PLoS ONEの最新ニュース

 先週末のユタに続いて、モンタナにある白亜紀後期(カンパニアン)の地層(Judith River Formation)で発見されたケラトプシアが記載されています。
 
 眼窩の上にあるツノが、横方向に伸びているのが特徴的です。

 学名は、Spiclypeus shipporum(スピクリペウス・シッポルム)で、属名の意味は、「突起のある盾」。頭頂鱗状部のフリルの端にスパイク状の突起があることから。

 系統的には、カスモサウリネ(カスモサウルス亜科)で、バガケラトプスとコスモケラトプスからなる系統の姉妹群とされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallon, Christopher J. Ott, Peter L. Larson, Edward M. Iuliano & David C. Evans (2016) 
  4. Spiclypeus shipporum gen. et sp. nov., a Boldly Audacious New Chasmosaurine Ceratopsid (Dinosauria: Ornithischia) from the Judith River Formation (Upper Cretaceous: Campanian) of Montana, USA. 
  5.   PLoS ONE 11(5): e0154218. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0154218
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ユタの新種ケラトプシア

 ユタ州南部にある白亜紀後期(カンパニアン)の地層(Wahweap Formation)で発見されたケラトプシアが記載されています。 

 学名は、Machairoceratops cronusi (マカイロケラトプス・クロヌシ)で、属名の意味は「曲がった剣を持つ角竜」の意味。フリルの上部には、2つの長くて曲がったツノがあります。

 2種類の系統解析から、いずれも初期に分岐したセントロサウリネ(亜科)とされていますが、ディアブロケラトプス(Diabloceratops )と多分岐とする解析結果も示されています。

 頭頂部の装飾の独特な形態は、基盤的なセントロサウリナエのフリル装飾における進化的多様性を表すものとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Eric K. Lund, Patrick M. O'Connor, Mark A. Loewen & Zubair A. Jinnah (2016) 
  4. A New Centrosaurine Ceratopsid, Machairoceratops cronusi gen et sp. nov., from the Upper Sand Member of the Wahweap Formation (Middle Campanian), Southern Utah. 
  5. PLoS ONE 11(5): e0154403. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0154403
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 ティタノサウリアは60以上もの属が記載され、白亜紀後期のゴンドワナでは、極めて多様で豊富でした。

 最も豊富に見つかっているのがパタゴニアで、今回、竜脚類では最も完全とされる頭部が見つかり、新種記載されています。

 約9500万年前の白亜紀後期(セノマニアンからチューロニアン)の地層(Bajo Barreal Formation)で発見されたもの。

 発見場所にちなみ、Sarmientosaurus musacchioi (サルミエントサウルス・ムサッチオイ)と命名されています。

 完全な頭部が残された、大きな鼻部窓のある幅の広い吻部など、最も原始的形質を保持した(plesiomorphic)ティタノサウリアとされています。

 白亜紀後期早期、南米南部では、異なる頭蓋構造を持つ複数のティタノサウリアが、共存していたことになります。

 系統的には、進化したティタノサウリアであるリソストロティア(Lithostrotia)の基盤的位置づけです。  リソストロティアは、やがてのカンパニアンの時期、パタゴニアで高度に派生します。  

 頭部は、ティタノサウリアとブラキオサウリダエ(科)の密接な関係を示すとされています。  

 骨化した頚椎の腱、含気性の高い頚椎、いつも下向きの鼻といった、他のティタノサウリアでは見られない特徴が確認されています。  

 特に、後の2つの機能は、少なくとも一つの、ほぼ同時にディプロドコイデア(ディプロドクス上科)によって収斂的に取得され、これは、低い位置の植物を食べるために共通に特殊化したと考えられています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Rubén D. F. Martínez, Matthew C. Lamanna, Fernando E. Novas, Ryan C. Ridgely, Gabriel A. Casal, Javier E. Martínez, Javier R. Vita & Lawrence M. Witmer (2016) 
  4. A Basal Lithostrotian Titanosaur (Dinosauria: Sauropoda) with a Complete Skull: Implications for the Evolution and Paleobiology of Titanosauria. 
  5. PLoS ONE 11(4): e0151661. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0151661
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 一般的に、ケラトプシアやセントロサウリナエ(セントロサウルス亜科)は、カンパニアン後期、当時の北米大陸西側のララミディアの北部で豊富に見つかっています。

 しかし、ララミディアの南部ではまれです。ララミディア北部からは12属の セントロサウリナエが命名されていますが、南部からは、Diabloceratops と Nasutoceratops の2属のみです。

 この理由として、白亜紀後期、ララミディアの南北では、少なくとも2つの別々の動物相があり、恐竜は偏在し、それぞれ固有性があったと考えられています。

 今回、メキシコにある白亜紀後期(カンパニアン後期)の地層(Aguja Formation)で発見されたセントロサウリナエが報告されています。

 新種とされていますが、記載されていません。系統解析では、基盤的なセントロサウリナエで、 Avaceratops Nasutoceratopsとの多分岐な位置づけです。

 北部での発見例が多いことから、セントロサウリナエの系統解析はこの動物相に偏っており、今回の発見はこのバイアスを修正するものとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Héctor E. Rivera-Sylva, Brandon P. Hedrick & Peter Dodson (2016) 
  4. A Centrosaurine (Dinosauria: Ceratopsia) from the Aguja Formation (Late Campanian) of Northern Coahuila, Mexico. 
  5.   PLoS ONE 11(4): e0150529. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0150529
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トロサウルスの新標本

 やはり別の種/トロサウルスとトリケラトプス(2013年11月)などで紹介していますが、トロサウルスとトリケラトプスの議論は続いています。
 トロサウルスは成長したトリケラトプスで両者は同一種なのか、それとも、異なる種なのか、という話です。

 今回、モンタナにある白亜紀後期のヘルクリーク層で発見されたトロサウルス(Torosaurus latus)の新標本について報告されています。

 最も保存状態の良い標本の一つとはされていますが、議論に参考となるデータは見つかっていないようです。



  1. References:
  2.  
  3. Andrew T. McDonald, Carl E. Campbell & Brian Thomas (2016) 
  4. A New Specimen of the Controversial Chasmosaurine Torosaurus latus (Dinosauria: Ceratopsidae) from the Upper Cretaceous Hell Creek Formation of Montana. 
  5.   PLoS ONE 11(3): e0151453. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0151453
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 エンドキャスト(頭蓋内鋳型)から、頭部の感覚器官の発達程度を解析し、その行動や生態を推定することが可能です。

 しかし、アンキロサウリアは、頭部形態についての解剖学的な解明が進んでいない恐竜の一つとされています。

 今回、白亜紀初期のノドサウリダエ(ノドサウルス科)、パウパウサウルス(Pawpawsaurus campbelli)の脳や内耳構造について解析した論文が報告されています。

 パウパウ・・・とは面白い属名ですが、テキサスにある約1億年前の地層(Paw Paw Formation,、パウパウ層)での発見にちなんだもの。1992年に記載されています。


 ホロタイプ標本について、最新鋭のCTスキャンを用いて、脳の内部構造を3次元的に明らかにしています。  

 ノドサウリダエとしては、最も完全なエンドキャストとされ、内耳形態や鼻腔内の気流システムも解明されています。  

 今回の結果から、特に、嗅覚、聴覚やバランスといった感覚器官の相対的な進化について考察されています。  


 例えば、基盤的アンキロサウリアのKunbarrasaurus ieversi と同じく、内耳のつぼ(lagena)の長さから、白亜紀後期のアンキロサウリダエ、Euoplocephalusやタルキアよりは、低い周波数の音を聞くことができたとされています。  

 一方、臭覚に関する領域は、白亜紀後期の Panoplosaurus Euoplocephalus より小さく、白亜紀初期の仲間の臭覚は劣っていたとされています。  

 ただし、獣脚類との比較では臭覚領域は劣っていたというわけではなく、ケラトサウルスと似ているとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Ariana Paulina-Carabajal, Yuong-Nam Lee & Louis L. Jacobs (2016) 
  4. Endocranial Morphology of the Primitive Nodosaurid Dinosaur Pawpawsaurus campbelli from the Early Cretaceous of North America. 
  5. PLoS ONE 11(3): e0150845 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0150845
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 最近では、何億年も前の化石から、血管などの軟組織が観察されたとする報告は珍しくありません。

 今回、ポーランドにある三畳紀初期/中期境界の地層で発見された海生爬虫類からの発見が報告されています。

 ノトサウリダエ(科)とタニストロフェイダエ(タニストロフェウス科)の骨化石からで、骨の皮質領域にある、酸化鉄により鉱物化した血管壁中に保存され、有機分子を包み込んでいるそうです。

 FTIRなどを使った分光分析から、ヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンなどのアミノ酸の断片を含む有機化合物の存在が確認されています。

 これらのアミノ酸は、コラーゲン以外のタンパク質にはほとんど含まれないことから、内因性のコラーゲンの存在が示唆されています。

 「血管」内のタンパク質の分子の保存は、初期に酸化鉄がミネラル化した時に形成されたと考えられています。  

 ミネラルが軟組織の上に直接沈殿した時に、生体分子が効率的に、鉄が豊富なミネラルの中に保存され、それらの構造がしっかり覆われたというのです。  

 今回の発見は、海洋環境で、脊椎動物の中に複雑な有機分子が保存された最古の証拠とされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Dawid Surmik, Andrzej Boczarowski, Katarzyna Balin, Mateusz Dulski, Jacek Szade, Barbara Kremer & Roman Pawlicki (2016) 
  4. Spectroscopic Studies on Organic Matter from Triassic Reptile Bones, Upper Silesia, Poland. 
  5. PLoS ONE 11(3): e0151143 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0151143
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 T.rex の軟らかい血管組織採取(2005年3月)で紹介していますが、恐竜の骨化石から血管などの軟組織を発見したと、最初にシュバイツァー (Mary H. Schweitzer)らが報告したのは、2005年です。  

 一方、それらは、バイオフィルムを形成する生物(細菌)からの汚染(コンタミ)とする報告もでてきました。  

 今回、シュバイツァーらが、軟組織構造が微生物侵入に起因するという仮説を検証し、否定する論文が報告されています。

 
 二つの異なるバイオフィルム形成細菌を使用し、有機物成分が除去された現在の骨片に接種したもの。

 その結果、バイオフィルム構造と恐竜の骨とは、形態的にも化学的にも質感的にも異なるとしています。  

 つまり、軟組織構造は、バイオフィルムを形成する微生物由来ではないというわけです。



  1. References:
  2.  
  3. Mary Higby Schweitzer, Alison E. Moyer & Wenxia Zheng (2016) 
  4. Testing the Hypothesis of Biofilm as a Source for Soft Tissue and Cell-Like Structures Preserved in Dinosaur Bone. 
  5. PLoS ONE 11(2): e0150238. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0150238
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 獣脚類の骨異常の報告は珍しくはありませんが、肩帯や前肢で4箇所より多い障害はなかったそうです。

 今回、基盤的新獣脚類のディロフォサウルス(Dilophosaurus wetherilli )の肩帯や前肢にある8箇所の骨の病態について報告されています。

 アリゾナ州にあるジュラ紀前期の地層(Kayenta Formation)で発見された標本です。

 Discoveryは、約1億9300万年前と紹介しています。

 治癒と、骨のリモデリングにより、数ヶ月は生存していたとされています。しかし、指は変形し、曲げることはできなかったとされています。

 上腕骨と右第三指の奇形は、骨形成異常(osteodysplasia)が原因である可能性があるとされ、これは、現生の鳥類で知られているのですが、非鳥類型恐竜では初めての報告とされています。


  1. References:
  2.  
  3. Phil Senter & Sara L. Juengst (2016) 
  4. Record-Breaking Pain: The Largest Number and Variety of Forelimb Bone Maladies in a Theropod Dinosaur. 
  5. PLoS ONE 11(2): e0149140 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0149140
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 非鳥類型恐竜から鳥類など、脊椎動物の進化においては、歯が小さくなったり、完全に消失する現象は、複数回見られます。
 一部の魚竜でも歯の消失は見られます。Shastasaurus liangae は完全に無歯で、現生のアカボウクジラ(Ziphiidae)のように、サクションフィーディングしていたのではないかとされています。

 歯の置換や完全な歯の消失プロセスについては、理解が進んでいるのですが、歯の消失を伴わない歯のサイズの減少プロセスについては、十分ではないようです。

 今回、魚竜のStenopterygius quadriscissus(ステノプテリギウス)について、歯の減少(Tooth Reduction) について考察した論文が報告されています。

 その結果、ステノプテリギウスでは、成長に伴う個体発生的な歯の減少がみられたとされています。

 幼体の時は、大きな歯があるのですが、成長すると、歯としては機能しない、歯溝から出ない小さい歯となります。

 こういった、機能的に無歯な状態への進化は、歯の負の相対成長と、成長する間、成長率を変化させることで成し遂げたとされています。

 歯の減少は、獲物の選択と摂食行動から生じた独特な選択圧によって引き起こされたのかもしれないとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Daniel G. Dick & Erin E. Maxwell (2015) 
  4. Ontogenetic Tooth Reduction in Stenopterygius quadriscissus (Reptilia: Ichthyosauria): Negative Allometry, Changes in Growth Rate, and Early Senescence of the Dental Lamina.
  5. PLoS ONE 10(11): e0141904. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0141904
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 スピノサウルスは、沿岸環境など、半水生環境で生息していたと考えられています。しかし、それは、統計的には調べられていないそうです。

 沿岸なのか内陸か、今回、スピノサウリダエ(科)が生息していた古環境について、見つかっている化石証拠の古環境を統計的に評価した論文が報告されています。

 あわせて、他の2つの獣脚類、アベリサウリダエ(科)とカルカロドントサウリダエ(科)も調べています。  それらは、内陸性と考えられている大型獣脚類のグレードで、一部はスピノサウリダエと同じ地層で見つかっています。

 白亜紀後期、スピノサウリダエとカルカロドントサウリダエは絶滅し、アベリサウリダエは、トッププレデターになります。 

 図は棲んでいた環境を示す模式図(Marcos A. F. Sales et al., 2016)。スピノサウリダエの生息地は海の沿岸が多く、また、池、川など内陸の半水生環境にも棲んでいたとされています。




journal.pone.0147031.jpg



 複数のデータセットについて、グレードと古環境に有意な関係があるのか、カイ二乗検定等により検定しています。  

 なお、例数が少ないため、海洋環境やジュラ紀は除かれています。  

 その結果、次のようなことが示されています。


  1.  
  2. 1)統計的に最大量の化石証拠が見つかっていることから、スピノサウリダエの沿岸での棲息が指示される。 
  3. 2)一方、アベリサウリダエとカルカロドントサウリダエは、内陸性である。 
  4. 3)スピノサウリダエも、少なくともカルカロドントサウリダエに匹敵するような方法で、内陸部に生息していた可能性も示唆される。 
  5. 4)アベリサウリダエは、他の2つのグレードとは異なり、より内陸環境が一般的である。



  1. References:
  2.  
  3. Marcos A. F. Sales, Marcel B. Lacerda, Bruno L. D. Horn, Isabel A. P. de Oliveira & Cesar L. Schultz (2016) 
  4. The "χ" of the Matter: Testing the Relationship between Paleoenvironments and Three Theropod Clades. 
  5. PLoS ONE 11(2): e0147031. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0147031
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 ジュラ紀前期の獣脚類化石は世界的に稀で、発見された標本は断片的です。

 今回、英国ウェールズの海岸からジュラ紀前期(ヘッタンギアン) の獣脚類化石が発見され、記載されています。 

  そういえば、 ヘッタンギアン(Hettangian) という地質年代の紹介も珍しいですね。Phys.org は、約2億年前で、幼体で全長は2メートルと伝えています。

 頭部を含む全体の約40%程度が見つかっており、ヨーロッパで見つかっているジュラ紀前期の獣脚類では、最も完全なものの一つとされています。

 学名は、Dracoraptor hanigani (ドラコラプトル・ハニガニ)で、属名のドラコは、龍を意味するウェールズの象徴です。

 系統的には、Tawa hallae(タワ・ハラエ)を姉妹群とする基盤的な新獣脚類の位置づけで、コエロフィシスよりは、原始的です。 

 タワは、ニューメキシコ州にある三畳紀後期の地層で発見され、2009年に記載されています。原始的な新種の獣脚類(2009年12月)で紹介しています。

 図は、全身骨格(David M. Martill et al., 2016)。緑が見つかっている部分。オレンジは外部の型で、青は暫定的に同定された部分です。


Dracoraptor.jpg


 発見されたのは、Blue Lias Formation の近くとされており、ウェールズからはジュラ紀初の恐竜化石とされています。  

 海成層からの発見であり、棘皮動物や二枚貝も見つかっていることから、当時の島々から流されてきたのではないかとされています。海岸べりをうろついていたようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. David M. Martill, Steven U. Vidovic, Cindy Howells & John R. Nudds (2016) 
  4. The Oldest Jurassic Dinosaur: A Basal Neotheropod from the Hettangian of Great Britain. 
  5. PLoS ONE 11(1): e0145713. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0145713
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 昨年10月に、モロッコには2種のスピノサウリダエ/シギルマッササウルスと紹介しました。今回、方形骨の解析から、これを支持する論文が報告されています。

 モロッコのケムケム単層など、北アフリカの白亜紀後期(セノマニアン) で見つかっている6つの方形骨を解析したもの。

 方形骨は、2つの形態型を示し、当時、2種類のスピノサウリナエ(亜科)がいたとされ、異なった種の複数の化石に基づいて全身骨格を復元することに疑問を呈しています。

 2種とは、先の報告と同じく、Spinosaurus aegyptiacus と、おそらく、Sigilmassasaurus brevicollis (シギルマッササウルス)ではないかとされています。

 また、方形骨の下アゴ関節の形態機能的分析から、スピノサウリダエ(科)では、アゴの仕組みが独特だったとされています。

 つまり、下顎結合(mandibular symphysi)を動かせるおかげで、下顎枝(mandibular ramus)を横方向に動かすことができ、咽頭を広げることができたのです。

 同様のアゴのメカニズムは、翼竜の一部や現生のペリカン類で見られ、大きな獲物を飲み込むことができます。

 魚食性だったとされるスピノサウリダエは、この仕組みで、大型の魚をエサとすることができ、時には、翼竜や恐竜の幼体を食べたのではないかとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Christophe Hendrickx, Octávio Mateus & Eric Buffetaut (2016) 
  4. Morphofunctional Analysis of the Quadrate of Spinosauridae (Dinosauria: Theropoda) and the Presence of Spinosaurus and a Second Spinosaurine Taxon in the Cenomanian of North Africa. 
  5. PLoS ONE 11(1): e0144695. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0144695
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 タイにある白亜紀前期の地層(Khok Kruat Formation)で発見された基盤的ハドロサウロイデア(上科)が記載されています。

 福井恐竜博物館らのの報告で、オープンアクセスです。

 前上顎骨や上顎、頬骨などの頭部化石が見つかったもの。東南アジアからは初めての保存状態の良い鳥脚類化石とされています。 

 学名は、Sirindhorna khoratensis(シリントーナ・コラーテンシス)で、属名は、タイのシリントーン王女にちなんだもの。系統的には、最も基盤的なハドロサウロイデアの位置づけです。

 ハドロサウルス形類(hadrosauriform)の特徴を示していますが、上下のアゴ骨は、タイから見つかっている2種のハドロサウルス形類 、Siamodon nimingami Ratchasimasaurus suranareaeとは異なる特徴を示しています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Masateru Shibata, Pratueng Jintasakul, Yoichi Azuma & Hai-Lu You (2015) 
  4. A New Basal Hadrosauroid Dinosaur from the Lower Cretaceous Khok Kruat Formation in Nakhon Ratchasima Province, Northeastern Thailand. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0145904. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0145904
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 今日で、今年最後のニュースになります。今年1年、ありがとうございました。皆様、良いお年をお迎えください。なお、新年は、1月5日からの予定です。

 今日のニュースは、腹部に気嚢の証拠:竜脚類初(2013年7月)で紹介したTataouinea hannibalis (タタオウイネア・ハンニバリス)について。堆積環境や複雑な含気化骨格などの新たな情報が報告されています。

 タタオウイネアは、チュニジアにある白亜紀前期の地層( Ain el Guettar Formation)で発見されたレバッキサウリダエです。含気化骨格については、タイプ標本の新たに見つかった化石から、非対称構造など、詳細な特徴が示されています。

 また、層序解析と古地理データから、レバッキサウリダエは、およそ1億63000万年前に南米に起源を有するのではないかとされています。

 南米はジュラ紀末のディプロドシダエの絶滅の影響を受けず、1億3500万年前から1億3000万年前にかけて、レバッキサウリダエがアフリカやヨーロッパへと急速に放散した中心地であったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Federico Fanti, Andrea Cau, Luigi Cantelli, Mohsen Hassine & Marco Auditore (2015) 
  4. New Information on Tataouinea hannibalis from the Early Cretaceous of Tunisia and Implications for the Tempo and Mode of Rebbachisaurid Sauropod Evolution. 
  5. PLoS ONE 10(4): e0123475. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0123475
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系統で異なる恐竜の前肢姿勢

 最近の恐竜の全身骨格、かつての図鑑のような「まな板の鯉」姿勢ではなくて、いきいきとした形で復元されるようになってきました。

 一方、さまざまな恐竜の大きさなどを比較するときには、「まな板の鯉」状態の標準姿勢が参考になります。

 しかし、恐竜が静止している時、肩甲骨ブレードはどのような傾きだったのか、定量的に調べられてはいなかったそうです。

 今回、恐竜が静止している時の肩甲骨ブレードや前肢の向きを調べた論文が報告されています。

 その結果、例えば、半月状の手根骨を持つ獣脚類以外の二足歩行の恐竜では、静止時の肘の向きは直角に近いとされています。

 また、半月状の手根骨を持つ獣脚類では、静止時、肘と手首はフレックスで、手首はほぼ直角で、ヒジは大きく鋭角とされています。

 図は、今回の結果で示された静止時の肩帯と前肢(Phil Senter & James H. Robins, 2015) 。A-Gの恐竜は以下のとおり。肘や手首などの角度が大きく異なっていますね。

  1.  
  2. A. 半月状の手根骨を持たない獣脚類 (Dilophosaurus wetherilli
  3. B. 半月状の手根骨を持つ獣脚類(カウディプテリクスをのぞく、Velociraptor mongoliensis
  4. C. カウディプテリクス(Caudipteryx sp.) 
  5. D. ケラトプシダエ(Styracosaurus albertensis)
  6. E. 基盤的竜脚形類(Plateosaurus engelhardti) 
  7. F. ハドロサウリアではない鳥脚類(Thescelosaurus neglectus
  8. G. ハドロサウリダエ(Parasaurolophus walkeri)


Pectoral girdles and forelimbs.jpg

  1. References:
  2.  
  3. Phil Senter & James H. Robins (2015) 
  4. Resting Orientations of Dinosaur Scapulae and Forelimbs: A Numerical Analysis, with Implications for Reconstructions and Museum Mounts. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0144036 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0144036
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 スペインにある白亜紀後期(バレミアン後期、約1億2500万年前)の地層(Arcillas de Morella Formation)で発見された新種のイグアノドンティアが記載されています。

 頭部より後ろの骨格と、歯が見つかったもの。全長は6メートルほどと中型で、帆のようにみえる、椎骨の背側にある非常に細長い縦の神経棘などが特徴です。

 学名は、発見地にちなみ、Morelladon beltrani (モレラドン・ベルトラニ)です。

 系統的には、イグアノドンティア(Iguanodontia)のアンキロポレキシア(Ankylopollexia)、スティラコステルナ(Styracosterna)の位置づけです。  スティラコステルナでも、ハドロサウロイデアではない系統です。


 詳しい解析結果は、用いたデータセットの違いによって、2つの結果が示されています。図はそのひとつに、地質年代をあてはめたもの(José Miguel Gasulla et al., 2015) 。

 モレラドンは、白亜紀前期のイベリア半島のスティラコステルナより、西ヨーロッパのタクサであるイグアノドン(Iguanodon bernissartensis)やマンテリサウルス(Mantellisaurus atherfieldensis )により密接に関連しているとされています。

 白亜紀後期、イベリア半島は、高度に多様化した中型から大型サイズのスティラコステルナの集団が生息する場所だったようです。

Morelladon beltrani.jpg

 もう一つの解析結果では、イグアナコロッサス(Iguanacolossus fortis)と姉妹群となる、イグアノドンやフクイサウルス(Fukuisaurus tetoriensis)など、かなりの種と共に多分岐群の一種とされています。  




  1. References:
  2.  
  3. José Miguel Gasulla, Fernando Escaso, Iván Narváez, Francisco Ortega & José Luis Sanz (2015) 
  4. A New Sail-Backed Styracosternan (Dinosauria: Ornithopoda) from the Early Cretaceous of Morella, Spain. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0144167. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0144167
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 近年はアジアからの発見で、ケラトプシア(角竜)の起源や初期進化も少しずつ判明してきています。プシッタコサウルスの分岐時期や系統的な位置関係も、気になるところです。

 プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシア/モザイケラトプス(2015年9月)では、プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシアの位置づけで、比較的派生的なクレードと紹介しました。

 しかし、分岐時期とされるジュラ紀後期と、化石が見つかっている白亜紀前期の間には、空白期間があり、特にジュラ紀の地層からの、さらなる発見が必要とされていました。

 今回、中国・ジュンガル盆地にあるジュラ紀後期早期(オックスフォーディアン、約1億6000万年前)の地層(Shishugou Formation)で発見された基盤的ケラトプシアが記載されています。

 その中で、プシッタコサウルスの系統は、ネオケラトプシアではなく、基盤的なケラトプシアの系統で、約1億6000万年前の、ジュラ紀後期になる前には分岐したとされています。


 学名は、Hualianceratops wucaiwanensis (フアリアンケラトプス・ウカイワネンシス)で、頭部骨のほとんどに、織目構造の装飾(textured ornamentation)があることから、属名の意味は、"装飾的な顔"です。

 PLOS Paleoで、Andrew Farke は、いぼいぼ顔(warty face)と紹介しています。もちろん、骨の表面の模様であって、実際の顔ではありませんね。

 全長は1メートルほど、基盤的なケラトプシアだけに、2足歩行だったようです。

 図は、今回示されている分岐図(Fenglu Han et al.,2015)。系統的には、基盤的ケラトプシアの位置づけで、チャオヤンゴサウリダエ(Chaoyangsauridae、科)の系統です。

 チャオヤンゴサウリダエの中で、フアリアンケラトプスは、基盤的なケラトプシアであるインロング(Yinlong downsi ) 、チャオヤングサウルス(Chaoyangsaurus youngi)、シュアンフアケラトプス(Xuanhuaceratops niei )の3種と多系統をなしています。

 また、このチャオヤンゴサウリダエは、プシッタコサウルス属とは姉妹群をなすという新しい仮説を提唱しています 。


Hualianceratops wucaiwanensis.jpg


 今回の結果は、ネオケラトプシアが基盤的な位置で、幾つかの系統に分岐したとされ、下図に示すように、その分岐は、約1億6000万年前の、ジュラ紀後期になる前に始まったとされています。

 プシッタコサウルスやネオケラトプシアの出現が白亜紀前期なことから、ジュラ紀後期前に分岐してから、約1億2500万年前の白亜紀前期まで、化石が見つかっていない長い空白期間が存在します。

 下図で、灰色の線がその系統で、ゴースト系統(ghost lineage)とされています。

 ただ、分岐図に地質年代を当てはめたりすると、多くの場合、こういう空白期間は出てきそうですが。



Ghost lineages.jpg


 フアリアンケラトプスの記載は、主に頭部化石標本 (IVPP V18641) に基づいたもので、Shishugou Formation 上部からは、インロングに続いて、2種目の基盤的ケラトプシアです。  

 プシッタコサウルスと共通した派生的な特徴と、基盤的なケラトプシアであるインロング、チャオヤングサウルス、シュアンフアケラトプスと共通の特徴を持つとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Fenglu Han, Catherine A. Forster, James M. Clark & Xing Xu (2015) 
  4. A New Taxon of Basal Ceratopsian from China and the Early Evolution of Ceratopsia. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0143369 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0143369
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 現生のクロコダイルなどの巣は、土や草などで卵がおおわれていますが、鳥類は、オープンタイプです。

 今回、カルガリー大学の田中康平さんらが、卵殻の気孔率から、恐竜の巣のタイプを推定した論文を報告しています。

 その結果、おおわれたタイプの巣は、恐竜としては原始的とされています。

 一方、オープンタイプは、ジュラ紀後期の獣脚類、ロウリンハノサウルスより派生した非鳥類型恐竜で最初に進化し、鳥類で見られる前に、非鳥類型恐竜のマニラプトルで広まったとされています。

 なぜ、ロウリンハノサウルスで区切るのかというと、卵化石の主がはっきりしているのは、そう多くはなく、ロウリンハノサウルスはその一種なのです。

 また、オヴィラプトロサウリアやトロオドンチダエなど、基盤的なオープンタイプの巣を作る恐竜は、抱卵した最初の恐竜とされていますが、部分的に卵を土の中に埋めていました。

 卵を完全に露出させるオープンタイプは、真鳥類の間で広まったとされています。

 オープンタイプの巣とすることで、巣をおおう土など周囲の環境にとらわれることなく、巣を作ることが可能になるわけですが、これが、マニラプトラ、そして、現生鳥類の進化の成功要因の一つになったと考えられています。


 現生の主竜類の巣のタイプは、次の2つに大別されます。  

 一つは、クロコダイルや、オーストラリアなどに棲む鳥類のツカツクリに見られる、卵が完全におおわれたタイプです。  

 もう一つは、現生鳥類に見られる、卵が露出したオープンタイプです。  

 以前は、恐竜の巣のタイプは、卵の水蒸気透過性(拡散能力)を推定することによって推測されていました。水蒸気透過性が高いとおおわれた巣で、低いとオープンというわけです。    

 しかし、統計的厳密さなどから、その妥当性に疑問があるとされています。  

 今回の論文は、卵殻の気孔率から、恐竜の巣のタイプを推定したもの。  120以上の現生主竜類と、卵のタクソンを含む29の絶滅種について、卵殻気孔率と質量の関係を統計的に調べています。  

 その結果、ティタノサウリアやロウリンハノサウルスの卵殻の気孔率は高く、おおわれた巣のタイプで、オヴィラプトロサウリアやトロオドンチダエは低く、オープンイプだったのです。

 マニラプトラでは、オープンタイプの巣と抱卵の共進化は、覆われたタイプの巣につきものであった恐竜を地上という制限から自由にし、新たに巣を作る場所を開拓できたとされています。  

 こういった 営巣スタイルの変化は、鳥類を含むマニラプトラが進化的に成功した上で重要な役割を果たしたと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Kohei Tanaka, Darla K. Zelenitsky & François Therrien (2015) 
  4. Eggshell Porosity Provides Insight on Evolution of Nesting in Dinosaurs. 
  5. PLoS ONE 10(11): e0142829 
  6. doi: 10.1371/journal.pone.0142829
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 現在のアラビア半島からは、何種類かの恐竜化石が見つかっています。

 半島の東南端にあるオマーンは、1997年に最初の恐竜化石が見つかった国であり(DML)、その後、獣脚類や鳥脚類、竜脚類化石が報告されています。

 今回、オマーンで発見されたアラビア半島では初めてのハドロサウロイデア(上科)の化石が報告されています。

 白亜紀後期(カンパニアン?マーストリヒチアン)の地層から、頭部より後ろの断片的な化石が見つかったもの。

 ハドロサウロイデアの起源や主な進化はローラシア大陸とされていることから、当時のテチス海にあった島々を経由して、アラビア半島にやってきたのではないかとされています。

 図は、ハドロサウロイデアの拡散ルート(Eric Buffetaut et al., 2015)です。アフリカ大陸へと渡るには、ヨーロッパの多島海を経由する必要がありますね。



journal.pone.0142692.g004.PNG

  


  1. References:
  2.  
  3. Eric Buffetaut, Axel-Frans Hartman, Mohammed Al-Kindi & Anne S. Schulp (2015) 
  4.  Hadrosauroid Dinosaurs from the Late Cretaceous of the Sultanate of Oman. 
  5. PLoS ONE 10(11): e0142692 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0142692

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