PeerJの最新ニュース

 テリジノサウリアは獣脚類ながら植物食とされ、独特のボディプランを持った恐竜です。
 
 そのため、特に下顎や歯列は独特ですが、決定的なテリジノサウリダエの頭部標本は極めて珍しいとされています。

 今回、ゴビ砂漠にある白亜紀後期の地層(Bayanshiree Formation)で発見された大型のテリジノサウリダエ、Segnosaurus galbinensisの保存状態の良い下顎骨の一部(hemimandible)と歯列について報告されています。

 舌方向に折りたたまれた近心側のカリナ(carina、鋸歯の連なりからなる列)や三角形のファセット (咬合小面、歯のかみ合わせによる歯の磨耗部分) など、植物を採る戦略としてかなり専用化していたとされています。

 これらは、植物を細断する高い口腔内処理能力があったことを示し、時々または常になのか、植物食であったという仮説に新たなデータを追加するとしています。 

 今回の知見は、食餌スタイルとは定量的に相関してはいないのですが、複雑な歯列は、同じ地層で初見されたシンプルな歯列のErlikosaurus andrewsiとは異なっています。  

 このことから、白亜紀後期、アジアのテリジノサウリダエは、異なる植物食べたなど、種間でニッチ分割をしていたようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Lindsay E. Zanno, Khishigjav Tsogtbaatar, Tsogtbaatar Chinzorig &Terry A. Gates (2016) 
  4. Specializations of the mandibular anatomy and dentition of Segnosaurus galbinensis (Theropoda: Therizinosauria). 
  5. PeerJ 4:e1885 
  6. doi: https: // doi.org/10.7717/peerj.1885
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 アパラチア初のハドロサウリダエ(2016年1月)で紹介したEotrachodon orientalis(エオトラコドン・オリエンタリス)の解剖学的特徴について、報告されています。

 白亜紀後期、サントニアンの地層からの発見で、カンパニアンより前の、ランベオサウリネ(サンベオサウルス亜科)ではないハドロサウリダエで、北米大陸東部、アパラチアからは最も完全なハドロサウロイデア(上科)とされています。

 アパラチアからの、他の唯一のハドロサウリダエであるHadrosaurus foulkiiとは、副稜線(accessory ridge)を欠く歯骨歯と、坐骨の背側に湾曲したシャフトが異なるとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Albert Prieto-Márquez, Gregory M. Erickson & Jun A. Ebersole (2016) 
  4. Anatomy and osteohistology of the basal hadrosaurid dinosaur Eotrachodon from the uppermost Santonian (Cretaceous) of southern Appalachia. 
  5. PeerJ 4:e1872 
  6. doi: https: // doi.org/10.7717/peerj.1872
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 新しいカルカロドントサウルス類/モロッコ(2011年7月)で紹介していますが、白亜紀中頃のアフリカ大陸には、4種もの大型獣脚類が共存していたとされています。

 2種のカルカロドントサウリダエ(科)とデルタドロメウス、スピノサウルスで、これは、「ストローマーの謎(Stromer's riddle)」として知られています。

 今回、同じく、モロッコにある白亜紀後期(セノマニアン)の地層(ケムケム層)で発見された獣脚類の大腿骨について報告されています。

 アベリサウリダエとされていますが、カルカロドントサウルスやデルタドロメウス、スピノサウルスとは異なるとされていますから、さらに別の大型獣脚類がいたことになります。

 ただし、今回のケムケム層での大型獣脚類の共存は、他の白亜紀中頃との比較から、ストローマーの謎として知られる共存ではなくて、層序的な解明が不十分なことによる、人為的な結果とされています。


 今回のアベリサウリダエ の推定全長は9メートル、体重は2トンとされています。アベリサウリダエは、白亜紀中頃にかけて大型化し、他の大型獣脚類と共存していたのです。  

 アベリサウリダエとカルカロドントサウリダエにみられる頭部の収斂進化的特徴から、それらのクレードでは、似たような生態的適応があったとされています。  

 ケムケム層は層序的な問題としても、それ以外でのアフリカや南米で、少なくとも3000万年も競合するグループがどのように共存していたのか、そのあたりは依然として謎のままです。  



  1. References:
  2.  
  3. Alfio Alessandro Chiarenza & Andrea Cau (2016) 
  4. A large abelisaurid (Dinosauria, Theropoda) from Morocco and comments on the Cenomanian theropods from North Africa. 
  5. PeerJ 4:e1754
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 基盤的竜脚形類、Melanorosaurus thabanensis (メラノロサウルス・タバネンシス)について再記載されています。

 その結果、メラノロサウルスではなく、新たに、Meroktenos(メロクテノス)属が提唱され、Meroktenos thabanensisとされています。

 メロクテノスは2足歩行と考えられていますが、その大腿骨の断面は偏心しており、これは、後に、大型竜脚類としてが獲得する特徴です。

 つまり、竜脚類として重量が増える前から、重力移動(graviportalism)と4足歩行へのカギとなる適応が見られるわけです。

 この「竜脚類様」大腿骨は、三畳紀としては初めてで、メロクテノスはこの特徴を持つ初めての基盤的竜脚形類のひとつとされています。

 南アフリカの近く、レソト王国にあるエリオット層(Elliot Formation)で発見されたのですが、層序位置が見直され、下部エリオット層からであり、ジュラ紀初期ではなくて、三畳紀後期とされています。  

 ホロタイプの大腿骨は、そのサイズから、幼体のものではないかとされています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Claire Peyre de Fabrègues &, Ronan Allain (2016) 
  4. New material and revision of Melanorosaurus thabanensis, a basal sauropodomorph from the Upper Triassic of Lesotho. 
  5. PeerJ 4:e1639
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デジタルプレパレーション

 今年最初のニュースは、南アフリカのジュラ紀前期の地層(Elliot Formation)で発見されている鳥脚類、レソトサウルス(Lesothosaurus diagnosticus)について。

 いくつかの頭部が見つかっていますが、いずれも不完全で変形しているか、プレパレーションが完全ではないとされています。 

 今回、頭部をCTスキャンして、3Dで再現して解析した論文が報告されています。

 タイトルでは、デジタルプレパレーションと表現されていますが、それぞれの骨を単離して解析しています。骨格の3D情報が、 論文データとなる日もやってきそうですね。  


 その結果、縫合形態や内部構造など、以前に未記載のいくつかの特徴が明らかになったとされています。  

 また、いままで、レソトサウルスの一種(Lesothosaurus sp.)とされていた2つの標本は、Lesothosaurus diagnosticus ではないかとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Laura B. Porro, Lawrence M. Witmer & Paul M. Barrett (2015) 
  4. Digital preparation and osteology of the skull of Lesothosaurus diagnosticus (Ornithischia: Dinosauria). 
  5. PeerJ 3:e1494 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1494D
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 テスケロサウルスの頭部構造/"ヒプシロフェドンティダエ"は側系統(2014年11月)では、ヒプシロフェドンティダエは側系統の可能性があると紹介しましたが、従来の"基盤的な鳥脚類"や"ヒプシロフォドンティダエ"の関係は、あいまいなままでした。

 今回、このあたり、鳥盤類の系統関係について解析した論文が報告されています。

 それぞれの系統の末端タクサにあたる65のタクサの255の特徴という最大のデータセットを使用して解析したもの。

 その結果、恐竜の起源が南米であり、鳥盤類の初期の多様化がゴンドワナで起こったことを支持するとされています。

 また、かつて、ヒプシロフォドンティダエとされたほとんどのタクサは、パルクソサウリダエに含まれ、ヒプシロフォドンティダエは、ヒプシロフォドン(Hypsilophodon foxii ) のみです。

 図は、系統関係に地質年代を当てはめたもの(Clint A. Boyd, 2015)。 2つに分けて、一部を紹介しています。

 黒線が、化石記録のないゴースト系統です。白いボックスは、各端末のタクサの出現期間です。推測であって、必ずしも化石が見つかっているわけではありません。

 ノードの番号は、以下のクレード(又はサブクレード)を示しています。

  1.  
  2. 1, Ornithischia (鳥盤類) 
  3. 2, Heterodontosauridae 
  4. 3, Genasauria 
  5. 4, Thyreophora (装盾類) 
  6. 5, Neornithischia (新鳥盤類) 
  7. 6, Parksosauridae (パルクソサウリダエ) 
  8. 7, Orodrominae 
  9. 8, Thescelosaurinae 
  10. 9, Elasmaria 
  11. 10, Cerapoda (角脚類) 
  12. 11, Marginocephalia (周飾頭類) 
  13. 12, Ornithopoda (鳥脚類) 
  14. 13, Hypsilophodontidae (ヒプシロフォドンティダエ) 
  15. 14, Iguanodontia (イグアノドンティア) 
  16. 15, unnamed Gondwanan clade 
  17. 16, Dryomorpha 
  18. 17, Dryosauridae 
  19. 18, Ankylopollexia.


Time-calibrated phylogeny of Ornithischia.jpg

  
Time-calibrated phylogeny of Ornithischia-2.jpg


 図に示すように、新鳥盤類(Neornithischia)は、パルクソサウリダエ (Parksosauridae、科)と角脚類(Cerapoda)に分岐しています。 パルクソサウリダエ歯、2002年に定義されたクレードですが、再定義されています。  

 角脚類は、周飾頭類(Marginocephalia)と鳥脚類(Ornithopoda)に分岐し、鳥脚類は、ヒプシロフォドンティダエ(Hypsilophodontidae)とイグアノドンティアに分岐します。  

 ヒプシロフェドンティダエは、クレード名として残っています。ただ、かつて、ヒプシロフォドンティダエとされたほとんどのタクサは、パルクソサウリダエに含まれ、鳥脚類ではありません。  

 イグアノドンティアに含まれない鳥脚類(基盤的鳥脚類)のヒプシロフォドンティダエは、ヒプシロフォドンのみです。  

 ここ最近の15年の発見で、パルクソサウリダエの多様性が大きく増加した一方で、角脚類 から分岐した基盤的な位置には、4000万年ほどの化石が見つかっていないゴースト系統があります。  

 これは、この系統の初期の仲間がまだまだ見つかっていないことを示すとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Clint A. Boyd (2015) 
  4. The systematic relationships and biogeographic history of ornithischian dinosaurs. 
  5. PeerJ 3:e1523 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1523
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 アウストラロヴェナトル(Australovenator wintonensis )は、オーストラリアで発見された最も完全な獣脚類化石です。

 白亜紀前期(セノマニアン、約9500万年前)のウィントン層(Winton Formation)で発見された中型のメガラプトリダエ(メガラプトル科)で、アウストラロヴェナトルの新しい標本(2012年7月)でも紹介しています。

 今回、ホロタイプ標本で新たに発見された右歯骨について報告されています。ほぼ完全で、目に見える歯は15本あるそうです。

 2009年に記載されながら、ホロタイプ標本で発見というのは奇妙ですが、ホロタイプは、まだクリーニング途中のようです。そのため、論文では、系統的な解析もなされていません。


 図は、CTスキャンデータを元にした右歯骨の内部構造(Matt A. White, wt al., 2015)。

 水色は、次の歯である歯芽(germ tooth 、図のGT)です。 控えの歯は1本しかないようですね。

 また、紫の部分(LRP)は、舌面吸収窩(lingual resorption pit)で、骨吸収で生じるくぼみです。


Australovenator.jpg

 また、ホロタイプが発見された場所や同じ地層で見つかっている獣脚類の遊離歯についても考察しています。  

 アウストラロヴェナトルと他の遊離歯は、すべての他の獣脚類の歯とは異なるとされています。  

 これらの歯の解析から、ほぼ同時期の他のゴンドワナとは対照的に、ウィントン層では、メガラプトリダエは支配的な捕食者だった示唆しています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Matt A. White, Phil R. Bell, Alex G. Cook, Stephen F. Poropat & David A. Elliott (2015) 
  4. The dentary of Australovenator wintonensis (Theropoda, Megaraptoridae); implications for megaraptorid dentition. 
  5. PeerJ 3:e1512 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1512
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 5m超では3種めの大型ドロマエオ、ダコタラプトル(2015年11月)で、、ユタ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)のヘル・クリーク層から発見されたドロマエオサウリダエ(科)、Dakotaraptor steini (ダコタラプトル・ステイニ)を紹介しました。
 
 今回、ダコタサウルスのホロタイプは、異なった種が混ざったキメラとする論文が報告されています。

 なお、PrePrints(レビュー前の原稿)で、修正の可能性もあります。

 記載論文で叉骨とされた標本は、ホロタイプも含め3つあるのですが、それらは、スツポン科(trionychidae)のカメの内腹甲(entoplastron、腹側の甲羅)骨というのです。

 こういう間違いは過去にもあって、例えば、ズニケラトプスの 鱗状骨、実は、ノスロニクスの坐骨だったという話(Wikipedia)もあります。
 



  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour, Lindsay E. Zanno, Derek W. Larson, David C. Evans & Hans-Dieter Sues (2015) 
  4. The furculae of the dromaeosaurid dinosaur Dakotaraptor steini are trionychid turtle entoplastra. 
  5. PeerJ PrePrints 3:e1957 
  6. doi: https://doi.org/10.7287/peerj.preprints.1570v1
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 ミンミ(Minmi paravertebra)は、オーストラリアで発見された唯一のアンキロサウリアでした。 

 しかし、アンキロサウリダエのレビュー(2015年7月)で紹介したように、今では、疑問名とされています。

 今回、"Minmi" sp. (ミンミ属の一種)とされていた標本が、新たに、Kunbarrasaurus ieversi (クンバラサウルス・イエベルシ)として新種記載されています。

 ミンミの代わりに、オーストラリア唯一のアンキロサウリアになるようです。

 なお、今回の論文の受取日は、疑問名とする論文が公開される前なので、ミンミは有効名として扱われています。

 リッチモンド近くのマラソンで発見された標本(マラソン標本、QM F18101)で、頭部の約90%が残り、かなり保存状態のいい標本です。
 最近のプレパレーションにより、頭部の、口蓋と鼻孔領域の詳細が明らかになったもの。 

 原始的な特徴と派生的な特徴を合わせ持つ新種とされています。

 クンバラサウルスの頭部より後ろも、ミンミと異なるとされていますが、基盤的なアンキロサウリアという系統的な位置づけも含めて研究中であり、別途報告される予定です。

 図は、クンバラサウルスの頭部(左側面)です(Lucy G. Leahey et al., 2015 )。 rham は、 角鞘(クチバシをおおう角質のさや、rhamphotheca)があったところですが、奥には歯がびっしりあります。


Kunbarrasaurus ieversi.jpg

 ミンミは、クイーンズランドにある白亜紀後期の地層から7つの標本が知られ、その内、ホロタイプ (QM F10329) とマラソン標本の2つが報告されていました。  

 マラソン標本は、世界でも最も完全なアンキロサウリア骨格のひとつで、ゴンドワナ東部からの、ベストな保存状態の恐竜化石とされています。  

 クンバラサウルスの気道は、アンキロサウリアではない恐竜よりは複雑ですが、派生したアンキロサウリアほど複雑ではないとされています。  

 また、脳函もユニークで、どの恐竜でも知られていないほど、内耳は非常に大きく、内側と腹側の骨化がないため、大きく広がった形態とされています。ただし、その機能などは不明のようです。




  1. References:
  2.  
  3. Lucy G. Leahey, Ralph E. Molnar, Kenneth Carpenter, Lawrence M. Witmer & Steven W. Salisbury (2015) 
  4. Cranial osteology of the ankylosaurian dinosaur formerly known as Minmi sp. (Ornithischia: Thyreophora) from the Lower Cretaceous Allaru Mudstone of Richmond, Queensland, Australia. 
  5. PeerJ 3:e1475 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1475
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 ウタツサウルス(Utatsusaurus hataii )といえば、三畳紀前期の、最初期のイクチオプテリギア(Ichthyopterygia、原魚竜)の一種です。まだ、魚竜とはなっていない仲間ですね。

 カナダからもウタツサウルス(2014年2月)で紹介しているように、ブリティッシュコロンビアで発見されています。

 今回、ネバダ州から、形態的によく似たウタツサウルス類似種( cf. Utatsusaurus)が報告されています。

 Prida Formationで発見された三畳紀前期のイクチオプテリギアの化石群集で見つかったもの。

 断片的で同一種とは断定できないようですが、ウタツサウルスと共有する特徴があるとされています。また、小さくて丸い後方歯がグリッピアに似た標本も見つかっています。

 今回の発見から、三畳紀初期のイクチオプテリギアが、パンタラッサの東縁に沿って南緯度の方へと勢力を拡大し、繰り返し海洋周囲へ分散していたとしています。

 



  1. References:
  2.  
  3. Neil P. Kelley, Ryosuke Motani, Patrick Embree & Michael J. Orchard (2015) 
  4. A new Lower Triassic ichthyopterygian assemblage from Fossil Hill, Nevada. 
  5. PeerJ PrePrints 3:e1803 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7287/peerj.preprints.1447v1
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 ティタノサウリアといえば、南極をのぞく世界中に分布していたわけですが、沿岸部よりは、内陸部を好み、その巣はかなり特殊で、営巣地も限定されていたとされています。

 今回、世界各地の、白亜紀のティタノサウリアの営巣地の地質環境や卵殻構造などをレビューした論文が報告されています。
 そもそも巣とは何か、そのあたりも定義されています。

 調べた結果、ティタノサウリアのさまざまな種が、現生鳥類のツカツクリに似た、卵を土などの中に埋め、地熱などの環境熱源を利用する繁殖戦略を進化させたことが示唆されています。

 ティタノサウリアは、たいていの恐竜のように、直接抱卵(contact incubation)はしなかったのですね。

 このあたり、熱で卵を温めた竜脚類(2010年10月)で紹介した、ある種の竜脚類が、熱水環境で継続的に営巣したとする最初の報告と同じですね。

 ここでも、オーストラリアなどに棲むツカツクリに類似しているとされていました。

 今回の報告も、その卵殻構造や透過性、堆積物などを考慮すると、巣の湿度は高く、土や植物さまざまなものの中に埋めたり、塚を構築しての営巣行動だったとされています。

 図は、異なる営巣環境を示したもの(E. Martín Hechenleitner rt al., 2015)。Aでは卵は土の中に埋められ、Bでは、小高い塚の中です。

 地熱や熱水環境を利用した例は、アルゼンチンと韓国の2箇所で確認されています。

 一方、塚の中に埋めるマウントネスティング(Mound-nesting)については、十分な化石証拠が見つかっているわけではありませんが、可能性が高いとされています。


Titanosaur nesting.jpg



  1. References:
  2.  
  3. E. Martín Hechenleitner, Gerald Grellet-Tinner & Lucas E. Fiorelli (2015) 
  4. What do giant titanosaur dinosaurs and modern Australasian megapodes have in common? 
  5. PeerJ 3:e1341 doi: 
  6. https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1341

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 最近は新発見もありますが、アフリカの白亜紀の恐竜の化石記録は、まだかなり貧弱です。

 獣脚類では、主に北アフリカの白亜紀中頃(アピチアン-セノマニアン)の地層から知られています。

 今回、そのひとつ、モロッコにある白亜紀後期早期(セノマニアン)の地層で発見され、1996年に記載された獣脚類、シギルマッササウルス(Sigilmassasaurus brevicollis)の系統的位置などについて、再評価されています。

 Bite Stuff で紹介していますが、頚椎が気になるようですね。

 論文は、頚椎などの新たな標本に基づいたもの。ただし、化石ディーラーから購入したため、ケムケム単層(Kem Kem Beds)は確かですが、発見場所や標本の関連性などは不明です。

 この恐竜、モロッコ産、 Sigilmassasaurus brevicollis 再記載(2013年5月)では、カルカロドントサウリダエではなくて、テタヌラエ(テタヌラ類)に含まれるとしていました。

 特に、スピノサウリダエ(スピノサウルス科)に近縁とされ、同じ層序から見つかり、シギルマッササウルスと同じ文献で記載されたスピノサウルス・マロッカヌス(Spinosaurus maroccanus ) の主観的シノニム(異名)ではないかという説もあります。

 今回の論文では、シギルマッササウルスは、有効なタクソンで、系統的には、スピノサウリダエとされています。

 モロッコのケムケム単層には、スピノサウルス・マロッカヌスとあわせ、少なくとも2種のスピのサウリダエがいたことになります。

 図は、今回示された系統関係(Serjoscha W. Evers et al., 2015)。枠で囲んだ部分がスピノサウリダエです。

 シギルマッササウルスは、テタヌラエのスピノサウリダエの中で、スピノサウルスなどともに多分岐となっています。



Sigilmassasaurus.jpg


 新たに報告された椎骨は、シギルマッササウルスとスピノサウルス・マロッカヌスの間の中間の特徴を示しており、シギルマッササウルスは、有効なタクソンとされています。  

 スピノサウルス・アエジプティアクスSpinosaurus aegyptiacusのシノニムでもないわけです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Serjoscha W. Evers, Oliver W.M. Rauhut, Angela C. Milner, Bradley McFeeters & Ronan Allain (2015) 
  4. A reappraisal of the morphology and systematic position of the theropod dinosaur Sigilmassasaurus from the "middle" Cretaceous of Morocco. 
  5. PeerJ 3:e1323 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1323
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 ディプロドクスの頚椎は15で、ジラファティタンは13などと、軽率に言ってはいけない。よく知られた竜脚類でさえ、正確な頚椎の数は知られていないのだ・・・。

 ほとんどの竜脚類の頚椎は不完全で、しかも、その形状は変形しているとする論文を、ブリストル大のテイラー(Michael P. Taylor)が報告しています。

 オープンアクセスで、いくつかの竜脚類について具体的に説明しています。

 完全な恐竜化石が見つかること自体、珍しいのですが、特に、竜脚類の首に関しては、完全な化石が見つかるのは極めて稀なのですね。

 例えば、ディプロドクス (Diplodocus carnegii)の頚椎の数はおそらく15ですが、完全な化石が見つかっているわけではなく、未発見があるとすれば増え、11番目の頚椎が間違っていれば少なくなるとされています。 

  図は、Diplodocus carnegii のホロタイプ(CM 84、Michael P. Taylor, 2015)。頚椎は15 として示されています。


Diplodocus carnegii.jpg


 また、ジラファティタン(Giraffatitan brancai)の頚椎の数はおそらく13で、増減の可能性も示唆されています。

 今のところ、全ての頚椎が見つかっている竜脚類は、以下のわずか5属、6種にすぎません。ということは、その他の属の竜脚類の復元は、似たような仲間からの類推なんですね。

 また、数がそろっていても、それぞれの頚椎は不完全なものも多く、形状が完全に残されているわけではありません。


  1.  
  2. Apatosaurus louisae :最後の3つの頚椎は不完全 
  3. Camarasaurus lentus (CM 11338):幼体 
  4. Mamenchisaurus hochuanensis (CCG V 20401):中央付近の頚椎は半分ほどと不完全
  5. Mamenchisaurus youngi :脊椎は18 
  6. Shunosaurus lii (IVPP V.9065 他):複数の標本有 
  7. Spinophorosaurus nigerensis :首は完全


 竜脚類の首が不完全な理由として、2つ示されています。  

 ひとつは、化石としての保存が不完全なこと。巨大サイズが故に、全てが素早く土砂におおわれたりして化石化することは稀なのです。  

 例えば竜脚類で最大長の首は、スーパーサウルスの推定15メートルですが、長さ1.4メートルの頚椎がひとつ見つかっているだけです。  

 もうひとつは、含気性構造のため、軽くてゆがみやすいというのがその理由です。同じ頚椎ながら、縦横比などが異なる化石が紹介されています。  

不完全で壊れた化石に基いているので、 竜脚類の首の姿勢や柔軟性についての仮説は、もっと軽く考えていいとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Michael P. Taylor (2015) Almost all known sauropod necks are incomplete and distorted. 
  4. PeerJ PrePrints 3:e1767
  5. https://dx.doi.org/10.7287/peerj.preprints.1418v1
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 2足歩行に、短い前肢、足には2つのカギヅメ、そして長い尾・・・、これだけを見ると、だれもこれが鳥類(アヴィアラエ、Avialae)とは思わないでしょうね。

 図は、バラウル・ボンドック(Balaur bondoc)の復元骨格図(Andrea Cau et al., 2015)です。白い部分が発見されている骨格です。

 今まで、ドロマエオサウリダエとされていた小型の獣脚類ですが、派生した鳥類のような特徴が見られることから、再解析した論文が報告されています。

 その結果、バラウルは、アヴィアラエの位置づけが最適とされています。 いわゆる鳥類ですね。

 始祖鳥よりは現生鳥類に近く、ピゴスティリア(Pygostylia)に近縁ですが、その外群です。二次的に飛ばなくなったタクソンとして、尾の長い鳥類の多系統の集合体とされています。  


 また、今回の結果から、ドロマエオサウリダエに似たタクソンは、二次的に飛べなくなった仲間ではないかと考えられています。 

  こういう考えは、1988年にグレゴリー・ポールが提唱したのですが、最近の系統解析では何度か否定されてきた経緯があります。

 今回、再度、提唱されているわけですが、鳥類に進化する途中のタクソンと、逆戻りするようなタクソンが混在するとややこしいですね。  




Balaur bondoc.jpg
 バラウルといえば、特異なドロマエオ/ルーマニアのBalaur(2013年2月)で紹介していますが、非常によく保存され、白亜紀後期のヨーロッパからの最も完全な獣脚類化石とされています。

 しかし、頭部や尾など、意外と見つかっていない部分が多いですね。 白亜紀後期のヨーロッパは、この程度なのでしょうか。

 当時のヨーロッパは、多島海であり、飛ぶ必要がなくなったのか、図のように短くなった前肢は、中生代鳥類が島環境に適応した最も説得力のある証拠のひとつとされています。  


 ドロマエオサウリダエとする位置づけは、最適以下の選択肢とはなったのですが、拒否はされなかったようです。    

 ドロマエオサウリダエと解釈すると、純肉食性(hypercarnivorous、70%以上が肉食)の捕食者で、当時の島固有種という影響を受けて特殊な形態として存在したとされています。  

 しかし、ドロマエオサウリダエ様の生態とするには、第3機能指の消失、ドロマエオサウリダエとは異なる蝶番タイプではない第2、第3中足骨の遠位端など、バラウルのいくつかの形態と矛盾するとしています。  

 逆に、その形態からは雑食性の生態が考えられ、アヴィアラエとする系統学的配置と一致するというわけです。  

 今回の再解釈から、表面的に、ドロマエオサウリダエ様のタクソンは、小型でおそらく飛行できた祖先から進化し、大型化し陸上を歩いた子孫ではないかとしています。


  1. References:
  2.  
  3. Andrea Cau, Tom Brougham & Darren Naish (2015) 
  4. The phylogenetic affinities of the bizarre Late Cretaceous Romanian theropod Balaur bondoc (Dinosauria, Maniraptora): dromaeosaurid or flightless bird? 
  5. PeerJ 3:e1032 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1032
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2016年5月

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