (Sauropoda; Titanosauria): insights from geometric morphometrics applied to the vertebral centrum shape. 
  4. Historical Biology (advance online publication) 
  5. DOI:10.1080/08912963.2015.1079630act
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