獣脚類の最新ニュース

 鹿児島県の下甑島(こしきじま)にある白亜紀後期の姫浦層群で発見された獣脚類の歯化石について、論文として報告されています。 

 たとえ種不明の歯1本でも、きちんと論文として報告されるというのは、大切なことですね。

 2009年6月のの古生物学会で報告された標本でしょうか。ここでは、2010年にも獣脚類の歯が見つかっています。

 時代は、中期カンバニアンとされ、特定の獣脚類のクレードにみられる特徴がないため分類不能で、単に獣脚類とされています。

 今年2月には、下甑島から、ケラトプス類の歯根化石が見つかったと報道されており、まだまだ出てくるかもしれませんね。



  1. References:
  2.  
  3. Takanobu Tsuihiji, Toshifumi Komatsu, Makoto Manabe, Yuka Miyake, Miki Aramaki, and Hiromi Sekiguchi (2013) 
  4. Theropod Tooth from the Upper Cretaceous Himenoura Group in the Koshikijima Islands, Southwestern Japan. 
  5. Paleontological Research 17(1):39-16. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.2517/1342-8144-17.1.39



 北米大陸にある白亜紀後期の地層で発見された、小型獣脚類の脱落歯化石を多変量解析した論文が報告されています。

 小型獣脚類は、以前考えられていたより多様で、比較的短い期間に多くのタクソンが入れ替わり、ターンオーバーも早かったようです。

 また、同じタクソンでも、離れた地層から見つかる歯は異なり、時代により変化していったようです。


 北米大陸にある白亜紀後期の地層で発見された1183本の脱落歯化石のデータセットを解析したもの。  

 その結果から、この時期、北米大陸の小型獣脚類の多様性は、以前考えられていたより大きいとされています。  

 また、そのターンオーバーは、他の恐竜系統と同程度だったとされています。少ないタクソンが長い間反映したというより、比較的短い期間に多くのタクソンの入れ替わりがあったようです。  

 さらに、異なる地層から見つかった同じタクソンの歯は、しばしば異なっていることがわかったそうです。 対照的に、同等な年代の地層から見つかった脱落歯は、ほとんど定量的に区別できないそうです。    

 これは、白亜紀後期の他の恐竜と同じく、小型獣脚類も、地層(時代)別に独立していく傾向があるとという仮説を支持するとしています。  

 あわせて、今回の方法は、完全な骨格が見つかっていなくても、脱離歯や断片的な骨格から、 種の同定やその多様性の解明につながる可能性があるとしています。


  1. References:
  2.  
  3. Derek W. Larson & Philip J. Currie (2013) 
  4. Multivariate Analyses of Small Theropod Dinosaur Teeth and Implications for Paleoecological Turnover through Time. 
  5. PLoS ONE 8(1): e54329. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0054329



 ブラジルにある白亜紀後期の地層(Presidente Prudente Formation)で発見された獣脚類化石が報告されています。 

 カルカロドントサウルス類(Carcharodontosauridae)の右上顎骨の前部断片と、 アベリサウルス類(Abelisauroidea)の腸骨の一部、それとコエルロサウルス類の右腓骨の近位部分です。

 カルカロドントサウルス類は、ブラジルで初めての発見とされています。 
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Rodrigo P. Fernandes de Azevedo, Felipe Medeiros Simbras, Miguel Rodrigues Furtado, Carlos Roberto A. Candeiro & Lílian Paglarelli Bergqvist (2012) 
  4. First Brazilian carcharodontosaurid and other new theropod dinosaur fossils from the Campanian-Maastrichtian Presidente Prudente Formation, São Paulo State, southeastern Brazil 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. Doi:10.1016/j.cretres.2012.06.004



パタゴニアの新種恐竜

 パタゴニアにある白亜紀後期(約9000万年前)の地層で発見された獣脚類について、ITV が紹介しています。 26日からアルゼンチンで開催されているMACNで紹介されたようです。 

 アルゼンチンのRio Negroで見つかり、推定体長は2.5-3メートル。 Bicentenaria argentina と命名されているとのことですが、詳細は不明です。
 



異常に大きな歯/南アフリカ

 南アフリカにある白亜紀後期の地層(Kirkwood Formation)で発見された、異常に大きい大型獣脚類の歯の化石について報告されています。

 発見されたのは、歯冠の基底部分だけですが、 T.rex より大きく、新種ではないかとされています。

 

 とはいっても、映像がないと全く迫力がありませんね。

 

  1. References:
  2.  
  3. Peter M. Galton and Ralph E. Molnar (2011)
  4. An unusually large theropod dinosaur tooth from the Kirkwood Formation (Lower Cretaceous) of South Africa.
  5. Neues Jahrbuch für Geologie und Paläontologie - Abhandlungen (advance online publication)
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1127/0077-7749/2011/0204



 ドイツにあるジュラ紀後期の地層から発見された、ほとんど完全な獣脚類の幼体化石が、ミュンヘン・ミネラルショーで展示されます。DailyMail などが伝えています。 

 9月にアルゼンチンで開催されたLatin American Congress of Vertebrate で報告されました。

 "Otto"の愛称で呼ばれる化石は、バイエルン州で発見され、98%が保存されているそうです。

 推定年齢は1歳で、体長は72センチほど、原羽毛や皮膚痕も残され、詳細は不明ですが、基盤的なテタヌラ類のメガロサウルス類ではないかとされています。

 ドイツの文化遺産として、展示後は博物館に展示されるそうです。

 

 画像は、The Munich Show から。化石発掘キットのような、完全でわかりやすい化石ですね。

 尾はかなり長く、足は短めです。

 

otto.jpg

  1. References:
  2. Rauhut, O. & Foth, C., 2011 
  3. New information on Late Jurassic Theropod dinosaurs from Southern Germany
  4. Latin American Congress of Vertebrate



 ニジェールにあるジュラ紀中期の地層で、2本指の獣脚類の足跡化石が発見され、新種として記載されています。

 アフリカ大陸からは、最古の2本指の足跡化石で、足跡の主は、マニラプトル類、パラアヴィアンのディノニコサウリアではないかとされています。第2指には大きく動かせるカギヅメがあり、移動中は持ち上げていたのです。

 

 ジュラ紀中期、ゴンドワナ大陸では、 中型のディノニコサウリアは発見されておらず、このグループが第2指を大きく動かせるようになったのは、以前考えられていたより早かったのではないかとされています。

 下の図は、ジュラ紀中期の大陸図。★が今回の足跡化石の発見地。●は、ジュラ紀中期のゴンドワナ大陸の恐竜化石産地です。

Middle_Jurassic_Map.jpg

 

 中生代の露頭で、まれに2本指らしき足跡化石を見たことはあります。しかし、単独の2本指らしき微妙な跡では、なんともいえません(^^;。

 今回は、5つも連続歩行跡が残されています。これだけあると、逆に変な足跡は、同一個体の変化の範囲として貴重になります。
 
 120個の足跡が残されており、中型で、長さの平均は27.5センチ、幅は23.1センチとされています。砂岩に深く入り込んでいますが、カキヅメのついていた指の跡はありませんね。

 これだけあると、その歩く速度などが計算できるかもしれません。 


 図は、Paravipus didactyloides のホロタイプ(NMB-1887-Sp)。A)はシリコン型から作成された右足のキャスト B)は、シルエット C)は、オリジナル化石の写真です。スケールはいずれも10センチ。

 2本指とはいっても、怪我をした2本指ではない証拠に、足跡の一番左に、第2指の付け根の丸い跡が残されています。移動中に体重を支えた跡です。

 

 

Paravipus_didactyloides.jpg

 

 新種の足跡化石として命名され、学名は、属名が、パラアヴィアン獣脚類(paravian theropod)の意味する、Paravipus didactyloides です。

 その名の通り、足跡の主は、マニラプトル類のパラアヴィアンと考えられていますが、まだそれらしき恐竜の骨格化石は見つかっていません。

 なお、同じ地層(the Irhazer-Group)からは、新竜脚類(Eusauropoda)、Spinophorosaurus nigerensis の骨格化石が発見され、2009年に記載されています。

  1. References:
  2. Didactyl Tracks of Paravian Theropods (Maniraptora) from
    the ?Middle Jurassic of Africa.
    Alexander Mudroch et al.
  3. PLoS ONE 6(2): e14642. 2011
  4. A new basal sauropod dinosaur from the Middle Jurassic of Niger and the early evolution of Sauropoda.
  5. Kristian Remes et al.
  6. PLoS ONE 4: e6924. , 2009



歯だけの新種の危うさ

 歯の化石だけをホロタイプとして命名された恐竜のタクソンは100種を超えるそうです。今では、歯だけから新種記載することはないでしょうが、まだ、歯を重視する研究者はいるようです。

 以下の論文でも、 T.rex の同じ個体でも、歯のある場所によってその大きさがかなり異なることが示されています。
 
 図に示すように、同じ T.rex (MOR 1125, B-rex)の個体の顎にある14番の位置の歯(A)と4番の歯(B)は、かなり大きさが異なり、歯から骨格の大きさやその成長段階を決めるには無理があるとしています。
 
 小さい歯が幼体の歯とすることは間違いで、最大のしっかりした歯だけが成体の指標となるとしています。

 小さいからといって、ナノティラヌス(Nanotyrannus lancensis)という別種とすることを否定しているようです。 サイズだけでなく、その形状も違いますね。

 

Trex_teeth.jpg
  その論文自体は、モンタナのヘルクリーク層で、当時棲んでいた恐竜たちの"国勢調査(census)"をしたというもの。Examiner で紹介されています。

 T.rex は意外と豊富だったとし、ジョン・ホーナーらは、比較的まれだったという以前の説に反し、厳格な捕食者というより、環境によって食べ物を選択すし日和見的だったとしています。

 

  1. Dinosaur Census Reveals Abundant Tyrannosaurus and Rare Ontogenetic Stages in the Upper Cretaceous Hell Creek Formation (Maastrichtian), Montana, USA
  2. John R. Horner1, Mark B. Goodwin, Nathan Myhrvold
    PLoS ONE 6(2): e16574. 2011



 鳥類の翼にある指は、恐竜と同じ第1、2、3指とする論文が報告されています。東北大朝日などが伝えています。

 指のフレームシフトについては以前から報告されていました。ただ、鳥類(ニワトリ)での研究は初めてのようです。

  鳥類の翼にある指については、形態(古生物学)的には恐竜と同じ第1、2、3指とされ、一方、胚発生の点からは、第2、3、4指を発達させたとされていました。
 これは、鳥類が獣脚類の一部から進化したとする説の反論のひとつでした。

 今回の論文は、東北大 大学院生命科学研究科器官形成分野の田村教授らが、ニワトリの卵で、発生の過程や遺伝子の働きなどを調べたもの。東北大の説明をふまえると、次のようなことでしょう。

 

  1. 指の形成の発生初期、最初に指の領域化が起こる。
  2. 領域化によって生じた指原基(軟骨)のうち、前肢の最も後ろ側の指の指原基は、番号を決める領域(ZPA)の第4指の位置にある。
  3. しかし、その後すぐに、指原基の位置が前方へとずれ、指の番号が指定される頃には、第3指の位置にある。
  4. AERの働きで指が伸長し、結果的に、第1、2、3指として形成される。

 

frameshift.jpg  

 

 指の発生段階におけるフレームシフト(flame shift)説の報告は以前からあります。

 近年では、2008年には、ワニの遺伝子研究から、鳥類が翼を発達させる過程で、胚発生での2-3-4指の位置が、最終的に1-2-3指(D1-D3)になるといフレームシフト説を支持するとする論文が報告されています。

 2009年には、鳥類と同じく第2、3、4指を持つとされる Limusaurus inextricabilis (リムサウルス)の論文で、鳥類の指は第1-3指で、フレームシフトによって肺発生時の第2-4指の位置に生じたものとされています。

 

  1. References:
  2. Embryological Evidence Identifies Wing Digits in Birds as Digits 1, 2, and 3.
    Koji Tamura, Naoki Nomura, Ryohei Seki, Sayuri Yonei-Tamura, and Hitoshi Yokoyama
  3. Science 331(6018), p.753-757 (11 February 2011)
  4. The Evolution of HoxD-11 Expression in the Bird Wing: Insights from Alligator mississippiensis.
    A.O. Vargas, et al.
  5. PLoS ONE 3(10):e3325. 2008



 モンゴルにある地層で発見された、最も小さいアルヴァレスサウルス類が記載されています。

 先の 1本指の Linhenykus monodactylus (リンヘニクス・モノダクティルス)に続いて、アジアから2種目のアルヴァレスサウルス類です。

  おもしろいことに、現生鳥類と同じように、後ろ足を並べて体の下にした、すわった状態で発見されたそうです。

 学名は、Albinykus baatar(アルビニクス・バアタール) で、系統的にはアルヴァレスサウルス類(Alvarezsauridae)で、Shuvuuia の姉妹群とされています。

  脛骨が融合していることから、亜成体の化石とされています。それでも、推定体重が1kg以下と小型で、体長も90センチ足らずです。

 アルヴァレスサウルス類では最も小さく、非鳥類型獣脚類でも最小の恐竜とされています。アルヴァレスサウルスは、進化の歴史の中で体を小さくする傾向があったようです。

 

 

  1. References:
  2.  
  3. A small alvarezsaurid from the eastern Gobi Desert offers insight into evolutionary patterns in the Alvarezsauroidea.
    Sterling J. Nesbitt; Julia A. Clarke; Alan H. Turner; Mark A. Norell
  4. Journal of Vertebrate Paleontology, 31(1), p.144-153, 2011



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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