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ティタノサウリアは早熟性

 幼い竜脚類の化石は珍しいのですが、今回、Rapetosaurus krausei(ラペトサウルス・クラウセイ)のベビーの新しい標本から、ティタノサウリアの成長戦略について報告されています。

 マダガスカルにある白亜紀後期の地層(Maevarano Formation )で発見されたもの。

 生まれた時は、3-4kgの体重だったとされています。そして、わすが、数週間後に、40kgに達し、腰の高さは35cm になったとされています。

 意外にも、四肢の骨格は、等長性のアイソメトリックな成長とされています。その可動範囲は成体よリ広く、生まれてすぐ、活発に動きまわったようです。

 ナショジオでは、あまり親の世話にはならず、孵化後は自力で生きていたと紹介しています。

 皮質のリモデリング、四肢のアイソメトリー、そして薄く石灰化し肥大した骨幹端軟骨は、活発で早熟性の成長戦略を示しています。 

 巨大な成体になる以前の小さいうちから、重い体を支える準備がしっかりできていたのですね。


 


  1. References:
  2.  
  3. Kristina Curry Rogers, Megan Whitney, Michael D'Emic & Brian Bagley (2016) 
  4. Tiny giant suggests that largest dinosaurs were precocial at birth. 
  5. Science 352(6284): 450-453 
  6. DOI: 10.1126/science.aaf1509
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原始的な新種の獣脚類

 ニューメキシコ州にある三畳紀後期(約2億1400万年前)の地層で発見された原始的な獣脚類が、Science(12/11号)に記載されています。  

 初期の恐竜は、現在の南米大陸あたりで生まれ、鳥盤類と竜脚形類、獣脚類の3系統に分岐し、地球全体に広がっていったのではないかと考えられています。 University of Texas at Austin が伝えています。


  1. References:
  2.  
  3. A Complete Skeleton of a Late Triassic Saurischian and the Early Evolution of Dinosaurs 
  4. Sterling J. Nesbitt et al. 
  5. Science, 326(5959), p.1530 - 1533, 2009


 2004年に最初に発見され、今までに、ほぼ完全な骨格が発見されています。Tawa hallae と命名されています。  

 幼体で推定体長は2メートルほど、骨盤にヘレラサウルスにある原始的な特徴を持つ一方で、獣脚類の特徴である背骨の気嚢などの派生的な特徴も併せ持つそうです。
 
 気嚢が確認された最古の恐竜とされています。  

 逆に、ヘレラサウルスが持つ獣脚類的な特徴は独自に進化したものではなく、ヘレラサウルスは間違いなく獣脚類とし、獣脚類の系統に引き入れています。
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 T.rex の化石から恐竜の性別を見分ける特徴を発見し、今週号のScience に報告されています。

 大腿骨の内部にある骨髄骨(medullary bone)を確認したもの。これは、鳥類のメスが産卵時にだけ持つ骨で、性別判定の有力な方法として注目されています。 



  1. Gender-Specific Reproductive Tissue in Ratites and Tyrannosaurus rex 
  2. 走鳥類と T.rex に相同の性特有の生殖組織 
  3. Mary H. Schweitzer, Jennifer L. Wittmeyer,1 John R. Horner 
  4. Science, 308(5727), 1456-1460 , 2005


 産卵中の鳥類には、他の動物では見られない特徴があります。それは、産卵開始時に肢骨の骨内膜から骨髄腔に向かって骨髄骨が現れることです。

 主に、脛骨や大腿骨で観察されるそうです。卵の殻を作るため必要な大量のカルシウムを、ヒドロキシアパタイトとして一時貯蔵するためです。ワニなどでも見られない特徴です。  

 今回、T.rex (MOR1125)の化石から発見された密度の低い骨と、ダチョウやエミューの骨髄骨が類似した特徴を持っていたとしています。およそ7000万年前の化石はメスだったことがわかります。  

 鳥と恐竜の生殖の類似性がまたひとつ示されたわけですが、鳥の生理と関連して研究を進めればもっと新しいことがわかりそうです。

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T.rex の軟らかい血管組織採取

 モンタナにある約6800万年前のT.rex の大たい骨化石から、軟らかい血管組織などが採取され、ノースカロライナ州立大のシュバイツァー(Mary Schweitzer )らのチームが今週号のScience に発表しています。

 Nature NewsMSNBC が伝えています。



  1. Soft-Tissue Vessels and Cellular Preservation in Tyrannosaurus rex 
  2. T.rex における軟らかい血管組織と細胞の保存 
  3. Mary H. Schweitzer, Jennifer L. Wittmeyer,1 John R. Horner, Jan K. Toporski 
  4. Science, 307(5717), 1952-1955 , 2005    


 2000年頃に発見された18歳ほどの T.rex化石の鉱物を薄い酸で溶かして組織を取り出したもの。

 シュバイツァーといえば、先日も卵化石から蛋白の破片を取り出したと言うニュースがありました。他の恐竜の骨でも組織が採取できる可能性があるそうです。   

 骨細胞(osteocytes)は、現生のダチョウの血管に似ているとあります。ハドロサウルスでも柔組織が採取されており、恐竜の生理学的な解明が進みそうですね。
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 中国遼寧省、義県層で、被子植物とされるほぼ完全な形の化石が発見され、吉林大やフロリダ大などの研究チームが Science (5月3日号)に報告しています。フロリダ自然史博物館に、論文全文(pdf)があります。

 今回の化石は、根、葉、茎と生殖器官が残り、98年に同じ Science に記載された Archaefructus liaoningensis の未熟な果実などよりも完全な化石です。年代は少なくとも1億2460万年前とされています。  

 これは、"中国の古代の果物"を意味する Archaefructus sinensis と命名された新種の化石で、アルカエフルクトゥス(Archaefructaceae)という新しい科を提案しています。  

 花びらは見つかっていませんが、小さな実の心皮の中に種子が発見されたことから、被子植物とされています。種子の元になる胚珠が裸子植物のようにむき出しにはなっていなかったのです。  

 また、茎は細く、下にある葉が分岐し、水生植物の祖先とみられています。同時に9匹の魚の化石も見つかっていることも水生植物を裏付けています。

 スイレンの仲間に比較的近く、花粉を虫や風で運んでもらうために、花は水面上で咲いたとされています。 


  ■裸子植物と被子植物  

 種子で増える種子植物は、裸子植物と被子植物に分類されます。  

 裸子植物や被子植物の"子"とは種子のことです。胚珠の中に卵細胞をつつむ胚のうがあって、受精すると種子になります。  

 被子植物は、種子を作る胚珠がめしべの子房内にあって被われているから"被子"というわけです。

 一方、裸子植物ではめしべは子房をつくらず、胚珠はその名の通りむきだし(裸)になっています。  

 もっともそれは日本語の由来で、分岐分析からは、被子植物は、めしべを構成し胚珠を包み込む心皮や重複受精(参考参照)などの共通派生形質(特徴)で裸子植物とは区別されます。

 アルカエフルクトゥス科は、現生の被子植物群の姉妹群で、絶滅した種類に位置付けされています。   

  ────┬─ 前裸子植物     
      │      
      └─ 種子植物 ─ 裸子植物          
           │           
           └─ 被子植物 



 ■被子植物の起源  

 現生の植物相の90%以上は被子植物で、23.5万種にもなるそうです。被子植物は、かつて、複数の裸子植物から分岐した多系統と考えられていましたが、現在は分子系統的な研究から単系統とする見方が支持されています。  

 被子植物は、裸子植物が起源であることがほぼ確実なのですが、その起源はほとんどわかっていないそうです。裸子植物から分岐した年代についてはいくつかの説があります。  

 化石証拠からは、2億3000万年前の被子植物の花粉化石が発見されており、最古の果実は、先のアルカエフルクトゥス(Archaefructus liaoningensis)の化石です。  

 また、DNA解析による分子系統的研究から、およそ3億年前の三畳紀中期には既に出現していたとされています。これだと恐竜の出現よりも早いのですね。   


 ■被子植物の多様化    

 ほとんど風だのみで大量の花粉を作る必要がある裸子植物と違って、種子植物は花をつけることで、虫を味方にし、より少ない花粉で効率的に受粉できるのです。スギも被子植物なら大量の花粉をばらまくことも無く、花粉症も減ることでしょう。  

 また、裸子植物は受粉から受精が完了するまでずいぶん時間がかかります。現生のイチョウの場合、春に受粉した後、秋までに精子ができ、受精し実を結びます。なんと、受粉から半年もかかってようやく受精するのです。一方、被子植物の受精は早く、遅くても24時間以内に完了します。  

 このように繁殖力が旺盛な被子植物は、白亜紀中期にはいって爆発的に多様化し、その勢力を拡大していったのです。  これら植物の変化は、これらをエサとする植物食恐竜などにも少なからぬ影響をおよぼしたことでしょう。

 当時は"草"は無かったので、"草食"恐竜は誤りで、正しくは"植物食"恐竜だといわれたものですが、案外、"草"を主食にしていた恐竜がいたのかもしれませんね。 



  参考  
 
 種子植物/学研学習事典データベース  
 胚珠や重複受精などの用語解説や図解があります。    

 多様性の植物学〈2〉植物の系統/東京大学出版会/2000年2月発売  
 形態形成と進化、化石と植物の系統などについてそれぞれの研究者が執筆。  

 植物の多様性と系統/裳華房/1997年10月発売  
 化石植物を含めた各植物群の綱レベルでの図版解説など。
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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