基盤的獣脚類の最新ニュース

 獣脚類の骨異常の報告は珍しくはありませんが、肩帯や前肢で4箇所より多い障害はなかったそうです。

 今回、基盤的新獣脚類のディロフォサウルス(Dilophosaurus wetherilli )の肩帯や前肢にある8箇所の骨の病態について報告されています。

 アリゾナ州にあるジュラ紀前期の地層(Kayenta Formation)で発見された標本です。

 Discoveryは、約1億9300万年前と紹介しています。

 治癒と、骨のリモデリングにより、数ヶ月は生存していたとされています。しかし、指は変形し、曲げることはできなかったとされています。

 上腕骨と右第三指の奇形は、骨形成異常(osteodysplasia)が原因である可能性があるとされ、これは、現生の鳥類で知られているのですが、非鳥類型恐竜では初めての報告とされています。


  1. References:
  2.  
  3. Phil Senter & Sara L. Juengst (2016) 
  4. Record-Breaking Pain: The Largest Number and Variety of Forelimb Bone Maladies in a Theropod Dinosaur. 
  5. PLoS ONE 11(2): e0149140 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0149140
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 ジュラ紀前期の獣脚類化石は世界的に稀で、発見された標本は断片的です。

 今回、英国ウェールズの海岸からジュラ紀前期(ヘッタンギアン) の獣脚類化石が発見され、記載されています。 

  そういえば、 ヘッタンギアン(Hettangian) という地質年代の紹介も珍しいですね。Phys.org は、約2億年前で、幼体で全長は2メートルと伝えています。

 頭部を含む全体の約40%程度が見つかっており、ヨーロッパで見つかっているジュラ紀前期の獣脚類では、最も完全なものの一つとされています。

 学名は、Dracoraptor hanigani (ドラコラプトル・ハニガニ)で、属名のドラコは、龍を意味するウェールズの象徴です。

 系統的には、Tawa hallae(タワ・ハラエ)を姉妹群とする基盤的な新獣脚類の位置づけで、コエロフィシスよりは、原始的です。 

 タワは、ニューメキシコ州にある三畳紀後期の地層で発見され、2009年に記載されています。原始的な新種の獣脚類(2009年12月)で紹介しています。

 図は、全身骨格(David M. Martill et al., 2016)。緑が見つかっている部分。オレンジは外部の型で、青は暫定的に同定された部分です。


Dracoraptor.jpg


 発見されたのは、Blue Lias Formation の近くとされており、ウェールズからはジュラ紀初の恐竜化石とされています。  

 海成層からの発見であり、棘皮動物や二枚貝も見つかっていることから、当時の島々から流されてきたのではないかとされています。海岸べりをうろついていたようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. David M. Martill, Steven U. Vidovic, Cindy Howells & John R. Nudds (2016) 
  4. The Oldest Jurassic Dinosaur: A Basal Neotheropod from the Hettangian of Great Britain. 
  5. PLoS ONE 11(1): e0145713. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0145713
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 恐竜が出現したのは、三畳紀後期(カーニアン)、パンゲア大陸の南西部からです。最初期の確実な恐竜化石については、恐竜の起源(2014年6月)で紹介しています。   

 初期の恐竜研究は、アルゼンチンのイスキグアラスト層(Ischigualasto Formation)やブラジル南部の Santa Maria 層での発見により、最近の四半世紀で、ずいぶん進んだとされています。

 一方、南米に比較して、北米大陸での三畳紀後期の恐竜の化石記録は乏しく、コエロフィシス(Coelophysis bauri) とタワ(Tawa hallae)が記載されているのみです。

 このあたり、高代謝がアダに/三畳紀後期の低緯度で恐竜が少なかった理由(2015年6月)で大陸図を示していますが、北米も南米も、パンゲア大陸の一部であり、陸続きだったのですが、北米大陸はより低緯度で、恐竜には厳しい環境だったようです。

 今回、テキサス西部にある三畳紀後期の地層(Dockum Group )で発見された新種の新獣脚類が記載されています。

 北米大陸からの、三畳紀後期の恐竜としては、3種目になりますね。

 学名は、Lepidus praecisio (レピドゥス・プラエシシオ)で、"Lepidus"と" praecisio"は、それぞれラテン語で"魅惑的な"と"断片的な"という意味です。

 系統的には、最古の新獣脚類のひとつとされ、コエロフィソイデア(Coelophysoidea、コエロフィシス上科)の位置づけです。

 図は、初期の獣脚類の系統関係(Sterling J. Nesbitt and Martín D. Ezcurra, 2015)。Coelophysis bauri と近縁ですね。

 なお、この図では、最も基盤的な獣脚類は、スタウリコサウルス(Staurikosaurus pricei)と、ヘレラサウルス(Herrerasaurus ischigualastensis)です。

 Santa Maria 層でで発見されたスタウリコサウルスについては、三畳紀の恐竜、「鎖骨リング」で組立(2012年12月)で紹介しています。

 また、エオラプトル(Eoraptor lunensis)は、獣脚類の外群で、獣脚類はありません。このあたりは、基盤的竜脚形類、エオラプトルの骨学(2013年10月)で紹介しています。  


Lepidus.jpg
 
 見つかっているのは、脛骨と腓骨の遠位端からなる関節した足首部分と、完全な距骨踵骨(astragalocalcaneum)です。    

 同じ地域からは、このタクソンのものと思われる大腿骨や上顎骨も見つかっているそうです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Sterling J. Nesbitt and Martín D. Ezcurra (2015) 
  4. The early fossil record of dinosaurs in North America: A new neotheropod from the base of the Upper Triassic Dockum Group of Texas. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00143.2014
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  シノサウルス(Sinosaurus triassicus) の鼻先には、2枚のトサカがあるのですが、戦いに使うには強度が弱いとされてきました。

 今回、有限要素解析(FEA)により、その機械的強度について分析した論文が報告されています。

 シノサウルスは、シノサウルスの脳函(2015年1月)で紹介していますが、中国雲南省にあるジュラ紀前期の地層( Lufeng Formation)で発見された基盤的獣脚類です。

 複数のモデルに基づくコンピューター解析結果から、トサカは効果的に荷重ストレスを分散できず、高負荷には耐えられなかったとされています。

 ということは、ディスプレイとしての効果が大きかったのでしょうね。



  1. References:
  2.  
  3. XING Lida, WANG Yikun, Eric SNIVELY, ZHANG Jianping, DONG Zhiming, Michael E. BURNS & Philip J. CURRIE (2015) 
  4. Model-Based Identification of Mechanical Characteristics of Sinosaurus (Theropoda) Crests. 
  5. Acta Geologica Sinica 89(1): 1-11
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 南米大陸北部、ベネズエラで新種の獣脚類化石が見つかり、記載されています。ベネズエラで2番めの恐竜化石ですね。

 三畳紀末の大量絶滅から50万年後/ベネズエラ初の恐竜(2014年8月)で紹介したのと同じ、ジュラ紀前期早期の地層( La Quinta Formation )です。

 最初の恐竜は、初期鳥盤類でしたが、今回は獣脚類です。もっとも、ホロタイプは脛骨のみです。    

  発見された地名にちなみ、Tachiraptor admirabilis と命名され、系統的には、獣脚類のクレード、 Averostra (アヴェロストラ)の姉妹群とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Max C. Langer, Ascanio D. Rincón, Jahandar Ramezani, Andrés Solórzano, Oliver W. M. Rauhut, 2014 
  4. New dinosaur (Theropoda, stem-Averostra) from the earliest Jurassic of the La Quinta formation, Venezuelan Andes 
  5. Royal Society Open Science, Published 8 October 2014 
  6. DOI: 10.1098/rsos.140184
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 昨日の4翼羽毛恐竜チャンギュラプトル、尾羽や後肢の羽毛に注目がいきがちですが、興味深いのは、前肢、特に筋肉ですね。

 つまり、力強い羽ばたきができたのかどうかで、飛行機能や様式、その進化が明らかになります。

 そのためには、筋肉組織の理解が必要ですが、化石として残らないこともあってか、前肢の筋学についてはほとんど知られていないそうです。 

 そもそも恐竜の筋肉の復元、現生種を参考にするのでしょうが、どこまで科学的なのか、誤差はどの程度なのかなど、疑問が残ります。

 今回、現生鳥類やクロコダイルなど、幅広い現生種の筋肉を、統計的なフレームワーク(robust statistical framework)という方法で分析し、Tawa hallae(タワ・ハラエ)の前肢の筋学を解析した論文報告されています。

 タワは、ニューメキシコ州にある三畳紀後期の地層で発見された基盤的獣脚類で、三畳紀の堀り出し物、ダエモノサウルス(2011年4月)で、系統関係を示していますが、コエロフィシスよりはエオラプトルに近い位置です。


 これまでの解析との比較では、基盤的獣脚類の肩の筋肉組織は、ドロマエオロウリダエよりは、基盤的な鳥盤類や竜脚形類により類似しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Sara H. Burch (2014) 
  4. Complete forelimb myology of the basal theropod dinosaur Tawa hallae based on a novel robust muscle reconstruction method. 
  5. Journal of Anatomy (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/joa.12216
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 恐竜の卵化石は、各地で発見されていますが、卵と恐竜(胚)が関連付けられた例は、そう多くはありません。

 特に、鳥類以外の竜盤類では、竜脚形類のマッソスポンディルスとコエルロサウリア類の系統だけで、基盤的な獣脚類では知られていないそうです。

 今回、メガロサウルス類のトルボサウルス(Torvosaurus)のものとされる卵殻と胚が報告されています。今のところ、唯一の明確な基盤的獣脚類の胚とされています。

 非常に多孔質で孔が多く、卵を地中に埋めていた可能性が高いと、ナショジオ(日本語)が紹介しています。


 ポルトガル西部にあるジュラ紀後期の地層(Lourinhã Formation)の河川堆積層で発見された化石です。   

 今までのギャップを埋める発見で、竜盤類の卵殻の共有派生形質である単一の卵殻膜と針状形態を残しながら、ユニークな卵殻形態を持つとされています。  

 ちなみに、後期の獣脚類や現生鳥類では、外殻は2-3層になるそうです。


  1. References:
  2.  
  3. Ricardo Araújo, Rui Castanhinha, Rui M. S. Martins, Octávio Mateus, Christophe Hendrickx, F. Beckmann, N. Schell & L. C. Alves (2013) 
  4. Filling the gaps of dinosaur eggshell phylogeny: Late Jurassic Theropod clutch with embryos from Portugal. 
  5. Scientific Reports 3 : Article number: 1924 
  6. doi:10.1038/srep01924
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 1980年代に採掘された三畳紀の岩から、思わぬ"掘り出し物"の化石が見つかっています。その名も、ダエモノサウルス・カウリオドゥスです。

 ニューメキシコ州にある三畳紀後期(約2億500万年前)の地層(Chinle Formation)で発見された基盤的獣脚類が記載されています。

 ナショジオPhysorg などが紹介しています。2億3000万年前のへケラサウルス類やエオラプトルと、コエロフィシスなどの新獣脚類(Neotheropoda)のミッシングリンクを埋めるとされています。

 具体的には、脊椎内に呼吸器系とつながった空洞があることなどがあげられています。


 また、初期の恐竜が南米以外で発見されたことから、初期の放散がより広い範囲に及んでいたとされています。

 

 1980年代初頭に、ゴーストランチのコエロフィシス採石場(Coelophysis Quarry)で採掘された岩から、頭部などが発見されたもの。コエロフィシスが発見されたことで有名な場所です。 

 学名は、Daemonosaurus chauliodus の予定です。属名は、ゴーストランチで見つかったことから、 "demon reptile(悪霊の爬虫類)"の意味で、種小名は"prominent toothed(突き出た歯)"の意味。

 関連獣脚類からの推定体長は1.5メートルで、頭部は14センチほどで、鼻先が短く、学名が示すように、カーブした上顎歯と前上顎歯が突き出ています。

 

 下はその頭部(左側面)。長い歯が見えています。CREDIT: © Smithsonian's National Museum of Natural History.

 

Daemonosaurus_skull.jpg 

 系統的には、新獣脚類(Neotheropoda)の外群で、へケラサウルス類やエオラプトルより、コエロフィシスなどの同時代の新獣脚類に近いとされています。

 2009年に同じゴーストランチで発見された Tawa hallae と新獣脚類からなるクレードの姉妹群に位置づけられています。

 最近、竜脚形類とされたエオラプトルとの関係も気になりますね。  

 図で、赤い部分が、Daemonosaurus chauliodus 。黒い部分は化石が発見された時代を示しています。系統的には、中間的な位置づけですが、化石が発見された時代は、そうではありません。

 

Daimonosaurus_evolution.jpg                                                                                                                              Hans-Dieter Sues et al, 2011

 

 下の図は頭部骨格の復元図。眼窩が大きいですね。 

 

Daemonosaurus_skull_2.jpg                                           Hans-Dieter Sues et al, 2011

 

 下の図は復元イメージ。 Credit:© Jeffrey Martz.

 こういうイメージは、色や羽毛の模様、うろこ、耳の形状などに化石証拠がなく、芸術的な要素が多くなります。

 首の下にあるのは、米国の25セント(Quarter)で、直径は24.26 mm 。なじみの薄い硬貨を比較に出されても、北米以外の人には実感しにくいですね。

 

 

daemonosaurus_skull.jpg 

 

 

 

  References:

  1. Hans-Dieter Sues, Sterling J. Nesbitt, David S Berman, and Amy C. Henrici, 2011
  2. A late-surviving basal theropod dinosaur from the latest Triassic of North America
  3. Proc. R. Soc. B published online before print April 13, 2011
  4. doi:10.1098/rspb.2011.0410
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原始的な新種の獣脚類

 ニューメキシコ州にある三畳紀後期(約2億1400万年前)の地層で発見された原始的な獣脚類が、Science(12/11号)に記載されています。  

 初期の恐竜は、現在の南米大陸あたりで生まれ、鳥盤類と竜脚形類、獣脚類の3系統に分岐し、地球全体に広がっていったのではないかと考えられています。 University of Texas at Austin が伝えています。


  1. References:
  2.  
  3. A Complete Skeleton of a Late Triassic Saurischian and the Early Evolution of Dinosaurs 
  4. Sterling J. Nesbitt et al. 
  5. Science, 326(5959), p.1530 - 1533, 2009


 2004年に最初に発見され、今までに、ほぼ完全な骨格が発見されています。Tawa hallae と命名されています。  

 幼体で推定体長は2メートルほど、骨盤にヘレラサウルスにある原始的な特徴を持つ一方で、獣脚類の特徴である背骨の気嚢などの派生的な特徴も併せ持つそうです。
 
 気嚢が確認された最古の恐竜とされています。  

 逆に、ヘレラサウルスが持つ獣脚類的な特徴は独自に進化したものではなく、ヘレラサウルスは間違いなく獣脚類とし、獣脚類の系統に引き入れています。
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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