鳥類の最新ニュース

 ほとんどの現生鳥類は成長が速く、1年以内に成体となります。

 しかし、それらの戦略がどのように進化したのか、多くの初期の化石鳥類が見つかっているにもかかわらず、 ほとんど知られていません。 

 今回、最も基盤的な真鳥形類(Ornithuromorpha)、Archaeorhynchus spathula(アーケオリンクス・スパチュラ)の新しい成体標本の長骨の組織学について評価した論文が報告されています。

 真鳥形類は、エナンティオルニスを除き、現生鳥類を含むクレードです。 

 アーケオリンクスは、遼寧省にある白亜紀前期の地層で発見され、2006年に記載されています。クチバシや砂嚢あたりに石が見つかっています。 

 組織学的分析は、皮質が成長が停止した3本の線がある平行繊維骨で構成されていることがわかり、このことから、成長が遅く、1年の間に成長が中断した時期があるとしています。

 このような骨の組織学特徴は、他の既知の基盤的真鳥形類と大きく異なり、エナンティオルニスに似ています。

 このことから、真鳥形類とエナンティオルニスの共通祖先は、低成長だったとしています。




  1. References:
  2.  
  3. Min Wang & Zhonghe Zhou (2016) 
  4. A new adult specimen of the basalmost ornithuromorph bird Archaeorhynchus spathula (Aves: Ornithuromorpha) and its implications for early avian ontogeny. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2015.1136968
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 遼寧省にある白亜紀前期の熱河生物相からは、さまざまな鳥類の化石が見つかっています。

 今回、アプチアンの九仏堂層(Jiufotang Formation)で発見された基盤的鳥類が記載され、Chongmingia zhengi (チョングミンギア・チェンギ)と命名されています。

 チョングミンギアの叉骨は固く、その結果として、飛行にはより大きな力が必要だったとされています。

 一方、長い前肢と、上腕骨にある大きな三角筋稜(deltopectoral crest)からすると、十分な力を発揮できたと考えられています。

 三角筋稜は、肩の筋肉を上腕の骨に固定するための突起です。

 チョングミンギアには、モザイク状のユニークな特徴の組み合わせが見られることから、鳥類が力強い飛行を試みた初期進化の段階では、さまざまな進化上の実験が試されたことを示すとされています。

 胃石も見つかっており、基盤的鳥類では、植物食が一般的だったとされています。

 ただし、この時代、翼竜や、鳥類を捕食する非鳥類型獣脚類との競争に直面しており、植物食の鳥類の生態的な競争力は弱かったと考えられています。

 系統関係については、基盤的アヴィアラエ(Avialae) の位置づけですが、2つの異なるデータマトリックスを使っての解析から、異なる位置が示されています。

 図は、系統関係(Min Wang et al., 2016) 。

 コエルロサウリアのデータマトリックスを使うと、鳥胸類(Ornithothoraces)の姉妹群の基盤的なアヴィアラエ( Avialae)とされ (p2)、中生代の鳥類のデータマトリックスを使うと、始祖鳥を除いて、最も基盤的なアヴィアラエとされています(p1) 。




 srep19700-f7.jpg




  1. References:
  2.  
  3. Min Wang, Xiaoli Wang, Yan Wang & Zhonghe Zhou (2016) 
  4. A new basal bird from China with implications for morphological diversity in early birds. 
  5. Scientific Reports 6, Article number: 19700 (2016) むdoi:10.1038/srep19700
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 扇状の尾羽を持っていたとされる新種のエナンティオルニスが記載されています。phys.orgが紹介しています。

 エナンティオルニスとしては、空気力学的な性能を持つ尾羽の最初の例とされています。
 
 尾羽の形状を操作する能力は、飛行機能を大いに増加させますが、10枚ほどあるキアッペアビスの尾羽には空気力学的に飛行を制御する機能があったとされています。

 ペンゴルニチダエ(Pengornithidae)の系統で、この仲間としては、キツツキのようなエナンティオルニス/遼寧省(2015年8月)で、ユニークな尾端骨とその先の長い尾羽をもつ Parapengornis eurycaudatus を紹介しています。 

  遼寧省にある白亜紀前期の地層(Jiufotang Formation、九仏堂層)で発見されたもの。

 学名は、Chiappeavis magnapremaxillo(キアッペアビス・マグナプレマキシロ)で、属名は、アルゼンチンの古生物学者、ルイス・キアッペ(Luis Chiappe)博士にちなんでいます。

 現生鳥類では、尾端骨の両側には尾羽球部(bulbi rectricium)と呼ばれる軟組織構造があり、その筋肉は、尾端骨と対になって、尾羽の形状を制御しています。

 今回の発見で、エナンティオルニスにも存在していた可能性が示唆されています。

 ただ、キアッペアビスの場合は貧弱で、尾羽は、飛行というより、ディスプレイの意味が強かったようです。

 


  1. References:
  2.  
  3. Jingmai K. O'Connor, Xiaoli Wang, Xiaoting Zheng, Han Hu, Xiaomei Zhang & Zhonghe Zhou (2016) 
  4. An Enantiornithine with a Fan-Shaped Tail, and the Evolution of the Rectricial Complex in Early Birds. 
  5. Current Biology (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2015.11.036
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 日本語で"鳥類"とは言っても、そのクレードにはいろいろあって、しかも名称に一貫性がなくて煩雑です。

 包括的なグレードから順に、Paraves(パラベス)、Avialae(アヴィアラエ)、Aves(鳥類)、Ornithuromorpha(真鳥形類) 、Ornithurae(真鳥類)、Neornithes(新鳥類)、Neoaves (ネオアベス)などです。

 例えば、"Neornithes" を「新鳥類」と訳すと、"Neoaves"の日本語訳が難しいですね。

 今回、現生鳥類を含む系統のみからなるクレード、新鳥類(Neornithes)の起源や初期進化についての論文が報告されています。

 ちなみに、Neornithes の定義は、「ダチョウ( Struthio camelus )とイエスズメ( Passer domesticus )の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫」です。

 化石記録だけからの年代推定は難しいため、現生鳥類DNA配列データと、鳥類化石の組み合わせから解析したもの。 

 その結果、現生鳥類の最も新しい共通祖先は、約9500万年前の南米大陸が起源とされています。

 そして、大陸移動(プレートテクトニクス)と環境の変化という地球の歴史が、新鳥類の多様化に影響を与え、特に、世界的に地球が寒冷化する期間に、多様化したとされています。
 

 図は、新鳥類の初期の系統関係に時間軸をあてはめたタイムツリーの一部(Santiago Claramunt et al., 2015)。

 現生鳥類(新鳥類)の共通祖先は約9500万年前に出現したとされ、しだいに3つの大きなクレードに分岐します。

 最初は、9150万年前に、ダチョウなどの走鳥類が属する古顎類(Palaeognathae)と新顎類(Neognathae)に、8510万年前に新顎類がキジカモ類(Galloanseres)とネオアベス(Neoaves)に分岐します。

 いずれの系統も、白亜紀末以降、爆発的に多様化しています。
 



Neornithes.jpg

 論文では、ほとんどの系統を代表する現生鳥類230種の時計様遺伝子のDNA配列の違いと、すべての系統の130の鳥類化石を用いています。  

 その結果、現生鳥類の最も新しい共通祖先は、約9500万年前の白亜紀後期早期に、南米(ゴンドワナ大陸西部)に棲んでいたとされています。  

 しかし、白亜紀末までにはあまり多様化せず、新生代になってようやく、新鳥類は世界中に広がり、多様化したのです。  

 そして、ゴンドワナ大陸から世界への鳥類の放散には、主に2つのルートがあったとされています。  

 暁新世の間に北米を通り旧世界に到達するルートと、古第三紀の間に南極経由でオーストラリアとニューランド近くのジーランディア(Zealandia)に達するルートです。  

 正味の多様化率は、世界的な寒冷化期間中に増加しています。  これは、熱帯雨林が隔離され、熱帯生物群系が少数の集団に断片化されることで、分化を刺激したことを示唆するとされています。  

 つまり、二つの基本的な地球のダイナミクスの特徴であるプレートテクトニクスと環境の変化に、鳥類進化が影響された影響されたとしています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Santiago Claramunt and Joel Cracraft (2015) 
  4. A new time tree reveals Earth history's imprint on the evolution of modern birds. 
  5. Science Advances 1(11): e1501005 
  6. DOI: 10.1126/sciadv.1501005
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 遼寧省にある白亜紀前期の地層(Jiufotang Formation)で発見された新種の基盤的真鳥形類(ornithuromorph)が記載され、Juehuaornis zhangi と命名されています。
 
 頭部のおよそ70%はあるくちばし、上顎の頭部端がフックし、下顎の頭部端はまっすぐと、いくつかのユニークな特徴により、他の既知の真鳥形類と識別が可能とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Ren-fei Wang, Yan Wang and Dong-Yu Hu, 2015. 
  4. Discovery of a new ornithuromorph genus, Juehuaornis gen.nov. from Lower Cretaceous of western Liaoning, China. 
  5. Global Geology 2015 (1): 7-11 (Chinese Edition) 
  6. doi:10.3969/j.issn.1004-5589.2015.01.002
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 中生代の鳥類化石は豊富に発見されていますが、その飛行能力については、骨格や羽毛の特徴からの解析がメインでした。

 今回、白亜紀初期の鳥類、エナンティオルニスの軟組織の解析について、ルイス・キアッペらが報告しています。

 スペインにある白亜紀前期(約1億2500万年前)の地層で発見された前肢化石の表皮や真皮といった軟組織を解析し、筋肉や腱、靭帯といった、現生鳥類に似た飛行機能に関与するネットワークを確認したもの。

 今回のネットワークは、最古であり、また、系統的にも最初の例とされています。

 単に、骨格や羽毛を進化させただけでは、高度な飛行ができないわけですね。羽毛恐竜でも、こういうネットワークが見つかると、その羽毛はディスプレイではなく飛行のため、というのがはっきりしそうですが。

 また、Protopteryx fengningensisのように、白亜紀初期のエナンティオルニスは、一部に原始的な特徴を残しながらも、その前肢は、十分に飛行に適したように進化していたとされています。

 それらのネットワークや翼の形状などを含め、急襲やダイビング、ピッチやロールといった現生鳥類のような高度な飛行ができたと考えられていますす。


 


  1. References:
  2.  
  3. Guillermo Navalón, Jesús Marugán-Lobón, Luis M. Chiappe, José Luis Sanz & Ángela D. Buscalioni (2015) 
  4. Soft-tissue and dermal arrangement in the wing of an Early Cretaceous bird: Implications for the evolution of avian flight. 
  5. Scientific Reports 5, Article number: 14864 (2015) 
  6. doi:10.1038/srep14864
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 中生代のゴンドワナ大陸からの鳥類化石は断片的で貧弱で、ほとんどが白亜紀後期に限られているのです。

 今回、派手な尾羽を持つゴンドワナ最古の鳥類化石(2015年6月)で紹介した標本について、新種記載され、Cratoavis cearensis と命名されています。論文は、オープンアクセスです。

 ブラジルの中生代と南米大陸の白亜紀初期において、命名された鳥類としては初めてとされています。

 白亜紀前期のエナンティオルニスとされ、ほぼ完全な化石で関節しており、羽毛も残っています。2本ある長い尾羽の先端には、派手な羽飾りがあります。




  1. References:
  2.  
  3. Ismar Carvalho, Fernando E. Novas, Federico L. Agnolín, Marcelo P. Isasi, Francisco I. Freitas and José A. Andrade (2015). A new genus and species of enantiornithine bird from the Early Cretaceous of Brazil.(FAST TRACK) Brazilian Journal of Geology 45 (2): 161-171  (pdf) http://dx.doi.org/10.1590/23174889201500020001
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 モンゴルからは初めての、関節したエナンティオルニスが新種記載され、 Holbotia ponomarenkoi と命名されています。

 なお、Holbotia ponomarenkoi は、1982年に使われましたが、論文報告ではなく、不的確な学名(裸名)とされていました。
 
 1977年に白亜紀前期の地層で発見され、今までも翼竜とされていた標本です。
 
 今まで、頚椎の形態や広いスペースに小さな歯など、エナンティオルニスではほとんど知られていなかった珍しい形態を示しています。

 その頚椎は、部分的に腹側に面した前脊椎関節突起(prezygapophyses)関節面を示し、これはヘビウ類にしか見つかっていない構造で、首の可動範囲は広かったようです。

 白亜紀前期のエナンティオルニスの口蓋の形態について詳細に説明したのは初めてで、 始祖鳥と鳥類以外のパラアビアに似ているとされています。

 系統解析の結果からは、歯の消失という点で、白亜紀前期のエナンティオルニスよりは、白亜紀後期のゴビプテリクスにより近縁とされています。

 ということは、真鳥形類とは違い、エナンティオルニスでは、歯の消失は異なった複数の経路があったとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Nikita V. Zelenkov & Alexander O. Averianov (2015) 
  4. A historical specimen of enantiornithine bird from the Early Cretaceous of Mongolia representing a new taxon with a specialized neck morphology. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2015.1051146
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 Wikipedia、最近は、最新情報でも紹介されるのが早くなりましたね。

 内容の真偽に多少の不安もありますが、引用文献があるので、確認するには、それを調べればいいのでしょう。

 問題は、日本語版がお粗末なことでしょうか。


 で、写真は、今回紹介する新種のエナンティオルニス(Enantiornithes)のホロタイプ(IVPP V18687)。 Wikipedia から。

 遼寧省にある白亜紀前期の地層(Jiufotang Formation、九仏堂層 )で発見され、 Parapengornis eurycaudatus と命名されています。

 ペンゴルニチダエ(Pengornithidae)の系統で、既に報告されている Pengornis houi Eopengornis martini に似ているそうです。

 ペンゴルニチダエについては、Pengornithidae(これもWikipedia)で紹介されています。


 写真のように、よく保存された、短くて丸みを帯びた尾端骨の形態はユニークで、その先には長い尾羽があり、現生のキツツキのような、攀禽(はんきん)類に似ています。

 このことから、樹木に垂直によじ登ることができ、このような習性は初期の鳥類では報告されていなかったとされています。

 木に登ることに特化したような行動から、白亜紀前期のエナンティオルニスの生態学的多様性が広まったとされています。




Parapengornis_holotype.jpg




  1. References:
  2.  
  3. Han Hu , Jingmai K. O'Connor & Zhonghe Zhou (2015) 
  4. A New Species of Pengornithidae (Aves: Enantiornithes) from the Lower Cretaceous of China Suggests a Specialized Scansorial Habitat Previously Unknown in Early Birds. 
  5. PLoS ONE 10(6): e0126791. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0126791
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 化石とは違って、ゲノムを解析すれば、系統関係は一つの正解が得られると思ったらそうではなくて、ゲノム解析による系統関係は確率分布でしかないのです。

 例えばヒト(ホモ・サピエンス種)でも、髪や眼の色が異なるように、生物集団(種)として分岐する前に、遺伝子レベルではすでに多型が存在し、すでに遺伝子は分岐を開始しています。

 そのため、生物集団としての変異には反映しない遺伝子レベルの変異を解析しても、生物集団の分岐にそった他の遺伝子解析とは異なる系統関係を示します。

 これは、不完全系統整列(incomplete lineage sorting 、ILS)といわれる現象です。遺伝子レベルの変異を解析しても、生物集団の変異である系統関係の整列順序が不完全になるということでしょうか。 

 このため、多くの遺伝子データを解析しても、系統関係は、ひとつの正解とはならないのです。


 今回、遺伝子解析データから、新鳥類(Neoaves)の放散はより複雑とする論文が報告されています。

 とても2分岐で表現できるものではなく、ダイナミックな不完全系統整列を描いており、新鳥類の系統で初めての、ハードな多分岐(polytomy)が示されているのです。

 ダイナミックな不完全系統整列ということは、多分岐というより、誤差が多くて、正確な系統解析が不可能に近いという気もしますね。

 高度に不完全系統整列の影響を受けた最初の例が、K-Pg 境界後の超放散(super-radiation)です。新鳥類の多様化に関しては、3つの適応放散があったとされています。

 多分岐は、ひとつの共通祖先から同時に3つ以上の種が分岐する現象で、これは、他の生物の系統でも起こりうると考えられています。eurekalertは、「生命の系統樹は茂み」と紹介しています。

 恐竜の系統関係についても、 2系統に分岐することを基本に構成されていますが、放散が著しい時には、多分岐も十分にありえるでしょうね。


 鳥類のゲノム解読については、ラホナビスが生き延びていたら、鳥類のクレードは消滅/鳥類のゲノム解読(2014年12月)で、紹介しました。  

 今回、同じデータを使いながら、別の新たな結論が導かれたことになります。  論文では、レトロトランスポゾン(retrotransposon)という動く遺伝子(可動遺伝因子)について、2118の、進化放散中に生じる挿入の有無パターンを調べたています。 

 レトロトランスポゾンは、動くことで染色体上での有無や存在位置が種間で大きく異なり、系統解析のツールになるのです。  

 そして、不完全系統整列が、かなり異なった時間的な分布をしていること、すなわち分化中に、祖先の多型としての持続的な遺伝的変異を検出したとしています。  

 また、不完全系統整列由来の不一致が、ゲノム全体に広がっていることがわかったそうです。   



 参考:五條実行教授の「卒啄同時」日記、「incomplete lineage sorting 」は、「不完全遺伝子系統仕分けけ」と訳されています。



  1. References:
  2.  
  3. Suh A, Smeds L, Ellegren H 2015 
  4. The dynamics of incomplete lineage sorting across the ancient adaptive radiation of neoavian birds. 
  5. PLoS Biol 13(8): e1002224 

  6.  Xing Xu, Zhonghe Zhou, Robert Dudley, Susan Mackem, Cheng-Ming Chuong, Gregory M. Erickson, and David J. Varricchio (2014) 
  7. An integrative approach to understanding bird origins. 
  8. Science 346 (6215): 1253293 DOI: 10.1126/science.1253293
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 2足歩行に、短い前肢、足には2つのカギヅメ、そして長い尾・・・、これだけを見ると、だれもこれが鳥類(アヴィアラエ、Avialae)とは思わないでしょうね。

 図は、バラウル・ボンドック(Balaur bondoc)の復元骨格図(Andrea Cau et al., 2015)です。白い部分が発見されている骨格です。

 今まで、ドロマエオサウリダエとされていた小型の獣脚類ですが、派生した鳥類のような特徴が見られることから、再解析した論文が報告されています。

 その結果、バラウルは、アヴィアラエの位置づけが最適とされています。 いわゆる鳥類ですね。

 始祖鳥よりは現生鳥類に近く、ピゴスティリア(Pygostylia)に近縁ですが、その外群です。二次的に飛ばなくなったタクソンとして、尾の長い鳥類の多系統の集合体とされています。  


 また、今回の結果から、ドロマエオサウリダエに似たタクソンは、二次的に飛べなくなった仲間ではないかと考えられています。 

  こういう考えは、1988年にグレゴリー・ポールが提唱したのですが、最近の系統解析では何度か否定されてきた経緯があります。

 今回、再度、提唱されているわけですが、鳥類に進化する途中のタクソンと、逆戻りするようなタクソンが混在するとややこしいですね。  




Balaur bondoc.jpg
 バラウルといえば、特異なドロマエオ/ルーマニアのBalaur(2013年2月)で紹介していますが、非常によく保存され、白亜紀後期のヨーロッパからの最も完全な獣脚類化石とされています。

 しかし、頭部や尾など、意外と見つかっていない部分が多いですね。 白亜紀後期のヨーロッパは、この程度なのでしょうか。

 当時のヨーロッパは、多島海であり、飛ぶ必要がなくなったのか、図のように短くなった前肢は、中生代鳥類が島環境に適応した最も説得力のある証拠のひとつとされています。  


 ドロマエオサウリダエとする位置づけは、最適以下の選択肢とはなったのですが、拒否はされなかったようです。    

 ドロマエオサウリダエと解釈すると、純肉食性(hypercarnivorous、70%以上が肉食)の捕食者で、当時の島固有種という影響を受けて特殊な形態として存在したとされています。  

 しかし、ドロマエオサウリダエ様の生態とするには、第3機能指の消失、ドロマエオサウリダエとは異なる蝶番タイプではない第2、第3中足骨の遠位端など、バラウルのいくつかの形態と矛盾するとしています。  

 逆に、その形態からは雑食性の生態が考えられ、アヴィアラエとする系統学的配置と一致するというわけです。  

 今回の再解釈から、表面的に、ドロマエオサウリダエ様のタクソンは、小型でおそらく飛行できた祖先から進化し、大型化し陸上を歩いた子孫ではないかとしています。


  1. References:
  2.  
  3. Andrea Cau, Tom Brougham & Darren Naish (2015) 
  4. The phylogenetic affinities of the bizarre Late Cretaceous Romanian theropod Balaur bondoc (Dinosauria, Maniraptora): dromaeosaurid or flightless bird? 
  5. PeerJ 3:e1032 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1032
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 中生代のゴンドワナの鳥類化石は断片的で貧弱で、羽毛についての詳しい報告例はないそうです。 

 今回、ブラジルにある白亜紀前期(約1億1500万年前)の地層で発見されたエナンティオルニス(Enantiornithes)について報告されています。

 ゴンドワナからは最古の鳥類化石とされています。まだ名前はつけられていません。

 PHYS.org に復元イメージがありますが、本体は6センチと、ハチドリほどの大きさの幼体です。しかし長さが8センチほどの、現生鳥類の成体に似た、2本の長いリボン状の尾羽を持っています。

 尾羽には、1列に並んだ丸い斑点があり、オリジナルの羽毛の色模様の名残りではないかとされています。


 

  1. References:
  2.  
  3. Ismar de Souza Carvalho, Fernando E. Novas, Federico L. Agnolín, Marcelo P. Isasi, Francisco I. Freitas & José A. Andrade (2015) 
  4. A Mesozoic bird from Gondwana preserving feathers. 
  5. Nature Communications 6, Article number: 7141 
  6. doi:10.1038/ncomms8141
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 ほとんどの鳥類は、反対向きの第1指(ハラックス)を持っており、樹木などをつかむのに適しています。

 当然ながら、初期の獣脚類から進化したと考えられ、解剖学的に、また、適応進化の観点から議論されてきました。

 しかし、このような形態を生み出すメカニズムについてのデータなどはありませんでした。

 今回、このあたりについて、発生段階で解析し、胚段階における筋肉活性が関与しているとする論文が報告されています。

 進化の起源には、筋肉活性の重要性の考察が重要と強調しています。  初期の獣脚類との重要な形態学的な違いは、鳥類の中足骨が長軸方向に対してねじれていることです。

 論文では、胚段階の筋肉組織とその活動の開始が、中足骨のねじれとハラックスの反転に必要とされています。




  1. References:
  2.  
  3. João Francisco Botelho, Daniel Smith-Paredes, Sergio Soto-Acuña, Jorge Mpodozis, Verónica Palma & Alexander O. Vargas, 2015 
  4. Skeletal plasticity in response to embryonic muscular activity underlies the development and evolution of the perching digit of birds 
  5. Scientific Reports 5, Article number: 9840 
  6. doi:10.1038/srep09840
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 "4つの翼"を意味するテトラプテリギダエ(Tetrapterygidae、4翼科)は、4月に発売されたチャタジー(Sankar Chatterjee)の著書、The Rise of Birds(第2版)の中で提唱されたクレードです。

 本の内容は、Johns Hopkins University Press.で紹介されています。

 テトラプテリギダエについては、Wikipediaで紹介されていますが、ミクロラプトル、シャオティンギア(Xiaotingia)、アウロルニス(Aurornis)、アンキオルニス(Anchiornis)からなります。

 いずれも後ろ足にも飛行に適した羽毛があり、鳥類の飛行は4枚翼から始まったのではないかと考えられています。

 テトラプテリギダエは、アビアラエ(Avialae)の姉妹群とし、この2つが、2013年に提唱されたアベラプトラ(Averaptora)に含まれるとしています。

 ただし、4枚の翼という特定の特徴だけに注目したのではないのか、きちんと系統解析されたのか、などは不明です。Wikipedia によると、他のほとんどの系統解析では、ミクロラプトル以外の3種はアビアラエとされています。 

  また、Dinogossでは、テトラプテリギダエには、Tetrapteryx を含むべきなど、命名規約上の問題点も指摘されています。




The_Rise_of_Birds.jpg



  1. References:
  2.  
  3. Chatterjee, S. (2015). 
  4. The Rise of Birds: 225 Million Years of Evolution, second edition 
  5. Johns Hopkins University Press. 
  6. ハードカバー: 370ページ 
  7. ISBN-10: 1421415909 
  8. ISBN-13: 978-1421415901 
  9. 発売日: 2015/4/3
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 真鳥形類のヘスペロルナス形類(Hesperornithiformes)は、白亜紀前期晩期から後期にわたり、その地理的分布、ボティサイズや海に潜ることに特化した点で、中生代の鳥類として最も多様なグループの一つとされています。

 過去2世紀にわたり幅広く発見されているにもかかわらず、系統解析はほとんど行われてきませんでした。

 今回、初めて系統解析した論文が報告されています。記載されたタクサの大部分を含んでいます。

 その結果、ヘスペロルナス形類が単系統であることが支持され、新鳥類(Neornithes)の姉妹クレードとされています。 また、Brodavidae と Hesperornithidae は単系統で、Baptornithidae は多系統とされています。

 ボディサイズが大きくなったことで肺の容量が増え、より深いダイビングが可能になったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Alyssa Bell & Luis M. Chiappe (2015) 
  4. A species-level phylogeny of the Cretaceous Hesperornithiformes (Aves: Ornithuromorpha): implications for body size evolution amongst the earliest diving birds. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1080/14772019.2015.1036141
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鳥類の定義:生物学的な提案

 鳥類とは?/鳥類の定義(2011年1月)では、鳥類(Aves)は、「始祖鳥と現生鳥類の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫 」と定義されていることを紹介しています。

 しかし、最近の新たな発見で、始祖鳥の位置づけや、それを基準に定義する考え方が揺らいでいるのも事実です。

 今回、骨格や外皮といった特徴では鳥類(Aves)は定義できないとする論文が報告されています。

 生物学的な鳥類の定義として、そ嚢の存在と右卵巣の消失という2つの軟組織の有無からなる定義が示されています。

 もちろん、これは生物学定義であって、これらの軟組織が残されていない化石では、それが鳥類か否かはわかりませんね。


 軟組織が残された保存状態の良い化石の発見から、骨格を中心とした古生物学的なアプローチでは不可能な、生物学的議論が可能とされています。  

 たとえば、絶滅グループのエナンティオルニスの胸骨の骨化パターンは、現生鳥類や他の全ての主竜類とは異なることがわかるとされています。  

 また、そ嚢や砂嚢、腸の内容物の発見から、特殊化したそ嚢形態も含めて、進化の初期過程で、現生鳥類に近い消化系があったとされています。  

 さらに、右卵巣を失ったのは、力強い飛行のためとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Jingmai O'Connor & Zhonghe Zhou (2015) 
  4. Early evolution of the biological bird: perspectives from new fossil discoveries in China. 
  5. Journal of Ornithology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s10336-015-1222-5
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 鳥類は大量絶滅を生き延びたのですが、すべての鳥類が絶滅を免れたというわけではありません。

 中生代の鳥類は、エナンティオルニス(Enantiornithes)と真鳥形類(Ornithuromorpha)の2大系統に大別されます。

 このうち、歯とカギ爪のついた翼を持つエナンティオルニスは絶滅し、一方、真鳥形類の一部が現生鳥類として生き延びています。つまり、真鳥形類は現生鳥類を含むクレードです。 
  
 今回、河北省にある白亜紀前期の地層で発見された最古の真鳥形類が記載され、 Archaeornithura meemannae と命名されています。Nature Asiaが紹介しています。

 羽毛はほぼ完全に残り、また、脚の上部には羽毛がないことから、浅い水中を歩き回りエサをあさっていたと考えられています。

 約1億3070万年前とされ、従来最古の真鳥形類が約1億2500万年前であることから、分岐したのは従来の記録を500万年ほどさかのぼるとされています。

  系統的には、Hongshanornithidae(ホンシャノルニシダエ)とされていますが、より原始的な特徴を残しています。




  1. References:
  2.  
  3. Min Wang, Xiaoting Zheng, Jingmai K. O'Connor, Graeme T. Lloyd, Xiaoli Wang, Yan Wang, Xiaomei Zhang & Zhonghe Zhou (2015) 
  4. The oldest record of ornithuromorpha from the early cretaceous of China. 
  5. Nature Communications 6 : 6987 
  6. doi:10.1038/ncomms7987
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 遼寧省にある白亜紀前期の地層( Jiufotang Formation)で発見された原始的な鳥類、エナンティオルニス(Enantiornithes)が記載されています。 

 ほぼ完全なほとんど関節した骨格に基づくもので、Yuanjiawaornis viriosus と命名されています。

 完全に成熟していない個体ながら、白亜紀初期のエナンティオルニスとしては、 ボハイオルニシダエ(Bohaiornithidae)に似て大型で、Pengornis houi よりは小さいとされています。

 体の大きさだけでなく、前肢と後ろ足の長さがほぼ同じなど、他のエナンティオルニスにはない特徴が確認されています。

 仙骨の比較分析から、エナンティオルニスは、ユニークな形の複合仙骨(Synsacrum、脊椎が融合し骨盤とも癒合した骨)を持っていたのかもしれないとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Dongyu Hu, Ying Liu, Jinhua Li, Xing Xu & Lianhai Hou (2015) 
  4. Yuanjiawaornis viriosus, gen. et sp. nov., a large enantiornithine bird from the Lower Cretaceous of western Liaoning, China. 
  5. Cretaceous Research 55: 210-219 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.02.013
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 かつてゆっくり成長すると考えられていた大型恐竜ですが、骨組織の微細構造の解析から、大型哺乳類に匹敵するか、より速い速度で成熟することがわかってきています。
 
 絶滅恐竜において、成長速度(骨形成速度)を調べるには、成長停止線の数や血管密度といった骨組織の構造が評価基準として使われてきました。

 今回、成長速度を解析するため、骨産生細胞の細胞質表面密度を調べた論文が報告されています。

 その結果、他のどの四肢動物よりも竜盤類において、密な骨細胞表面密度が観察されたとしています。高密度は、三畳紀の基盤的な竜盤類で最初に見られるとしています。


 現生の四肢動物で、生まれた後の成長率が最も高いのは、唯一の鳥盤類の生き残り、現生鳥類です。  

 その鳥類で、例外的な細胞質表面積が発見されたことから、高い成長速度との関係が示唆されています。  

 細胞質表面密度と成長速度の関係を支持するのが、ニュージランドで進化した走鳥類ジャイアントモアの最も低い細胞表面密度で、この場合は、遅い成熟速度となるわけです。    

 なお、遅い成長速度は、哺乳類の捕食者から隔離されて進化したためとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. John M. Rensberger , Ricardo N. Martínez Bone Cells in Birds Show Exceptional Surface Area, a Characteristic Tracing Back to Saurischian Dinosaurs of the Late Triassic. 
  4. PLoS ONE 10(4): e0119083. 
  5. doi:10.1371/journal.pone.0119083
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新種の恐鳥類/アルゼンチン

 アルゼンチンにある鮮新世(約350万年前)の地層から発見された、90%以上が残された最も完全な、新種の恐鳥類の化石が報告されています。

 恐鳥類のガストルニスは、やはり植物食(2014年2月)では、古第三紀(暁新世と始新世)からのガストルニスの例を示していますが、今回は新第三紀であり、その特徴から、頂点に君臨する捕食者だったようです。

 新生代の南米においては、恐鳥類は、最も優れた鳥類相を形成したいたとされています。

 今回の新種は、Llallawavis scagliai (ララワビス・スカグリアイ)と命名されています。"Llallawa" は、インカの言葉で「すばらしい」の意味です。

 系統的には、 Mesembriornithinaeにおける 派生的なフォルスラシダエ(Phorusrhacidae、フォルスラコス科) とされています。 

 頭部の特徴で最も目立つのは、独立した小さな骨によって、構造的に涙骨と頬骨弓の結合が増え、頭部内部が動くことを抑制している点です。

 このような骨は恐鳥類では初めてで、クチバシと頭部の結合が強化され、クチバシをオノのように使って、獲物を仕留めたのではないかとされています。
 
 また、両方の骨の口蓋ヒンジが欠如していることも特徴です。  

 平均的な聴力感度(〜2300 Hz)は現生鳥類の半分以下と低く、これは、種内での通信または獲物を見つけるために使用されたのかもしれないとされています。恐鳥類では初めての特徴です。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Federico J. Degrange, Claudia P. Tambussi, Matías L. Taglioretti, Alejandro Dondas & Fernando Scaglia (2015) 
  4. A new Mesembriornithinae (Aves, Phorusrhacidae) provides new insights into the phylogeny and sensory capabilities of terror birds. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2014.912656
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