2000年4月に報告されたテスケロサウルス(愛称ウィロ)の"心臓化石"について再解析した論文が報告されています。
結論として、下の映像に示されるように、心臓とする微細構造などは見られず、心臓化石であるとする証拠は得られていません。
また、軟組織の解析には、複数の高解像度の装置で解析することが重要としています。
Cleland et al, 2011
- Histological, chemical, and morphological reexamination of the "heart" of a small Late Cretaceous Thescelosaurus
Timothy P. Cleland, Michael K. Stoskopf and Mary H. Schweitzer
- Naturwissenschaften Online First, 2011
2000年4月、テスケロサウルス(Thescelosaurus sp、愛称"ウィロ")の化石に4室からなる心臓があるとの論文が、サイエンスに発表されました。
その後、心臓構造とするには疑問で鉄鉱石の凝結物にすぎない反論も報告されています。
今回、ノースカロライナ州立大のクレランド(Timothy P. Cleland)らが、X線断層分析やX線光電子分析、電顕などで再解析した論文が報告されています。 シュバイツァー(Mary H. Schweitzer)も参加しています。
結論として、心臓化石であるとする証拠は得られなかったとしています。 映像に示したRは肋骨で、Sは肩甲骨です。α、β、γは心臓の各室とされましたが、下の3次元イメージからわかるように、それらをつなぐ構造はありません。
また、心筋(cardiac muscle)や心筋細胞どうしを結びつけている合胞体(intercalated disks)、細胞膜など、心臓を定義づける微細構造は存在しないとしています。
また、化学分析で炭素や窒素成分は検出されておらず、軟組織の存在も否定されています。
胸部構造は、河川環境化で死骸に砂が入り込み、鉄分を含む水と共に部分的に固化したのではないかとしています。
ただし、固化は細胞レベルに相当するほど微細で、細胞レベルの化石化メカニズムの解明には更なる解析が必要としています。
また、軟組織の解析には、ひとつの試験で判断することなく、複数の、しかも高解像度の装置で解析することが重要としています。