コエルロサウルス類の最新ニュース

1歳未満の新種記載/中国

 未成熟な亜成体の標本のみから新種記載したり、系統関係を類推することは、後に問題が生じる場合があります。個体発生的な、成長に伴う変化を種の特徴ととらえる場合があるためです。

 今回、中国北東部、新疆ウイグル自治区にあるジュラ紀後期の地層で発見されたコエルロサウリア(コエルロサウルス類)が記載されていますが、組織学的な分析からは、一歳未満の幼体とされています。

 系統的には、コエルロサウリアの基盤的な位置づけですが、成体の標本などの発見によって、変更があるかもしれませんね。

 頭蓋骨や下顎骨などが発見されており、推定体長は1メートルほど。 学名は Aorun zhaoi と命名されています。属名は、「西遊記」に出てくる西海竜王に由来しています。


 Shishugou Formation からは、7つ目の獣脚類で、同地層からは最古のコエルロサウリアとされ、世界で最もジュラ紀の多様なコエルロサウリアを産出する動物相の一つとされています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Jonah N. Choiniere, James M. Clark, Catherine A. Forster, Mark A. Norell, David A. Eberth, Gregory M. Erickson, Hongjun Chu & Xing Xu (2013) 
  4. A juvenile specimen of a new coelurosaur (Dinosauria: Theropoda) from the Middle-Late Jurassic Shishugou Formation of Xinjiang, People's Republic of China. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2013.781067



 現生の植物食脊椎動物では、体重を増やし大きな消化器官を持つことは、消化効率をあげるための戦略の一つです。 

 しかし、植物食の獣脚類については、体重を増やすほうが優位といった一定の方向性のある進化(方向性進化)はみられないとする論文が報告されています。いまのところ、全文が読めます。

 植物食の獣脚類にとって、大きくなることは必ずしもベストな選択ではなかったようです。Newswise.が紹介しています。


 論文では、コエルロサウルス類のうち、非鳥類型獣脚類の3つの主なサブクレード(オルニトミモサウルス類とテリジノサウルス類、オヴィラプトル類)について、平均体重の推移を解析しています。  

 その結果、時間と共に体重が増加していった一方で、系統的な方向性はなかったとされています。 つまり、体重を増やすほうがメリットがあり、その傾向が優位といった一定の方向性のある進化(方向性進化)の証拠は見られなかったとされています。    

 今回の結果は、現生動物で見られる、行動的、環境的な要因が、体重増加のメリットを減じる場合もあることと一致し、これは、植物食恐竜にも外挿できるかもしれないとしています。  

 すなわち、地質学的時間スケールで変化した行動や環境が、体重の変化に大きく影響したようです。


  1. References:
  2.  
  3. Lindsay E. Zanno & Peter J Makovicky (2012) [2013] 
  4. No evidence for directional evolution of body mass in herbivorous theropod dinosaurs. 
  5. Proceedings of the Royal Society B 280 (1751): 20122526 
  6. doi: 10.1098/rspb.2012.2526



 アルゼンチンにあるの白亜紀後期の地層(Candeleros Formation)で発見されたコエルロサウルス類が報告されています。 

 ネウケン盆地(Neuquén Basin)にある La Buitrera地区で発見された関節した1個体の後ろ足からの記載で、Alnashetri cerropoliciensis と命名されています。
 
 この地区から発見されている唯一の小型獣脚類、Buitreraptor とは明らかに異なるとされています。

 系統的には、アルヴァレスサウルス類ではないかとされ、とすると、同類としては、アルゼンチンでは最古とされています。 ネウケン盆地には、白亜紀後期をとおして、アルヴァレスサウルス類がいたと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Peter J. Makovicky, Sebastián Apesteguía, and Federico A. Gianechini (2012) 
  4. A New Coelurosaurian Theropod from the La Buitrera Fossil Locality of Río Negro, Argentina. 
  5. Fieldiana Life and Earth Sciences Number 5 :90-98 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.3158/2158-5520-5.1.90



北米大陸初の羽毛恐竜

 カナダにある白亜紀後期の地層で発見された北米大陸初の羽毛恐竜化石が、北大博物館の小林さんらにより、報告されています。

 アルバータ州にある約7500万年前の地層で発見されたオルニトミムスの、成長段階の異なる3体の化石で、体の周囲に羽毛の痕跡があるそうです。

  カルガリー大日経によると、成長してから翼が形成されたとされ、羽毛は飛行のためではなく、繁殖行動のためだったと伝えています。

 ロイヤルティレル博物館(pdf)も紹介しています。11月9日から、同博物館で展示される予定です。

 マニラプトル以外の系統からの羽毛の発見です。3体は、それぞれ1歳未満の幼体と、5歳と10歳程度の成体だと推定されています。

 1歳と5歳の化石では、繊維状の羽毛の痕跡が胴体などに、10歳の化石では、前肢にあったとされています。
 
 今までの発見は、湖などの静かな泥岩堆積環境からの発見でしたが、今回の砂岩からの発見で、河川環境でも保存されることを示しています。



  1. References:
  2.  
  3. Darla K. Zelenitsky, François Therrien, Gregory M. Erickson, Christopher L. DeBuhr, Yoshitsugu Kobayashi, David A. Eberth, and Frank Hadfield (2012) 
  4. Feathered Non-Avian Dinosaurs from North America Provide Insight into Wing Origins. 
  5. Science 338(6106): 510-514 DOI: 
  6. 10.1126/science.1225376



 2つのシノカリオプテリクス(Sinocalliopteryx gigas)の標本の腹部から発見された化石について報告されています。アルバータ大の宮下君が共著者で、全文が読めます。

 シノカリオプテリクスは、遼寧省にある白亜紀前期の地層から発見された大型のコンプソグナトゥス類です。孔子鳥やドロマエオサウルス類の化石が見つかっており、卓越したステルスハンターだったのではないかとされています。

 孔子鳥は樹上性だったとされ、それを捕食する恐竜も樹上性とする説もあります。とすれば、シノカリオプテリクスも樹上性だったのでしょうか。ちなみに、復元イラストは、地上を走っています。

 
 ひとつはタイプ標本からで、腹部から見つかっていた化石は、ドロマエオサウルス類の足の化石とされています。

 また、新たに発見された標本からは、少なくとも2羽の原始的鳥類、孔子鳥(Confuciusornis sanctus)の化石と胃酸で溶かされた鳥盤類の化石がみつかつているそうです。

 ハンターだったのかスカベンジャーなのかは不明ですが、2羽の消化状態がほぼ同じことから、すばやく連続して食べられたと思われ、卓越したステルス(忍びの)ハンターだったのではないかとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Phil R. Bell, W. Scott Persons, Shuan Ji, Tetsuto Miyashita, Michael E. Burns, Qiang Ji & Philip J. Currie (2012) 
  4. Abdominal Contents from Two Large Early Cretaceous Compsognathids (Dinosauria: Theropoda) Demonstrate Feeding on Confuciusornithids and Dromaeosaurids. 
  5. PLoS ONE 7(8): e44012. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0044012



  ユタ州にある白亜紀前期の地層で発見された新種のテリジノサウルス類(Therizinosauroidea)が記載されています。 全文が読めます。

 脊椎や肩甲骨、手足に坐骨の化石が見つかっており、関節した状態ではないのですが、1個体の化石ではないかとされています。

  同じ地層から発見されているテリジノサウルス類、 Falcarius utahensis とは異なり、Martharaptor greenriverensis と命名されています。

 属名は、化石サイトの共同発見者であり、25年にわたりユタ州の古生物学者のアシスタントとして仕えた Martha Hayden にちなんでいます。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Phil Senter, James I. Kirkland & Donald D. DeBlieux (2012) 
  4. Martharaptor greenriverensis, a New Theropod Dinosaur from the Lower Cretaceous of Utah. 
  5. PLoS ONE 7(8): e43911. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0043911



 パタゴニアにある白亜紀後期(約9000万年前)の地層で発見された獣脚類、Bicentenaria argentinaが記載されています。  

 6月にパタゴニアの新種恐竜で紹介しました。ただし、ネットにまだ要旨などはありません。体長が2.5-3メートルの、コエルロサウリアのようです。



  1. References:
  2.  
  3. ?Novas, F.E., Ezcurra, M.D., Agnolín, F.L., Pol, D. and Ortíz, R. (2012). 
  4. New Patagonian Cretaceous theropod sheds light about the early radiation of Coelurosauria. 
  5. Revista del Museo Argentino de Ciencias Naturales, nueva serie, 14: 57-81.



 南アフリカにある白亜紀前期の地層で発見され2000年に記載された Nqwebasaurus thwazi についての新たな知見が報告されています。

 ホロタイプをあらためてクリーニングし、新たな化石を見出したそうです。歯が減っており、胃石を持つことから、植物食だったことを強く示唆するとされています。  

 系統的には、基盤的なオルニトミモサウルス類としています。 同類としては、アフリカから初めての発見で、また、関節した標本としてはゴンドワナからも初めての発見とされています。 
 このことから、コエルロサウルス類は、進化の初期段階では、どこにでもいたコスモポリタンな恐竜だったと考えられていいます。



  1. References:
  2.  
  3. Jonah N. Choiniere, Catherine A. Forster & William J. de Klerk (2012) 
  4. New information on Nqwebasaurus thwazi, a coelurosaurian theropod from the Early Cretaceous (Hauteriverian?) Kirkwood Formation in South Africa. 
  5. Journal of African Earth Sciences (advance online publication)



 ギガントラプトル(Gigantoraptor erlianensis)の化石が、国土資源部化石保護リスト (Ministry of Land and Resources' list of fossils for protection)に入ったそうです。 

 最終的に400種ほどになる動物化石で、初めての恐竜化石とされています。Xinhuaが紹介しています。 

 内モンゴル自治区にある約8500万年前の地層から、2005年に発見された化石で、推定体長は8メートルとされています。 もっとも、推定年齢は11歳で、成長すればより大きくなったと考えられています。 

 さらなる研究には国の保護が重要ありますが、具体的にどのような研究がされるのかは不明です。



スキピオニクスの解剖学

 イタリアにある白亜紀後期の地層で発見されたコンプソグナトゥス類(Compsognathidae)、スキピオニクス(Scipionyx samniticus )について詳細に分析した論文が報告されています。

 Corriere della Seraに、ビデオや映像がありますがイタリア語です。

 非常に保存状態が良く、内臓の痕跡が残ることで有名な化石で、イタリアでは初めての恐竜化石でもあります。

 約1億1000万年前とされ、新生児のような("neonate-like" )特徴から、年齢は3週間未満としています。

 繊維組織や血管、腸内細菌の痕も残され、未消化の食べたものも残されているそうです。

 

 下の図は、全身骨格図と未消化の食べたものの位置。トカゲや魚を食べていたようです。 出典は、Corriere della Sera です。

 

 

Scipionyx samniticus.jpg

 

  

  1. References:
  2.  
  3. Cristiano Dal Sasso & Simone Maganuco, 2011,
  4. Scipionyx samniticus (Theropoda: Compsognathidae) from the Lower Cretaceous of Italy Osteology
  5. MEMORIE XXXVII-1. p.282 



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年5月

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