マクロナリア(Macronaria)の最新ニュース

 竜脚類の化石、見つかりにくいのは小さな頭部と思っていたら、四肢がそろって見つかるのも稀なようです。

 竜脚類で、全ての四肢が完全に、しかも関節した状態で発見されているのは1標本だけとされています。

 ワイオミングにあるジュラ紀後期のモリソン層で発見されたカマラサウルスの標本(SMA 0002)で、皮膚の印象も残されています。

 この標本については、既にいくつかの論文が報告されていますが、今回、特に四肢部分について報告されています。論文はオープンで、化石の写真が豊富です。

 四肢化石は、ほとんどが元の位置の状態で見つかっており、3次元的な復元により、足跡化石との関係について報告されています。
 
 足跡化石については、古くから、腰の高さに対する足跡の長さについての関係が提唱されているのですが、これは属の間で変化したのかもしれないとされています。  

 また、足跡化石の形についても議論されており、3次元復元モデルは、既存の足跡化石種にみられない特徴を持っているとされています。  米国とスペインで発見されている足跡に似ているそうです。

 


  1. References:
  2.  
  3. Emanuel Tschopp, Oliver Wings, Thomas Frauenfelder, and Winand Brinkmann (2015) 
  4. Articulated bone sets of manus and pedes of Camarasaurus (Sauropoda, Dinosauria). 
  5. Palaeontologia Electronica 18.2.44A: 1-65 

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 ジュラ紀後期の竜脚類といえば、アフリカのテンダグル層や北米のモリソン層が有名です。

 ヨーロッパでは、スペインにあるジュラ紀後期末のVillar del Arzobispo Formationからも4属の竜脚類が見つかっています。

 今回、そのひとつ、Aragosaurus ischiaticus (アラゴサウルス・イスチアティクス)について、解剖学的特徴や系統関係などについて報告されています。

 マクロナリアの位置づけで、ジュラ紀後期末のヨーロッパには、より派生的なティタノサウルス形類とともに、基盤的なマクロナリアが存在していたとされています。
 
 1987年に、スペインで最初に命名された恐竜であり、アラゴサウルスの年代(2011年9月)で紹介しています。


  今回の系統解析では、ティタノサウルス形類の外群のマクロナリアとされています。カマラサウルスに似ていますね。  

 アラゴサウルスは、いくつかの形質を、基盤的なティタノサウルス形類と共有しているのですが、ティタノサウルス形類の共有派生形質とされていた形質の一部は、その以前から出現していたようです。  



  1. References:
  2.  
  3. Rafael Royo-Torres, Paul Upchurch, Philip D. Mannion, Ramón Mas, Alberto Cobos, Francisco Gascó, Luis Alcalá and José Luis Sanz (2014) 
  4. The anatomy, phylogenetic relationships, and stratigraphic position of the Tithonian-Berriasian Spanish sauropod dinosaur Aragosaurus ischiaticus. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/zoj.12144
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 幼体や亜成体化石で系統解析をすると、間違いが生じやすいというのは常識になってきています。成長段階の違いを、種の違いと混同しやすいからです。

 ここでは、ドイツにあるジュラ紀後期の地層で発見された基盤的マクロナリア、 Europasaurus holgeri (エウロパサウルス・ホルゲリ)の報告について紹介します。

 亜成体と幼体の頭部以降の体軸骨格から、系統関係や個体発生的な解析を示しています。 

 この恐竜も、成長段階によって、その特徴が異なることが確認されており、系統解析では成熟度の解析が重要とされています。

 
 エウロパサウルスは、マクロナリアの中でも最も基盤的な竜脚類の一種で、成体と亜成体化石が見つかっている、わい小化した仲間です。    

 系統的には、Camarasauromorpha の中の基盤的な位置づけです。 

 論文では、それぞれの特徴の有無や成体と亜成体の比較から、形態的に異なった個体発生の段階(morphological ontogenetic stages 、MOS)があるとしています。  

 後期の未成熟な標本では、全ての派生的な特徴が見られるそうですが、初期の段階では派生的な特徴を欠くそうです。  
 
 その結果、後期の未成熟な標本は成体標本と同じ系統的な位置づけとなるのですが、より未成熟な段階では、竜脚類の基盤的な位置づけになってしまうとしています。  

最終的に、他の成熟度の判定にも、形態的個体発生段階(MOS)を考慮するとしています。



  1. References:
  2.  
  3. José L. Carballido & P. Martin Sander (2013) 
  4. Postcranial axial skeleton of Europasaurus holgeri (Dinosauria, Sauropoda) from the Upper Jurassic of Germany: implications for sauropod ontogeny and phylogenetic relationships of basal Macronaria. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2013.764935
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カマラサウルスの渡り

 カマラサウルスが、季節的な渡り(seasonal migration)をしたとする論文が報告されています。低地と高地を行き来していたようです。

 足跡化石から、竜脚類が群れで移動することは知られていましたが、直接の証拠はありませんでした。Nature News 朝日などが紹介しています。

 

 ワイオミングとユタにあるジュラ紀後期(約1億5000万年前)のモリソン層で発見された32本の歯の化石のエナメル質に含まれる酸素同位体比を調べたもの。

 付近の地層の同位体比と比較すると、当時飲んでいた水の環境がわかるそうです。

 その結果、歯の先端では根元と比較して同位体比が低いことがわかり、高地の水は同位体比が低いことから、成長後期には高地に住んでいたとしています。

 歯は5ヶ月ほどで形成されるとされ、半年ほどかけ、高地と低地の間を数百kmほど移動していた可能性を示唆しています。

 

 図は、カマラサウルスの渡りを示す図。

 水色の部分は、ジュラ紀後期に北米西部に広がるモリソン堆積盆地。

 緑色の■は、化石発見場所。THはワイオミングのサーモポリスで、DNM はユタにある Dinosaur National Monument です。

 カマラサウルスは、赤い線で示すように、内海に流れ込む河付近の低地と、火山のある高地との間を行き来したとされています。その距離は、片道で300kmほどです。

 水やエサを求めて、植物が少なくなる乾季(おそらく夏)には高地に移動し、雨季(冬)には盆地に戻ったようです。

Camarasaurus_migration_routes.jpg

 

 

  References:

  1.  
  2. Henry C. Fricke, Justin Hencecroth & Marie E. Hoerner (2011)
  3. Lowland-upland migration of sauropod dinosaurs during the Late Jurassic epoch.
  4. Nature (advance online publication)
  5. doi:10.1038/nature10570
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 1999年に記載されたパタゴニアのジュラ紀後期の竜脚類、Tehuelchesaurus benitezii について、再解析した論文が報告されています。

 系統的には、新竜脚類(neosauropod)としています。その中でも、ティタノサウルス型類ではないカマラサウルス形類(non-titanosauriform camarasauromorph)に位置づけています。

 新竜脚類は、ジュラ紀後期に北米やヨーロッパ、アフリカに分布していましたが、Tehuelchesaurus は、南米最古の新竜脚類としています。

 ジュラ紀後期、カマラサウルス形類が広く分布していたことから、このグループの早い進化と放散かあったとしています。

 

  1. References:
  2.  
  3. JOSÉ L. CARBALLIDO et al., 2011
  4. Osteology and phylogenetic relationships of Tehuelchesaurus benitezii (Dinosauria, Sauropoda) from the Upper Jurassic of Patagonia
  5. Zoological Journal, Article first published online: 24 AUG 2011
  6. DOI: 10.1111/j.1096-3642.2011.00723.x
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 ユタ州で発見された新種竜脚類、Brontomerus mcintoshi が記載されています。BBC で、で、著者の Mike Taylor が語っています。

 大たい骨は見つかっていませんが、属名は、"thunder thighs(雷の太もも)"の意味。その理由は、大きく特徴的な腸骨にあります。そこに太い脚をささえる大きな筋肉がついていたと推測されています。

 北米大陸の竜脚類は、白亜紀になると、ディプロドクスからマクロナリア類が優位になったとされています。

 2011年最初の新種として一旦オンライン版で公表されたのですが、その後、命名法の問題からでしょうか、非公開になってしまいました。今回、再登場です。

 白亜紀前期((Aptian-Albian)の Cedar Mountain Formation で、1997年に化石の一部が発見されていたそうです。北米の白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層から発見された竜脚類の属としては、8番目とされています。

 その属名は、ギリシア語で"thunder thighs(雷の太もも)"の意味。米国の俗語では、"太いもも(を持つ太った人)"の意味があります。

 しかし、大たい骨は発見されていません。下の図の白い部分が、発見された化石で、別々の個体の化石です。全体は、カマラサウルス(Camarasaurus grandis)に基づいています。
 


Brontmerus.jpg 図に示された部分しか見つかっていないのに、新種とされたのはその腸骨が特徴的だったからでしょう。

 タイプ標本は、幼体の左腸骨です。 その腸骨ですが、高さが高く、寛骨臼より前の部分(preacetabular lobe、前寛骨臼葉)が、腸骨全体の長さの55%もあり、他のどの竜脚類より長いなどの特徴があります。

 大きな腸骨の下には、大きな筋肉がついていたとされ、そのキック力はずいぶん強力だったとBBCニュースが伝えています。ただ、速く走れたというわけではなく、他の恐竜に蹴りを入れたのではないかとされています。


 下は、腸骨の他の竜脚類との比較。イチョウの葉のようですね。右下が、ブロントメラス。 ブロントメラスは、高さが高く、左側(前部)の部分が多いことがわかります。
 他は、A:マメンチサウス、B:ディプロドクス、C:カマラサウルス、D:ジラフティタン、E:ラペトサウルスです。

 



Ilia_brontmerus.jpg  系統的には、カマラサウルス形類(camarasauromorph)とされていますが、見つかっている化石が少ないためか、このクレード内での位置ははっきりとしていません。

 北米大陸におけるジュラ紀後期と白亜紀前期の最も顕著な違いは、ジュラ紀がディプロドクス類がメインだったに対して、白亜紀になると、マクロナリア類が優勢になったこととされています。

 

  1. References:
  2. A new sauropod dinosaur from the Lower Cretaceous Cedar Mountain Formation, Utah, USA
    Michael P. Taylor, Mathew J. Wedel, and Richard L. Cifelli
    Acta Palaeontologica Polonica 56 (1), 2011
  3. doi:10.4202/app.2010.0073

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2種の新種恐竜

 JVPの最新号(29-4)に、2種の新種恐竜が記載されています。  

 最初は、南アフリカのジュラ紀後期の地層で発見された竜脚形類で、Massospondylus 属の新種で、M. kaalae と命名されています。  

 次は、イタリアの白亜紀後期(約7000万年前)の地層で発見されたハドロサウロイデア、Tethyshadros insulari です。  

 関節状態で見つかり最も完全な恐竜化石のひとつとされています。  

 小型で、島で小型化した(insular dwarf)のではないかとされ、学名の意味は、"island of dinosaur Hadrosauroidea Tethys(島に棲んでいたテチス海のハドロサウロイデア)"です。


 


  1. References:
  2.  
  3. A New Basal Sauropodomorph Dinosaur from the Upper Elliot Formation (Lower Jurassic) of South Africa 
  4. Paul M. Barrett 
  5. JVP, 29(4), p.1032-1045, 2009  
  6.  
  7. Tethyshadros insularisA New Hadrosauroid Dinosaur (Ornithischia) from the Upper Cretaceous of Italy 
  8. Fabio M. Dalla Vecchia 
  9. JVP, 29(4), p.1100-1116 2009
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レバノンで初の恐竜化石

 レバノンで初めての恐竜化石が発見されています。Yahoo! News が伝えています。タイトルは、"恐竜倶楽部に仲間入り"。

 南部にある白亜紀後期の地層で、1969年と昨年発見されたもの。2本の竜脚類の歯で、ブラキオサウルス類(科)のものとされています。

 レバノンは地中海に面した中東の国です。地層が少ないからなのか、政情不安定で化石探しどころではないのか、中東での発見はあまり聞きませんね。

 

  1. First nonavian dinosaur from Lebanon: a brachiosaurid sauropod from the Lower Cretaceous of the Jezzine District.
  2. E. Buffetaut, et al.
  3. Naturwissenschaften. Published On-line.
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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