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 心臓はどのように進化したのか、大きな謎のひとつは、硬骨魚類の一種、基盤的条鰭類でみられた、弁の多い流出路(動脈円錐)から、進化した条鰭類でみられる、弁のない弾性的な流出路(動脈球)への移行です(下図)。

 しかしながら、このあたりの進化を解明するためには、保存状態の良い化石が必要です。    

 心臓化石といえば、心臓ではなかったウィロの"心臓化石"(2011年2月)で紹介したテスケロサウルスの"心臓化石"が話題になりました。    

 結局、その構造は心臓ではなく、鉄分を含む鉱物が侵入した痕跡ではないかとされています。  

 今回、ブラジルにある白亜紀前期の地層で発見された条鰭類、Rhacolepis buccalis (ラコレピス)の化石で見出された初の心臓化石について報告されています。  

 シンクロトロンX線断層撮影により、解析したもの。化石は、保存状態がよく、胃や筋肉の一部も残されているそうです。  
 
 少なくとも5つの弁がある動脈円錐を持つとされて、心臓の形態は、最も原始的な多弁型と、現生条鰭類にみられる弁のない進化型との中間状態を表しているようです。  

 今回のデータは、長い間不明だった心臓表現型を示し、心臓流出路の簡素化は、劇的なイベントというより、ゆるやかに進化したとされています。


 図は、条鰭類の心臓(流出路)の進化(Lara Maldanis, et al., 2016)。1心房1心室で、原始的な仲間にみられる多弁の動脈円錐(上)は、進化するにつれて小さくなり、動脈球(下)が大きくなります。


  cardiac outflow tract.jpg 


 


  1. References:
  2.  
  3. Lara Maldanis, Murilo Carvalho, Mariana Ramos Almeida, Francisco Idalécio Freitas, José Artur Ferreira Gomes de Andrade, Rafael Silva Nunes, Carlos Eduardo Rochitte, Ronei Jesus Poppi, Raul Oliveira Freitas, Fábio Rodrigues, Sandra Siljeström, Frederico Alves Lima, Douglas Galante, Ismar S Carvalho, Carlos Alberto Perez, Marcelo Rodrigues de Carvalho, Jefferson Bettini, Vincent Fernandez & José Xavier-Neto (2016) 
  4. Heart fossilization is possible and informs the evolution of cardiac outflow tract in vertebrates. 
  5. eLife 2016; 5:e14698 
  6. DOI: http: // dx.doi.org/10.7554/eLife.14698
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 ミャンマーにある白亜紀中頃(9900万年前)の地層で発見された、世界最古の、琥珀に閉じ込められたトカゲ化石について報告されています。 

 フロリダ大は、1億年前のカメレオンと紹介しています。

 12の保存状態の良い標本が見つかっており、ステム・ゲッコタ(stem Gekkota)とステム・カマレオニダエ(stem Chamaleonidae)などとされています。ヤモリやカメレオンになる前の仲間のようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Juan D. Daza, Edward L. Stanley, Philipp Wagner, Aaron M. Bauer and David A. Grimaldi (2016) 
  4. Mid-Cretaceous amber fossils illuminate the past diversity of tropical lizards. 
  5. Science Advances 2(3): e1501080 
  6. DOI: 10.1126/sciadv.1501080
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カメの起源は双弓類

 ゲノム解析から、カメ類は、恐竜や鳥類などと同じく、側頭窓(穴)がある双弓類(Diapsida)とされています。 側頭窓消失の移行段階にあるカメの祖先(2015年9月)でも紹介しています。

 今回、これを支持する論文が報告されています。 先に発見されている、中国にある三畳紀後期のOdontochelysとドイツの三畳紀中期Pappochelysからの判断です。

 カメ類は、擬爬虫類(parareptile)とか無弓類ではなくて、双弓類から進化したとしています。 頭部に穴がないのは、原始的な形態ではなく、二次的に閉じたもので、また、腹甲は、ガストラリア(腹肋骨)の癒合から進化したとしています。



  1. References:
  2.  
  3. Rainer R. Schoch & Hans-Dieter Sues (2016) The diapsid origin of turtles. Zoology (advance online publication) doi:10.1016/j.zool.2016.01.004
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滑空爬虫類の頭部、再記載

 Coelurosauravus elivensis (コエルロサウラヴィス・エリベンシス)といえば、ウェイゲルティサウリダエ(Weigeltisauridae、科)に属するペルム紀後期の滑空爬虫類です。

 滑空爬虫類といえば、肋骨を伸ばした飛膜が知られていますが、コエルロサウラヴィスは、肋骨ではなくて、皮骨を伸ばしています。

 図は、同属別種のCoelurosauravus jaekeli (Wikipedia)です。

 今回、その頭部について再記載されています。もっとも頭部についての報告で、滑空機能などではありません。

 東ヨーロッパ産の Rautiania 属と比較して、コエルロサウラヴィス属の識別基準が修正されています。

 
Coelurosauravus_BW.jpg



  1. References:
  2.  
  3. V. V. Bulanov & A. G. Sennikov (2015) 
  4. New data on the morphology of the Late Permian gliding reptile Coelurosauravus elivensis Piveteau. 
  5. Paleontological Journal 49(4): 413-423 
  6. DOI: 10.1134/S0031030115040048
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 四肢動物の直立歩行については、意外と早かった直立歩行(2009年9月)で紹介したように、足跡化石から、ペルム紀の大絶滅(約2億5200万年前)の後の三畳紀初期とされていました。

 しかし、今回、ペルム紀中期から後期(2億6500万年前から2億5200万年前)にかけての爬虫類が直立歩行だったとする論文が報告されています。ブラウン大が紹介しています。

 ニジェール北部にあるMoradi Formationで発見された植物食爬虫類 、パレイアサウルス(Pareiasaurs)の仲間、Bunostegos akokanensis の四肢を解析したもの。

 パラレプティラ(Parareptilia、側爬虫類)の系統で、かつては、 "無弓類(Anapsida)"とされたことからもわかるように、恐竜とは別系統です。

 興味深いことに、その前足は比較的直立型であり、パレイアサウルスとして、そしてペルム紀の羊膜全体の中でも独特だったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Morgan L. Turner, Linda A. Tsuji, Oumarou Ide& Christian A. Sidor, 2015 The vertebrate fauna of the upper Permian of Niger--IX. The appendicular skeleton of Bunostegos akokanensis (Parareptilia: Pareiasauria) JVP, Published online: 11 Sep DOI:10.1080/02724634.2014.994746
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 かつて、頭部の眼窩後方にある側頭窓(穴)の有無から、爬虫類を細かくグループ分けする時代がありました。

 その当時、穴がないカメ類は"無弓類(Anapsida)"とされていました。

 しかし、現在では、ゲノム解析から、カメ類は、恐竜や現生のワニ、鳥類などと同じく、側頭窓(穴)がある双弓類(Diapsida)とされ、穴がないのは、進化の過程で閉じたと考えられています。

 また、"無弓類(Anapsida)"というのも古い表現で、側系統群であり、系統関係を示すクレードとしては消滅しています。


 カメ類へとつながるグループ、ステム・タートル(stem-turtle)については、腹甲の代わりにガストラリア/三畳紀中期のカメの祖先(2015年7月)で、新種記載のPappochelys rosinae(パッポケリス・ロシナエ)とともに紹介しています。

 下のステムータートルの系統図(Rainer R. Schoch et al., 2015 、一部追加)に示すように、ステム・タートルは、カメ類の祖先のみのグループであって、カメ類そのものではありません。

 ここでは、最も古い系統のEunotosaurus africanus(エウノトサウルス・アフリカヌス)を紹介しています。南アフリカのカルー盆地にある2億6000万年前の地層で発見され、1892年に記載された、こちらも甲羅を持たないステム・タートルです。


 今回、そのエウノトサウルスの頭部化石について解析した論文が報告されています。Phys.org などが紹介しています。ただ、この論文が投稿された時点で、パッポケリスの論文は公表されていません。


Pantestudines-2.jpg



 エウノトサウルスには、目の後ろに穴があるのですが、成長するにつれて閉じていくそうです。このことから、エウノトサウルスは、二次的に穴がなくなる移行段階にある双弓類とされています。

 なお、先のパッポケリスの論文によると、より新しい系統であり、約2億4000万年前のパッポケリスには、2つの側頭窓があるとされています。 一方的に側頭窓が消失していったわけではないようです。 
 




  1. References:
  2.  
  3. G. S. Bever, Tyler R. Lyson, Daniel J. Field & Bhart-Anjan S. Bhullar (2015) 
  4. Evolutionary origin of the turtle skull. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature14900 Rainer R. Schoch & Hans-Dieter Sues (2015) 
  7. A Middle Triassic stem-turtle and the evolution of the turtle body plan. 
  8. Nature (advance online publication) 
  9. doi:10.1038/nature14472
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 リンコサウリア(Rhynchosauria)と言えば、三畳紀の植物食の主竜形類(archosauromorph)です。

 三畳紀後期(ノーリアン)に絶滅するまで、世界中に分布していました。

 今回、南アフリカにある三畳紀中期早期(アニシアン初期)の地層(カルー超層群)で発見された1つの頭骨化石から、新種が記載されています。

 Eohyosaurus wolvaardti (エオヒョサウルス・ウォルバールデチ)と命名され、系統的には、Rhynchosauridae の姉妹群とされています。

 エオヒョサウルスが発見された場所は、かつて、層序的に最古のリンコサウリアであるMesosuchus browni Howesia browni が見つかっている場所です。

 3種になって、リンコサウリアの多様性が増したわけですが、興味深いことに、全て、三畳紀初期から三畳紀中期最早期にかけての南アフリカから見つかっていること。

 このことから、初期のリンコサウリアの古地理的分布は、相対的に制限されていたとされています。リンコサウリアが地球規模で分布するのは、三畳紀中期になってからです。


 



  1. References:
  2.  
  3. Richard J. Butler, Martín D. Ezcurra, Felipe C. Montefeltro, Adun Samathi and Gabriela Sobral (2015) 
  4. A new species of basal rhynchosaur (Diapsida: Archosauromorpha) from the early Middle Triassic of South Africa, and the early evolution of Rhynchosauria. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society 174(3): 571-588 
  6. DOI: 10.1111/zoj.12246
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 カメの起源や初期進化については、色々議論されてきました。

 2013年に理化学研究所は、ゲノム解読から、約2億5000万年前の大量絶滅期(P-T境界)に、ワニや恐竜などのグループから分岐し、独自に進化したと報告しています。

 今回、 約2億4000万年前と、ゲノム解析の年代に近いカメの祖先(stem-turtle)とされる化石が発見されています。恐竜が誕生した頃ですね。  

 ドイツにある三畳紀中期の地層で発見されたもので、新種記載され、Pappochelys rosinae(パッポケリス・ロシナエ)と命名されています。

 全長は20センチほどですが、尾が半分ほどを占めています。

 背中と腹には甲羅はなく、腹側の甲羅(腹甲)の代わりに、ガストラリア(gastralia、腹肋骨)を持っています。どうやら、腹甲は、ガストラリアに由来するようです。


 図は、パッポケリス近辺の系統図(Rainer R. Schoch et al., 2015 、一部追加)。パッポケリスはPantestudines (総カメ類)の基盤的な位置づけです。

 緑色で示したように、現生のカメを含む Testudines (カメ類)以外の原始的なグループは、stem-turtle (基部カメ類)と呼ばれています。もちろん、側系統であり、クレードではありません。 


Pantestudines-2.jpg




 パッポケリスの頭部の眼窩後方には2つの側頭窓があり、カメが、恐竜などと同じく、双弓類であるとされています。  

 構造的にも、時系列的にも、図に示したエウノトサウルス(Eunotosaurus africanus)とオドントケリス(Odontochelys semitestacea)の中間体とされています。  

 エウノトサウルスは、南アフリカにある約2億6000万年前のペルム紀の地層で発見された爬虫類で、甲羅はありません。  

 一方、オドントケリスは、中国にある約2億2000万年前の地層で発見され、腹側に甲羅(腹甲)がありますが、背側の甲羅(背甲)は不完全です。肋骨と脊椎が広がっています。  

 肢帯の機能については、かなりオドントケリスに類似している一方、オドントケリスとは異なり、腹甲の代わりに、強固な対になったガストラリアを持っています。  

 このことから、腹甲の一部は、ガストラリアが連続して癒合し形成された証拠だとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Rainer R. Schoch & Hans-Dieter Sues (2015) 
  4. A Middle Triassic stem-turtle and the evolution of the turtle body plan. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature14472
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 これまで、最古のヘビ化石は、白亜紀前期(約1億年前)の地層からでした。 

 もっとも、その形態や系統が多様であることから、ヘビの起源はより古く、白亜紀の化石は適応放散したものと考えられていました。

 今回、従来より7000万年ほど古い、英国などにある白亜紀前期(1億6700万年から1億4300万年前)の地層から、最古のヘビ化石とされる4種の新種が記載されています。Nature Asiaが紹介しています。

 これらの頭部に、現生のヘビに似た重要な特徴が既に見られることから、従来説と異なり、細長い胴体よりも頭部の進化が先立ったのではないかとされています。

 また、今回の発見から、 ヘビ類は ・・・


 


  1. References:
  2.  
  3. Michael W. Caldwell, Randall L. Nydam, Alessandro Palci & Sebastián Apesteguía (2015) 
  4. The oldest known snakes from the Middle Jurassic-Lower Cretaceous provide insights on snake evolution. 
  5. Nature Communications 6, Article number: 5996 
  6. doi:10.1038/ncomms6996
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 ディキノドンは、その名の通り、大きな2本の牙がある基盤的な単弓類です。

 今回、ポーランドにある三畳紀後期の地層で発見された、ディプロドンのものらしきコプロライト(糞化石)が報告されています。

 内容物から、大型の植物食動物の糞化石とされ、当時の地層からはディキノドンしか見つかっていないことから、ディキノドンのコプロライトと考えられたもの。

 植物の柔らかい部分をかなり小さく処理していたことがわかり、また、木の断片も見つかっているそうです。

 なお、ディキノドン類か、最古の共同トイレ/三畳紀(2013年11月)で紹介しましたが、アルゼンチンでは、大型植物食動物の共同トイレの最初の証拠が報告されています。

 化石は、100個以上見つかっており、今回も共同トイレかもしれません。


  1. References:
  2.  
  3. Piotr Bajdek, Krzysztof Owocki & Grzegorz Niedźwiedzki (2014) 
  4. Putative dicynodont coprolites from the Upper Triassic of Poland. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1016/j.palaeo.2014.06.013
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 アエトサウルス類(Aetosauria)といえば、三畳紀後期に、広く分布していた偽鰐類(pseudosuchia)です。

 4足歩行で植物食、なんといってもヨロイで覆われた体が特徴的ですね。今回、南米大陸では5番目となる新種が記載されています。

 ブラジルにある三畳紀後期の地層(Santa Maria Formation)で、比較的小型の幼体化石が発見されたもので、Polesinesuchus aurelioi と命名されています。

 Wikipedia によると、系統的には、Aetobarbakinoides brasiliensis の姉妹群とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Lúcio Roberto-da-Silva, Julia B. Desojo, Sérgio F. Cabreira, Alex S. S. Aires, Rodrigo T. Müller, Cristian P. Pacheco & Sérgio Dias-da-Silva (2014) 
  4. A new aetosaur from the Upper Triassic of the Santa Maria Formation, southern Brazil. 
  5. Zootaxa 3764 (3): 240-278 (pdf) 
  6. http://dx.doi.org/10.11646/zootaxa.3764.3.1
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 双弓類のクラウングループであるサウリア類(Sauria )は、ヘビなどにつながる鱗竜形類(Lepidosauromorpha) と、恐竜の系統の主竜形類(Archosauromorpha) に分岐します。

 しかし、分岐した時代に相当するペルム紀の化石記録はほとんど無く、今回、再調査されています。

 その中で、タンザニアにあるペルム紀の地層で発見された新種の基盤的主竜形類、Aenigmastropheus parringtoni が記載されています。オープンアクセスです。

 復元イラストがありますが、同じ場所で見つかっているゴルゴノプス類やディキノドン類のエンドチオドン(Endothiodon)に比べると、 普通のトカゲのようですね。


 今回の解析で、化石記録に基づく鱗竜形類と主竜形類が分岐した最も若い年代は、2億5470万年前と示唆されています。  

 また、主竜形類の初期の成長戦略は、以前考えられていたよりも多様であったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Martín D. Ezcurra, Torsten M. Scheyer & Richard J. Butler (2014) 
  4. The Origin and Early Evolution of Sauria: Reassessing the Permian Saurian Fossil Record and the Timing of the Crocodile-Lizard Divergence. 
  5. PLoS ONE 9(2): e89165. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0089165
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 ディメトロドンといえば、獣脚類にみられるステーキナイフのような歯を持っていますが、この鋸歯を進化させた最初の陸上脊椎動物だったのです。

 最初といえば、陸上生態系で最初に登場した頂点捕食者であり、また、場所によって歯の形状が異る異歯性も最初です。

 このあたり、ペルム紀の単弓類であるスフェナコドン類(sphenacodontidae)の歯の形態が種によって、かなり多様であったとする論文で報告されています。Phys.org が紹介しています。


 走査電顕などで歯の形態や組織を調べたもの。  時間でキャリブレーションした系統解析から、歯の形態変化があっても、頭蓋骨の形態には重要な変化がなく、歯の変化は、摂食スタイルと栄養に関連しているとされています。  

 また、カーブした鋸歯のある歯(ziphodonty) は、ディメトロドン属の大型種で初めて進化し、さらに他の獣弓類で独立して進化したとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Kirstin S. Brink & Robert R. Reisz (2014) 
  4. Hidden dental diversity in the oldest terrestrial apex predator Dimetrodon. 
  5. Nature Communications 5, Article number: 3269 
  6. doi:10.1038/ncomms4269
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 三畳紀の主竜形類、ドスウェリダエ(Doswelliidae)で、ヨロイ(オステオダーム)を持った新種が記載されています。オープンアクセスです。

 1990年に、テキサスにある三畳紀後期の地層(Chinle Group)で発見されたもので、Ankylosuchus chinlegroupensis (アンキロスクス・チンレグロウペンシス)と命名されています。

 オステオダームは大きくて密につまり、その形態は、現在までに知られているヨロイのある主竜形類とは一致せず、 ドスウェリダエ(Doswelliidae)に最もよく似ているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Spencer G. Lucas, Justin A. Spielmann and Adrian P. Hunt (2013) 
  4. A new doswelliid archosauromorph from the Upper Triassic of West Texas. in Tanner, 
  5. L.H., Spielmann, J.A. and Lucas, S.G., eds., 2013, The Triassic System. 
  6. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin 61 : 382-388 (pdf):
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 初期の四肢動物は、しっかりした後ろ足を持つ「後輪駆動」でした。

 しかし、その先祖にあたる魚類から四肢動物への移行途中の動物は「前輪駆動」で、しっかりした胸ヒレに比べて、腹ヒレは貧弱です。

  今回、ティクターリク(Tiktaalik roseae)の保存状態の良いしっかりした骨盤や腹ヒレについて、報告されています。オープンアクセスです。nationalgeographicが紹介しています。

 ティクターリクといえば、デボン紀(約3億7500万年前)の地層で発見された魚類から四肢動物への移行途中のエルピストステゲ類(elpistostegid)です。

 四肢動物の「後輪駆動」の進化は、強化された骨盤帯や腹ヒレから始まったとされています。


 ティクターリクについては、2006年に記載され、手首を持つ魚類(2006年4月)で紹介しています。 しかし、当時、明らかにされたのは前半分で、骨盤や腹ヒレなどはありませんでした。

 今回の骨盤は、他のヒレを持つ四肢動物形類(tetrapodomorphs)よりがっしりして大きく、骨盤帯につく腹ヒレもしっかりしています。 この腹ヒレによる推進が、のちの後足の進化へとつながったようです。


  1. References:
  2.  
  3. Neil H. Shubin, Edward B. Daeschler, and Farish A. Jenkins, Jr. (2014) 
  4. Pelvic girdle and fin of Tiktaalik roseae. 
  5. Proceedings of the National Academy of Science (advance online publication) (pdf) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1322559111
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 哺乳類の肺では、新鮮な空気と古い空気が双方向に出入りし混ざり合い、吸うときにしか酸素を取り入れることができず、非効率です。

 一方、鳥類では、図のように、肺での空気の流れは一方向で、絶えず新鮮な空気が流れるようになっており、効率的です。

 吸ったりはいたりと気道での空気の流れは、哺乳類と同じく双方向なのですが、気嚢をうまく機能させているのです。このあたり、鳥類の呼吸システムで紹介しています。

 類似の一方向性の肺気流による呼吸は、クロコダイル類でも見つかっており、また、恐竜でもあったと考えられています。

 今回、その起源を探るため、鳥類やクロコダイルの外群のオオトカゲを調べ、サバンナオオトカゲでも確認したとする論文が報告されています。

 Nature News では、酸素濃度が12%と低かった約2.5億年前の主竜類で獲得されていたのではないかと伝えていますが、論文では、独立して進化した可能性も示唆しています。

 その起源を明らかにするには、より多くの動物を調べる必要がありますね。



 図は、鳥類の肺における空気の流れ(Wikipedia を改変)です。  

 横隔膜の無い鳥類では、気嚢がポンプの役割をはたし、空気は一定方向に安定して流れます。赤い部分は、空気の流れを止めている場所です。詳しくは、鳥類の呼吸システムを参照してください。  



AirSacs.jpg



 鳥類とクロコダイル類の呼吸システムは相同器官と考えられ、その起源は、少なくとも鳥類とクロコダイルが分岐する三畳紀にさかのぼるとされています。  

 もっと古いのではないかという仮説を検証するため、鳥類やクロコダイルの外群で、トカゲやヘビ類なとが属する:レピドサウロモルファ(Lepidosauromorpha、鱗竜形類)で確かめたもの。  

 今回、アフリカに棲むサバンナオオトカゲでも確認され、排気は特別な嚢(袋)を通して行われるようです。  

 それぞれ独立して進化したのか、それとも、祖先の双弓類で1回だけ進化したのか、2つの可能性が示唆されています。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Emma R. Schachner, Robert L. Cieri, James P. Butler & C. G. Farmer, 2013 
  4. Unidirectional pulmonary airflow patterns in the savannah monitor lizard 
  5. Nature Published online 11 December 2013 
  6. doi:10.1038/nature12871
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 恐竜ではないのですが、背中にある大きな帆などから、ディメトロドンはよく知られたペルム紀の単弓類です。

 テキサスにあるボーンベッドからは、サイズの違う化石が見つかり、3種が記載されています。しかし、同一種ではないかと疑問視する声もありました。

 今回、長骨の組織学的分析から違いが見られ、同じ場所に少なくとも2種が共存していた(同所性)とする論文が報告されています。


 テキサスにあるペルム紀前期のブリアールクリークボーンベッド(Briar Creek Bonebed)は、豊富なディメトロドン化石を産出することで知られています。  

 そのサイズにより、小型種 (Dimetrodon natalis)、中間種(D. booneorum)、そして大型種(D. limbatus) が記載されていますが、同一種の成長段階の違いによる個体発生的な違いではないかとも考えられています。  

 今回、新たに発掘された化石の組織学的な分析により、小型種は少なくともひとつのより大きな種と共存していたとされています。 ただ、中間種と大型種の違いが未解決とされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Christen D. Shelton, P. Martin Sander, Koen Stein and Herman Winkelhorst (2013) 
  4. Long bone histology indicates sympatric species of Dimetrodon (Lower Permian, Sphenacodontidae). 
  5. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S175569101300025X
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 大きなディプロドクスが、同じ場所で糞をしている・・、こういったシーンはありそうですが、化石証拠は見つかってはいません。

 こういう共同トイレ(排泄場)、哺乳類以外の脊椎動物では発見されていなかったのですが、最初で最古となる例が報告されています。オープンアクセスです。さまざまなコプロライト(糞化石)を御覧ください(^^)。ナショジオが紹介しています。

 アルゼンチンの三畳紀(約2億2000万年前)の地層で大量の糞石が見つかったもので、年齢の異なるディキノドン類がトイレを共にしていたことから、群れで暮らしていたようです。

 
 現生の大型植物食哺乳類では、複数個体が同じ場所で排糞する習性が一般的らしく、こういう共同トイレ(糞場)は、社会的機能という点で意味があるとされています。  

 今回、三畳紀中期から後期にかけての地層で発見された大量の糞石の集積は、哺乳類以外の脊椎動物での、大型植物食動物の共同トイレの最初の証拠とされています。  

 つまり、恐竜での共同トイレは見つかっていない、ということになりますね。  

 高密度の糞石で、そのサイズや形態などから、単一動物のものとされ、基盤的単弓類であるディキノドン類のものではないかとされています。
 特に、体重が1トンを超えたディノドントサウルス(Dinodontosaurus)の可能性が示唆されています。

 さまざまなサイズや形態があるから、異なる年齢のものとされ、これらの大きな単弓類が共同トイレを利用し、現生の植物食哺乳類のように、群れで暮らしていたとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Lucas E. Fiorelli, Martín D. Ezcurra, E. Martín Hechenleitner, Eloisa Argañaraz, Jeremías R. A. Taborda, M. Jimena Trotteyn, M. Belén von Baczko & Julia B. Desojo (2013) 
  4. The oldest known communal latrines provide evidence of gregarism in Triassic megaherbivores. 
  5. Scientific Reports 3, Article number: 3348 
  6. doi:10.1038/srep03348
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 プロトロサウルス類(protorosauria)といえば、体のわりに首の長いのが特徴的な海生爬虫類です。

 今回、中国南部にある三畳紀中期の地層(Falang Formation)で発見された新種のプロトロサウルス類が記載され、 Fuyuansaurus acutirostris (フユアンサウルス・アクチロストリス)と命名されています。

 首は胴体よりも長く、タニストロフェウス (Tanystropheus) に似て、頚椎は12-13と、それほど多くは無いそうです。プロトロサウルスの中では珍しく、鼻先が長いとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Nicholas C. Fraser, Olivier Rieppel & Li Chun (2013) 
  4. A long-snouted protorosaur from the Middle Triassic of southern China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(5): 1120-1126 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.764310
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 主竜類は、現生のワニ類につながるクルロタルシ類(crurotarsa)と、翼竜や恐竜の系統である鳥頸類(Ornithodira)に大別されます。

 恐竜とほぼ同時に、三畳紀後期に誕生したクルロタルシ類は、三畳紀末の大量絶滅で打撃を受け、逆に、恐竜はその勢力を増していきました。しかし、白亜期になると、再び多様性を増したと考えられています。

 今回、そのワニの系統であるクルロタルシ類の下顎について、その形態と生体力学、それぞれの多様性の変化について考察した論文が報告されています。オープンアクセスです。

 こういう論文、どこに注目して読むかがポイントですが、著者が所属するブリストル大は、「恐竜時代、古代のクロコダイルはどのように栄えたのか」 と紹介しています。

 解析の結果、三畳紀後期に高かった形態の多様性は、ジュラ紀に落ち込み、白亜期に再びV字回復しています。恐竜と共存した白亜期、様々な環境や植物に適応したようです。

 一方、生体力学的多様性は、三畳紀後期が最大で、ジュラ紀以降は低下したままです。生体機能はそのままで、見た目だけが多様化したようです。

 
 論文は、三畳紀末からの、102種の下顎の形態と生体力学的機能の変化を解析したもの。  生体力学的多様性は、下顎の機能を特徴づける14の指標が測定されています。  

 形態に多様性があった三畳紀後期、海へ進出したジュラ紀、再び多様化した白亜期と、大別して3つのトレンドがあったとされています。  

 まず最初に、三畳紀後期に様々な環境に適応した多様性は、三畳紀末の大量絶滅後には減少します。  

 そして、ジュラ紀になると、正鰐類(thalattosuchia) のように、海に進出します。  

 下顎の形態の多様性は減少するのですが、魚など機敏な獲物を捕獲するため、流体力学的に効率のいい顎を進化させ、生体力学的多様性は適度に維持されます。  

 白亜紀になると、新鰐類(neosuchia) やノトスチア (notosuchia) のように、下顎の形態の多様性は増加し、白亜紀後期のクロコダイル形類(crocodylomorph)では、三畳紀後期に似た多様性のピークを迎えます。  

 しかし、驚くべきことに、形態の多様性が増えたこととは連動せず、生体力学的な多様性の増加は見られなかったのです。  

 白亜期、形態の多様性と裏腹に、下顎の生体力学的な多様性が増えなかったのは、選択圧(生存に影響をおよぼす自然環境の力)から開放されためとされています。  

 代わりに、Armadillosuchus arrudai のように、アルマジロのような鎧を身につけるなど、他の部分に新規の適応が見られたとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Thomas L. Stubb, Stephanie E. Pierce, Emily J. Rayfield and Philip S. L. Anderson (2013) 
  4. Morphological and biomechanical disparity of crocodile-line archosaurs following the end-Triassic extinction. 
  5. Proceedings of the Royal Society B 280 no. 1770 20131940 
  6. doi: 10.1098/rspb.2013.1940
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