ティラノサウルス類の最新ニュース

 ユタ州中東部にあるカンパニアン後期の地層で発見されたティラノサウルス類化石が報告されています。

 カンパニアン後期、アルバータやモンタナ、ユタ州南部などでは、恐竜化石はよく知られていますが、ワイオミングやユタ州中東部では極めて稀だそうです。

 これは、この時期、ユタ州の北部と南部の間には、生物地理学的な境界があったためとされています。

 今回見つかったのは、部分的な足の化石で、共有派生形質から、Tyrannosauridae としています。Mesaverde 層群からは初めてのティラノサウルス類とされています。

 また、ティラノサウルス類において、北部型(モンタナやアルバータ)と南部型(ユタ州南部とニューメキシコ)を識別する形態的証拠を見出したとしています。

 今回の標本は、北部型とされ、生物地理学的境界が南寄りだったか、北方から移ってきたタイプではないかと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Tracy J. Thomson, Randall B. Irmis & Mark A. Loewen (2013) 
  4. First occurrence of a tyrannosaurid dinosaur from the Mesaverde Group (Neslen Formation) of Utah: Implications for upper Campanian Laramidian biogeography. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.02.006,



 白亜紀後期のティラノサウルス類、Alioramus altai (アリオラムス・アルタイ)の脳函についての報告があります。AMNH でも紹介される予定です。

 高分解能CTを使って、詳細に解析したもの。ティラノサウロイデア( Tyrannosauroidea)における多くの神経解剖学的な変化を解明したとされています。

 また、最近、修正されているティラノサウロイデアの系統で用いられる頭部神経系(neurocranium)の21の特徴について議論を展開しています。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. ?Gabe S. Bever, Stephen L. Brusatte, Thomas D. Carr, Xing Xu, Amy M. Balanoff, Mark A. Norell (2013) 
  4. The Braincase Anatomy of the Late Cretaceous Dinosaur Alioramus (Theropoda: Tyrannosauroidea). 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History 376 :1-72 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1206/810.1



 中国南部江西省にある白亜紀後期の地層で発見された化石が、ティラノサウルス類ではないかとされています。  

 化石網などが、頭部化石などの写真と共に伝えています。ただ、ニュース記事のみで詳細は不明です。  

 歯槽を持つ1メートルほどの頭部など、全体の約80%が残されているそうです。
 



 カザフスタンにある白亜紀後期の地層で発見されたティラノサウルス類(tyrannosaurine)の歯骨化石について報告されています。 中央アジアで初めての tyrannosaurine とされています。

 1950年に発見された化石で、論文のタイトルは"忘れ去られた恐竜"で、全文が読めます。派生的な tyrannosaurine と考えられています。 
 

  1. References:
  2.  
  3. A.O. Averianov, H.-D. Sues and P.A. Tleuberdina (2012) 
  4. The forgotten dinosaurs of Zhetysu (Eastern Kazakhstan; Late Cretaceous). 
  5. Proceedings of the Zoological Institute RAS 316 (2): 139-147



 ニューヨークのオークションで落札されたタルボサウルスの全身骨格について、モンゴル政府とオークション会社とが共同で、化石の出所と所有権を調べることに合意したそうです。

 ペインター法律事務所(PAINTER LAW FIRM )が紹介していますが、Tyrannosaurus bataar となっていますね。

 モンゴルにある白亜紀末の地層で発見されたとされる化石で、全長は7.3メートルほど、全体の約75%が残されているそうです。  

 モンゴルの大統領が販売差し止めの訴えを起こしていましたが、ヘリテージがオークションを強行し、$105万ほどで落札されたもの。

 今回の調査で、モンゴルで発掘され、違法に持ち出されたことが明確になれば、返還されるのでしょう。逆に、モンゴル以外での発見となれば、大きな発見ですね。



 デイノケイルス(Deinocheirus mirificus)の腹肋骨(gastralia)から、タルボサウルスがかんだ痕が見つかったと報告されています。
 
 デイノケイルスは、モンゴルにある白亜紀後期のネメグト層で発見され、2.4メートルもある大きな腕の骨だけが見つかっているオルニトミモサウルス類です。

 今回、ホロタイプが発掘された場所からの断片的な化石を調べ、噛んだ痕(平行な条痕とみぞ)を見つけたもの。 

 鋸歯痕は幅広いU字型で、直径0.5mmほど。当時、このような痕をつけたのは、タルボサウルスではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Bell, Currie & Lee (2012) 
  4. Tyrannosaur feeding traces on Deinocheirus (Theropoda:?Ornithomimosauria) remains from the Nemegt Formation (Late Cretaceous), Mongolia. 
  5. Cretaceous Research, Available online 25 April 2012
  6. doi:10.1016/j.cretres.2012.03.018



 昨日の羽毛構造を持つ大型ティラノサウルス類、Yutyrannus huali ユウティラヌス・フアリ )の続報です。  

 顔の中央部に、グアンロン(Guankong)のように、かなり含気性で穴の多いトサカを持っているのが特徴です。  

 前肢の指が3本あるなど、系統的には、基盤的ティラノサウロイデアとされていますが、比較的ティラノサウリダエに近いとされています。 

 羽毛について、白亜紀前期(Barrmian - Albian 初期)、遼寧省あたりは比較的寒く、羽毛は保温のためとも考えられています。  

 ただ、大型種での羽毛構造の発見がY. huali に限られることから、ディスプレイの可能性も示唆されています。  


 図は、単純化したクラドグラムに、自体を当てはめたもの (Xing Xu  et al., 2012)
 白亜紀前期なのに比較的大型なのがわかります。似たような時代の地層が、日本にもありますから、足跡が残されているかもしれませんね。

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 3体見つかっていますが、いずれにも繊維状の羽毛構造が残されています。 単純な繊維状の羽毛で、首のあたりは、20センチ以上、上腕骨は16センチ以上と長めです。

 今まで、鳥類以外で羽毛証拠のある大型恐竜は、ベイピアオサウルス(Beipiaosaurus)で、体重はY. huali (推定体重1414Kg)の40分の1程度とされています。  

 このような大型種で羽毛が残されている理由として、2つ考えられています。  

 ひとつは、哺乳類では、巨大化すると、毛がなくなっていく傾向ですが、ティラノサウルス類では必ずしもそうでなかったという可能性です。  

 なお、白亜紀前期の中国から、4属のティラノサウルス類が発見されていますが、Raptorex kriegsteini は疑問とされています。  


 もうひとつは、白亜紀前期(Barrmian - Albian 初期)、遼寧省あたりは比較的寒く、保温のため、Y. huali に羽毛があったという考えです。  
 その年間平均気温は、10℃とされています。同緯度の他の地域は18℃はあったそうです。  

 ただ、大型種での羽毛構造の発見がY. huali に限られることから、羽毛は、最初はディスプレイ構造として機能した可能性も示唆されています。




 遼寧省にある白亜紀前期(約1億2000万年前)の地層から、全身が羽毛に覆われた大型の基盤的ティラノサウルス類化石が発見され、記載されています。

 学名は、Yutyrannus huali (ユウティラヌス・フアリ)で、「美しい羽毛を持つ王」という意味です。

 ほぼ完全な3体の化石が見つかり、そのうち大きいものは体長9メートルとされています。残りは若い個体です。 著者の一人、Lida Xingの Xinglida.net に全文があります。

 首や尾などから長い繊維状の羽毛化石が見つかり、大型のティラノサウルス類からの羽毛発見は初めてで、体温維持やディスプレイに役立っていたのではないかとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Xing Xu, Kebai Wang, Ke Zhang, Qingyu Ma, Lida Xing, Corwin Sullivan, Dongyu Hu, Shuqing Cheng & Shuo Wang 
  4. A gigantic feathered dinosaur from the Lower Cretaceous of China 
  5. Nature 484, 92-95 (05 April 2012) 
  6. doi:10.1038/nature10906



 モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見された、ティラノサウルス類(Tyrannosaurid)、Alioramus altai(アリオラムス・アルタイ)のタイプ標本の骨学について報告されています。 

 若い個体で、比較的小型です。鼻先が長く、細長い顔つきなどの特徴があります。 同じ場所(Tsaagan Khuushu)からは、タルボサウルスも発見されており、当時、大型ティラノサウルス類が棲み分けていたようです。 

  ネメグト層(Maastrichtian)で完全な骨格が発見され、2009年に記載された Alioramus altai の詳細についての報告です。タイプ標本は若い個体で、別種の A. remotus との違いは、成長段階の違いではないかとされています。

  成体が見つかっていないことから、同時代に同じ場所から産出するのタルボサウルスの亜成体とする説もあるようです。 しかし、タルボサウルスは大型でがっしりしており、サイズを考慮しても、形態が異なる関連種としています。 

  鼻先が長く、細長い顔つきなどの特徴から、筋肉の付き具合などを考慮すると、成体の大型ティラノサウルス類に特徴的な、"強く噛んで引っ張る(puncture-pull)"といった食餌スタイルは、この若い個体では取れなかったようです。 

 成体の食餌様式については、成体化石の発見が待たれています。


  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Thomas D. Carr, and Mark A. Norell (2012) 
  4. The Osteology of Alioramus, A Gracile and Long-Snouted Tyrannosaurid (Dinosauria: Theropoda) from the Late Cretaceous of Mongolia. 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History:1-197. 2012 doi: 10.1206/770.1



 T.rex の噛む力は、陸上動物の中で最大だったとする論文が報告されています。  

 T.rex については、ハンターとスカベンジャー説の論争がありますが、噛む力が大きいことから、ハンター説を支持するような結果とAFPBBは伝えています。  

 3次元筋肉骨格モデル(dynamic musculoskeletal model)を使い、頭蓋骨を再現し、あごの筋肉の力を測定したもの。  

 その結果、1本の後方歯による噛む力は、3.5-5.7万N(3600-5800kgf)とされ、最大で6トン近くもの力がかかることとなり、陸上動物で最大とされています。 
 これは、成長とともに相対的に増大したとされています。



  1. References:
  2.  
  3. K. T. Bates and P. L. Falkingham, 2012 
  4. Estimating maximum bite performance in Tyrannosaurus rex using multi-body dynamics 
  5. Biology Published online before print February 29, 2012
  6. doi: 10.1098/rsbl.2012.0056



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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