パラベス(Paraves)の最新ニュース

 ウズベキスタンにあるキジルクム(Kyzylkum)砂漠にある白亜紀後期の2つの地域からは、今まで3種のトロオドンチダエ(科)が知られています。 

 砂漠の南西部にある白亜紀後期(セノマニアン)の地層(Khodzhakul Formation)からは、遊離した鋸歯のある歯と、未確定なトロオドンチダエの頭部移行の化石が見つかっています。

 砂漠中央部からは、セノマニアンのジャラクドク層(Dzharakuduk Formation)で発見された Urbacodon itemirensis (ウルバコドン・イテミレンシス)と、チューロニアンの ビッセクティ層(Bissekty Formation)で見つかった Urbacodon sp.の歯が報告されています。

 ウルバコドンは、左歯骨のみからの記載であり、歯には鋸歯が無く、前上顎歯の断面がD型であるという点で、モンゴル産のByronosaurus(ビロノサウルス)や Gobivenator (ゴビヴェナトル)、河南省産のXixiasaurus (キシキシアサウルス)に似ています。
 
 セレーションの無い新種のトロオドンチダエ(2010年)では、これらの鋸歯が無いアジアのトロオドンチダエは、まとめてひとつのクレードを形成するとされていましたが、今回の系統解析からはそこまでには至っていないようです。
 



  1. References:
  2.  
  3. Alexander Averianov & Hans-Dieter Sues (2016) [2015) 
  4. Troodontidae (Dinosauria: Theropoda) from the Upper Cretaceous of Uzbekistan. 
  5. Cretaceous Research 59: 98-110 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.11.005
----------  コメント(0)



 カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期(カンパニアン後期)の地層(Wapiti Formation)で発見されたドロマエオサウリダエ(科)が記載されています。

 パキリノサウルスのボーンベッド/カナダ(2015年5月)などで紹介していますが、この地層は、北緯65度にある、かつての古海岸線から450km以上は内陸にある地層です。

 この時期、西部内部陸海によって水に浸かっていただけに、陸上の地層は重要とされています。

 Boreonykus certekorum (ボレオニクス・セルテコラム)と命名され、属名は「北の爪」の意味。しかし、"ニクス"の語尾は、アルヴァレスサウリダエのようで、混乱しそうですね。

 系統的には、真ドロマエオサウリア(eudromaeosauria)の、おそらく、ヴェロキラプトリナエ(Velociraptorinae、亜科)ではないかとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Phil R. Bell & Philip J. Currie (2015) A high-latitude dromaeosaurid, Boreonykus certekorum, gen. et sp. nov. (Theropoda), from the upper Campanian Wapiti Formation, west-central Alberta. 
  4. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  5. DOI:10.1080/02724634.2015.1034359
----------  コメント(0)



 デイノニコサウリアは、発達した第2指のカギ爪を持ち上げて歩いたため、通常、足跡は2本指です。

 今回、中国で発見された3本指のデイノニコサウリアの足跡化石について報告されています。化石網(中国語)に化石の写真があります。

 同じ恐竜による2本指と3本指が残されており、3本指の方は、Velociraptorichnus 属の新種、V. zhangiと命名されています。  同一恐竜の足跡化石でも、その形態の違いによって、別の学名がつくのですね。

 こういう3本指は、習慣というより例外と考えられています。

 
 中国四川省にある白亜紀前期の地層(Xiaoba Formation)にある新しい足跡化石産地( Mujiaowu tracksite)で発見されたもの。  

 Velociraptorichnus 属の足跡化石では、世界で11番目の報告とされ、うち7つがアジア、そのうち5つが中国からです。  

 3本指なのは、特殊な地盤だったのか、カギヅメを引っ込めにくかったのかが原因しているようです。





  1. References:
  2.  
  3. Li-Da Xing, Martin G. Lockley, Geng Yang, Xing Xu, Jun Cao, Hendrik Klein, W. Scott Persons Iv, Hong-Jiang Shen & Xiao-Min Zheng (2015) 
  4. Unusual deinonychosaurian track morphology (Velociraptorichnus zhangi n. ichnosp.) from the Lower Cretaceous Xiaoba Formation, Sichuan Province, China. 
  5. Palaeoworld (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.palwor.2015.04.004
----------  コメント(0)



 "ラプトル"の名で知られる、ほとんどのドロマエオサウリダエ(Dromaeosauridae、科)は、比較的小型から中型の獣脚類です。

 デイノニコサウリア(Deinonychosauria)の系統であり、鳥類へと進化したアヴィアラエ(Avialae)とは、既にジュラ紀後期に分岐している(分岐図 )のですが、小型化と羽毛は、この系統でも空へとチャレンジしていたようように思えます。

 一方、小数ですが、先祖返りしたような大型種も知られています。「大型」の基準があいまいですが、論文では、4種とあります。推定全長を5メートル超に絞ると、2種ですね。

 今回、ユタ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)のヘル・クリーク層から、推定全長5.5メートルほどの大型種が発見・記載され、Dakotaraptor steini (ダコタラプトル・ステイニ)と命名されています。

 ヘルクリーク層には、小型のマニラプトラと大型のティラノサウリダエがいたわけですが、ダコタラプトルは、そのギャップを埋めるボディサイズです。

 系統的には、ヘル・クリーク層でもっとありふれたドロマエオサウリダエ、(Dromaeosaurus albertensis)の姉妹群とされ、両者からなる群がユタラプトル(Utahraptor ostrommaysorum )の姉妹群の位置づけです。

 ユタラプトルは、ユタ州にある白亜紀前期(バレミアン、約1億2500万年前)の地層(Cedar Mountain Formation)で発見されており、系統的には近いのですが、時代はずいぶん違います。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起(quill knob)があり、前肢に長い羽毛があった証拠とされています。

 しかし、飛べそうにはない大型種であり、ディスプレイか、二次的に飛ばなくなった羽根の名残りとも考えられます。

 また、大腿骨が脛骨より短めで、そのプロポーションから、走るスピードは速く、大きなカギツメなどとあいまって、手ごわいプレデターだったようです。

 図は、ホロタイプ(PBMNH.P.10.113.T)からの復元骨格。右上は見つかっている部分で、その他は、他の近縁種からの推定です。

Dakotaraptor steini.jpg

 論文はカンザス大が発行するオンライン専用のオープンアクセスの雑誌です。  

 論文で示されている4種の大型ドロマエオサウリダエは以下のとおり。推定全長はWikipedia などから。全長1.5メートルのブイトレラプトルは大型といえるのかどうか、微妙です。


  1. Buitreraptor gonzalezorum (ブイトレラプトル、南米、白亜紀後期、全長1.5メートル)
  2. Deinonychus antirrhopus (デイノニクス、北米、白亜紀前期、推定全長3.4メートル)
  3. Achillobator giganticus (アキロバトル、モンゴル、白亜紀後期、全長5から6メートル)
  4. Utahraptor ostrommaysorum (ユタラプトル、北米、白亜紀前期、全長7メートル)
 
 なお、ユタラプトルの種小名、記載論文ではostrommaysi でしたが、複数形に改められています。  

 図は、ドロマエオサウリダエの分岐図(Robert A. DePalma et al., 2015)。5種の大型種は赤線で示しています。 


Dakotaraptor steini-2.jpg

 今回の標本は、2005年に四肢や尾の一部が発見されたもの。歯などは別の場所から見つかっています。同時に、サウロルニトレステス(Saurornitholestes)やアケロラプトル(Acheroraptor)といった他のドロマエオサウレダエの標本も見つかっています。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起があります。羽軸突起は、腰にコブのあるカルカロドントサウルス類(2010年9月)で紹介していますが、飛ぶことができる現生鳥類にみられ、次列風切羽が、靭帯により骨に固定されていた時の小さな突起です。  

 大型のドロマエオサウリダエでも、ユタラプトルは大腿骨:脛骨比が1:1で、中足骨は短く、がっしりした骨格あり、獲物を追いかけるプレデターとしての能力は劣っていたようです。  

 一方、ダコタサウルスの大腿骨は脛骨より17%短く、小型種に比べて相対的に中足骨は長めです。よりスピードが出せそうなプロポーションだったわけですね。


 


  1. References:
  2. Robert A. DePalma, David A. Burnham, Larry D. Martin†,Peter L. Larson and Robert T. Bakker (2015) 
  3. The first giant raptor (Theropoda: Dromaeosauridae) from the Hell Creek Formation. 
  4. Paleontological Contributions 14 (16 pp.) PDF 
  5. URI: http://hdl.handle.net/1808/18764
----------  コメント(0)



 恐竜はどんな色をしていたのか、古色(palaeo-colours)は再現できるのか、これは最も興味のあるテーマの一つです。

 初めての恐竜の全身の体色の再現としては、初の体全体の色の再現(2010年2月)で、Anchiornis huxleyi (アンキオルニス・ハックスレイ)の全身の羽毛の色について紹介しています。

 メラニンを作り出すメラノソーム化石の分布パターンから推定したものです。なお、アンキオルニスは、始祖鳥より古い時代の羽毛恐竜で、パラベス(Paraves)の系統ですが鳥類ではありません。

 一方、メラノソームとする化石は、細菌由来だとする説もあります。このあたり、メラノソームか微生物か/羽毛化石の微小体(2014年3月)で紹介しています。

 そもそも、メラニンやメラノソームは総称であり、いったい何が見つかっているのか、色素(有機物)や微小器官(タンパク質)そのものなのか、その痕跡(化石)なのか、はっきりしておくことが必要です。

 今回、アンキオルニスの新しい標本の羽毛化石から、確実なメラニン(ユーメラニン)そのものと、メラノソーム(ユーメラノソーム)の印象化石が見つかったとする報告があります。

 ほぼ細胞レベルでのイメージニングと化学分析であり、羽毛化石に、メラノソーム(ユーメラノソーム)とその中にあるメラニン(ユーメラニン)が保存されている確実な証拠だとされています。

 図は、ユーメラニンの赤外吸収スペクトルの比較(Lindgren, J. et al., 2015)。

 トサカ(forecrown)の羽毛のユーメラニンは、天然のユーメラニンに類似しており、色素の有機構造自体が残されていたことになります。 ただし、ポリマーなのか、吸収スペクトルはブロードで、細かい吸収からなる特徴がはっきり出ているわけではありませんね。

 もっとも、爬虫類と恐竜の皮膚の色(2014年1月)で紹介しているように、たとえ色素が残っていたとしても、実際の体色は複数の色素の組み合わせによって微妙に変化します。なので、最終的な体の色は、まだまだアートの世界ですね。

 今回見つかったのは、ユーメラニンとそれを作り出すユーメラノソームなので、アンキオルニスは黒褐色系の色を呈していたようですね。
 なお、鳥類からのユーメラニンは、甘粛鳥化石から、ユーメラニンそのものの証拠(2011年10月)で紹介しています。



IR_Anchiornis.jpg

 羽毛の色には、メラニンやカロチノイドなどが関与します。  

 メラニンは、動植物の体内で生成される色素(化学物質)の一種です。

 メラニンには、主に、黒褐色系のユーメラニン(eumelanin、真性メラニン)と、橙赤色系のフェオメラニン(pheomelanin、亜メラニン)があり、それぞれのメラニンを作り出す細胞内器官であるメラノソームは、ユーメラノソーム(eumelanosome)、フェオメラノソーム(pheomelanosome)です。  

 今回は、遼寧省にあるジュラ紀中期から後期にかけての地層(Tiaojishan Formation)で発見された新しい標本(YFGP-T5199)に残された14枚の羽毛化石を調べたもの。  

 電顕や飛行時間型質量分析(TOF-SIM)、顕微赤外分光などによる解析を行っています。  

 その結果、メラニン色素の一種で、黒色系のユーメラニン(真性メラニン)を見出し、そのサイズや形状、分布などは、細菌細胞とは異なり、微生物の分裂を示す連続的な鎖状態を示していないとされています。  

 また、ユーメラノソームは、棒状の微小体の印象型として残り、こちらは、ユーメララノソームそのものではなくて、残遺物化石(remnant)です。  

 さらに、羽毛ケラチンに類似した繊維状構造も観察されています。  ケラチンのタンパク質成分は検出されていませんが、ユーメラニンと、ミネラルの置換によるリン酸カルシウムからなる繊維状の微細組織が見出されています。  

 なお、今回のメラノソームは、細長い形状が特徴的とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Lindgren, J. et al., 2015 
  4. Molecular composition and ultrastructure of Jurassic paravian feathers. 
  5. Sci. Rep. 5, 13520; 
  6. doi: 10.1038/srep13520
----------  コメント(0)



 レーザー励起蛍光法( Laser-stimulated fluorescence 、LSF)の紹介と、その方法で化石標本を調べた論文が報告されています。カンザス大が紹介しています。

 その中で、ミクロラプトル(Microraptor gui)の標本(IVPP V13320)を調べた例が報告されています。IVPP V13320は、2003年の記載論文にありますが、ホロタイプではなく参照標本です。

 レーザー光照射では、強膜輪や前上顎骨の基部の蛍光が、他の近位の部分より明るいなど、近位と遠位で、蛍光に劇的な差が見られるとされています。

 この色の違いは化石化の違いに関連し、このことから、この頭部は合成化石(composite fossil)の可能性があるとされています。 まさに、2つの"顔"ですね。

 更に詳しくは、シンクロトロン高速走査蛍光X線(SRS-XRF)などで調べる必要があるとのことです。

 合成化石といえば、1999年にナショジオ誌を飾った"Archaeoraptor liaoningensis" が有名ですね。 

 こちらは、Microraptor zhaoianus (ミクロラプトル・ザオイアヌス)と鳥類のYanornis martini(ヤノルニス・マルティニ)の合成化石とされ、それぞれ、2000年と2001年に再記載されています。
 

 高出力のレーザー光を照射すると、歯や骨は周囲と異なる蛍光を発するため、容易に検出が可能になり、また、目では見えない細部まで明らかになります。  

 持ち運びができて、従来の紫外線による蛍光発色より鮮明なのが特徴で、また、多数の微化石の自動選別装置も示されています。  

 ミクロラプトルの標本(IVPP V13320)の例では、標本自体に微妙な色の違いが見られるのですが、白色光では特に異常は見られないとされています。  

 レーザー光による色の違いは、部分的に堆積環境やタフォノミー条件が変化したとも考えられるのですが、それはまれとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Thomas G. Kaye , Amanda R. Falk, Michael Pittman, Paul C. Sereno, Larry D. Martin, David A. Burnham, Enpu Gong, Xing Xu & Yinan Wang (2015) 
  4. Laser-Stimulated Fluorescence in Paleontology.
  5. PLoS ONE 10(5): e0125923. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0125923
----------  コメント(0)



 Saurornitholestes (サウロルニトレステス)といえば、白亜紀後期のドロマエオサウリダエで、カンパニアン後期のDinosaur Park Formationで発見されたS. langstoni が記載されています。

 今回、ニューメキシコ州にある白亜紀後期(カンパニアン後期、約7300万年前)の地層(Kirtland Formation)で発見されたサウロルニトレステス属の新種が記載され、 S. sullivani と命名されています。

 白亜紀後期の南部ララミディアからは初めてのドロマエオサウリダエで、S. langstoni と比較して、前頭骨が異なり、地理的にも時間的にも違いがあるとされています。

 例えば、S. langstoniと比較して嗅球表面が大きいことから、より嗅覚が鋭かったとされ、獲物を襲うのに重要であったと考えられています。

 なお、サウロルニトレステスはトロオドンか(2014年6月)では、"Saurornitholestes robustus"は、トロオドン類とする論文を紹介しています。



  1. References:
  2.  
  3. Steven E. Jasinski (2015) 
  4. A new dromaeosaurid (THEROPODA: DROMAEOSAURIDAE) from the Late Cretaceous of New Mexico. 
  5. in Sullivan, R.M. and Lucas, S.G., eds. Fossil Record 4. New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin 67: 79-88
----------  コメント(0)



初めての飛膜を持つ恐竜

 滑空や空への挑戦として、翼竜やコウモリ(哺乳類)のように、飛膜をもつ恐竜がいても不思議ではありません。

 哺乳類の発生初期では、水かきのような指間組織が存在するのですが、発生が進むに伴い、アポトーシスによって、消失します。

 しかし、コウモリでは、アポトーシスが抑制され、指間膜が形成されるそうです。(参考:コウモリ類における翼獲得についての新知見:筑波大)

 今回、恐竜としては初めて飛膜(membranous wing)を持つとされる恐竜化石が発見され、新種記載されています。

 翼竜やコウモリに似た構造とするニュースも多いようですが、いずれもメインの翼は指の骨が伸びた指間膜であり、今回の新種とは異なります。

 河北省にあるジュラ紀中期から後期の地層(Tiaojishan Formation )で発見された化石で、中国語で「変な翼」を意味するYi qi (イー・チー)と命名されています。

 図は骨格のシルエット(Xing Xu et al., 2015)。すべての骨格が見つかっているわけではありません。

 長い前肢の手首から、先端がゆるくカーブした細長い棒状の骨質の突起が伸びています。その突起と指の骨の間には、膜状の組織が一部残っており、ここには大きな飛膜があったのではないかとされています。

 ただ、飛膜を飛行や滑空に使うには、膜だけでなく、羽ばたく筋肉、重心の位置なども関与します。 それだけに、今回の発見だけからは、飛膜の飛行や滑空能力について疑問視する声もあります。




Yi qi.jpg

 系統的には、基盤的なパラベスで、スカンソリオプテリギダエ(Scansoriopterygidae、スカンソリオプテリクス科)の位置づけです。 

 姉妹群であったエピデンドロサウルス(Epidendrosaurus ninchengensis )とエヒデキシプテリクス(Epidexipteryx hui )に、さらに加わっています。  

 この仲間だけに、ハト程と小型で、手足はフィラメント状の羽毛でおおわれていましたが、羽毛は力強い飛行には使えなかったようです。  

 飛膜を使って羽ばたいたのか滑空したのかは不明ですが、恐竜たちは、いくつかの系統で、多様な方法を試みて、空へと挑戦していたようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Xing Xu, Xiaoting Zheng, Corwin Sullivan, Xiaoli Wang, Lida Xing, Yan Wang, Xiaomei Zhang, Jingmai K. O'Connor, Fucheng Zhang & Yanhong Pan (2015) 
  4. A bizarre Jurassic maniraptoran theropod with preserved evidence of membranous wings. 
  5. Nature (advance online publication)   全文(pdf)
  6. doi:10.1038/nature14423
----------  コメント(0)



 1歳から2歳とされるデイノニクス(Deinonychus antirrhopus )の標本について解析した論文が報告されています。
 
 目標は、このタクソンにおける成長に伴う個体発生的な変化を見極めること、ドロマエオサウリダエの亜成体、バンビラプトル(Bambiraptor feinbergorum)と比較することとされています。

 およそのボディサイズ、前肢の長さ、手首の進化、尺骨端により張り出した肘頭突起があることから、幼体が、何らかの飛行能力を持っていたのではないかと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. William L. Parsons & Kristen M. Parsons (2015) 
  4. Morphological Variations within the Ontogeny of Deinonychus antirrhopus (Theropoda, Dromaeosauridae). 
  5. PLoS ONE 10(4): e0121476. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0121476
----------  コメント(0)



リンヘラプトルは有効名

 2010年に記載されたLinheraptor exquisitus(リンヘラプトル・イクスクイシツス) は、内モンゴルにある白亜紀後期の地層(Wulansuhai Formation)で発見されたドロマエオサウリダエです。

 しかし、ドロマエオサウルス類の系統関係/ミクロラプトル・グイは無効名に(2012年9月)で紹介したように、最近の3論文では、モンゴルで発見されたTsagaan mangas(ツァガーン・マンガス)の主観的ジュニアシノニムとされています。

 主観的・・ということで、実際に標本を観察した考察ではないようです。

 今回、ホロタイプではプレパレーションされていなかった新しい部分の実際の観察から、それらに反論する論文が報告されています。61の形態的特徴、特に頭部の左側側面の特徴に基づき、両者は異なるとしています。

 リンヘラプトルは、ドロマエオサウリダエの中で、派生した骨格的特徴が複雑に存在しているいるとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. XU Xing, Michael PITTMAN, Corwin SULLIVAN, Jonah N. CHOINIERE, TAN Qing-Wei, James M. CLARK, Mark A. NORELL, WANG Shuo 
  4. The taxonomic status of the Late Cretaceous dromaeosaurid Linheraptor exquisitus and its implications for dromaeosaurid systematics. 
  5. Vertebrata PalAsiatica (advance online)
----------  コメント(0)



 ミクロラプトル(Microraptor zhaoianus)の保存状態のいい新標本(BMNHC PH881)が報告されています。

 新標本とはいっても、先に、羽毛関係について、玉虫色に輝く羽根/ミクロラプトル(2012年3月)で紹介した標本です。

 この標本は、ガストラリア(gastralia)と、肋骨にある鈎状突起(uncinate processes)がよく保存されています。

 今回の標本から、非鳥類型マニラプトラにおいて、鈎状突起は、ガストラリアの横や腹部の動きと連動し、鳥類のような呼吸メカニズムを容易にするための仕組みを作り出していたとされています。

 ミクロラプトルの鈎状突起とガストラリアバスケットの形態は孔子鳥に似ており、これら飛行した仲間は、呼吸をサポートする似たようなメカニズムを共有していたとも考えられています。


 なお、ガストラリアは、腹側にある一連の骨で、腹肋骨と訳されますが、肋骨ではありません。そのあたり、プラテオサウルスのガストラリアの機能(2014年3月)て紹介しています。鳥類にはガストラリアはありません。

 鈎状突起は、恐竜はペンギンのように呼吸した(2007年11月)で紹介していますが、獣脚類や鳥類に見られ、呼吸時に肋骨と胸骨を動かすレバーの役目を果たしているとされています。


 頭部や胸郭、ガストラリア、上腕骨といった以前の標本では無いか、保存状態が良くなかった部分形態がよくわかる標本です。  

 今回の標本で示された新たな形質からも、ミクロラプトルが、以前からいわれているように、基盤的なドロマエオサウリダエ( Dromaeosauridae)のメンバーであることを裏付けるとされています。  

 また、ドロマエオサウリダエがトロオドンティタエと近い関係を示すとされています。  

 なお、2012年5月に、ミクロラプトルの新種で紹介したMicroraptor hanqingi ですが、この坐骨や恥骨の違いは、保存状態か成長による変化とされ、Microraptor zhaoianus のジュニア・シノニム(新参異名)とされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Rui Pei, Quanguo Li, Qingjin Meng, Ke-Qin Gao, and Mark A. Norell (2014) A New Specimen of Microraptor (Theropoda: Dromaeosauridae) from the Lower Cretaceous of Western Liaoning, China. American Museum Novitates Number 3821: 1-28 doi: http://dx.doi.org/10.1206/3821.1
----------  コメント(0)



 始祖鳥や小型獣脚類などでは、弓なりに反り返った後弓反張(opisthotonus)状態での化石が見つかっています。

 今回、シノサウロプテリクス(中華竜鳥)の尾では、この現象が3段階で生じるとする論文が報告されています。

 最近、熱河生物相の化石群は、火山の噴火による火砕流で一気に埋もれたことによるとする仮説があリます。 今回の標本は、赤茶色の色とともに、この仮説に照らしても妥当とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Theagarten Lingham-Soliar (2014) 
  4. Three stages of post mortem opisthotonus uniquely captured in the dinosaur Sinosauropteryx
  5. Journal of Ornithology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s10336-014-1123-z
----------  コメント(0)



 部分的な脳函から記載されたためか、小型の獣脚類、Itemirus medullaris (イテミルス・メデュラリス)については、系統的な位置が議論になっていました。

 今回、ドロマエオサウリダエを支持する論文が報告されています。チューロニアンの時期、中央アジアには、鳥類へとつながる系統が生息していたとされています。


 現在のウズベキスタンにある白亜紀後期の地層(Bissekty Formation)で発見されたもの。

 追加で、保存状態のよい頭部や歯、脊椎などの化石が見つかっています。




  1. References:
  2.  
  3. Hans-Dieter Sues & Alexander Averianov (2014) 
  4. Dromaeosauridae (Dinosauria: Theropoda) from the Bissekty Formation (Upper Cretaceous: Turonian) of Uzbekistan and the phylogenetic position of Itemirus medullaris Kurzanov, 1976. 
  5. Cretaceous Research 51: 225-240 DOI: 10.1016/j.cretres.2014.06.007
----------  コメント(0)



 "Saurornitholestes robustus" (サウロルニトレステス・ロブスタス)は、ドロマエオサウルス類ではなくて、トロオドン類とする報告があります。
  
 カナダ・アルバータ州にある白亜紀の地層( Kirtland Formation)で発見されたホロタイプを再解析したもの。

 その結果、前頭骨にはドロマエオサウルス類の特徴が見られず、トロオドン固有の特徴が数点見られるとしています。


 

  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans, Derek William Larson, Thomas Michael Cullen & Robert M Sullivan (2014) 
  4. 'Saurornitholestes' robustus is a troodontid (Dinosauria: Theropoda). 
  5. Canadian Journal of Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1139/cjes-2014-0073
----------  コメント(0)



 角竜のフリルやステゴサウルスのプレートなど、恐竜は、とても奇妙な構造をしている仲間が多くいます。

 これらは、ドロマエオサウルスが背中に乗って、寄生的な攻撃から見を守るためとする論文が報告されています。 オープンアクセスです。 

 寄生的というくらいですから、一時的に背中に飛びのったというより、しばらく背中に棲んでいて、攻撃したということでしょうか。

 さらに、しばしば大型恐竜の背中から飛び降りたことが、羽毛や飛行の起源に結びついたとしています。

 しかし、こういう行動は化石証拠として残りにくく、科学的に検証できるのか、疑問もありますね。


 著者はブリティシュコロンビア大薬学系の所属で、根拠は、現生の動物の攻撃パターンなどからの推測です。  

 また、ドロマエオサウルス類の狭い吻部が長く伸びているのは、スパイクなどの間からでも、獲物の気管組織に届きやすくするためとも説明されています。

 しかし、明らかに体のサイズが異なる場合、せいぜいツメで傷を付ける程度で、ライオンがシマウマを倒すようにはいかず、致命傷になったかは疑問です。  



  1. References:
  2.  
  3. Garnet Fraser (2014) 
  4. "Bizarre Structures" Point to Dromaeosaurs as Parasites and a New Theory for the Origin of Avian Flight. 
  5. The Journal of Paleontological Sciences: JPS.C.2014.01 (pdf)
----------  コメント(0)



 鳥類などは、下アゴ以外の頭部の骨を動かすことができる頭蓋キネシス(cranial kinesis、頭部の運動性)という頭部構造を持っています。 哺乳類ではまれで、ヒトにはありません。

 今回、頭部は動かせないながら、頭蓋キネシスの前提となる特徴を既に獲得している、新種のトロオドン類化石が記載されています。
 モンゴルにある白亜紀後期(Campanian)の地層(Djadokhta Formation)で発見されたトロオドン類(Troodontidae、科)で、Wikipedia で紹介されています。

 系統的には、トロオドンなどからなるクレードの姉妹群とされています。属名が「モンゴルのハンター」を意味する Gobivenator mongoliensis (ゴビヴェナトル・モンゴリエンシス)と命名されています。

 白亜紀後期のこのクレードとしては、最も完全な骨格とされ、特に、頭蓋骨は見事に保存され、トロオドン類の口蓋の全体構成の詳細情報が得られるとされています。


 口蓋の全体的な形態は、ドロマエオサウルス類や始祖鳥の口蓋に似ており、このあたりは、基盤的なアヴィアラエに向かっていたようです。  

 口蓋構成から、ゴビヴェナトルの頭部の骨は動かせなかった(無動性)のですが、上翼状骨(epipterygoid )が消失し、口蓋骨の間の接触面積が減少するというように、既に鳥類の頭蓋キネシスが進化するのための前提となる特徴を獲得しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Takanobu Tsuihiji, Rinchen Barsbold, Mahito Watabe, Khishigjav Tsogtbaatar, Tsogtbaatar Chinzorig, Yoshito Fujiyama & Shigeru Suzuki (2014) 
  4. An exquisitely preserved troodontid theropod with new information on the palatal structure from the Upper Cretaceous of Mongolia. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-014-1143-9
----------  コメント(0)



ミクロラプトルの空力性能

 洗練された翼は不要/ミクロラプトルの空力性能(2013年9月)でも紹介しているように、ミクロラプトル(Microraptor gui)の復元モデルをつかって、その空気力学的特徴を調べる報告は何報かあります。

 今回も似たような報告があります。オープンアクセスです。 論文の左下のReader Comments にコメントがあり、始祖鳥にしろミクロラプトルにしろ、三列風切羽は持っていなかったという指摘があります。

 このようなモデルを使った風洞実験での飛行の解析はしばしば行われます。

 しかし、現生のハチドリの静止飛行のメカニズムでさえ、従来の力学的シミュレーションからは、自分の体重を維持するだけの揚力は得られないそうです。

 このあたり、生物規範工学(pdf、p.47)では、羽根の変形を考慮した面積変化翼モデルで、可能なことが示されています。

 ですから、翼を単純な一枚の羽根と考えるだけでは、十分な解析はできない気もしますね。



  1. References:
  2.  
  3. Dennis Evangelista, Griselda Cardona, Eric Guenther-Gleason, Tony Huynh, Austin Kwong, Dylan Marks, Neil Ray, Adrian Tisbe, Kyle Tse & Mimi Koehl (2014) 
  4. Aerodynamic Characteristics of a Feathered Dinosaur Measured Using Physical Models. Effects of Form on Static Stability and Control Effectiveness. 
  5. PLoS ONE 9(1): e85203. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0085203
----------  コメント(0)



 北米大陸の白亜紀末の地層から発見されるドロマエオサウルス類といえば、遊離した歯など、たいした化石が見つかっていないそうです。

 今回、モンタナにある白亜紀後期末(マーストリヒチアン)のヘルクリーク層で発見された、新種のドロマエオサウルス類が記載されています。

 北米よりもアジアの系統に近く、当時、両大陸間で複雑な交流があったと考えられています。


 保存状態の良い、歯列が残された、ほぼ完全な上顎骨が見つかったもので、学名は、Acheroraptor temertyorum(アケロラプトル・テメルチョラム)です。  

 ドロマエオサウルス類(dromaeosauridae、かつての科)は、ドロマエオサウリナエ(Dromaeosaurinae、亜科 )とヴェロキラプトリナエ(velociraptorinae、亜科)の2系統に分岐します。    

 アケロラプトルは、基盤的なヴェロキラプトリナエの位置づけで、アジアの系統に近いことから、白亜紀後期当時、アジアと北米で、複数の双方向の動物相の交流があったと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans, Derek W. Larson & Philip J. Currie (2013)
  4. A new dromaeosaurid (Dinosauria: Theropoda) with Asian affinities from the latest Cretaceous of North America. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-013-1107-5
----------  コメント(0)



 正羽を持っていたとされる小型の羽毛恐竜、Yixianosaurus longimanus(イシャノサウルス・ロンギマヌス)ですが、その系統的な位置づけについては、議論があります。

 イシャノサウルス再解析(2012年4月)で紹介しましたが、2003年に記載された時は、派生的なマニラプトル類でしたが、十分な系統解析はされてはいませんでした。

 その後、2012年に別の研究者により、基盤的マニラプトル類とされていました。 始祖鳥より、原始的な位置ですね。

 今回、最初に記載した徐星らが、基盤的なマニラプトル類ではなくて、基盤的なパラベス(paraves)と反論しています。オープンアクセスです。


 イシャノサウルスは、遼寧省にある白亜紀前期の地層で発見された羽毛恐竜で、種小名のlongimanus(長い手の意味)が示すように、上腕骨より1.4倍長い手を持っています。  

 今回の再解析では、基盤的なパラベスで、おそらく、デイノニコサウリア(deinonychosauria)ではないかとされています。ミクロラプトルなどともに、多分岐な位置づけです。    

 基盤的マニラプトル類とする仮説によると、多くの骨にあるパラベスの特徴が、収斂進化した特徴となってしまうとしています。  

 今回の位置づけは、正羽を持っていたことと矛盾しないとしています。基盤的マニラプトル類の段階で正羽を持っていたとすると、驚きとしています。



  1. References:
  2.  
  3. XU Xing, Corwin SULLIVAN & WANG Shuo (2013) 
  4. The systematic position of the enigmatic theropod dinosaur Yixianosaurus longimanus. 
  5. Vertebrata PalAsiatica 51(3): 169-183 (pdf)

----------  コメント(0)



 鳥類の空力性能を調べるのに、風洞実験はよく使われる方法ですが、ミクロラプトルでの実験が報告されています。Technorati にビデオがあります。 

 その結果、うまく滑空するのに、現生の鳥類のような洗練された非対称の翼は必要なかったとされています。まあ、滑空するだけなら、ムササビのような膜でもいいわけですからね。

 また、以前から、羽根や足の位置について議論されていますが、それらは、空力性能にはほとんど影響がなかったそうです。


 5枚羽根の実物大の模型を使って、風洞実験や飛行シミュレーション解析したもの。  

 その結果、滑空するときには、大きい抗力を受けるとしても、高い揚力係数の維持が最も効率的な戦略だったとされています。 抗力も大きいわけですから、揚抗比(揚力係数/抗力係数)は小さくなります。     

 今回の実験から、高い揚力係数は羽根の形態によるものではなく、ミクロラプトルは、効率的に滑空するために、洗練された"現代的な"翼の形態を必要としなかったとされています。  

 これは化石記録と一致し、また、最初に対称的な羽根が進化し、後に空力性能に適応したとする仮説とも一致するとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Gareth Dyke, Roeland de Kat, Colin Palmer, Jacques van der Kindere, Darren Naish & Bharathram 
  4. Ganapathisubramani (2013) Aerodynamic performance of the feathered dinosaur Microraptor and the evolution of feathered flight. 
  5. Nature Communications 4, Article number: 2489 
  6. doi:10.1038/ncomms3489
----------  コメント(0)



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2016年5月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アーカイブ


カテゴリ  ▼(広げる)▲(たたむ)