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 魚竜の系統関係(2015年7月)で紹介してますが、三畳紀前期に出現した魚竜は、白亜紀後期(セノマニアン末、約9300万年前)には絶滅してしまいます。 鳥類以外の恐竜が絶滅する前ですね。

 絶滅の原因については、魚類との競争やエサの減少といった小さなイベントの影響による、魚竜の多様性の減少が原因とされていました。

 今回、白亜紀初期全体を通して、魚竜の多様性は高く、その絶滅原因は、地球規模での環境変化といった大きなイベントによるとする論文が報告されています。 Nature Asiaが紹介しています。 

 また、セノマニアン初期の衰退により多様性が低下し、これがセノマニアン末の絶滅につながったとされています。つまり、魚竜の絶滅は、2段階だったとされています。


 魚竜の絶滅については2つの仮説がありました。ひとつは、動きの速い魚類との競合です。  

 2つ目は、エサとなるベレムナイトなどの頭足類の減少です。最後の魚竜は、このエサのみに依存していると考えられていました。  


 2つの仮説に共通するのは、魚竜の多様性の乏しさですが、これは、魚竜化石記録の最近の知見に反するようです。  

 今回の研究は、系統発生学的方法により、魚竜の多様性の変化を推定し、当時の環境データと関連づけたもの。  

 その結果、白亜紀前期を通じて魚竜の多様性は高く、絶滅が近くなると、進化速度の低下という特徴があったとされています。  

 そして、その絶滅原因は、おそらく地球環境の変化によって引き起こされた、はるかに大きなイベントの一部と考えられています。    

 他の海生爬虫類や魚類との競争に敗れたわけではないようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Valentin Fischer, Nathalie Bardet, Roger B. J. Benson, Maxim S. Arkhangelsky & Matt Friedman (2016) 
  4. Extinction of fish-shaped marine reptiles associated with reduced evolutionary rates and global environmental volatility.
  5. Nature Communications 7, Article number: 10825 
  6. doi:10.1038/ncomms10825
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 猛暑だと熱中症が増えたりしますが、一般に、内温性動物では、代謝で体温を上げることは容易でも、下げる能力は劣るのです。

 体温を気温より下げることは難しいため、体温を維持するためには、体温は気温より高めに設定しておく必要があります。
 
 なかでも鳥類の体温は36-43℃と哺乳類より高めです。これは、空を飛ぶ大きなエネルギーを得るため、普段から代謝を高めているのだそうです。

 つまり、体温から、内温性か外温性か、またはその中間段階なのか、その動物の代謝形態がある程度わかったりするのです。

 では、鳥類の祖先にあたる羽毛恐竜の体温はどれくらいだったのでしょうか。

 今回、オヴィラプトロサウリダエ(オヴィラプトル科) など、白亜紀後期の2種類の恐竜の卵殻化石から、メスの排卵期の体温を推定した論文が報告されています。

 卵殻は、体内深部にある卵管下部で産生されるため、中核の体温を反映しており、獣脚類の直接的な体温測定は初めてとされています。

 その結果、オヴィラプトロサウリダエの体温は意外と低く、現生鳥類に見られるような内温性はなかったとされています。

 一方、Basoendothermy(基底内温性)や中温性(mesothermy) といった、内温機能が備わった中間型の形態だった可能性が示唆されています。

 常に豊富なエサを必要とする現生鳥類型の内温性は、環境によっては必ずしも優れたシステムではなく、高めの体温を維持する内温性は、飛行に関与した系統のみで進化したのかもしれませんね。


 図は、体重(X軸)と体温(Y実)の関係(Robert A et al., 2015)。 ピンクは現生鳥類で、赤は現生哺乳類、緑は外温性動物(当然、体温には幅があります)。

 ■で示されたのが、今回の測定結果です。オヴィラプトロサウリダエ(赤の■)は、外温性動物の位置ですね。


body_temp.jpg

 恐竜が内温性 (温血)か外温性 (冷血)か、は古くからのテーマです。もちろん、興味があるのは温度ではなくて、その行動や生態です。  

 より進化した鳥類が内温性であることから、どのあたりで進化したのかは気になるところです。  

 最近では、内温性と外温性と2分するのではなく、その中間の形態も提唱されてきています。 中間とはいっても、自らの代謝で熱を発生させる内温機能は備わっていたのです。

 例えば、Basoendothermy は、体温が35℃未満の内温性として定義され、中温性は代謝で体温を上げるのですが、内温性のように明確な体温は設定されていない形態です。 

 中温性については、恐竜は中間的な成長速度/内温性と外温性を併用か(2014年6月)で紹介しています。    
 
 今回の論文は、恐竜と現生鳥類や爬虫類の卵殻に含まれる炭酸カルシウムの炭素同位体(C13)と酸素同位体(O18)比率から推定したもの。  

 低い温度だと重い同位体は凝集しやすく、高い温度だとランダムになり、凝集の比率から温度がわかるのです。      

 その結果、図に示したように、アルゼンチンにある約8000万年前のティタノサウリダエ(科)の体温は、37.6±1.9℃と推定されています。 

 これは、大型の内温性動物と同程度です。ただ、これは、巨大さゆえの慣性恒温性(Gigantothermy)を反映している可能性もあります。  

 竜脚類の体温は人間並み(2011年6月)で、歯のエナメル質の同位体比から推定した体温、36-38℃に似てますね。 図では▲で示されています。 

 一方、モンゴルにある7500-7100万年前のオヴィラプトロサウリダエの体温は、31.9±2.9℃と推定されています。  

 この体温で内温性だとすると、30℃を超えるような季節は、体温を下げるほうが大変です。  

 よって、現生鳥類のような体温制御機構はなかったとされていますが、周囲の環境の温度は、26.3℃とされ、卵殻のほうが高いことから、ある程度の体温調節はできたとされています。  

 ただし、鳥類ほどではないにしろ、その中間的な、自分の代謝で体温を上げることができた内温性だったのか、日光浴なので調節できた外温性なのかは不明です。  

 今回調べた2種が内温性又は外温性とする強力な証拠はないとされています。  

 非鳥類型恐竜に、ある程度の体温調整機能はあるものの、全てが現生鳥類のような高めの体温(36-43℃)だったわけではないと考えられています。  




  1. References:
  2.  
  3. Robert A. Eagle, Marcus Enriquez, Gerald Grellet-Tinner, Alberto Pérez-Huerta, David Hu, Thomas Tütken, Shaena Montanari, Sean J. Loyd, Pedro Ramirez, Aradhna K. Tripati, Matthew J. Kohn, Thure E. Cerling, Luis M. Chiappe & John M. Eiler (2015) 
  4. Isotopic ordering in eggshells reflects body temperatures and suggests differing thermophysiology in two Cretaceous dinosaurs.
  5.   Nature Communications 6, Article number: 8296 doi: 10.1038/ncomms9296
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 カメの起源や初期進化については、色々議論されてきました。

 2013年に理化学研究所は、ゲノム解読から、約2億5000万年前の大量絶滅期(P-T境界)に、ワニや恐竜などのグループから分岐し、独自に進化したと報告しています。

 今回、 約2億4000万年前と、ゲノム解析の年代に近いカメの祖先(stem-turtle)とされる化石が発見されています。恐竜が誕生した頃ですね。  

 ドイツにある三畳紀中期の地層で発見されたもので、新種記載され、Pappochelys rosinae(パッポケリス・ロシナエ)と命名されています。

 全長は20センチほどですが、尾が半分ほどを占めています。

 背中と腹には甲羅はなく、腹側の甲羅(腹甲)の代わりに、ガストラリア(gastralia、腹肋骨)を持っています。どうやら、腹甲は、ガストラリアに由来するようです。


 図は、パッポケリス近辺の系統図(Rainer R. Schoch et al., 2015 、一部追加)。パッポケリスはPantestudines (総カメ類)の基盤的な位置づけです。

 緑色で示したように、現生のカメを含む Testudines (カメ類)以外の原始的なグループは、stem-turtle (基部カメ類)と呼ばれています。もちろん、側系統であり、クレードではありません。 


Pantestudines-2.jpg




 パッポケリスの頭部の眼窩後方には2つの側頭窓があり、カメが、恐竜などと同じく、双弓類であるとされています。  

 構造的にも、時系列的にも、図に示したエウノトサウルス(Eunotosaurus africanus)とオドントケリス(Odontochelys semitestacea)の中間体とされています。  

 エウノトサウルスは、南アフリカにある約2億6000万年前のペルム紀の地層で発見された爬虫類で、甲羅はありません。  

 一方、オドントケリスは、中国にある約2億2000万年前の地層で発見され、腹側に甲羅(腹甲)がありますが、背側の甲羅(背甲)は不完全です。肋骨と脊椎が広がっています。  

 肢帯の機能については、かなりオドントケリスに類似している一方、オドントケリスとは異なり、腹甲の代わりに、強固な対になったガストラリアを持っています。  

 このことから、腹甲の一部は、ガストラリアが連続して癒合し形成された証拠だとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Rainer R. Schoch & Hans-Dieter Sues (2015) 
  4. A Middle Triassic stem-turtle and the evolution of the turtle body plan. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature14472
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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