鳥脚類(Ornithopoda)の最新ニュース

 アパラチア初のハドロサウリダエ(2016年1月)で紹介したEotrachodon orientalis(エオトラコドン・オリエンタリス)の解剖学的特徴について、報告されています。

 白亜紀後期、サントニアンの地層からの発見で、カンパニアンより前の、ランベオサウリネ(サンベオサウルス亜科)ではないハドロサウリダエで、北米大陸東部、アパラチアからは最も完全なハドロサウロイデア(上科)とされています。

 アパラチアからの、他の唯一のハドロサウリダエであるHadrosaurus foulkiiとは、副稜線(accessory ridge)を欠く歯骨歯と、坐骨の背側に湾曲したシャフトが異なるとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Albert Prieto-Márquez, Gregory M. Erickson & Jun A. Ebersole (2016) 
  4. Anatomy and osteohistology of the basal hadrosaurid dinosaur Eotrachodon from the uppermost Santonian (Cretaceous) of southern Appalachia. 
  5. PeerJ 4:e1872 
  6. doi: https: // doi.org/10.7717/peerj.1872
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 モンゴル産の新種、ハヤ・グリバ(2011年5月)で紹介したHaya griva の新標本について報告されています。

 胃石が見つかっている基盤的な鳥脚類です。

 前回は、ゴビ砂漠東部にある Javkhlant Formation からの発見でしたが、今回は西部のネメグト盆地にあるZos Canyon beds)からの発見です。

 今回の発見から、2つの地層の地質年代は、同じ白亜紀後期(Santonian-Campanian)とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Mark A. Norell and Daniel E. Barta (2016) 
  4. A New Specimen of the Ornithischian Dinosaur Haya griva, Cross-Gobi Geologic Correlation, and the Age of The Zos Canyon Beds. 
  5. American Museum Novitates 3851: 1-20 
  6. doi: http: // dx.doi.org/10.1206/3851.1
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ハドロサウロイデアの骨障害

 ハドロサウロイデア(上科)でも、派生した仲間の骨障害(Osteopathy)については比較的よく研究されているのですが、基盤的なグループについては不十分です。

 今回、メキシコで発見された基盤的ハドロサウロイデア、Huehuecanauhtlus tiquichensis (フエフエカナウトルス・チクイチェンシス)の異常な病態について報告されています。 

  フエフエカナウトルス は、メキシコ産、新種の基盤的ハドロサウロイデア(2012年2月)で紹介しています。

 背部肋骨や胸骨を観察したもの。ケガは前部肋骨骨折で、おそらく骨髄炎(osteomyelitis)に起因するものとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Angel Alejandro Ramírez-Velasco, Elizabeth Morales-Salinas, René Hernández-Rivera & Darren Hank Tanke (2016) 
  4. Spinal and rib osteopathy in Huehuecanauhtlus tiquichensis (Ornithopoda: Hadrosauroidea) from the Late Cretaceous in Mexico. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2016.1147033
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河南省初のアノモエプス

 Anomoepus(アノモエプス)は、北米大陸にあるジュラ紀前期の地層から見つかっている鳥脚類の足跡化石です。

 1848年、ヒッチコックが、コネチカットで、北米で初めて行った恐竜足跡化石調査報告で命名した名前ですが、当時は鳥類の足跡と考えられていました。

 今回、河南省にあるジュラ紀中期の地層から、初めてのアノモエプスの化石が報告されています。

 この足跡も、最初は鳥類の足跡と思われていたのですが、中生代の鳥類よりは大きくて、がっしりした足跡です。



  1. References:
  2.  
  3. Lida Xing, Nasrollah Abbassi, Martin G. Lockley, Hendrik Klein, Songhai Jia, Richard T. McCrea & W. Scott Persons IV (2016) 
  4. The first record of Anomoepus tracks from the Middle Jurassic of Henan Province, Central China. 
  5. Historical Biology (advance online publication)
  6. DOI:10.1080/08912963.2016.1149480
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 アフリカからの鳥盤類の化石記録は、大変珍しく、いくつかの歴史的な地域に限定されています。

 今回、チュニジアにある白亜紀前期(アルビアン)の地層(Ain el Guettar Formation)で発見されたイグアノドンティアの遊離歯化石について報告されています。

 かつては、海岸沿いだった場所とされ、魚類やクロコダイル類の化石とともに、流されてきたスピノサウリダエやレバッキサウリダエの化石が伴って見つかっています。




  1. References:
  2.  
  3. Federico Fanti, Andrea Cau, Lukas Panzarin & Luigi Cantelli (2016) 
  4. Evidence of iguanodontian dinosaurs from the Lower Cretaceous of Tunisia. 
  5. Cretaceous Research 60: 267-274 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.12.008
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 白亜紀後期、北米大陸は、東のアパラチアと西のララミディアに分割されていました。

 今回、東のアパラチアからは初となるハドロサウリダエ(科)が記載されています。

 アパラチア、白亜紀後期初のケラトプシア(2015年12月)で紹介しているように、そもそも、アパラチアの白亜紀後期の動物相はあまり知られていないのです。

 アラバマ州にある白亜紀後期(サントニアン後期)の地層で頭部が見つかったもの。写真は、その頭部(Albert Prieto-Marquez et al., 2016)です。

 学名は、Eotrachodon orientalis (エオトラコドン・オリエンタリス)で、属名は「夜明けのトラコドン(Trachodon)」。

 ちなみに、"Trachodon"は19世紀に記載されたのですが、現在では疑問名のようです。 また、種小名は、北米大陸東部から発見されたことにちなんでいます。

 

Eotrachodon orientalis.jpg


 系統的には、サウロロフィナエ(Saurolophinae、サウロロフス亜科)とランベオサウリナエ(Lambeosaurinae、ランベオサウルス亜科)からなるサウロロフィダエ(Saurolophidae)とされています。  

 統計的な分散・分断分布分析によると、アパラチアには、ハドロサウリダエの先祖がいた地域があり、北米西部のララミディアに放散したとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Albert Prieto-Marquez, Gregory M. Erickson & Jun A. Ebersole (2016) 
  4. A primitive hadrosaurid from southeastern North America and the origin and early evolution of 'duck-billed' dinosaurs. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2015.1054495
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 タイにある白亜紀前期の地層(Khok Kruat Formation)で発見された基盤的ハドロサウロイデア(上科)が記載されています。

 福井恐竜博物館らのの報告で、オープンアクセスです。

 前上顎骨や上顎、頬骨などの頭部化石が見つかったもの。東南アジアからは初めての保存状態の良い鳥脚類化石とされています。 

 学名は、Sirindhorna khoratensis(シリントーナ・コラーテンシス)で、属名は、タイのシリントーン王女にちなんだもの。系統的には、最も基盤的なハドロサウロイデアの位置づけです。

 ハドロサウルス形類(hadrosauriform)の特徴を示していますが、上下のアゴ骨は、タイから見つかっている2種のハドロサウルス形類 、Siamodon nimingami Ratchasimasaurus suranareaeとは異なる特徴を示しています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Masateru Shibata, Pratueng Jintasakul, Yoichi Azuma & Hai-Lu You (2015) 
  4. A New Basal Hadrosauroid Dinosaur from the Lower Cretaceous Khok Kruat Formation in Nakhon Ratchasima Province, Northeastern Thailand. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0145904. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0145904
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 中国山西省にある白亜紀後期の地層(Huiquanpu Formatio)で発見されたハドロサウロイデアが記載されています。 

 ホロタイプは、歯列がそろった右歯骨で、Datonglong tianzhenensis(ダトンロン・チアンゼネンシス)と命名されています。

 他の全てのハドロサウロイデアとは異なり、それぞれの歯槽に2つの機能歯を持つなどの特徴があります。

 上下に連なる2本の内、下の歯でも摩耗した面が残っており、歯として機能していたとうわけです。デンタルバッテリーと言われるだけあって、機能していない歯も含めると、1つの歯槽には3から4本の歯があるとされています。

 系統的には、ハドロサウリダエではない、派生的なハドロサウロイデアとされ、このグループでは、歯列の進化は複雑なパターンで進化したようです。



  1. References:
  2.  
  3. Xu Shi-Chao, You Hai-Lu, WANG Jia-Wei, Wang Suo-Zhu, Yi Jian & Jia Lei (2016) 
  4. A New Hadrosauroid Dinosaur from the Late Cretaceous of Tianzhen, Shanxi Province, China. 
  5. Vertebrata PalAsiatica 51(1): 67-78 (advance online publication、PDF)
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デジタルプレパレーション

 今年最初のニュースは、南アフリカのジュラ紀前期の地層(Elliot Formation)で発見されている鳥脚類、レソトサウルス(Lesothosaurus diagnosticus)について。

 いくつかの頭部が見つかっていますが、いずれも不完全で変形しているか、プレパレーションが完全ではないとされています。 

 今回、頭部をCTスキャンして、3Dで再現して解析した論文が報告されています。

 タイトルでは、デジタルプレパレーションと表現されていますが、それぞれの骨を単離して解析しています。骨格の3D情報が、 論文データとなる日もやってきそうですね。  


 その結果、縫合形態や内部構造など、以前に未記載のいくつかの特徴が明らかになったとされています。  

 また、いままで、レソトサウルスの一種(Lesothosaurus sp.)とされていた2つの標本は、Lesothosaurus diagnosticus ではないかとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Laura B. Porro, Lawrence M. Witmer & Paul M. Barrett (2015) 
  4. Digital preparation and osteology of the skull of Lesothosaurus diagnosticus (Ornithischia: Dinosauria). 
  5. PeerJ 3:e1494 
  6. doi: https://doi.org/10.7717/peerj.1494D
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 スペインにある白亜紀後期(バレミアン後期、約1億2500万年前)の地層(Arcillas de Morella Formation)で発見された新種のイグアノドンティアが記載されています。

 頭部より後ろの骨格と、歯が見つかったもの。全長は6メートルほどと中型で、帆のようにみえる、椎骨の背側にある非常に細長い縦の神経棘などが特徴です。

 学名は、発見地にちなみ、Morelladon beltrani (モレラドン・ベルトラニ)です。

 系統的には、イグアノドンティア(Iguanodontia)のアンキロポレキシア(Ankylopollexia)、スティラコステルナ(Styracosterna)の位置づけです。  スティラコステルナでも、ハドロサウロイデアではない系統です。


 詳しい解析結果は、用いたデータセットの違いによって、2つの結果が示されています。図はそのひとつに、地質年代をあてはめたもの(José Miguel Gasulla et al., 2015) 。

 モレラドンは、白亜紀前期のイベリア半島のスティラコステルナより、西ヨーロッパのタクサであるイグアノドン(Iguanodon bernissartensis)やマンテリサウルス(Mantellisaurus atherfieldensis )により密接に関連しているとされています。

 白亜紀後期、イベリア半島は、高度に多様化した中型から大型サイズのスティラコステルナの集団が生息する場所だったようです。

Morelladon beltrani.jpg

 もう一つの解析結果では、イグアナコロッサス(Iguanacolossus fortis)と姉妹群となる、イグアノドンやフクイサウルス(Fukuisaurus tetoriensis)など、かなりの種と共に多分岐群の一種とされています。  




  1. References:
  2.  
  3. José Miguel Gasulla, Fernando Escaso, Iván Narváez, Francisco Ortega & José Luis Sanz (2015) 
  4. A New Sail-Backed Styracosternan (Dinosauria: Ornithopoda) from the Early Cretaceous of Morella, Spain. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0144167. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0144167
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 珍しい白亜紀後期早期の新種ハドロサウルス類/中国(2013年10月)で、 Yunganglong datongensis (ユンガンロン・ダトンゲンシス)を紹介していますが、これを含めても、白亜紀中頃(セノマニアン)のハドロサウロイデア(上科)は、今まで3種しか見つかっていません。 
  
 ハドロサウロイデアは、アジアから北米へ分散していったとされていますが、そのうち2種、エオランビア(Eolambia)とプロトハドロス(Protohadros)は北米からです。

 今回、山西省にある白亜紀後期早期の地層(Zhumapu Formation)で発見された基盤的なハドロサウロイデアが新種記載されています。

 ユンガンロンについで、山西省のこの地層からは2種目のハドロサウロイデアで、Zuoyunlong huangi (ズオユンロン・フアンギ)と命名されています。

 系統的には、最も基盤的な白亜紀後期のハドロサウロイデアとされ、モンゴル産の白亜紀前期晩期のプロバクトサウルスと姉妹群の位置づけです。

 今回の発見から、ハドロサウロイデアがアジアから北米へと、最初に分散したのは、白亜紀の初期と後期の境界あたり、つまり白亜紀中頃だったと考えられています。 

 
 見つかっているのは部分的な右腸骨と坐骨で、腸骨中央板の50%しかない非常に短い寛骨臼後方突起が特徴です。



  1. References:
  2.  
  3. Run-Fu Wang, Hai-Lu You, Suo-Zhu Wang, Shi-Chao Xu, Jian Yi, Li-Juan Xie, Lei Jia & Hai Xing (2015) 
  4. A second hadrosauroid dinosaur from the early Late Cretaceous of Zuoyun, Shanxi Province, China. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2015.1118688
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 恐竜化石からの軟組織発見の報告がある一方、微生物によるバイオフィルムの可能性も指摘されています。

 今回、シュバイツァーらが、ブラキロフォサウルス(Brachylophosaurus canadensis)の血管らしき組織について検証した論文を報告しています。

 似たような論文は、恐竜の骨細胞に残されたタンパク質(2012年12月)で紹介しています。

 2つの証拠から、微生物のバイオフィルムではなく、血管由来組織であるとしています。


 複数の標本からの、骨の表面をおおう皮質骨片から得られた試料を、高解像度のマススペクトルと免疫蛍光法により解析したもの。 中には、約8000万年前の化石も含まれるそうです。

 その結果、次の2つの証拠から、内因性の血管由来組織という仮説が支持されるとしています。  

 証拠のひとつは、血管抽出物のペプチド配列が、細菌などではなく、現生の主竜類のペプチドと一致したことです。  

 もうひとつは、マススペクトルにより同定されたタンパク質が、これらのタンパク質に特異的な抗体を用いて、組織に局在していることが確認されている点です。



  1. References:
  2.  
  3. Timothy P. Cleland, Elena R. Schroeter, Leonid Zamdborg, Wenxia Zheng, Ji Eun Lee, John C. Tran, Marshall Bern, Michael B. Duncan, Valerie S. Lebleu, Dorothy R. Ahl, Paul M. Thomas, Raghu Kalluri, Neil L. Kelleher, and Mary H. Schweitzer (2015) 
  4. Mass Spectrometry and Antibody-Based Characterization of Blood Vessels from Brachylophosaurus canadensis.
  5. Journal of Proteome Research (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1021/acs.jproteome.5b00675
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 1986年に、福島県にある双葉層群足沢層(白亜紀後期、約8000万年前)で発見されたハドロサウロイデア(上科)の論文が報告されています。

 10月に福島民報などが伝えていましたが、論文名などの詳細は不明でした。

 いのちのたび博物館研究報告ですが、残念ながら、ネット公開は刊行後5年とかで、実際に公開されているのは、今のところ、2008年分です。 

    Paleobiology Databaseで紹介されています。関連して、Nipponosaurus sachalinensis は、Nipponosaurus sachaliensis に、種小名が修正されているようです。



  1. References:
  2.  
  3. T. Ohashi, A. Prieto-Marquéz, Y. Hasegawa, Y. Koda, Y. Taketani and M. Nemoto. 2015. 
  4. Hadrosauroid remains from the Coniacian (Late Cretaceous) Futaba Group, northeastern Japan. 
  5. Bulletin of the Kitakyushu Museum of Natural History and Human History, Series A 13:1-6
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 現在のアラビア半島からは、何種類かの恐竜化石が見つかっています。

 半島の東南端にあるオマーンは、1997年に最初の恐竜化石が見つかった国であり(DML)、その後、獣脚類や鳥脚類、竜脚類化石が報告されています。

 今回、オマーンで発見されたアラビア半島では初めてのハドロサウロイデア(上科)の化石が報告されています。

 白亜紀後期(カンパニアン?マーストリヒチアン)の地層から、頭部より後ろの断片的な化石が見つかったもの。

 ハドロサウロイデアの起源や主な進化はローラシア大陸とされていることから、当時のテチス海にあった島々を経由して、アラビア半島にやってきたのではないかとされています。

 図は、ハドロサウロイデアの拡散ルート(Eric Buffetaut et al., 2015)です。アフリカ大陸へと渡るには、ヨーロッパの多島海を経由する必要がありますね。



journal.pone.0142692.g004.PNG

  


  1. References:
  2.  
  3. Eric Buffetaut, Axel-Frans Hartman, Mohammed Al-Kindi & Anne S. Schulp (2015) 
  4.  Hadrosauroid Dinosaurs from the Late Cretaceous of the Sultanate of Oman. 
  5. PLoS ONE 10(11): e0142692 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0142692

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 白亜紀後期、今のイベリア半島北東部から南フランスあたりには、かつての西欧諸島のひとつ、イベロ-アルモリカン島(Ibero-Armorican Island)があったとされています。

 ヨーロッパにおけるマーストリヒチアンのハドロサウロイデア(上科)のかなりの部分は、このあたりに由来するのですが、完全な標本がないこともあり、研究は進んでいないようです。

 一方、歯骨の方は、標本数も多く、保存状態もいいことから、今回、ハドロサウロイデアの多様性の指標として、歯骨形態の有用性を評価した論文が報告されています。

 その結果、3つの異なる歯骨形態型が認められたとしています。2つの異なるハドロサウロイデアとより派生的なタイプです。

 形態型のひとつには、比較的小型の個体があり、島で小型化した種ではないかとされています。  

 また、マーストリヒチアン後期、イベロ-アルモリカン島には、ハドロサウロイデアとランベオサウリナエ(亜科)が共存していたと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Alejandro Blanco, Albert Prieto-Márquez & Soledad De Esteban-Trivigno (2015) 
  4. Diversity of hadrosauroid dinosaurs from the Late Cretaceous Ibero-Armorican Island (European Archipelago) assessed from dentary morphology. 
  5. Cretaceous Research 56: 447-457 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.04.001
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 ほとんどツノのみられないプロトケラトプスから、派手なツノを持つ後期のケラトプシアなど、恐竜の進化は長い期間にわたるため、とても興味深いものがあります。

 北米産白亜紀後期(カンパニアン)のハドロサウリナエ(亜科)、ブラキロフォサウリニ(Brachylophosaurini、族)においても同様です。

 その仲間として、鼻骨に装飾的な鼻稜(nasal crest)のない Acristavus gagslarsoni (アクリスタブス)や、頭部をおおう平たい稜のある Brachylophosaurus canadensis (ブラキロフォサウルス)、後方にかけて垂直になる稜のある Maiasaura peeblesorum (マイアサウラ)が知られています。

 今回、層序的にも形態的にも、これらの仲間の中間的な化石が発見され、 Probrachylophosaurus bergei (プロブラキロフォサウルス・ベルゲイ)として記載されています。

 何百年にもわたる恐竜の、単一系統内進化の完璧な例と、モンタナ大が紹介しています。 

 図は、プロブラキロフォサウルスのタイプ標本(MOR 2919、左)とブラキロフォサウルス(右)の比較。矢印で示すように、ブラキロフォサウルスでは、鼻稜が大きく伸びて平たくなっています。



Probrachylophosaurus.jpg

 モンタナにあるカンパニアン(7980万から7950万年前)の地層(Judith River Formation)で、頭部などが見つかったもの。  

 頭部の形態は、アクリスタブスとブラキロフォサウルスの中間とされています。  

 また、小さくて後方を向き、断面が3角形の鼻稜は、稜のないアクリスタブスから、発達したブラキロフォサウルスなどへの移行状態にあったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Elizabeth A. Freedman Fowler & John R. Horner(2015) 
  4. A New Brachylophosaurin Hadrosaur (Dinosauria: Ornithischia) with an Intermediate Nasal Crest from the Campanian Judith River Formation of Northcentral Montana. 
  5. PLoS ONE 10(11): e0141304. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0141304
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 小さく産んで大きく育つ・・・のが恐竜の世界だったようで、頭部の長さが最も大きな成体の5%程しかないサウロロフス(Saurolophus angustirostris )が報告されています。

 ゴビ砂漠にある白亜紀後期の地層(Nemegt Formation)で発見された標本(MPC-D100 / 764)で、化石はモンゴルから不法に持ちだされたため、正確な発見場所は不明です。

 その後、日本経由でヨーロッパのコレクターに渡り、最終的にベルギーの自然史博物館に寄贈されたそうです。

 周囲には卵殻も見つかっており、生まれたてのようですが、まだ胚の段階なのか、後胚期(postembryonic) なのかははっきりしないようです。

 論文タイトルが、Perinatal (周産期)ですから、胚から生まれたてまでの期間ですね。

 頭部にトサカはなく、頚椎の神経アーチの半分が癒合していないことからも、成長の初期段階です。

 頭蓋骨の長さは6センチと推定され、今までに知られている成体の頭部標本の最大の長さ(1220mm)の5%ほどです。

 図は化石ブロック標本(Leonard Dewaele et al., 2015)。スケールが10センチですから、小さいですね。
 
 Saurolophus angustirostris.jpg



  1. References:
  2.  
  3. Leonard Dewaele, Khishigjav Tsogtbaatar, Rinchen Barsbold, Géraldine Garcia, Koen Stein, François Escuillié & Pascal Godefroit (2015) 
  4. Perinatal Specimens of Saurolophus angustirostris (Dinosauria: Hadrosauridae), from the Upper Cretaceous of Mongolia. 
  5. PLoS ONE 10(10): e0138806. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0138806
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 最近は、骨の組織学的研究が増えていますが、少量の試料からの不完全な化石の解析は、多くの場合、統計的効力を欠くとされています。

 今回、今までで最大とされる標本数の組織学的解析について報告されています。

 年をとると2足から4足歩行へ/マイアサウラ(2015年7月)で紹介した論文と同じく、ウッドワード(Holly N. Woodward)とジョン・ホナーらが、マイアサウラ(Maiasaura peeblesorum) の50本の脛骨の組織学的解析から、年間成長率などについて解析したもの。

 その結果、3年間で体重は平均的な成体体重の36%(1260kg)に達し、その後、成長速度は減速したとされています。ということは、成体の体重は、3.5トンになりますね。

 この変化は、性的成熟の開始で、生殖にエネルギーを使うためと考えられています。そして、成体になるのは、骨格の成熟し老化が始まる8年後とされています。

 アリゲーターと比較して、マイアサウラは、初期に急速な皮質増加を示し、一方、アリゲーターの皮質の成長ははるかに低く、成長段階をとおして遅延しているとされています。

 最初の年の死亡率は、89.9%と高いのですが、そこを過ぎるとその後7年の平均は12.7%とされています。成熟した8年後の死亡率は44.4%に増加したとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Holly N. Woodward, Elizabeth A. Freedman Fowler, James O. Farlow and John R. Horner (2015) 
  4. Maiasaura, a model organism for extinct vertebrate population biology: a large sample statistical assessment of growth dynamics and survivorship. 
  5. Paleobiology (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/pab.2015.19
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 南極大陸の恐竜化石産地としては、ジェイムズ・ロス島の恐竜化石/南極(2013年9月)でレビューを紹介している ジェイムズ・ロス島が有名です。白亜紀後期の海洋堆積層です。

 今回、白亜紀後期(マーストリヒチアン、約7000万年前)の地層(Snow Hill Island Formation の López de Bertodano Formation)で発見されたイグアノドンティアが記載されています。

 学名は、Morrosaurus antarcticus(モロサウルス・アンタルクチクス)で、属名は、化石発見地(El Morro)にちなんでいます。

  系統的には、南半球だけの鳥脚類からなる単系統のクレードとされ、白亜紀後期、パタゴニアや南極、オーストラリアは、同じ陸上動物相だったと考えられています。

 この系統には、新種の鳥脚類トリニサウラ/南極(2013年1月)で紹介しているTrinisaura(トリニサウラ)や、アルゼンチン産のGasparinisauraAnabisetiaNotohypsilophodonTalenkauenMacrogryphosaurusを含みます。

 このグループの仲間のいくつかは、中足骨IVが狭くて、細くて骨が収束した足を持つなどの特徴から、特殊化した走行モードに適応していたとされています。





  1. References:
  2.  
  3. Sebastián Rozadilla, Federico L. Agnolin, Fernando E. Novas, Alexis M. Aranciaga Rolando, Matías J. Motta, Juan M. Lirio & Marcelo P. Isasi (2016) [2015] 
  4. A new ornithopod (Dinosauria, Ornithischia) from the Upper Cretaceous of Antarctica and its palaeobiogeographical implications. 
  5. Cretaceous Research 57: 311-324 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.09.009
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 真冬には一日中太陽が昇らず、逆に、真夏には太陽が沈まない北極圏からでも、恐竜化石の発見は珍しくはありません。

 アラスカ北部、最も高緯度の恐竜化石産地/アラスカ(2015年1月)で紹介しているプリンス・クリーク層(Prince Creek Formation)からは、これまでに、13種類以上の恐竜化石が見つかっており、そのうち、後に示すように、3つのタクソンが新種として記載されています。 

 マーストリヒチアン(約6900万年前)の地層で、極地方としては世界で最も多数の化石を産出する場所です。

 そこでは、エドモントサウルス属(Edmontosaurus sp.)の幼体が多数見つかっており、渡りをしなかったエドモントサウルス(2013年9月)で紹介しているように、極寒の冬でも渡りをしなかったようです。

 今回、そのプリンス・クリーク層で発見されたハドロサウリダエ(科)のエドモントサウリニ (亜科)の新種が記載されています。YouTube で発掘の様子ななどが紹介されています。

 4種目となる恐竜の学名は、Ugrunaaluk kuukpikensis で、発音は、"oo-GREW-nah-luk"で、日本語では、ウーグルナールク・クークピケンシスとします。

 体長は9メートルほど、近縁とされるエドモントサウルスとは異なり、眼窩後部ポケットを欠く比較的狭い後眼窩骨の頬骨突起を持つといった特徴があります。

 アラスカという極寒の環境で暮らしていたからでしょうか、同じララミディアでも、地域性があったようです。


 アラスカからの新種は、2006年に記載されたパキケファロサウリダエの Alaskacephale gangloffi(アラスカケファレ・ガングロフィ)と、セントロサウリネ(centrosaurine)の Pachyrhinosaurus perotorum (パキリノサウルス・ペロトラム、2012)、ティラノサウリネの anuqsaurus hoglundi (ナヌクサウルス・ホグルンディ、2014)です。  

 今回の新種の属名は、アラスカの原住民のイヌピアック(Iñupiaq)語で、"ancient grazer(太古のグレイザー)"の意味。同じ植物食でも、グレイザー(粗食選択)はブラウザー(良質選択)と異なり、食べられるものを無差別に刈り取って食べるタイプです。  

 骨格的に未成熟な標本からの記載ですが、他のハドロサウリダエの成長パターンを考慮して、解析されています。  

 系統解析からは、既に報告されているエドモントサウルス属の、 Edmontosaurus annectens (エドモントサウルス・アネクテンス)と E. regalis (エドモントサウルス・レガリス)からなるクレードの姉妹群とされています。    

 ウーグルナールクは、他のエドモントサウルスに見られる幼体の特徴は示さないとされています。 しかし、詳しくは、 E. annectensE. regalis の幼体など、さらなる標本の発見が必要とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Hirotsugu Mori, Patrick S. Druckenmiller, and Gregory M. Erickson (2015) 
  4. A new Arctic hadrosaurid from the Prince Creek Formation (lower Maastrichtian) of northern Alaska 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00152.2015
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2016年5月

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