角竜類(Ceratopsia)の最新ニュース

 先週末のユタに続いて、モンタナにある白亜紀後期(カンパニアン)の地層(Judith River Formation)で発見されたケラトプシアが記載されています。
 
 眼窩の上にあるツノが、横方向に伸びているのが特徴的です。

 学名は、Spiclypeus shipporum(スピクリペウス・シッポルム)で、属名の意味は、「突起のある盾」。頭頂鱗状部のフリルの端にスパイク状の突起があることから。

 系統的には、カスモサウリネ(カスモサウルス亜科)で、バガケラトプスとコスモケラトプスからなる系統の姉妹群とされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallon, Christopher J. Ott, Peter L. Larson, Edward M. Iuliano & David C. Evans (2016) 
  4. Spiclypeus shipporum gen. et sp. nov., a Boldly Audacious New Chasmosaurine Ceratopsid (Dinosauria: Ornithischia) from the Judith River Formation (Upper Cretaceous: Campanian) of Montana, USA. 
  5.   PLoS ONE 11(5): e0154218. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0154218
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ユタの新種ケラトプシア

 ユタ州南部にある白亜紀後期(カンパニアン)の地層(Wahweap Formation)で発見されたケラトプシアが記載されています。 

 学名は、Machairoceratops cronusi (マカイロケラトプス・クロヌシ)で、属名の意味は「曲がった剣を持つ角竜」の意味。フリルの上部には、2つの長くて曲がったツノがあります。

 2種類の系統解析から、いずれも初期に分岐したセントロサウリネ(亜科)とされていますが、ディアブロケラトプス(Diabloceratops )と多分岐とする解析結果も示されています。

 頭頂部の装飾の独特な形態は、基盤的なセントロサウリナエのフリル装飾における進化的多様性を表すものとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Eric K. Lund, Patrick M. O'Connor, Mark A. Loewen & Zubair A. Jinnah (2016) 
  4. A New Centrosaurine Ceratopsid, Machairoceratops cronusi gen et sp. nov., from the Upper Sand Member of the Wahweap Formation (Middle Campanian), Southern Utah. 
  5. PLoS ONE 11(5): e0154403. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0154403
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 一般的に、ケラトプシアやセントロサウリナエ(セントロサウルス亜科)は、カンパニアン後期、当時の北米大陸西側のララミディアの北部で豊富に見つかっています。

 しかし、ララミディアの南部ではまれです。ララミディア北部からは12属の セントロサウリナエが命名されていますが、南部からは、Diabloceratops と Nasutoceratops の2属のみです。

 この理由として、白亜紀後期、ララミディアの南北では、少なくとも2つの別々の動物相があり、恐竜は偏在し、それぞれ固有性があったと考えられています。

 今回、メキシコにある白亜紀後期(カンパニアン後期)の地層(Aguja Formation)で発見されたセントロサウリナエが報告されています。

 新種とされていますが、記載されていません。系統解析では、基盤的なセントロサウリナエで、 Avaceratops Nasutoceratopsとの多分岐な位置づけです。

 北部での発見例が多いことから、セントロサウリナエの系統解析はこの動物相に偏っており、今回の発見はこのバイアスを修正するものとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Héctor E. Rivera-Sylva, Brandon P. Hedrick & Peter Dodson (2016) 
  4. A Centrosaurine (Dinosauria: Ceratopsia) from the Aguja Formation (Late Campanian) of Northern Coahuila, Mexico. 
  5.   PLoS ONE 11(4): e0150529. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0150529
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トロサウルスの新標本

 やはり別の種/トロサウルスとトリケラトプス(2013年11月)などで紹介していますが、トロサウルスとトリケラトプスの議論は続いています。
 トロサウルスは成長したトリケラトプスで両者は同一種なのか、それとも、異なる種なのか、という話です。

 今回、モンタナにある白亜紀後期のヘルクリーク層で発見されたトロサウルス(Torosaurus latus)の新標本について報告されています。

 最も保存状態の良い標本の一つとはされていますが、議論に参考となるデータは見つかっていないようです。



  1. References:
  2.  
  3. Andrew T. McDonald, Carl E. Campbell & Brian Thomas (2016) 
  4. A New Specimen of the Controversial Chasmosaurine Torosaurus latus (Dinosauria: Ceratopsidae) from the Upper Cretaceous Hell Creek Formation of Montana. 
  5.   PLoS ONE 11(3): e0151453. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0151453
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ナストケラトプス続報

 鼻の大きな新種の角竜/ユタ州(2013年7月)で紹介したケラトプシア、ナストケラトプス・チスシ(Nasutoceratops titusi) について報告されています。

 ユタ州にある白亜紀後期(カンパニアン)の地層(Kaiparowits Formation)で発見された基盤的セントロサウリナエ(亜科)です。 大きく盛り上がった鼻と、短い吻部、ねじれたツノが特徴です。

 系統解析では、先の論文と同じく、モンタナにあるカンパニアン後期の地層で発見されているアバケラトプス(Avaceratops lammersifrom)の姉妹群とされています。

 ナストケラトプスは、セントロサウリナエの起源に情報を与えるだけではなく、短い吻部 が短く、長い角を持つ未知のセントロサウリナエの存在を示唆するとされています。  

 それは、著者らがその存在を提唱している、北米の西部内陸盆地南部に起源を持つクレードです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Eric K. Lund, Scott D. Sampson & Mark A. Loewen (2016) 
  4. Nasutoceratops titusi (Ornithischia, Ceratopsidae), a basal centrosaurine ceratopsid from the Kaiparowits Formation, southern Utah. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2015.1054936
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 Yinlong downsi(インロング)といえば、中国・新彊にあるジュラ紀後期の地層(Shishugou Formation)で発見された最古のケラトプシアです。

 系統関係は、プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシア/モザイケラトプス(2015年9月)で紹介しています。

 今回、ホロタイプと、3つの頭部などの他の標本から、頭部と下アゴについて詳細に記載されています。

 他の基盤的なケラトプシアとの比較から、この報告では、チャオヤンゴサウリダエ(Chaoyangsauridae、科)に属するとされています。

 モザイク状に、原始的と派生的な特徴を合わせ持つことは、初期のケラトプシアではよくあることです。

 今回も、プシッタコサウルスや他のネオケラトプシアが持つ派生的な特徴も共有しており、初期のケラトプシアの形質の進化は複雑とされています。

 なお、小さな標本に、犬歯状の前上顎骨歯が存在しているのですが、これは性的二形か個体差としています。




  1. References:
  2.  
  3. Feng-Lu Han, Catherine A. Forster, James M. Clark & Xing Xu (2015) 
  4. Cranial anatomy of Yinlong downsi (Ornithischia: Ceratopsia) from the Upper Jurassic Shishugou Formation of Xinjiang, China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2015.1029579
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 プロトケラトプス(Protoceratops andrewsi)のフリルと頬骨の相対成長(アロメトリー)を解析した論文が報告されています。

 4つの異なるサイズの37標本を調べたもの。 その結果、フリル(長さと幅)は、成長とともに、相対的に他の部分より大きくなり、正の相対成長(アロメトリー)を示したとされています。

 また、頬骨も相対的にサイズが増加したとされています。

 結局、以前から指摘されているように、それらは、社会的優位性を誇示するためや性的ディスプレイのための社会的・性的優位シグナル(socio-sexual dominance signals)とされています。
 
 結論的には、従来から言われていることを示しただけのようです。



  1. References:
  2.  
  3. David W. E. Hone, Dylan Wood, and Robert J. Knell (2016) 
  4. Positive allometry for exaggerated structures in the ceratopsian dinosaur Protoceratops andrewsi supports socio-sexual signaling. 
  5. Palaeontologia Electronica 19.1.5A: 1-13 
  6. doi: palaeo-electronica.org/content/2016/1369-sexual-selection-in-ceratopsia
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 カナダ・アルバータ州の恐竜州立公園にある白亜紀後期の地層(Dinosaur Park Formation)で発見されたカスモサウリナエ(亜科)の幼体化石について報告されています。

 世界で初めての、ケラトプシアの幼体の完全な骨格と、アルバータ大が紹介しています。SVPでも紹介されています。

 系統的には、基盤的なカスモサウリナエとされていますが、幼体だけに、種の同定には至っていません。

 3月に科博で開催される「大恐竜博2016」で展示される予定で、日本では、脳函などのCTスキャン解析も行われるようです。

 体長は1.5メートルで、前肢と肩帯、尾の末端が無いだけの関節した全身骨格です。皮膚印象も残され、それらは、成体と似ているそうです。  

 短くて背の高い頭蓋骨には、幅の狭い、後部が湾状にくぼんだ形態(embayment)がないフリルを持っています。




  1. References:
  2.  
  3. Philip J. Currie, Robert B. Holmes, Michael J. Ryan & Clive Coy (2016) 
  4. A juvenile chasmosaurine ceratopsid (Dinosauria, Ornithischia) from the Dinosaur Park Formation, Alberta, Canada. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication)  PDF(全文)
  6. DOI:10.1080/02724634.2015.1048348
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 恐竜の中でも特徴的な形態の坐骨を持つ新種のケラトプシアが記載されています。

 山東省にある白亜紀後期の地層(Wangshi Group)から、図(He Y et al., 2015)に示すように、骨盤や後ろ足の一部などが発見されたもの。

 特徴的な形態の坐骨(ischium)にちなみ、 Ischioceratops zhuchengensis(イスチオケラトプス・ズケンゲンシス)と命名されています。

 その坐骨は、しだいに大きく広がり、弓のリカーブ・ボウ(recurve bow)のシャフトに似ています。 中央の位置で閉鎖孔突起(obturator process)を形成しています。

 たいていは、後方に真っすぐ伸びるか、垂れ下がるのですが、弓なりなのは珍しいですね。

Ischioceratops.jpg
 諸城市からは、ほぼおなじ層序レベルで発見され、2010年に記載された Zhuchengceratops inexpectus(ズケンケラトプス・イネクスペクタス)に続いて2種目となるレプトケラトプシダエ(Leptoceratopsidae)です。

 ズケンケラトプスについては、アジアから新種のレプトケラトプシダエ(2010年11月)で紹介しています。目立つ角は無くフリルも小さい、白亜紀後期としては原始的な顔つきの角竜です。  

 坐骨の異常な形態は、病理学的な異常とも考えられますが、いくつかの要因から否定しています。



  1. References:
  2.  
  3. He Y, Makovicky PJ, Wang K, Chen S, Sullivan C, Han F, et al. (2015) 
  4. A New Leptoceratopsid (Ornithischia, Ceratopsia) with a Unique Ischium from the Upper Cretaceous of Shandong Province, China. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0144148. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0144148
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 近年はアジアからの発見で、ケラトプシア(角竜)の起源や初期進化も少しずつ判明してきています。プシッタコサウルスの分岐時期や系統的な位置関係も、気になるところです。

 プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシア/モザイケラトプス(2015年9月)では、プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシアの位置づけで、比較的派生的なクレードと紹介しました。

 しかし、分岐時期とされるジュラ紀後期と、化石が見つかっている白亜紀前期の間には、空白期間があり、特にジュラ紀の地層からの、さらなる発見が必要とされていました。

 今回、中国・ジュンガル盆地にあるジュラ紀後期早期(オックスフォーディアン、約1億6000万年前)の地層(Shishugou Formation)で発見された基盤的ケラトプシアが記載されています。

 その中で、プシッタコサウルスの系統は、ネオケラトプシアではなく、基盤的なケラトプシアの系統で、約1億6000万年前の、ジュラ紀後期になる前には分岐したとされています。


 学名は、Hualianceratops wucaiwanensis (フアリアンケラトプス・ウカイワネンシス)で、頭部骨のほとんどに、織目構造の装飾(textured ornamentation)があることから、属名の意味は、"装飾的な顔"です。

 PLOS Paleoで、Andrew Farke は、いぼいぼ顔(warty face)と紹介しています。もちろん、骨の表面の模様であって、実際の顔ではありませんね。

 全長は1メートルほど、基盤的なケラトプシアだけに、2足歩行だったようです。

 図は、今回示されている分岐図(Fenglu Han et al.,2015)。系統的には、基盤的ケラトプシアの位置づけで、チャオヤンゴサウリダエ(Chaoyangsauridae、科)の系統です。

 チャオヤンゴサウリダエの中で、フアリアンケラトプスは、基盤的なケラトプシアであるインロング(Yinlong downsi ) 、チャオヤングサウルス(Chaoyangsaurus youngi)、シュアンフアケラトプス(Xuanhuaceratops niei )の3種と多系統をなしています。

 また、このチャオヤンゴサウリダエは、プシッタコサウルス属とは姉妹群をなすという新しい仮説を提唱しています 。


Hualianceratops wucaiwanensis.jpg


 今回の結果は、ネオケラトプシアが基盤的な位置で、幾つかの系統に分岐したとされ、下図に示すように、その分岐は、約1億6000万年前の、ジュラ紀後期になる前に始まったとされています。

 プシッタコサウルスやネオケラトプシアの出現が白亜紀前期なことから、ジュラ紀後期前に分岐してから、約1億2500万年前の白亜紀前期まで、化石が見つかっていない長い空白期間が存在します。

 下図で、灰色の線がその系統で、ゴースト系統(ghost lineage)とされています。

 ただ、分岐図に地質年代を当てはめたりすると、多くの場合、こういう空白期間は出てきそうですが。



Ghost lineages.jpg


 フアリアンケラトプスの記載は、主に頭部化石標本 (IVPP V18641) に基づいたもので、Shishugou Formation 上部からは、インロングに続いて、2種目の基盤的ケラトプシアです。  

 プシッタコサウルスと共通した派生的な特徴と、基盤的なケラトプシアであるインロング、チャオヤングサウルス、シュアンフアケラトプスと共通の特徴を持つとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Fenglu Han, Catherine A. Forster, James M. Clark & Xing Xu (2015) 
  4. A New Taxon of Basal Ceratopsian from China and the Early Evolution of Ceratopsia. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0143369 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0143369
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 白亜紀後期、T.rexやハドロサウルスは、東のアパラチアと西のララミディアでは異なり、これは、北米大陸は東西に2分されていた事を示すとされています。

 そもそも、アパラチアの白亜紀後期の動物相はあまり知られていないのです。

 今回、ノースカロライナ州 にある白亜紀後期(カンパニアン)の地層(Tar Heel Formation)で発見されたケラトプシアが報告されています。Belfast Telegraphは、大型犬サイズなどと伝えています。

 北米東部の白亜紀後期の地層からは、初めてとされています。

 ただ、上顎骨のみであり、レプトケラトプシダエの仲間とされてはいますが、種の同定には至っていません。
 

 歯槽穴は短く、腹側に突出した歯列、 外翼状骨(ectopterygoid)によっておおわれた長い含歯性突起(dentigerous process)、横方向にカーブした歯列、これらの特徴はレプトケラトプシダエの特徴の組み合わせとされています。  

 また、上顎は長く、細長く下向きに曲がった後部含歯性突起があり、特殊な摂食戦略が示唆されています。  

 北米東部においてかなり特殊なケラトプシアが見つかったことから、アパラチアは白亜紀後期の相当な期間、他の地域から分離しており、独自の動物相が進化したと考えられています。  

 一方、レプトケラトプシダエを含むいつくかの種は、ヨーロッパの仲間と共通している部分もあることから、アパラチアとヨーロッパがつながっていた可能性も示唆されています。



  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich, (2016) [2015]
  4. A ceratopsian dinosaur from the Late Cretaceous of eastern North America, and implications for dinosaur biogeography 
  5. Cretaceous Research, 57,p. 199-207 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.08.004
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 かつては、白亜紀前期のプシッタコサウリダエ(Psittacosauridae、科) は、ケラトプシア(角竜類)とされていました。

 白亜紀のネオケラトプシア(新角竜類)ほどは派生的ではなく、ジュラ紀の基盤的ケラトプシアであるインロング(Yinlong)やチャオヤングサウリダエ(Chaoyangsauridae)と、ネオケラトプシアの中間的な位置でした。

 しかし、近年では、アジアからやってきた北米最古の角竜(2014年12月)の系統図で紹介しているように、プシッタコサウルスは、ネオケラトプシア内の基盤的位置とされています。

 今回、この仮説をサポートするような新種が記載されています。

 河南省にある白亜紀後期の地層(Xiaguan Formation)で発見された基盤的ネオケラトプシアです。

 学名は、Mosaiceratops azumai(モザイケラトプス・アズマイ)で、属名の意味は、「モザイク状のケラトプシア(角竜)」。種小名は、福井恐竜博の東さんに献名しています。

 歯がない前上顎骨などはプシッタコサウリダエに似ており、基盤的ケラトプシアやプシッタコサウリダエ、基盤的ケオケラトプシアの特徴を、モザイク状に合わせ持つことから命名されています。

 プシッタコサウルスやモザイケラトプスが前上顎骨歯を持たず、これらの子孫にあたる基盤的ネオケラトプシアで再出現していることは、一度失われた特徴が、環境に適応して、再進化したと考えられます。 
  
 プシッタコサウリダエに似ているだけに、その系統的な位置についても言及されています。





Mosaiceratops azumai.jpg

 
  1.  今回、プシッタコサウリダエはカオヤングサウリダエより派生的とされ 、プシッタコサウリダエは、ケラトプシアの最も基盤的なグループではなくて、比較的派生的なクレードとされています。  

     今回示された系統図(Wenjie Zheng et al., 2015)では、2種のプシッタコサウルスは、ネオケラトプシアに位置づけられています。  
     しかし、図からもわかるように、ジュラ紀と白亜紀前期の間には化石が見つかっていない空白期間があり、さらなる発見が必要とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Wenjie Zheng, Xingsheng Jin & Xing Xu (2015) 
  4. A psittacosaurid-like basal neoceratopsian from the Upper Cretaceous of central China and its implications for basal ceratopsian evolution. 
  5. Scientific Reports 5, Article number: 14190 
  6. doi:10.1038/srep14190
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 角竜の頭部は、個体発生的に成長によって変化するので、特に未成熟の標本からの種の記載には注意が必要です。

 今回、カスモサウリナエ(亜科)の Arrhinoceratops brachyops (アリノケラトプス・ブラキヨプス)の頭部について考察した論文が報告されています。

 頭部の特徴からは、トリケラトプスにかなり類似しているのですが、個体発生的なイベントと対になった系統解析からは、個体発生的な変化のタイミングは、カスモサウルスにより近縁とされています。

 よって、トリケラトプスとの類似性は、共通祖先を持たない類似性である相似形態と考えられています。

 アリノケラトプスについては、アリノケラトプスの第2標本/カナダ(2014年5月)で紹介しています。アルバータ州にある白亜紀前期の地層(Horseshoe Canyon Formation)で発見されています。


 今回のアリノケラトプスは成熟した個体とされ、眼窩後部の洞角(horncore、中が空洞のツノ)はより長く、幼い時にはツノの先端が後方に傾斜しているのですが、成長にともなって前方傾斜へとシフトしていきます。  

 また、デルタ状のフリルの縁後頭骨(epiossification)は低くて、根底にあるフリルと癒合しており、顔がより細長くなっています。  

 これらの特徴から、アリノケラトプスはトリケラトプスにかなり類似し、個体発生的な成長に伴う変化は、全てのツノの長いカスモサウリナエに共通していたと考えられています。  

 しかし、特にフリルの縁まわりの波型(scalloping)が、比較的遅くなって減っていくことから、個体発生的なイベントと対になった系統解析からは、個体発生的な変化のタイミングは、カスモサウルスにより近いとされています。  

 ケラトプシダエとしては原始的な、より長くなった眼窩後部の洞角を保持しているという点では、トリケラトプスに似ているのですが、このような個体発生的な類似性は相似形態と考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallon, Michael J. Ryan and James A. Campbell (2015) 
  4. Skull ontogeny in Arrhinoceratops brachyops (Ornithischia: Ceratopsidae) and other horned dinosaurs. 
  5. ZOOLOGICAL JOURNAL OF THE LINNEAN SOCIETY (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/zoj.12294
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 コープの法則とは、同一系統では、時代が新しくなるほどボディサイズが大きくなるというルールです。

 海洋生物にコープの法則は適用できるか(2015年4月)などで紹介していますが、大雑把すぎるのでしょうか、適用できない場合もあります。

 今回、生物が持っているオーナメント(飾り)の複雑さについて、考察した論文が報告されています。

 直接観察や、その構造のサイズは、ボディサイズよりも速く成長した(つまり、正の相対成長)という経験にもとづいた視点です。

 大多数の動物の代謝率は、動物の質量の3/4乗に比例するというクライバーの法則より、オーナメントの複雑さも、性選択の役割とは関係なく、質量に比例すると仮定したのです。

 この仮説を検証するために、アンモナイト、鹿、角竜という3つのクレードについて調べています。

 その結果、ボディサイズに対するオーナメントの回帰指数は、3つのクレードで同じであり、統計的には、差がないとしています。どのクレードでも、ボディサイズに比例してオーナメントが複雑になるということでしょう。

 このことから、オーナメントの複雑さの進化は、コープの法則の副産物としています。

 また、たいていのオーナメントで、性的選択は、サイズには関与するかもしれないが、その形状には影響を与えないとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Pasquale Raia, Federico Passaro, Francesco Carotenuto, Leonardo Maiorino, Paolo Piras, Luciano Teresi, Shai Meiri, Yuval Itescu, Maria Novosolov, Mattia Antonio Baiano, Ricard Martínez and Mikael Fortelius (2015) 
  4. Cope's Rule and the Universal Scaling Law of Ornament Complexity. 
  5. American Naturalist 186 (2): (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1086/682011
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 ケラトプシア(角竜)の新種化石、最近たくさん報告されているようですが、それは、白亜紀もカンパニアンの後期、約7700万年前以降の話です。

 ケラトプシアは、白亜紀後期のチューロニアン(約9000万年前)に近縁の姉妹群が登場してから、多様化が開始する約7700万年前までの間の、初期の化石記録は乏しく、7種のタクサが記載されているのみだそうです。 

 図は、ケラトプシアの系統関係に地質年代を当てはめたもの(David C. Evans et al., 2015)。ピンクの範囲(9000万年前から7700万年前)が、化石記録が乏しいとされる期間です。

 7000万年代はともかく、この図を見る限り、9000万年前から8000万年前の間は全くの空白期間ですね。


Phylogenetic relationships of Wendiceratops pinhornensis.jpg


  今回、カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期(カンパニアン中期、7800万から7900万年前)の地層(Oldman Formation)で発見された新種のケラトプシアが記載されています。 

  Wendiceratops pinhornensis(ウェンディケラトプス・ピンホルネンシス)と命名されています。属名は、最初に化石を発見したウェンディ・スロボダ(Wendy Sloboda)にちなんでいます。

 ケラトプシダエ(Ceratopsidae、科)は、セントロサウリネ(亜科)とカスモサウリネ(亜科)の2系統に大別されるのですが、今回の新種は、基盤的なセントロサウリネの系統で、シノケラトプス( Sinoceratops zhuchengensis)の姉妹群とされています。 図の赤線の位置です。

 

 下の図は骨格図(David C. Evans et al., 2015)。発見されている部分はブルーです。 眼窩の上のツノは近縁種からの類推でしょう。



Wendiceratops pinhornensis.jpg

 不完全ですが、鼻先には、大きくて直立した鼻角(nasal horn)があり、このはっきりした鼻角は、ケラトプシアで最も古いとされています。  

 鼻角は、姉妹群のシノケラトプスやより派生的なセントロサウルスなどと比べて、眼窩に近い位置にあるのが特徴です。 

 上の系統図に、側面から見た鼻の形態が示されています。 ケラトプシダエの外群と基盤的なセントロサウリダエは、鼻飾り(nasal ornamentation)を欠いていることに注目ですね。  

 系統的な位置からして、こういった鼻飾りは、過渡的な形態ではないかと考えられています。  

 また、大きな鼻角は、ケラトプシアでは、少なくとも2回独立して進化したとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans & Michael J. Ryan (2015) 
  4. Cranial Anatomy of Wendiceratops pinhornensis gen. et sp. nov., a Centrosaurine Ceratopsid (Dinosauria: Ornithischia) from the Oldman Formation (Campanian), Alberta, Canada, and the Evolution of Ceratopsid Nasal Ornamentation. 
  5. PLoS ONE 10(7): e0130007. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0130007
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 ほとんどの植物食哺乳類は、植物を処理するための、咬合した歯列と複雑な組織構造を持っています。

 しかし、植物食爬虫類で、植物を咀嚼するための咬合した歯列を進化させたのはまれでした。

 一方、恐竜においては、いくつかの系統がかむ能力を獲得し、爬虫類の中では目立っています。特に、角竜では、タフでかさばる植物を摂取するために、スライスできる歯列を進化させました。

 今回、トリケラトプスの歯列について報告されています。その歯の構造は以前考えられていたより複雑で、主に5つの骨質組織よりなることがわかったそうです。

 3Dモデルを作成し解析した結果、このユニークで複雑な咬合面の形態は、植物を切り裂き、噛むときの摩擦を低減するのに役立ったとされています。

 この5層の複雑な構造は、今まで最も複雑とされた4つの構造からなる有蹄類の歯冠構造を超えるとされています。

 それは、歯表面のエナメル質(E)、固いマントル象牙質(mantle dentine、HMD)、真正象牙質(orthodentine、O)、血管が入り込んだ血管象牙質(vasodentine、V)、そして歯根をカバーするセメント質(coronal cementum、CC)です。

 図は、ケラトプシアにおける歯の進化(Gregory M et al., 2015)。

 上の5つの構造と、NOは嵌合のない歯列、IOは初期の嵌合、DOは、嵌合、RCは基部のセメント質を示します。 5層がそろうのは、プロトケラトプシダエとケラトプシダエからとされています。

     

 また、爬虫類でのセメント質の発見も、別々に進化させたハドロサウリダエに続いて、2例めとされています。  

 ヒトのセメント質では、歯根膜が入り込んで歯と歯槽骨をつなぎとめ、また、噛んだ時のクッションの役割も果たしています。ただし、トリケラトプスで、クッションの役割を果たしていたかどうかは不明です。    

 ハドロサウルス同様、歯の形態における組織的な変化は、このクレードの生態的多様性に、重要な役割を果たしたとされています。


 Dental tissue evolution in Ceratopsia.jpg 


  1. References:
  2.  
  3. Gregory M. Erickson, Mark A. Sidebottom, David I. Kay, Kevin T. Turner, Nathan Ip, Mark A. Norell, W. Gregory Sawyer & Brandon A. Krick (2015) 
  4. Wear biomechanics in the slicing dentition of the giant horned dinosaur Triceratops. 
  5. Science Advances 1 (5): e1500055 
  6. DOI: 10.1126/sciadv.1500055
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 白亜紀もカンパニアンに入ると、角竜(Ceratopsidae、ケラトプス科)の系統は、2つの系統に分岐します。

 図のように、カスモサウリナエ(カスモサウルス亜科)とセントロサウリナエ(セントロサウルス亜科)です(Caleb M. Brown & Donald M. Henderson, 2015 )

 トリケラトプスに代表されるように、カスモサウリナエの頭部のフリルは、セントロサウリナエに比べて、シンプルです。

 今回、カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン、約6800万年前)の地層( St. Mary River Formation)で発見された新種のカスモサウリナエが記載されています。 

 ほとんど完全で、3次元的に保存された頭部に基づくもので、Regaliceratops peterhewsi (レガリケラトプス・ペテレウシ)と命名されています。

 最も驚くべきことは、カスモサウリナエのトリケラトプシーニ(Triceratopsini)の系統ながら、頭部の飾りが派手なこと。

 この点は、レガリケラトプスが見つかった年代には既に絶滅しているセントロサウリナエの系統に類似しています。

 カスモサウリナエ(特にマーストリヒチアンの型)の頭部の形態がセントロサウリナエに類似しているのは、収斂進化だったとされています。  

 恐竜の系統では初めてとなる、頭部のツノ様ディスプレイ構造での収斂進化とされています。現生や絶滅哺乳類では見られているそうです。  

 初めての収斂進化とのことですが、すでに、カスモサウリナエの基盤的な位置では、頭部に多数のツノがあるコスモケラトプス(Kosmoceratops richardsoni )なども見つかっています。



Regaliceratops peterhewsi.jpg

  1. References:
  2.  
  3. Caleb M. Brown & Donald M. Henderson (2015) 
  4. A New Horned Dinosaur Reveals Convergent Evolution in Cranial Ornamentation in Ceratopsidae. 
  5. Current Biology (advance online publication) 全文(pdf ) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2015.04.041
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 プロトケラトプス(Protoceratops andrewsi)の、特に、フリルの幅や高さ、鼻先のツノについては、オストメスで異なるとの説があります。

 今回、その性的二型について再評価した論文が報告されています。

 29の頭部標本について、横方向と背側から、二次元の幾何学的形態計測により評価したもの。 

 頭部の標本がオスかメスかは、先の文献(Dodson P, 1976)に従い、頭部長に対するフリルの高さや幅などの関係から判断しています。 単純な相関関係で、頭部長に対するフリルの高さや幅などの比率が大きい方をオスとしているのです。

 一方、今回、主成分分析やノンパラメトリックな分散分析といった統計学的解析では、雌雄の形態空間(morphospace)に差は見られないとしています。

 つまり、フリルの高さや幅、サイズの違いといった解剖学的特徴は、性的二型ではないと考えられています。ただし、鼻先の高さである鼻高(nasal height)だけは、性的二型がありうる唯一の特徴とされています。

 全体として、頭部の違いは、性差とは無関係な種内変化や個体発生的な成長に伴う変化の結果ではないかとのことです。



  1. References:
  2.  
  3. Leonardo Maiorino, Andrew A. Farke, Tassos Kotsakis & Paolo Piras (2015) 
  4. Males Resemble Females: Re-Evaluating Sexual Dimorphism in Protoceratops andrewsi (Neoceratopsia, Protoceratopsidae). 
  5. PLoS ONE 10(5): e0126464 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0126464 
  7.  
  8. Dodson P. 
  9. Quantitative aspects of relative growth and sexual dimorphism in Protoceratops
  10.  J Paleontol. 1976; 50: 929-940.
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 カナダにある白亜紀後期の地層(Wapiti Formation)で発見されたパキリノサウルス( Pachyrhinosaurus lakustai )のボーンベッドについて報告されています。

 かつての古海岸線から450km以上は内陸であり、北米大陸では、最も内陸のセントロサウリネのボーンベッドのひとつとされています。

 年代的には、カンパニアン後期(7189万年前)とされています。 脊椎動物化石の約88%がケラトプシアで、ドロマエオサウリダエやハドロサウリダエ、トロオドンチダエにティラノサウリダエが見つかっています。

 まれですが、幼体化石も見つかっており、異なる年代の個体からなる集合体とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Federico Fanti, Philip John Currie & Michael E. Burns (2015) 
  4. Taphonomy, age, and paleoecological implication of a new Pachyrhinosaurus (Dinosauria: Ceratopsidae) bonebed from the Upper Cretaceous (Campanian) Wapiti Formation of Alberta, Canada. 
  5. Canadian Journal of Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1139/cjes-2014-0197
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 Judiceratops tigris (ジュディケラトプス・チグリス)といえば、新種のカスモサウルス類/モンタナ(2013年4月)で紹介していますが、モンタナにある白亜紀後期の地層( Judith River Formation)で発見された角竜です。

 しかし、4つの断片的な頭部化石に基づいており、しかも同じエリアながらバラバラに見つかっているため、同一たくそんなのかも含めて、今回再評価されています。

 その結果、ジュディケラトプスは有効種とされ、また、記載時のカスモサウリネ(chasmosaurinae、カスモサウルス亜科)を支持し、最古のカスモサウリネとされています。

 しかし、以前に考えられていたほど特徴的ではなく、他のカスモサウリネと共通部分が多いとされています。




  1. References:
  2.  
  3. James Alexander Campbell (2014) 
  4. A reassessment of the horned dinosaur Judiceratops tigris (Ornithischia: Ceratopsidae) from the Upper Cretaceous (Campanian) of Montana, U.S.A. 
  5. Canadian Journal of Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1139/cjes-2014-0172
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