鳥盤類の最新ニュース

 二足で直立して歩くことは恐竜の特徴の一つとしてよく知られています。しかし、再び、四足歩行に戻った恐竜もいます。

 たとえば鳥盤類は元々二足歩行で、少なくとも3回、四足歩行が独立して進化したとされています。

 今回、3次元コンピューターモデルを使い、その鳥盤類の歩行運動について解析した論文が報告されています。

 四足歩行恐竜の前腕姿勢と可動性(2013年9月)で紹介しましたが、脊椎動物における二足歩行から四足歩行への進化はまれとされています。

 その恐竜のなかでも、鳥盤類以外で二足から四足歩行への進化は2例のみで、極めて珍しいとされています。  

 今回の解析結果によると、カスモサウルスとヒプシロフォドンは、筋肉などののモーメントアーム(回転中心から力の作用点までの距離)が比較的低く、これらの仲間は運動性能が劣るとされています。  

 四足歩行では二足よりモーメントアームは高く、これは、ボディ幅が広いためとされています。  

 鳥盤類全体としてのモーメントアームの傾向を把握することはできず、これは、二足歩行の鳥盤類の祖先が、四足歩行の進化を制約しなかったことを示唆するとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Susannah C. R. Maidment, Karl T. Bates, Peter L. Falkingham, Collin VanBuren, Victoria Arbour and Paul M. Barrett (2013) 
  4. Locomotion in ornithischian dinosaurs: an assessment using three-dimensional computational modelling. 
  5. Biological Reviews (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/brv.12071



戦った鳥盤類

 角のある角竜や石頭恐竜、尾にコブのあるヨロイ竜に、スパイクをもつステゴサウルス類・・・多様な鳥盤類の中には、戦うための機能構造をもったクレードは少なくありません。

 今回、このあたりを総括した論文が報告されています。  戦闘を支持する証拠として、現生動物からの推定、生体力学的な解析とシミュレーション、古病理学の3つが示されています。




  1. References:
  2.  
  3. A. A. Farke (2014) Evaluating combat in ornithischian dinosaurs. Journal of Zoology (advance online publication) DOI: 10.1111/jzo.12111



新鳥盤類から羽毛状構造

 ロシアにあるジュラ紀中期ー後期の地層で発見された基盤的な新鳥盤類(neornithischia)とされる化石で、羽毛状構造とウロコが見つかったそうです。

 この化石、"Kulindodromeus"と呼ばれているそうです。Chita (ロシア語)に写真があります。

 単純な繊維状の羽毛は、恐竜全体に広がっていたとされています。鳥盤類からの羽毛らしき構造は、遼寧省でも見つかっていますが、まだ、化石証拠が少ないような気がしますね。


 なお、この報告、SVP年会で報告される予定でしたが、キャンセルされたようです。  

 骨格に直接ついた、変化した外皮構造があり、単純な繊維状の羽毛は、恐竜全体に広がっていたとされています。  

 また、腓骨の遠位と足には、現生鳥類のようなウロコがあるそうです。驚くことに、尾の背腹方向の動きは、背表面にある大きなウロコの重なりによって阻止されていたそうです。  

 仮説として、恐竜全体で同時に初期の羽毛が進化し、2足歩行が容易になるように、後ろ足の遠位部と尾の部分の長い構造の成長は制限されるように進化したとされています。



  1. References:
  2.  
  3. FEATHER-LIKE STRUCTURES AND SCALES IN A JURASSIC NEORNITHISCHIAN DINOSAUR FROM SIBERIA 
  4. GODEFROIT et al., 2013 
  5. SVP Annual Meeting



 現在の北米大陸の5分の1ほどの面積に、なぜ何種もの巨大植物食恐竜がいたのか、長い間研究者を悩ませている問題の一つに、ララミディアでの巨大植物食恐竜の共存があります。

 それを説明する仮説のひとつに、棲む環境を棲み分けるというニッチ分割仮説があります。

 今回、カナダの恐竜パーク層で発見された恐竜化石から、その仮説を確かめた論文が報告されています。 何を食べていたかを考察することによって、仮説を説明しようとする試みです。

 その結果、アンキロサウルス類とノドサウルス類といったレベルにおいても、ニッチの棲み分けの証拠が見いだせたとしています。

 また、摂餌生態を考察する新たな頭部形態に関するパラメーターも提唱されています。


 白亜紀後期、北米大陸は、東側のアパラチア大陸と西側のララミディア大陸に分かれていました。 現在の北米大陸の5分の1ほど、たかだか400-700万平方キロの面積に、6?8種もの巨大植物食恐竜が共存していたとされています。  

 このあたり、失われたララミディア大陸の恐竜(2012年12月)として紹介しています。      

 今回の論文は、カナダの恐竜パーク層で発見された恐竜の頭部を伝統的な形態学的手法で解析し、ニッチ分割仮説を確かめたもの。 
 その結果、同時代のアンキロサウルス類や角竜類、ハドロサウルス類の間だけでなく、アンキロサウルス類とノドサウルス類といった、科や亜科レベルのクレード内においても、ニッチの棲み分けの証拠が見いだせたとしています。  

 アンキロサウルス類(ankylosaurids)とノドサウルス類(nodosaurids)、ハドロサウルス類(hadrosaurines)とランベオサウルス類(lambeosaurines)の共存、そしておそらくケントロサウルス類(centrosaurines)とカスモサウルス類(chasmosaurines)が共存していたことは、それらの形態が大幅に異なっており、おそらく食べ物の好みが異なっていたとされています。  

 また、一般的に恐竜の摂餌生態を考察するのに、体の大きさやくちばしの幅、顎の力学特性、歯の形態などが検討されてきました。  この研究では、いくつかの別の形態学的な変数を利用しています。

 その中で最も重要なパラメーターは、首筋の筋肉とくちばしの腹面方向のゆがみの進化に関係した変数とされています。

 
  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallo & Jason S. Anderson (2013) 
  4. Skull Ecomorphology of Megaherbivorous Dinosaurs from the Dinosaur Park Formation (Upper Campanian) of Alberta, Canada. 
  5. PLoS ONE 8(7): e67182. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0067182



 遼寧省にある白亜紀前期の地層で発見された小型の鳥盤類、Jeholosaurus shangyuanensis の頭部より後ろの骨格について、詳細に報告されています。

 ホロタイプと、4つの新たな保存状態のよい標本について調べたもの。

 系統的には、新しい知見を加えても、従来示された、基盤的な鳥盤類という位置づけは変わらないようです。ChangchunsaurusHaya からなるクレードで、そこには、Koreanosaurus Yueosaurus も含まれるかもしれないとされています。

 クレード、Jeholosauridae は、白亜紀の東アジアに特有のグループにつけられた名前として提案されています。

 

  1. References:
  2.  
  3. ?Feng-Lu Han, Paul M. Barrett, Richard J. Butler & Xing Xu (2012) 
  4. Postcranial anatomy of Jeholosaurus shangyuanensis (Dinosauria, Ornithischia) from the Lower Cretaceous Yixian Formation of China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 32(6): 1370-1395 
  6. DOI:10.1080/02724634.2012.694385



 南アフリカにあるジュラ紀前期(約2億年前)の地層で発見された新種のヘテロドントサウルス類が、セレノにより記載されています。
 
 シカゴ大ナショジオが復元イラスト共に紹介しています。オウム形のクチバシと犬歯を持ち、全長は60センチ以下、体重もネコ以下と小型です。
 また、ブラシ状の毛がはえていますが、毛の化石が見つかっているわけではなく、中国産で発見されたTianyulong に基づいているようです。

 犬歯を持つことから、バンパイア(吸血鬼)と紹介しているニュースもありますが、Fruitadens haagarorum にも犬歯があります

 また、今までに発見されている9種のヘテロドントサウルス類についてもレビューされています。


 1960年代に発見された岩から、セレノが頭部の一部を発見したそうです。学名は、Pegomastax africanus (ペゴマスタックス・アフリカヌス)で、ギリシア語で、"strong jaw(強いアゴ)"を意味します。    

 ヘテロドントサウルス類は、小型の基盤的な鳥脚類です。 その特徴は、属名("異なる歯")が示すように、その歯にあります。3種類の"異なる歯"を持っています。  
 
 Tianyulong のように単純な三角形の歯を持つ北方系の種と、Pegomastax のような南方系の朱がいたとされています。 今回の新種も植物食ながら犬歯を持っていますが、肉食というより、身を守ったり、争ったりするために使っていたとされています。  

 歯牙摩耗などから、すべてのヘテロドントサウルス類は、主に又は全く植物食のみだったとしています。 




  1. 以下は今までに発見されている9種のヘテロドントサウルス類と記載年 
  2.  
  3. ■Heterodontosauridae  
  4.   Echinodon becklesii, 1861  
  5.   Fruitadens haagarorum, 2010  
  6.   Tianyulong confuciusi, 2009 
  7.  
  8. ■Heterodontosaurinae  
  9.    Abrictosaurus consors, 1974 
  10.    Lycorhinus angustidens,1924 
  11.    Herodontosaurus tucki, 1962 
  12.    Manidens condorensis, 2011 
  13.    Pegomastax africanus, 2012 
  14.    Pisanosaurus mertii , 1967
 


  1. References:
  2.  
  3. Paul Sereno (2012) 
  4. Taxonomy, morphology, masticatory function and phylogeny of heterodontosaurid dinosaurs. 
  5. ZooKeys 224: 1-225. 
  6. doi: 10.3897/zookeys.224.2840



 恐竜の外観が似ていると、その機能までも似ているような印象ですが、必ずしもそうではないようです。

 鳥盤類の恐竜化石から、その4足歩行の進化について、形と機能の関連について考察した論文が報告されています。 

 鳥盤類においては2足歩行から4足歩行への移行が、少なくとも3回、独立して生じたとされています。 それぞれの系統で、異なる4足歩行をしたことから、形と機能の間には必ずしも関連があるというわけではないようです。

 
 生物の外観形状が似たような形に収れんする収束形態(Convergent morphology)は、機能的な類似性を示すと考えられてきました。
 
 しかし、現生タクソンでは、異なる形態でも似たような機能を示す場合があって、形と機能に関連があるというパラダイムに疑問が生じているそうです。

 骨格の収束した形態が機能面での類似性を示すのか、鳥盤類の恐竜化石から、その4足歩行の進化について考察した論文が報告されています。 

 このクレードでは、2足歩行から4足歩行への移行が、少なくとも3回、独立して生じたとされています。 

 異なる系統の鳥盤類がそれぞれ異なる立ち方や歩行をしたことから、形と機能の間に関連があるという仮説には疑問があるようです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Susannah C. R. Maidment and Paul M. Barrett (2012) 
  4. Does morphological convergence imply functional similarity? A test using the evolution of quadrupedalism in ornithischian dinosaurs. 
  5. Proceedings of the Royal Society B (advance online publication) 
  6. doi: 10.1098/rspb.2012.1040



南極で原始的な鳥盤類

 南極で、原始的な鳥盤類の化石が発見されたそうです。植物食恐竜ですが、およそ1億9000万年前は、森林だったとされています。

 南極は、まだまだ未開の地ですが、その厳しい環境のうえ、調査は難しいようです。Discovery News が伝えています。

 南極での化石発掘といえば、オーガスタナ(Augustana)大のウィリアム・ハンマーらです。1990年に南極で初めての恐竜、クリオロフォサウルスを発見した場所と同じ、 カートパトリック山で発見したもの。

 南極大陸を東西に分割しているトランスアンタークティック山脈(Central Trans-Antarctic Mountains) にある山で、彼らは、高度2000メートルの地で2ヶ月間キャンプを張り、3800メートルもある発掘サイトへはヘリで移動する必要があるそうです。

 足の部分が見つかっており、原始的な鳥盤類の新種ではないかとされ、ファブロサウルス(fabrosaurus )かヘテロドントサウルス に近い種と考えられています。


参考

 The Transantarctic Vertebrate Paleontology Project




 先にニュースになったティタノケラトプス(Titanoceratops ouranous)について、National Geographic Newsが、反論を紹介しています。

 かつて、ペンタケラトプス(Pentaceratops sternbergi )とされていた標本を、新たに新種とされたもの。

 しかし、クリーブランド自然史博物館のマイケル・ライアン(Michael Ryan)は、新種とするには不十分で、ペンタケラトプスではないとする証拠は無いとしています。ペンタケラトプスの成熟した個体か大きい個体ではないかとしています。

 角竜は成長段階によって、頭部の形状が大きく変化することが指摘されている種もあります。 これに性差や地域差が加わッたりすることを考えると、明確に新種と断定するには、複数の化石証拠が必要ですね。 

 以下のイメージは、Sam Noble Oklahoma Museum of Natural History に展示されているペンタケラトプスの骨格標本です。

 次は、その展示プレート。陸上動物で最大の頭部だとか、50年間隠されていたなどと書かれています。実際は、1941年に発見され、1995年に記載されたています。

 いずれも、出典は、Flickerです。

 

Sam_Noble_Pentaceratops.jpg

 

  Sam_Noble_Pentaceratops_sign.jpg




 2000年4月に報告されたテスケロサウルス(愛称ウィロ)の"心臓化石"について再解析した論文が報告されています。

 結論として、下の映像に示されるように、心臓とする微細構造などは見られず、心臓化石であるとする証拠は得られていません。

 また、軟組織の解析には、複数の高解像度の装置で解析することが重要としています。

 Thescelosaurus_NCSM15728.jpg  Cleland et al, 2011


  1. Histological, chemical, and morphological reexamination of the "heart" of a small Late Cretaceous Thescelosaurus
    Timothy P. Cleland, Michael K. Stoskopf and Mary H. Schweitzer
  2. Naturwissenschaften Online First, 2011

 2000年4月、テスケロサウルス(Thescelosaurus sp、愛称"ウィロ")の化石に4室からなる心臓があるとの論文が、サイエンスに発表されました。
 その後、心臓構造とするには疑問で鉄鉱石の凝結物にすぎない反論も報告されています。

 今回、ノースカロライナ州立大のクレランド(Timothy P. Cleland)らが、X線断層分析やX線光電子分析、電顕などで再解析した論文が報告されています。 シュバイツァー(Mary H. Schweitzer)も参加しています。

 結論として、心臓化石であるとする証拠は得られなかったとしています。  映像に示したRは肋骨で、Sは肩甲骨です。α、β、γは心臓の各室とされましたが、下の3次元イメージからわかるように、それらをつなぐ構造はありません。

 また、心筋(cardiac muscle)や心筋細胞どうしを結びつけている合胞体(intercalated disks)、細胞膜など、心臓を定義づける微細構造は存在しないとしています。

 また、化学分析で炭素や窒素成分は検出されておらず、軟組織の存在も否定されています。

 胸部構造は、河川環境化で死骸に砂が入り込み、鉄分を含む水と共に部分的に固化したのではないかとしています。

 ただし、固化は細胞レベルに相当するほど微細で、細胞レベルの化石化メカニズムの解明には更なる解析が必要としています。 

 また、軟組織の解析には、ひとつの試験で判断することなく、複数の、しかも高解像度の装置で解析することが重要としています。




カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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