ティタノサウルス類(Titanosauria)の最新ニュース

銀の国のトカゲ、再記載

 アルゼンチンにある白亜紀後期の地層で発見された竜脚類、Argyrosaurus superbus について再記載された論文が報告されています。 

 1893年に左前脚化石から記載され、アルゼンチンでは最も記載の早い恐竜です。属名の意味は、"銀のトカゲ"で、アルゼンチンがラテン語で"銀の国"という意味にちなんでいます。 

 ティタノサウルス類として有効で基盤的とされていますが、その正確な位置づけは不明とされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Mannion, P.D. & A. Otero, 2012. 
  4. A reappraisal of the Late Cretaceous Argentinean sauropod dinosaur Argyrosaurus superbus, with a description of a new titanosaur genus. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 32 (3): 614-638. DOI:10.1080/02724634.2012.660898



 当時、多島海に浮かぶ島々の一つで、棲んでいた恐竜が小型なことで知られるルーマニア産の恐竜、その卵化石について報告されています。  

 "島効果(island effect)"に対する生殖適応について議論されています。卵の特徴には変化はなく、卵の数を減らすことで、小型化に適応していたようです。 


 白亜紀後期(Maastrichtian)の地層(Sanpetru Formation)から発見されたもので、派生したティタノサウルス類であるリソストロティア類(lithostrotian)とされています。 この種の小型恐竜としては初めての完全な卵化石だそうです。  

 大陸の恐竜と卵の特徴は似ており、生殖の型はかなり保守的であったとされています。 ただ、巣あたりの卵の数は減っており、これは島効果によってより小型化していたことへの適応とされています。  

 当時、ティタノサウルス類がこのあたりを通って行ったようで、ヨーロッパの多島海とアジアの間には、白亜紀遅くまで、時々は陸続きとなる陸橋があったことが示唆されています。



  1. References:
  2.  
  3. Grellet-Tinner G, Codrea V, Folie A, Higa A, Smith T (2012) 
  4. First Evidence of Reproductive Adaptation to "Island Effect" of a Dwarf Cretaceous Romanian Titanosaur, with Embryonic Integument In Ovo. 
  5. PLoS ONE 7(3): e32051. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0032051



 モンタナ州にある白亜紀前期(Aptian/Albian)の地層(Cloverly Formation)で発見された基盤的ティタノサウルス形類が記載されています。  

 18個の尾椎と関連する化石が発見されたもの。学名は、Rugocaudia cooneyi で、属名の意味は、ラテン語で、"しわ(wrinkle)のある尾"。 尾椎前部端部にかなりの粗面(rugose)があることに由来しています。

 この緯度の高い場所での発見から、白亜紀前期に北米大陸にひろく竜脚類が分布していたことを示し、当時、北米大陸の竜脚類の多様性が減少していたという主張に反するものとされています。


  1. References:
  2.  
  3. D. Cary Woodruff (2012) 
  4. A new titanosauriform from the Early Cretaceous Cloverly Formation of Montana. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2012.02.003



南極初の竜脚類、論文に

 南極初の竜脚類化石で紹介しましたが、SVP の年会で報告された、南極では初めてとなる竜脚類化石が論文になっています。

 International Business Times に化石の映像があります。ペンギンが登場するずっと以前から歩き回っていたと紹介しています。

 ジェイムスロス島で尾椎が発見されたもの。

 派生したティタノサウルス類であるリソストロティア類(lithostrotian)系統のティタノサウルス類ではないかとされています。部分的な化石で、種の同定まではいたっていません。

 南米からやってきたのでしょう。この進化したティタノサウルス類は、遅くとも白亜紀後期までには、世界中に分布していたとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Ignacio A. Cerda, et al, 2011
  4. The first record of a sauropod dinosaur from Antarctica 
  5. NATURWISSENSCHAFTEN 
  6. DOI: 10.1007/s00114-011-0869-x



 マダガスカルにある白亜紀後期の地層で発見された最大のオステオダーム(osteoderms、皮骨板)と、その機能について報告されています。

 ティタノサウルス類、Rapetosaurus krausei(ラペトサウルス)のオステオダームです。Macalester College が紹介しています。

 背中を保護したというより、ミネラルの貯蔵として機能し、劣悪な環境からのサバイバルに役立てたのではないかと考えられています。

 

 オステオダームは皮膚内にある骨のことです。現生動物では、クロコダイルやアルマジロなどの背中に見られます。

 恐竜ではヨロイ竜やステゴサウルス類などにみられ、竜脚類ではまれで、見つかっているのはティタノサウルス類のみだそうです。

 竜脚類では、背中を保護したように思われますが、その機能は謎でした。今回の論文では、ミネラルを蓄えていたのではないかとされています。

 

 Rapetosaurus krausei の成体と幼体から発見されたオステオダームを、CTスキャンなどで解析したもの。

 成体のものと思われる推定容積が9.3リットルもある最大のオステオダームも発見されています。

 これは半分ほどが空洞で、骨改造(bone remodelling)で形成され、カルシウムやリン等のミネラルを蓄えていたのではないかとされています。

 一方、幼体の内部は緻密で、骨改造の跡もほとんどなく、このことから、ミネラルの貯蔵は成体ほど重要とされています。

 つまり、成長のためというより、成体になってからの干ばつという厳しい古環境や出産に備えたものではないかと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Kristina Curry Rogers et al., 2011
  4. Sauropod dinosaur osteoderms from the Late Cretaceous of Madagascar
  5. Nature Communications, 2(564), Published 29 November 2011 
  6. PDF(全文)
  7. doi:10.1038/ncomms1578



アエオロサウルス属の新種

 ブラジルにある白亜紀後期の地層で発見されたティタノサウルス類、アエオロサウルス属の3種目となる新種が記載されています。

 また、アエオロサウルス類(Aeolosaurini)の系統関係についても解説されています。

 部分的に関節した化石で、腰に近い尾椎にある下方にカーブした前脊椎関節突起(prezygapophyses)など、アエオロサウルスの共有派生形質から、Aeolosaurus maximus と命名されています。

 

 系統解析から、アルゼンチンで発見された2種のアエオロサウルス(ホロタイプの A. rionegrinus A. colhuehuapensis)は、姉妹グループとしています。

 また、かつてアエオロサウルスとされたゴンドワナティタン(Gondwanatitan)は、1段階基盤的な位置づけです。

 さらに、Panamericansaurus RinconsaurusMaxakalisaurus も、より基盤的なアエオロサウルス類(Aeolosaurini)になるとしています。

 

 参考:アエオロサウルスはブラジル起源

 

  1. References:
  2.  
  3. RODRIGO M. SANTUCCI & ANTONIO C. DE ARRUDA-CAMPOS (2011)
  4. A new sauropod (Macronaria, Titanosauria) from the Adamantina Formation, Bauru Group, Upper Cretaceous of Brazil and the phylogenetic relationships of Aeolosaurini.
  5. Zootaxa 3085: 1-33 , 31 Oct. 2011(pdf)



恐竜卵化石の中から繭化石

 アルゼンチンにある白亜紀後期の地層で発見された卵化石の中に、繭(cocoons)の化石が見つかったそうです。MSNBC が紹介しています。

 卵化石は、約7000万年前のティタノサウルス類のものとされています。

 中から、長さ1センチほどでソーセージ状の繭の大きさや形状、表面の薄い構造から、繭を作ったのは、 ハチの一種(Coprinisphaeridae)のRebuffoichnus sciuttoi ではないかととされています。 

 このハチは、卵を食べていたわけではなく、腐肉を食べる昆虫かそれを捕食するクモを狙ったようです。

 ハチは腐肉という食物網の頂点に位置していたわけで、当時は、恐竜の卵化石の周りで、無脊椎動物による複雑なコミュニティが発達していたとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. JORGE F. GENISE, LAURA C. SARZETTI, 2011
  4. Fossil cocoons associated with a dinosaur egg from Patagonia, Argentina Palaeontology,
  5. Palaeontolog, 54(4), p.815-823, 2011
  6. DOI: 10.1111/j.1475-4983.2011.01064.x
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 タルボサウルス(Tarbosaurus bataar )の幼体の頭蓋骨について解析した論文が報告されています。

 オハイオ大(pdf)に頭部のイメージなどがあります。写真や動画などが多いのですが、具体的に成体とどう違うか、比較イラストがあったほうがわかりやすいですね。そのうち、WitmerLab に情報がアップされるでしょう。

 スピードを活かして獲物を追ったなど、成体とは異なったライフスタイルであったと、ScienceDaily などが伝えています。

 幼体の頭部は、ナノティラヌスなど,他のティラノサウルス類との識別に役立つとされています。今後は、内耳や軟組織の報告も予定されています。

 

 今回の頭部は、林原自然科学博物館らが、2006年に、ゴビ砂漠にある白亜紀後期(約7000万年前)の地層で発見した全身骨格の一部。

 骨の微細構造から、年齢は2-3歳とされ、推定体長は9フィート(2.7メートル)とされています。頭部化石の全長は290mm と、ティラノサウルス類としては最小クラスとされています。

 成体のアゴは、大きな筋肉があり強く噛むことができ、また歯も特殊化しています。しかし、幼体にはそのような特色が見られないとされています。

 そのことから、より小さな獲物をその機敏さで狙い、年齢によって異なるえさを食べたことで、競合を避けたようです。

 上顎骨と歯骨の歯槽(alveoli)はそれぞれ13、14と15で、成体と変わらず、タルボサウルスでは、成長に伴って変化がなかったようです。

 

 

 以下の映像は、今回の幼体の頭部(手前)と、比較のための亜成体(奥、14歳)と成体(手前、25歳)の頭部。Courtesy of WitmerLab at Ohio University. 

 

Tarbosaurus_skulls.jpg 

  1. References:
  2.  
  3. Takanobu Tsuihiji; Mahito Watabe; Khishigjav Tsogtbaatar; Takehisa Tsubamoto; Rinchen Barsbold; Shigeru Suzuki; Andrew H. Lee; Ryan C. Ridgely; Yasuhiro Kawahara; Lawrence M. Witmer
  4. Cranial osteology of a juvenile specimen of Tarbosaurus bataar (Theropoda, Tyrannosauridae) from the Nemegt Formation (Upper Cretaceous) of Bugin Tsav, Mongolia
  5. JVP, 31(3),  p. 497 - 517, 2011
  6. DOI: 10.1080/02724634.2011.557116



Drusilasaura deseadensis.jpg

  アルゼンチン南部にある白亜紀前期(Cenomanian-Turonian)の地層(Bajo Barreal Formation)で発見されたティタノサウルス類が記載されています。

  論文は全文が読めますが、スペイン語です。

 

 パタゴニアのティタノサウルス類は珍しくも無いのですが、こちらは、巨大竜脚類のロンコサウルス類(Lognkosauria)ではないかとされています。

 学名は、Drusilasaura deseadensis (デュルシラサウラ・デセアデンシス)と命名されています。

  見つかっているのは、4つの胴椎と、仙椎、尾椎が6つ、左の肩甲骨など。

 

 映像は左の肩甲骨。スケール(30cm)からすると、長さは2.7メートルにも達しますが、スケールが間違っているようです。

 論文中には、143cm とあります。

 

 

 

 

  1. References:
  2. César Navarrete, Gabriel Casal & Rubén Martínez (2011)
  3. Drusilasaura deseadensis gen. et sp. nov., a new titanosaur (Dinosauria-Sauropoda), of the Bajo Barreal Formation, Upper Cretaceous of north of Santa Cruz, Argentina.
  4. Revista Brasileira de Paleontologia 14(1):1-14, Janeiro/Abril 2011  (PDF)
  5. doi:10.4072/rbp.2011.1.01  



 南米のチリで発見された新種の竜脚類化石が記載されています。ntn24news が紹介しています。 

 2000年初頭に、チリ北部にあるアタカマ砂漠(Atacama Desert)のTolar Formation(白亜紀後期、約7000万年前)の地層で、脊椎骨や尾椎、上腕骨などが発見されたもの。

 断片的ながら、チリでは最も完全な恐竜化石のひとつとされ、初めての植物食化石です。この地層からは、更なる発見が期待されています。

 学名は、Atacamatitan chilensis で、属名は"アタカマの巨人"の意味です。種小名にチリの国名があり、初めてチリの国名がつけられた恐竜です。推定体長は8-10メートルです。

 系統的には、テイタノサウルス類(Titanosauridae )とされ、マラウィサウルス(Malawisaurus)より派生的で、サルタサウルス類(Saltasauridae)より原始的な、中間的な位置づけです。

 

 チリの恐竜化石といえば、2003年に、新種のティタノサウルス類とされる"Domeykosaurus chilensis" のニュースがありましたが、記載されていないようです。

 また、アルゼンチン・ネウケン州の反対側にあるチリ南部では卵化石が見つかっている他、ジュラ紀後期の地層から、竜脚類の足跡、Iguanodonichnus frenki が報告されています。

 

 下の地図の中心が、化石が発見された Conchi Viejo Town。細長いチリの北部にあります。

 Google Map に複数の位置がマーキングできると、化石発見地のデータベースができそうですが、今のところその機能はありません。

 Google Earth ではできるようです。で、以下はGoogle Earth で示してみました。表示されない場合は、地形や地図を選択してください。

 

 

  
大きな地図で見る 

 

 

  1. References:

  2. ALEXANDER W.A. KELLNER, DAVID RUBILAR-ROGERS, ALEXANDER VARGAS and MARIO SUÁREZ
  3. A new titanosaur sauropod from the Atacama Desert, Chile
  4. An. Acad. Bras. Ciênc. [online]. 2011, vol.83, n.1, pp.211-219



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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