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 こんな小さな骨に、はっきりした噛み跡があるとは驚いた・・・。

 小型のクロコダイル形類が、ヒプシロフォドン類の幼体を食べていたとする直接の証拠が示されています。 NBCが、CTスキャン映像と共に紹介しています。

 従来から、クロコダイル形類が恐竜などを食べていたとする報告がありましたが、それは大型種に限られていました。

 襲ったのか、スカベンジなのかは不明ですが、クロコダイル形類がかなり多様だったことが、恐竜を食べるというニッチ分割(niche partitioning、すみわけ)につながったのではないかとされています。


 ユタ州南部にある白亜紀後期(カンパニアン、約7500万年前)のKaiparowits Formationで発見された化石から、噛み跡などが見つかったもの。    

 左肩甲骨と右大たい骨に噛み跡が残され、大たい骨にあけられた穿孔には、クロコダイル形類の、断面が楕円形の歯冠の一部が残されていたそうです。



  1. References:
  2.  
  3. Clint A. Boyd, Stephanie K. Drumheller & Terry A. Gates (2013) 
  4. Crocodyliform Feeding Traces on Juvenile Ornithischian Dinosaurs from the Upper Cretaceous (Campanian) Kaiparowits Formation, Utah. 
  5. PLoS ONE 8(2): e57605. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0057605



 イクチオステガなど、初期四肢類の椎骨は、従来考えられていたラキトム型椎骨ではなくて、逆転型ラキトム型構造とする論文が、Nature に報告されています。

 初期の四肢動物の脊柱の形態の進化や移動方法について、再検討せざるを得ない結果になっています。PlanetEarth が紹介しています。

 
 椎骨は側椎心、間椎心、神経弓という3つの要素からなり、イクチオステガなど原始的な四肢動物は、ラキトム型椎骨(Rhachitomous vertebrae)という構成の椎骨を持つと考えられてきました。  

 これは、前腹側にある1つの大きな間椎心と、後背側にある小さな側椎心が対をなした柔軟性に富んだ形態です。  

 今回、シンクロトロン放射X線マイクロトモグラフィーを用いてスキャンし、イクチオステガなどの椎骨を3次元的に調べたもの。  

 その結果判明した特徴の一つが椎骨の要素の位置関係で、4つの別々の骨で構成されていた椎骨は、側椎心が間椎心に接合または融合し、1つの骨となっていたそうです。  

 先頭と思われた骨が後ろにあったわけで、これは、逆転型ラキトム型構造(reverse rhachitomous vertebrae)を示すとしています。    
 アカンソステガやペデルペスも同様で、初期の四肢動物は、この逆転型ラキトム型構造だったとされています。  配置が異なることで、四肢動物が移動する方法も変更せざるを得ないと考えられています。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. Stephanie E. Pierce , Per E. Ahlberg , John R. Hutchinson , Julia L. Molnar , Sophie Sanchez , Paul Tafforeau & Jennifer A. Clack,2013 
  4. Vertebral architecture in the earliest stem tetrapods 
  5. Nature 494, 226-229 (14 February 2013) 
  6. doi:10.1038/nature11825



嚥下に問題/初期の四足動物

 最古の陸上四足動物は、エサを飲み込む嚥下に問題があったとする短い論文が、Science に報告されています。

 サンフランシスコで開催されたSICB(Society for Integrative and Comparative Biology、統合比較生物学会)で報告された内容です。いくつかの発表の要旨は、SCIB(pdf)にあります。

 およそ3億9000万年前、ヒレを足に進化させて上陸した四足動物ですが、アゴを陸上生活に適応させるためには、さらに80万年も必要だったようです。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Elizabeth Pennisi (2013) 
  4. Eating Was Tough For Early Tetrapods. 
  5. Science 339 (6118): 390-391 
  6. DOI: 10.1126/science.339.6118.390



最古の水面滑空脊椎動物

 中国にある三畳紀中期(約2億4700万年前)の地層で発見されたトラコプテルス類( Thoracopteridae)の化石について報告されています。全文が読めます。

 Potanichthys xingyiensis とされる左右前後に4枚の翼をもつトビウオに似た硬骨魚類で、最古の水面上を滑空する脊椎動物の証拠とされています。
 
 太古の捕食者から逃れるために翼を進化させたのではないかとされています。Livescience が紹介しています。 


 従来発見されているのは、三畳紀中期(訳2億3000万年前)の地層からで、数千万年は古いことになります。

 現生のトビウオは2枚か4枚の翼を持っていますが、今回発見された化石は4枚翼で、長距離の飛行と巧みな空中での動きだったと考えられています。  

 これは、太古の捕食者から逃れるために翼を進化させたとされています。  また、筋機能により、現生のトビウオは20℃未満では飛べなかったため、太古の海も温暖だったと考えられています。  

 さらに、ペルム紀末(約2億5000万年前)の大量絶滅からの海洋生態系の回復は、以前から考えられているより、早かったと考えられています。


  1. References:
  2.  
  3. Guang-Hui Xu, Li-Jun Zhao, Ke-Qin Gao, and Fei-Xiang Wu 
  4. A new stem-neopterygian fish from the Middle Triassic of China shows the earliest over-water gliding strategy of the vertebrates 
  5. Proc. R. Soc. B rspb20122261; published ahead of print October 31, 2012
  6. doi:10.1098/rspb.2012.2261



ディメトロドンの口蓋と脳函

 ペルム紀の単弓類、ディメトロドン(Dimetrodon milleri)のホロタイプ標本の口蓋と脳函の一部の形態について報告されています。

 3次元的に保存されており、 D. limbatus 種と比較しています。 D. limbatus との違いは、頭部を構成する骨のひとつ外翼状骨(ectopterygoid)上に歯がないことや、上翼状骨(epipterygoid)基盤突起の形状などです。

 両者は、セコドントサウルス(Secodontosaurus)とスフェナコドン(Sphenacodon)を含む他のスフェナコドン類(sphenacodontid)とは著しく異なるとされています。  

 いずれも似ていますが、セコドントサウルスには背中に大きな帆があり、スフェナコドンにはありません。




  1. References:
  2.  
  3. Kirstin S. Brink & Robert R. Reisz (2012) 
  4. Morphology of the palate and braincase of Dimetrodon milleri. 
  5. Historical Biology 24(5): 453-459 
  6. DOI:10.1080/08912963.2012.704918



イクチオステガは歩けず

 デボン紀の四肢動物イクチオステガの関節を三次元的に再現し、その移動様式を解析した論文が報告されています。 ネイチャーハイライトが紹介しています。

 モデル解析では、イクチオステガは、のちの四肢動物に見られるような連続的な歩行(sequence walking)ができず、アザラシのように陸上をはいずっていたと考えられています。

 よって、最近報告されたデボン紀中期の足跡化石の主では無かったようです。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Stephanie E. Pierce, Jennifer A. Clack and John R. Hutchinson 
  4.  Three-dimensional limb joint mobility in the early tetrapod Ichthyostega 
  5. Nature 486, 523-526 (28 June 2012) 
  6. doi:10.1038/nature11124



 カナダにある三畳紀後期の地層で発見された新種のシーラカンス化石について報告されています。 マグロのような尾びれが特徴で、普通のシーラカンスに比べて、かなり速く泳げたとされています。

 ただ、最終的にゆっくり泳ぐシーラカンスが生き残ったことから、"壮大なる失敗作"だったと、ナショジオが紹介しています。  

 学名は、Rebellatrix divaricercaで、属名の"rebel"は"逆らう者"を意味し、シーラカンスの常識に逆らうことから命名されています。  
 
 系統的には、Latimerioidei の姉妹群とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Andrew J. Wendruffab & Mark V. H. Wilsona 
  4. A fork-tailed coelacanth, Rebellatrix divaricerca, gen. et sp. nov. (Actinistia, Rebellatricidae, fam. nov.), from the Lower Triassic of Western Canada 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology, 32(3), p.499-511, 2012 
  6. DOI:10.1080/02724634.2012.657317



 三畳紀前期の滑空爬虫類、ロンギスクアマの羽根の構造についての論文が報告されています。 New Scientistや、 The Pterosaur Heresiesが紹介しています。  

 恐竜から鳥類への進化に絡めて議論があり、大多数は、ロンギスクアマは鳥類とは無関係としていますが、この構造が鳥類へとつながったとする研究者もいます。  

 論文では、別に見つかっている羽根の分析から、両者の中間のような新しい説を述べています。 これらの羽根の構造を進化させた遺伝子が、やがての恐竜や翼竜の羽毛や毛につながったのではないかというのです。 


 ロンギスクアマ(Longisquama insignis)は、四肢のほかに背中に羽根がある、三畳紀前期の滑空爬虫類です。 1960年代にキルギスタンで標本が見つかったのですが、羽根らしき構造は植物ではないかとされ、ロンギスクアマのものではないとする意見もあるそうです。  

 恐竜から鳥類への進化に絡めて、議論がある羽毛構造ですが、いずれにせよ、ロンギスクアマが鳥類へとつながったとする研究者は少数です。  

 一方、カンザス大のLarry Martinのように、鳥類がこれらの爬虫類から進化したとする研究者もいます。  

 論文では、ドイツ大のフライベルグ大のMichael Buchwitz らが、最近見つかったロンギスクアマノの羽根について述べています。 

 これは植物ではなく、ロンギスクアマのものとしています。 また、ウロコでも羽毛でもないとされ、羽毛のような分枝はないのですが、中央にフィラメントがあり、それらは羽毛の進化を彷彿とさせるものがあるそうです。  

 ロンギスクアマが直接鳥類へとつながるわけではなく、また、進化の袋小路というわけでもなく、その羽根を進化させた遺伝子が、やがての恐竜や翼竜の羽毛や毛の進化につながったとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Buchwitz M and Voigt S 2012. 
  4. The dorsal appendages of the Triassic reptile Longisquama insignis: reconsideration of a controversial integument type. Paläontologische Zeitschrift (advance online publication) 
  5. DOI: 10.1007/s12542-012-0135-3



新種のキノドン類/インド

 インドにある三畳紀前期の地層(Panchet Formation)で発見された新種のキノドン類が記載されています。  

 哺乳類の直接の祖先ではない非哺乳類型(non-mammalian)のキノドン類とされ、爬虫類(獣弓類)から哺乳類への変遷に重要な情報を与えるとされています。 全文が読めます。  

 左下顎の一部が発見されたもの。他のキノドン類とは異なる特徴があり、学名は、Panchetocynodon damodarensis とされています。    
 三畳紀のゴンドワナ大陸からのキノドン類の発見は多いのですが、今のインド亜大陸からの発見は少ないそうです。 

 今回の地層からは、1987年にThrinaxodon bengalensis が報告されているだけですが、詳細な系統的な報告は無いようです。また、他のインドのキノドン類は、三畳紀後期(Carnian)からの発見とされています。  

 系統的には、今回の P. damodarensis は、 非哺乳類型のキノドン類とされています。この 非哺乳類型のキノドン類は、爬虫類(獣弓類)から哺乳類への変遷、特に歯やあごの進化に重要な情報を与えるとされています。  

 ちなみに、最も哺乳類の直接の祖先に近縁とされているのは、より進化したタイプで三畳紀中期のProbainognathus です。

 


  1. References:

  2. D. P. Das and Abir Gupta (2012)
  3. New cynodont record from the lower Triassic Panchet Formation, Damodar valley.
  4. Earth and Environmental Science Journal of the Geological Society of India, 79(2), 175-180 
  5. DOI: 10.1007/s12594-012-0022-2



 「ローマーの空白(Romer's Gap)」を埋める、石炭紀初期の四肢動物などの化石が報告されています。 BBC にイラストがあります。  

 「ローマーの空白」とは、アルフレッド・ローマー (Alfred Sherwood Romer)が提唱した、石炭紀初期の化石がほとんど見つかっていない期間のこと。 、当時は酸素濃度が低く、陸上動物の進化が制限されていたと考えられています。

 今回、スコットランドで発見された四肢動物などが報告され、当時は空白の時代ではなく、多様な動植物が存在していたとされています。

 
 「ローマーの空白」、具体的には、3億6000万年から3億4500万年前の、トルネージアン(Tournaisian)からビゼーアン(Viséan)中頃まで。

 確かに、イクチオステガのようなデボン紀の両生類と、石炭紀後期以降のエリオプスのような陸上に適応した両生類をつなぐ化石記録は、ペデルペスぐらいで、空白の時代です。 

 今回、スコットランドにあるビゼーアンの地層から発見された四肢動物や魚類、節足動物、植物などが報告され、1500万年にわたり、多様な動植物が存在していたとされています。

  "Ribbo"の愛称で呼ばれる四肢動物ですが、まだ同定などには至っていないようです。

 


  1. References:
  2.  
  3. Timothy R. Smithson, Stanley P. Wood, John E. A. Marshall, and Jennifer A. Clack (2012) 
  4. Earliest Carboniferous tetrapod and arthropod faunas from Scotland populate Romer's Gap. 
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1117332109



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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