テタヌラエの最新ニュース

 アウストラロヴェナトル(Australovenator wintonensis )は、オーストラリアで発見された最も完全な獣脚類化石です。

 白亜紀前期(セノマニアン、約9500万年前)のウィントン層(Winton Formation)で発見された中型のメガラプトリダエ(メガラプトル科)で、アウストラロヴェナトルの新しい標本(2012年7月)でも紹介しています。

 今回、ホロタイプ標本で新たに発見された右歯骨について報告されています。ほぼ完全で、目に見える歯は15本あるそうです。

 2009年に記載されながら、ホロタイプ標本で発見というのは奇妙ですが、ホロタイプは、まだクリーニング途中のようです。そのため、論文では、系統的な解析もなされていません。


 図は、CTスキャンデータを元にした右歯骨の内部構造(Matt A. White, wt al., 2015)。

 水色は、次の歯である歯芽(germ tooth 、図のGT)です。 控えの歯は1本しかないようですね。

 また、紫の部分(LRP)は、舌面吸収窩(lingual resorption pit)で、骨吸収で生じるくぼみです。


Australovenator.jpg

 また、ホロタイプが発見された場所や同じ地層で見つかっている獣脚類の遊離歯についても考察しています。  

 アウストラロヴェナトルと他の遊離歯は、すべての他の獣脚類の歯とは異なるとされています。  

 これらの歯の解析から、ほぼ同時期の他のゴンドワナとは対照的に、ウィントン層では、メガラプトリダエは支配的な捕食者だった示唆しています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Matt A. White, Phil R. Bell, Alex G. Cook, Stephen F. Poropat & David A. Elliott (2015) 
  4. The dentary of Australovenator wintonensis (Theropoda, Megaraptoridae); implications for megaraptorid dentition. 
  5. PeerJ 3:e1512 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1512
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 羽毛でおおわれた獣脚類でも、足元はウロコで復元されます。それは、脚鞘(podotheca)という現生鳥類で見られる角質のウロコ(軟組織)です。 

 脚鞘は、獣脚類全体で存在した考えられていますが、その起源が明確ではありませんでした。

 今回、Concavenator corcovatus (コンカベナトル)で見出された非鳥類型恐竜では初めてとされる(podotheca)について報告されています。

 コンカベナトルについては、腰にコブのあるカルカロドントサウルス類(2010年11月)で紹介していますが、背中にコブのあるテタヌラ類です。

 足底として残された皮膚印象パターンは、鳥類の脚鞘の印象に似ているとされています。

 なお、基盤的なコエルロサウルス類では初めての脚鞘(2013年11月)で、Aniksosaurus darwini (アニクソサウルス・ダーウィニィ)での例を紹介していますが、これはどう評価されているのでしょうね。

 

  1. References:
  2.  
  3. Elena Cuesta, Ignacio Díaz-Martínez, Francisco Ortega & José L. Sanz (2015) 
  4. Did all theropods have chicken-like feet? First evidence of a non-avian dinosaur podotheca. 
  5. Cretaceous Research 56: 53-59 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.03.008
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 必ずしも「獣脚類=肉食」ではなくて、植物食も珍しくはありません。そもそもクレード名は単なる記号に過ぎず、「獣」や「哺乳」は、その特徴を示すわけではありません。

 植物食の獣脚類としては、オルニトミモサウリア、テリジノサウリア、オヴィラプトロサウリアが知られています。いずれも白亜紀で、植物食は複数の系統で独立して進化したようです。

 今回、チリ南部にあるジュラ紀後期(Tithonian、約1億4500万年前)の地層(Toqui Formation)で発見された植物食の獣脚類が記載されています。

 基盤的テタヌラエ(tetanurae、テタヌラ類)で、学名は、Chilesaurus diegosuarezi(チレサウルス・ディエゴスアレチ)です。
 属名はチリに、種小名は化石を発見した当時7歳の少年にちなんでいます。

 図は時間を加味した系統関係(Fernando E. Novas et al., 2015)。チレサウルスは中央です。植物食の系統は、緑で示されています。

 従来の植物食獣脚類は、鳥類に近い系統でしたが、今回は、より基盤的な位置で、植物食という特徴は、はかなり以前でも獲得されていたようです。

 なお、恐竜と鳥の指の問題を解くケラトサウリア(2009年6月)で、植物食の獣脚類、リムサウルス(Limusaurus inextricabilis)を紹介していますが、今回の図には含まれていません。ジュラ紀後期のケラトサウリアで、クチバシがあります。


 
  Chilesaurus.jpg
 チレサウルスは、チリで発見されたジュラ紀の恐竜としては、初めての完全な化石とされています。  成長段階の異なる複数の標本が見つかっており、成体の推定体長は、3メートルほどとされています。  

 モザイク的に複数の系統の特徴を合わせ持ち、平たい葉のような歯の形状から、完全に植物食だったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Fernando E. Novas, Leonardo Salgado, Manuel Suárez, Federico L. Agnolín, Martín D. Ezcurra, Nicolás R. Chimento, Rita de la Cruz, Marcelo P. Isasi, Alexander O. Vargas & David Rubilar-Rogers (2015) 
  4. An enigmatic plant-eating theropod from the Late Jurassic period of Chile. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature14307
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 「恐竜から鳥類へ5000万年かけ小型化・・・、1億6300万年前の鳥類の祖先は800グラム未満・・・」、などと先週末にニュースになりました。

 そんな小さな恐竜がいたのか、と思われた方もおられると思いますが、これは鳥類へと続くステム系統という計算上の獣脚類で、実在してはいません。

 今回紹介する論文は、ベイズ理論に基づくアプローチで、獣脚類の1549の解剖学的特徴を解析し、そのサイズの変化と骨格の変化速度を推測したもの。

 その結果、1億6300万年前の鳥類(Avialae)の出現の約5000万年前から、鳥類へ続くステム系統(Bird stem lineage)の獣脚類は継続して小型化していたとされています。

 図で、縦軸に時間を考慮した獣脚類の分岐図を示しています(Michael S. Y. Lee, et al, 2014)。系統のステム(幹)にあたる図に示した赤いベルトの位置が、鳥類へ続くステム系統です。

 つまり、それぞれの系統で、分岐点(ノード)に位置する仮想の祖先が小型化していたのであって、そこから派生する実在した全ての獣脚類が小型化していたわけではありません。実際、図において、赤線の系統は小型化し、青線の系統は逆に、大型化しています。


mini-a.jpg

 ポイントは、もうひとつあります。その鳥類へと続く系統では、他の系統の4倍のスピードで多くの系統が誕生していたのです。小型化が、進化を促進していたとされています。

 鳥類は、その全ての特徴を、始祖鳥あたりで突然出現させたわけではありません・・・、と述べましたが(長い尾羽を持つ4翼の羽毛恐竜・チャンギュラプトル/遼寧省(2014年7月)参照)、始祖鳥の5000万年も前から小型化とそれに伴う進化を進めていたのですね。

 次の図は、鳥類へと続くステム系統の恐竜の大たい骨長(Y軸左)と体重(Y軸右)と、時間軸です。●や△はノード(系統の分岐点)を示しています(Michael S. Y. Lee, et al, 2014)。  

 約2億年(1億9800万年)前から、12以上の連続するノードで、いずれも祖先より小さくなっており、継続的で不可逆な小型化が生じています。 

  約2億年前といえば、テタヌラエが出現したあたりです。そして、1億7400万年前のネオテタヌラエや、1億7000万年前のマニラプトラが出現したあたりから、急速に小型化しています。  

 なお、鳥類の誕生は、1億6300万年前とされています。  また、これらの系統では、他の恐竜より4倍早く、骨格の適応が進化していたとされています。  

mini-b.jpg

 最初の図の時間軸を考慮した分岐図に示されるように、鳥類へと続くステム系統で、テタヌラエあたりから分岐した多くの系統を表現するために、分岐図はより水平になっています。  

 つまり、比較的短期間に多くの系統が誕生したということになります。ただし、何がそうさせたのかは、不明です。  

 鳥類のステム系統にそった明確で長期にわたる小型化により、鳥類へと続く多くの新種の進化が容易になったと考えられています。  

 それには、体重バランスの再配分や飛行能力の上達、小さい鼻と大きくなった目と脳という幼形進化の頭蓋骨などが含まれています。



  1. References:
  2.  
  3. Michael S. Y. Lee, Andrea Cau, Darren Naish, and Gareth J. Dyke (2014) 
  4. Sustained miniaturization and anatomical innovation in the dinosaurian ancestors of birds. 
  5. Science 345(6196): 562-566 
  6. DOI: 10.1126/science.1252243 
  7.  
  8. Commentary 
  9. Michael J. Benton (2014) How birds became birds. 
  10. Science 345(6196): 508-509 
  11. DOI: 10.1126/science.1257633
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 ミステリアスな恐竜とは言っても、自然科学的に、その姿や生態に謎が多い場合と、歴史小説のように、その発見の経緯といった人の関わる部分が面白い場合があります。

 最初は大きな腕だけで、謎の多い恐竜とされていたデイノケルス(Deinocheirus mirificus)の場合は、その両方でしょうか。

 今回、未発見だった頭骨が、ヨーロッパで見つかり、ウランバートルの博物館で展示されるそうです。NewScientist が紹介しています。

 デイノケイルスの新標本(2013年4月)で紹介していますが、昨年、脊椎中央部などの新たな標本も報告されています。

 残された胃石から植物食ではないかとされていますが、歯の解析などで、その食性がより明確になることでしょう。


 今回、ヨーロッパの個人的なコレクションで発見されたもの。その頭部は、韓国・モンゴルチームが2006年に発見したデイノケルスのボディと完全に一致するそうです。  

 モンゴルからどのようにヨーロッパに渡ったのか不明ですが、盗まれたもののようです。外見は、ハドロサウルスとガリミムスの中間のようだと伝えられています。
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 ポルトガルにあるジュラ紀後期の ローリンハ層(Lourinhã Formation)は、さまざまな恐竜化石を産出することから、北米のモリソン層に似ているとされています。

 かつて、ローリンハ層で発見され、モリソン層でも見つかっている Torvosaurus tanneri とされていた標本を再解析した結果、新種の Torvosaurus gurneyi とする論文が報告されています。

 メガロサウルス類(Megalosauridae )の系統で、推定全長(尾を含めた長さ)は10メートル、体重は4-5トンとされています。

 ポルトガルのローリンハ層では最大の獣脚類で、ジュラ紀最大のプレデターの一種で、ヨーロッパで最大の陸上プレデターとされています。

 ヨーロッパと北米での近縁種の存在から、ジュラ紀後期には既に原始大西洋が形成され、イベリアメセタ(Iberian Meseta)では、分断分布が生じていたと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Christophe Hendrickx & Octávio Mateus (2014) 
  4. Torvosaurus gurneyi n. sp., the Largest Terrestrial Predator from Europe, and a Proposed Terminology of the Maxilla Anatomy in Nonavian Theropods. 
  5. PLoS ONE 9(3): e88905. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0088905
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 Torvosaurus tanneri (トルボサウルス・タンネリ)といえば、1979年に記載された、ジュラ紀後期のメガロサウルス類です。

 今回、今から114年前に発見されていた標本が、博物館で新たに見つかり、報告されています。

 今まで知られていないパーツもあるのですが、すでに多くの化石が見つかっており、全体的な復元や系統的な位置などに変更はないようです。


 記載される80年前の1899年に、フィールド自然史博物館のエルマー・リグス( Elmer Riggs)によりワイオミングで発見され、同博物館に保管されていたもの。  

 まだ知られていない指骨を含む左足と右手のパーツがあり、初めての歯を含まない標本とされています。


  1. References:
  2.  
  3. Michael Hanson & Peter J. Makovicky (2013) 
  4. A new specimen of Torvosaurus tanneri originally collected by Elmer Riggs. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2013.853056
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 モロッコにある白亜紀中期の地層で発見され、1996年に記載された獣脚類、 Sigilmassasaurus brevicollis について、再記載されています。 

 系統的には、カルカロドントサウリダエではなくて、テタヌラ類に含まれるとしています。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. Bradley McFeeters, Michael J. Ryan, Sanja Hinic-Frlog & Claudia Schröder-Adams (2013) 
  4. A reevaluation of Sigilmassasaurus brevicollis (Dinosauria) from the Cretaceous of Morocco. 
  5. Canadian Journal of Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1139/cjes-2012-0129
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初の非鳥類型獣脚類/チェコ

 チェコでは初めてとなる非鳥類型獣脚類化石について、報告されています。全文が読めます。
 
 ジュラ紀後期(Oxfordian)の地層で発見された歯の化石で、大学の地質科学研究所に、爬虫類の"Teleosaurus"として保管されていたそうです。

 当時、ヨーロッパで豊富にいた基盤的なテタヌラエではないかとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Daniel Madzia (2013) 
  4. The first non-avian theropod from the Czech Republic. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0111
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最大級のトルボサウルス

 ポルトガルにあるジュラ紀(約1億5000万-1億4500万年前)の地層で発見された最大級のトルボサウルスの化石が Lourinha Museumに展示されています。

 2003年7月に10歳の子供が見つけたもので、頭蓋骨の長さは158センチもあるそうです。
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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