ステゴサウルス類(Stegosauria)の最新ニュース

 一般的に、恐竜の成長速度は速かったと思われていますが、装盾類のステゴサウルスなどでは、比較的遅いとされています。

 この遅い成長速度が装盾類で共通だったのか、より基盤的なケントロサウルスを調べた結果が報告されています。

 その結果、ケントロサウルスの成長速度は速いことがわかり、ステゴサウルスなどの遅い速度は、二次的に獲得された特徴ではないかとされています。


 かなり派生的なステゴサウルス類のステゴサウルスや、基盤的装盾類(thyreophora)のスクテロサウルス(Scutellosaurus)では、骨組織学的な研究から、たいていの恐竜とは異なり、遅い成長速度と考えられています。  

 今回の論文では、より基盤的なケントロサウルスでも成長速度が遅いのか、タンザニアにあるテンダグル単層で発見されたケントロサウルス(Kentrosaurus aethiopicus)の大腿骨化石を、骨組織学的に調べています。  

 その結果、ケントロサウルス類では、速い骨の沈着が観察されたとしています。  

 よって、ステゴサウルスなどの遅い成長速度は、装盾類の系統的な特徴ではなくて、また、装盾類の相似形態でもないとされています。  
 かなり派生的なステゴサウルスで成長が遅いのは、二次的に派生したものか、代替的なものではないかとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Ragna Redelstorff, Tom R. Hübner, Anusuya Chinsamy & P. Martin Sander (2013) 
  4. Bone Histology of the Stegosaur Kentrosaurus aethiopicus (Ornithischia: Thyreophora) from the Upper Jurassic of Tanzania. 
  5. The Anatomical Record (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1002/ar.22701



 新疆ウイグル自治区の白亜紀の地層で発見された新種のDeltapodusの足跡化石が記載され、Deltapodus curriei と命名されています。

 連続歩行後で、特に、前肢の跡が残されているのが特徴で、第1指と2指跡がはっきりと残されています。

 ステゴサウルス類の足跡とされていますが、足跡の向きは、外向きですね。体骨格の復元の参考になりそうです。

 Deltapodusの足跡化石については、ヨーロッパにあるジュラ紀中期から白亜紀初期の地層や北米大陸のジュラ紀後期の地層から発見されています。  
 中国で初めてで、アジアでは2例目とされています。  

 この地域で、ステゴサウルス類の体化石が見つかる可能性も示唆されています。  

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Martin G. Lockley, Richard T. McCrea, Gerard D. Gierliński, Lisa G. Buckley, Jianping Zhang, Liqi Qi & Chengkai Jia (2013) 
  4. First record of Deltapodus tracks from the Early Cretaceous of China. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.01.006



 アルゼンチンにある白亜紀前期の地層で発見されたステゴサウルス類とされた化石について再評価されています。

 鳥盤類とする説もあったようですが、ステゴサウルス類のみに特有な特徴の組み合わせがあり、ステゴサウルス類としています。 

 南米大陸唯一のステゴサウルス類(Stegosauria)の骨格化石とされ、ゴンドワナ大陸としても、2番めの証拠となるそうです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Xabier Pereda-Suberbiola, Peter M. Galton, Heinrich Mallison & Fernando Novas (2012) 
  4. A plated dinosaur (Ornithischia, Stegosauria) from the Early Cretaceous of Argentina, South America: an evaluation. 
  5. Alcheringa (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/03115518.2012.702531



 ステゴサウルス類のプレートやスパイクというオステオダーム(皮骨板)の、成長段階で異なる(個体発生的)変化ついて報告されています。

 ボン大学の林さんらが、幼体から亜成体、成体と8つの成長段階の異なるプレートなどを、組織学的に調べたもの。紹介では、林さんからのコメントを少し加えています。

 プレートとスパイクのそれぞれの特徴を獲得したタイミングは異なることが示され、これは、それらの機能が異なるためとされています。

 

 つまり、成体の若い時期から見られる大きく広がる血管のある大きなプレートの機能は、ディプレイ及び又は温度調節ではないかとされています。

 若いときから、血管を発達させるため、放熱機能があったのではと考えているそうです。血管が拡張したから放熱、というよりその逆の、血管成長のための放熱、という考えのようです。

 その血管が成熟したことにより、性成熟を迎えたあたりからプレートを巨大化することができ、ディスプレイとして使えたのではないかということです。

 

 一方、完全に成熟した成体にしかみられない分厚い皮骨(cortical bone)や、リモデル(骨の再構築)された緻密なスパイクは、武器として使ったのではないかとされています。

 若い時のスパイクは未熟で、武器として役に立たなかったようです。

 

  1. References:
  2.  
  3. HAYASHI, S., CARPENTER, K., WATABE, M. and MCWHINNEY, L. A. (2011),
  4. Ontogenetic histology of Stegosaurus plates and spikes.
  5. Palaeontology, published online: 12 DEC 2011
  6. doi: 10.1111/j.1475-4983.2011.01122.x



 ステゴサウルスのタイプ標本を変更しようとする提案があります。ICZN で要旨が紹介されています。

 今までのホロタイプ(模式標本)は、マーシュ(Marsh)が1877年に記載した Stegosaurus armatus で、これを、同じくマーシュが1887年に記載した S. stenops にしようというのです。

 いずれもモリソン層のジュラ紀後期の地層で発見されています。

 S. armatus は不完全で、ステゴサウルスの共有派生形質(autapomorphic characters)をもっておらず、無効名としています。

 一方、S. stenops の標本、USNM 4934 は、一部はまだ岩の中にありますが自然関節しており、ほぼ完全だそうです。

 

  1. References:
  2.  
  3. Galton, P.M. (2011)
  4. Case 3536 Stegosaurus Marsh, 1877 (Dinosauria, Ornithischia): proposed replacement of the type species with Stegosaurus stenops Marsh, 1887. Bulletin of Zoological Nomenclature 68(2): 127-133



 ステゴサウルス類は、スパイクのついた尾を振り回して敵から身を守ったとされていますが、その能力を計算した論文が報告されています。全文が読めます。

 タンザニア産のケントロサウルス(Kentrosaurus aethiopicus )をモデルに、コンピュータ解析で尾の関節にかかる力やその振り回すスピードなどを計算したもの。

 その結果、その振り回す範囲、力やスピードから、尾の武器としての能力は大型獣脚類にもダメージを与えるに十分とされています。

 しとめるには2頭以上で襲う必要があったとしています。逆に言えば、襲う方は、群れである必要があるわけですね。  

 

 下図は、今回の論文で示されたケントロサウルス(Kentrosaurus aethiopicus )の尾のスパイクの配列と向き。白いスパイクは欠損部の対称復元です。

 ネットには上向きのスパイクが多いのですが、水平よりやや上向きです。この向きだと、敵へのダメージは大きいことでしょう。

 

Tail_of_Kentrosaurus_aethiopicus.jpg 

  1. References:
  2.  
  3. Heinrich Mallison, 2011
  4. Defense capabilities of Kentrosaurus aethiopicus Hennig, 1915
  5. Palaeontologia Electronica 14(2)



 ステゴサウルス類の性的二型(Sexual dimorphism)について報告されています。Discovery News は、恐竜のオスとメスを区別する方法と紹介しています。

 タンザニアにあるジュラ紀後期(約1億5000万年前)の Kentrosaurus aethiopicus を調べたもので、大たい骨の近位のサイズや形状は、統計学的に有意に2つの群にわけられ、性差があるとしています。

 より腰に近く、足や腰の筋肉がつく部分で、筋肉の料の違いが性差につながっていると、著者のひとり、英国自然史博物館のポスドク、スザンヌ(Susannah C. R)は述べています。

 しかし。どちらの群が雌か雄か区別できないそうです。

  

  1. References:
  2.  
  3. Holly E. Barden; Susannah C. R. Maidment, 2011
  4. Evidence for sexual dimorphism in the stegosaurian dinosaur Kentrosaurus aethiopicus from the Upper Jurassic of Tanzania
  5. JVP, 31(3), p. 641 - 651
  6. DOI: 10.1080/02724634.2011.557112



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年5月

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