パラエイブス(Paraves)の最新ニュース

 トロオドンの卵殻の気孔率と水蒸気の透過性を調べ、マニラプトル類のふ卵戦略について考察した論文が報告されています。

 堆積物や植物に卵を完全に埋めたのか、部分的に埋めたのか、という2つの仮説を検証しています。

 北米の白亜紀後期の地層で発見された Troodon formosus の2つの卵殻の切片から、気孔率を調べ、水分透過率を推定したもの。 

 その結果、同様なサイズの鳥類の卵と比較して、卵殻の水蒸気透過率は、それぞれ、76%と97%としています。  

 低い透過率から、部分的に埋めて、トロオドンの親が温めたのではないかとされています。
 


  1. References:
  2.  
  3. David J. Varricchio , Frankie D. Jackson , Robert A. Jackson, and Darla K. Zelenitsky (2013) 
  4. Porosity and water vapor conductance of two Troodon formosus eggs: an assessment of incubation strategy in a maniraptoran dinosaur. 
  5. Paleobiology 39(2):278-296. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1666/11042



 ルーマニアにある白亜紀後期(7100万年-6600万年前)前の地層で発見されたドロマエオサウルス類、 Balaur bondoc (バラウル・ボンドック)について、アメリカ自然史博物館紀要に報告されています。 100ページもあり、フリーのpdf があります。

 2010年に記載され、第1指にも第2指と同じようなカギヅメがあるのが特徴です。当時のルーマニアは、多島海に浮かぶ島々で、特に"Hateg 島"と呼ばれるような島環境で矮小化したためか、2メートルほどと小型です。

 このモノグラフでは、ホロタイプの追加のプレパレーションにより、バラウルが、ヴェロキラプトルに近い、異様で、派生的なドロマエオサウルス類であるという更なる証拠を示しています。

 一方、白亜紀後期のローラシアにみられる派生的なドロマエオサウルス類にかなり近いとされ、島という環境で特殊に進化したのかどうか、議論されています。

 
 バラウルの特徴は、著しく変形した四肢骨格、ずんぐりと重い癒合した遠位の後肢、2セットある過伸展した足ヅメ、癒合し退縮した手です。  
 これらは、派生的なコエルロサウルス類には見られない特徴とされています。 

 また、別の場所から、ホロタイプより50%ほど大きい標本が見つかっているそうです。組織学的に、ホロタイプとこの標本は成熟した成体とされ、大きい標本は、Balaur sp.とされています。  

 系統的に、バラウルは、白亜紀後期のローラシアのタクサにかなり近い派生的なドロマエオサウルス類とさ れています。  

 このことから、ルーマニアの島における動物相が、長期間、地理的な固有性を保っていたという以前の仮説とは矛盾するとしています。  
 一方、特異な姿は、現生や最近絶滅した哺乳類に似ており、これは、"島効果"ではないかとの議論もあります。


 
  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Mátyás Vremir, Zoltán Csiki-Sava, Alan H. Turner, Akinobu Watanabe, Gregory M. Erickson, and Mark A. Norell (2013) 
  4. The Osteology of Balaur bondoc, an Island-Dwelling Dromaeosaurid (Dinosauria: Theropoda) from the Late Cretaceous of Romania. 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History Number 374 :1-100 
  6.  (AMNH(pdf)
  7. doi: http://dx.doi.org/10.1206/798.1



 遼寧省にあるジュラ紀の地層で発見された、前肢だけに羽毛を持つ新種の羽毛恐竜が記載されています。

 Tiaojishan Formation からの発見で、日経は1億6000万年前と紹介しています。

 全長約30センチ程と最小クラスの羽毛恐竜で、Eosinopteryx brevipenna (エオシノプテリクス)と命名されています。

 系統的には、基盤的なトロオドン類の位置づけで、同じ建昌県で発見されたアルキオルニス(Anchiornis)の姉妹群とされています。  

 アルキオルニスや他のドロマエオサウルス類に比べて後ろ足や尾の羽毛が少なく、飛ぶというより地面を走るのに適していたと考えれています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Pascal Godefroit, Helena Demuynck, Gareth Dyke, Dongyu Hu, François Escuillié & Philippe Claeys (2013) 
  4. Reduced plumage and flight ability of a new Jurassic paravian theropod from China 
  5. Nature Communications 4, Article number: 1394 
  6. doi:10.1038/ncomms2389



 ドロマエオサウルス類と翼竜のランフォリンクス類のユニークな尾の形態は、空中でのライフスタイルに適応したものとする論文が報告されています。

 まっすぐの伸びて固いとされたドロマエオサウルス類の尾は、横方向には、フレキシブルに動かせたようです。


 両者とも、尾にあるシェブロンや前脊椎関節突起から、尾のロッド(caudal rod)と呼ばれる細長い骨が尾の方向に平行に重なって伸びています。

 このことから、ドロマエオサウルス類は尾を真っすぐ伸ばした形で復元され、尾は固く、その動きは制限されていたとされています。

 しかし、最近では、よく関節し、3次元的に保存されたドロマエオサウルス類の尾の標本から、このロッドは、以前考えられていたように固くはなく、フレキシブルと考えられています。

 今回、ロッドの配列を断面で調べたところ、多数のロッドが重なることで、実質的に背腹方向には動きにくかったと考えられています。横方向や平面では、そうでもなかったようです。  

 両者の尾が非常によく類似しているのは、似たような行動や生体力学的な要因で進化したためと考えられています。


  1. References:
  2.  
  3. W. Scott Persons IV & Philip J. Currie (2012) 
  4. Dragon Tails: Convergent Caudal Morphology in Winged Archosaurs 
  5. Acta Geologica Sinica - English Edition 86 (6): 1402-1412 
  6. DOI: 10.1111/1755-6724.12009



 遼寧省にある白亜紀後期の地層から、ほとんど完全なMei long の関節した化石が発見され、報告されています。 全文が読めます。

 2番めの標本で、 ホロタイプに似た原生鳥類のような寝姿です。丸まった尾が首の下にあることや、手足が体の下にある点は共通していますが、ホロタイプとは正反対の鏡像関係の化石です。

 系統解析からは、前回同様、基盤的なトロオドン類とされています。幼体のような特長を示す2歳以上の小型の成体で、小型ながら、長年にわたって成長したようです。 

 同じトロオドン類のシノルニトイデス(Sinornithoides)のホロタイプと似たような姿で、体を丸めて表面積を小さくし体温低下を防いだのではないかとされています。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Chunling Gao, Eric M. Morschhauser, David J. Varricchio, Jinyuan Liu & Bo Zhao (2012) 
  4. A Second Soundly Sleeping Dragon: New Anatomical Details of the Chinese Troodontid Mei long with Implications for Phylogeny and Taphonomy. 
  5. PLoS ONE 7(9): e45203. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0045203



 ドロマエオサウルス類の系統学とパラアヴィアン類の系統関係についてのレビューが報告されています。 31種のドロマエオサウルス類のうち、26種が有効であるとしています。  

 学名としては、Linheraptor は、Tsagaan mangas に、Microraptor gui は、 M. zhaoianus に、Sinornithosaurus haoianaS. millenii になるとされています。  
 たとえば、ミクロラプトル・グイは、ミクロラプトルのタイプ種、ミクロラプトル・ザオイアヌスと同一種と考えられています。 

 また、Variraptor と Saurornitholestes robustus は疑問名とされています。 さらに、Jinfengopteryginae というクレードが提唱されています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Turner, A.H., P.J. Makovicky, and M.A. Norell. 2012. 
  4. A review of dromaeosaurid systematics and paravian phylogeny. 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History 371:1-206. 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1206/748.1



ミクロラプトルの新種

 中国遼寧省にある白亜紀前期の地層で発見されたミクロラプトル属の新種、Microraptor hanqingi が報告されています。

 体長1メートルほどと、最大のミクロラプトルで、シノルニトサウルスに近いとされています。 後ろ足の羽根を使っての滑空と飛行の関係が議論されているようですが、要旨からは詳細は不明です。

 ただ、この論文の著者は、鳥類は恐竜の子孫ではないと主張する人たちである BANDist とABSRDist とする話もあります。

 BANDは、"Birds Are Not Dinosaurs"の略で、ABSRDは、"Anything But a Small Running Dinosaur"の略です。
 



  1. References:
  2.  
  3. En-Pu Gong, Larry D. Martin, David A. Burnham, Amanda R. Falk & Lian-Hai Hou (2012) 
  4. A new species of Microraptor from the Jehol Biota of northeastern China. 
  5. Palaeoworld (advance online publication) 
  6. http://dx.doi.org/10.1016/j.palwor.2012.05.003



 ユタ州で発見された新種のドロマエオサウルス類が記載され、尾の進化について議論されています。  

 白亜紀前期の Cedar Mountain Formation からは、3つのドロマエオサウルス類の標本が見つかり、1つは、Yurgovuchia doellingi と命名されています。

 腰に近い尾椎にある下方にカーブした前脊椎関節突起(prezygapophyses)が伸長しているのですが、普通のドロマエオサウルス類ほどではないそうです。

 その点で、Utahraptor ostrommaysorum に似ており、系統的には、Utahraptor Achillobator からなるクレードとしています。

 前脊椎関節突起が中間的な長さであるからといって、このクレードが伸長する前の進化の先駆者というわけではなく、2次的に短くなったのだとされています。

 つまり、ドロマエオサウルス類の一部に、大きくなるにつれて尾がフレキシブルになっていった傾向があったと考えられています。

 イラストは、Yurgovuchia doellingi と比較用のイエネコ。白い部分が発見されている化石です。

Yurgovuchia doellingi-2.jpg

 


  1. References:
  2.  
  3. Senter, P., Kirkland, J.I., DeBlieux, D.D., Madsen, S. & Toth, N. (2012) 
  4. New Dromaeosaurids (Dinosauria: Theropoda) from the Lower Cretaceous of Utah, and the Evolution of the Dromaeosaurid Tail. 
  5. PLoS ONE 7(5): e36790. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0036790



 モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見され、Sauronithoides mongoliensis と(サウロルニトイデス・モンゴリエンシス)されていた化石が、新種として記載されています。 

 左後肢化石(IVPP V 10597)で、再調査したところ、 Linhevenator tani に近いとされています。内モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見され、2011年に記載された前肢の短いトロオドン類です。

 しかし、特徴が異なることから、新種とされ、Philovenator curriei と命名されています。最初にこの標本を論文にしたフィル・カリーにちなんだ学名です。属名には、"狩りの愛好家"の意味もあります。
 


  1. References:
  2.  
  3. XU Xing, ZHAO Qi, Corwin Sullivan, TAN Qing-wei, Martin SANDER & MA Qing-yu (2012) 
  4. THE TAXONOMY OF THE TROODONTID IVPP V 10597 RECONSIDERED. 
  5. Vertebrata PalAsiatica 50(2):140-150



 ミクロラプトルの羽毛は、光沢のある黒色系の羽毛で覆われていたのではないかとする論文が報告されています。 また、長い尾羽があり、玉虫色と合わせ、ディスプレイだったのではないかとされています。 

 ScienceNews やMSN産経などが紹介しています。ただ、黒一色のカラスのような復元には疑問がありますね。  

 確かに、爬虫類などと違い、鳥類やほ乳類のメラノサイト(色素細胞)には黒色系1種しかありません。しかし、産出されるメラニン(色素物質)には黒色系と黄色系の2種類あり、オレンジ系の羽毛も可能です。 

 さらに、構造色を利用すれば、青や緑色も可能ですから、ミクロラプトルの体色を忠実に再現するのは難しいでしょうね。  

 
 鳥類やほ乳類では、メラノサイト(色素細胞)内から、表皮や羽毛などにメラノソーム(色素顆粒)が運ばれ、そのメラノソーム内でメラニン(色素物質)が生合成されることで発色します。  

 この論文では、メラノソームの構造を調べ、現生鳥類と比較しています。 その結果、メラノソームは、端から端までシート上に細長く密に並んでいることがわかったそうです。  

 現生鳥類では、メラノソームの微細な配列構造により、羽毛が玉虫色に輝くことから、ミクロラプトルの羽毛も光沢のある黒い羽毛だったのではないかとされています。  また、一組の長い尾羽があったとされ、玉虫色と合わせ、ディスプレイだったのではないかとされています。  

 化石鳥類のメラノソームの分析については、始祖鳥の羽毛は黒かったとする論文が報告されています。  

 ただ、黒一色のカラスのような復元には疑問がありますね。   

 確かに、両生類や爬虫類には、赤系、黄色系、白系などの色素細胞がありますが、鳥類やほ乳類の色素細胞であるメラノサイトには、黒色系1種しかありまん。  

 しかし、最終的に産出される産出される色素物質・メラニンには、黒色系のユーメラニンと、黄色系のフェオメラニンがあり、これらの比率で、人種による毛髪の色の違いのように、ブロンドから黒色になります。  

 これらの色の違いは、メラノサイトの数や密度ではなく、メラニンを産生するメラノソームの数や大きさに関係します。  

 また、鳥類の場合、羽毛のケラチン繊維に運ばれる色素量やタイミングによって、色々な模様が発現されます。  

 さらに、クジャクのように、構造色を利用すれば、青や緑色の発色も可能です。ですから、ミクロラプトルなど、化石鳥類の体色を忠実に再現するのは難しいでしょうね。



  1. References:
  2.  
  3. Quanguo Li et al., 2012 
  4. Reconstruction of Microraptor and the Evolution of Iridescent Plumage 
  5. Science, 335 (6073), p. 1215-1219 
  6. DOI: 10.1126/science.1213780
  7.  



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年4月

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