デボン紀の最新ニュース

 魚類の多様な進化が見られたデボン紀は、魚の時代と言われます。もっとも、「魚類」というクレードはありません。

 顎口類(gnathostomes、有顎脊椎動物)は、軟骨魚類(Chondrichthyes)と 硬骨魚類(Osteichthyes、四肢動物を含む)に大別されます。

 そのひとつ、軟骨魚類の進化については、歯以外が残りにくい(残らないわけではない)こともあり、以前は、硬骨魚類の内部から分岐するとした説もあったようです。

 しかし、現在では、有顎脊椎動物の中で軟骨魚類が最初に分岐し、分子系統学的解析でも、軟骨魚類の単系統性が支持されています(Shigehiro Kuraku ,2009)。

 今回、オーストラリア西部にあるデボン紀後期早期(3億8000万-3億8400万年前)の地層(Gogo Formation)で発見された軟骨魚類化石が報告されています。

 サメの体化石とされ、Gogoselachus lynnbeazleyae と命名されています。保存状態の良いデボン紀のサメの体化石は初めてとされています。

 分子進化学的には、サメとエイのグループの分岐は、約3.9億年前(4.3から3.5億年前)とされていますが、ちょうどその頃の化石ですね。

 骨細胞に似た細胞を含む石灰化軟骨が特徴的で、骨のある祖先から進化し、骨を失っていったようです。サメの仲間は軽い体を持つことで、デボン期末の絶滅をまぬがれたのではないかとされています。


 保存状態の良い化石を産出するラーゲルシュテッテ(Lagerstätte)とされ、内骨格が3次元的に保存されているそうです。  

 現代のサメは、軟骨魚類の主な特徴である、角柱状の石灰化軟骨と呼ばれる独特の組織の骨格を持っています。  

 今回の発見で、特に興味深いのは、内骨格を形成している石灰化軟骨が、非常に特徴的なことです。  

 小さな鉱物プリズム間のギャップには骨細胞に似た細胞を含んでおり、モザイク状で角柱状の石灰化軟骨への移行段階とされています。



  1. References:
  2.  
  3. John A. Long , Carole J. Burrow, Michal Ginter, John G. Maisey, Kate M. Trinajstic, Michael I. Coates, Gavin C. Young & Tim J. Senden (2015) 
  4. First Shark from the Late Devonian (Frasnian) Gogo Formation, Western Australia Sheds New Light on the Development of Tessellated Calcified Cartilage. 
  5. PLoS ONE 10(5): e0126066
  6. doi:10.1371/journal.pone.0126066 
  7.  
  8.  工樂樹洋(Shigehiro Kuraku) ,2009 
  9. 軟骨魚類の分子進化学:脊椎動物の祖先ゲノムを探る 
  10. 日本板鰓類学会会報 第45号 p.17-27頁(PDF)
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 初期の四肢動物は、しっかりした後ろ足を持つ「後輪駆動」でした。

 しかし、その先祖にあたる魚類から四肢動物への移行途中の動物は「前輪駆動」で、しっかりした胸ヒレに比べて、腹ヒレは貧弱です。

  今回、ティクターリク(Tiktaalik roseae)の保存状態の良いしっかりした骨盤や腹ヒレについて、報告されています。オープンアクセスです。nationalgeographicが紹介しています。

 ティクターリクといえば、デボン紀(約3億7500万年前)の地層で発見された魚類から四肢動物への移行途中のエルピストステゲ類(elpistostegid)です。

 四肢動物の「後輪駆動」の進化は、強化された骨盤帯や腹ヒレから始まったとされています。


 ティクターリクについては、2006年に記載され、手首を持つ魚類(2006年4月)で紹介しています。 しかし、当時、明らかにされたのは前半分で、骨盤や腹ヒレなどはありませんでした。

 今回の骨盤は、他のヒレを持つ四肢動物形類(tetrapodomorphs)よりがっしりして大きく、骨盤帯につく腹ヒレもしっかりしています。 この腹ヒレによる推進が、のちの後足の進化へとつながったようです。


  1. References:
  2.  
  3. Neil H. Shubin, Edward B. Daeschler, and Farish A. Jenkins, Jr. (2014) 
  4. Pelvic girdle and fin of Tiktaalik roseae. 
  5. Proceedings of the National Academy of Science (advance online publication) (pdf) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1322559111
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 イクチオステガなど、初期四肢類の椎骨は、従来考えられていたラキトム型椎骨ではなくて、逆転型ラキトム型構造とする論文が、Nature に報告されています。

 初期の四肢動物の脊柱の形態の進化や移動方法について、再検討せざるを得ない結果になっています。PlanetEarth が紹介しています。

 
 椎骨は側椎心、間椎心、神経弓という3つの要素からなり、イクチオステガなど原始的な四肢動物は、ラキトム型椎骨(Rhachitomous vertebrae)という構成の椎骨を持つと考えられてきました。  

 これは、前腹側にある1つの大きな間椎心と、後背側にある小さな側椎心が対をなした柔軟性に富んだ形態です。  

 今回、シンクロトロン放射X線マイクロトモグラフィーを用いてスキャンし、イクチオステガなどの椎骨を3次元的に調べたもの。  

 その結果判明した特徴の一つが椎骨の要素の位置関係で、4つの別々の骨で構成されていた椎骨は、側椎心が間椎心に接合または融合し、1つの骨となっていたそうです。  

 先頭と思われた骨が後ろにあったわけで、これは、逆転型ラキトム型構造(reverse rhachitomous vertebrae)を示すとしています。    
 アカンソステガやペデルペスも同様で、初期の四肢動物は、この逆転型ラキトム型構造だったとされています。  配置が異なることで、四肢動物が移動する方法も変更せざるを得ないと考えられています。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. Stephanie E. Pierce , Per E. Ahlberg , John R. Hutchinson , Julia L. Molnar , Sophie Sanchez , Paul Tafforeau & Jennifer A. Clack,2013 
  4. Vertebral architecture in the earliest stem tetrapods 
  5. Nature 494, 226-229 (14 February 2013) 
  6. doi:10.1038/nature11825
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嚥下に問題/初期の四足動物

 最古の陸上四足動物は、エサを飲み込む嚥下に問題があったとする短い論文が、Science に報告されています。

 サンフランシスコで開催されたSICB(Society for Integrative and Comparative Biology、統合比較生物学会)で報告された内容です。いくつかの発表の要旨は、SCIB(pdf)にあります。

 およそ3億9000万年前、ヒレを足に進化させて上陸した四足動物ですが、アゴを陸上生活に適応させるためには、さらに80万年も必要だったようです。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Elizabeth Pennisi (2013) 
  4. Eating Was Tough For Early Tetrapods. 
  5. Science 339 (6118): 390-391 
  6. DOI: 10.1126/science.339.6118.390
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イクチオステガは歩けず

 デボン紀の四肢動物イクチオステガの関節を三次元的に再現し、その移動様式を解析した論文が報告されています。 ネイチャーハイライトが紹介しています。

 モデル解析では、イクチオステガは、のちの四肢動物に見られるような連続的な歩行(sequence walking)ができず、アザラシのように陸上をはいずっていたと考えられています。

 よって、最近報告されたデボン紀中期の足跡化石の主では無かったようです。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Stephanie E. Pierce, Jennifer A. Clack and John R. Hutchinson 
  4.  Three-dimensional limb joint mobility in the early tetrapod Ichthyostega 
  5. Nature 486, 523-526 (28 June 2012) 
  6. doi:10.1038/nature11124
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四肢動物の最古の足跡化石

 ポーランドにあるデボン紀中期(約3億9500万年前)の地層で、四肢動物としては最古の連続歩行跡が発見されています。四肢動物の起源や当時の環境などの再検討になりそうです。  

 今週号のNature に報告され、表紙の写真になっています。BBCではビデオで説明しています。  

 足跡化石の大きさはさまざまで数も多く、また、保存状態がよく指の形も残っているそうです。  また、海洋干潟堆積物からの発見であり、四肢動物の上陸が川からではなく海だった可能性も指摘されています。  

 最古の四肢動物の体化石より1800万年古く、また、魚類から四肢動物への移行途中(移行型)とされるティクタアリク(Tiktaalik)などの最古のエルピストステゲ類(elpistostegid)より1000万年は古く、四肢動物としては最古の歩行跡とされています。  

 このことから、エルピストステゲ類はそもそも移行型ではなく、生き残りではないかと考えられ、四肢動物の起源として別の種がいた可能性が大きくなっています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Tetrapod trackways from the early Middle Devonian period of Poland 
  4. (ポーランドで発見されたデボン紀中期初頭の四肢動物の連続歩行跡) 
  5. Grzegorz Niedzwiedzki et al. 
  6. Nature 463, p.43-48, 2010   

  7. Muddy tetrapod origins 
  8. (あいまいな四肢動物の起源) 
  9. Philippe Janvier & Gaël Clément 
  10. Nature 463, p.40-41, 2010
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手首を持つ魚類

 カナダの北極圏にあるデボン紀(およそ3億8000万年前)の地層で、手首構造の胸びれを持つ新種の魚類化石が発見されています。Nature NewsNationalgeographic News が伝えています。


  1. References:
  2.  
  3. A Devonian tetrapod-like fish and the evolution of the tetrapod body plan 
  4. 四肢動物に似たデボン紀の魚類と四肢動物の体制の進化 
  5. Edward B. Daeschler, Neil H. Shubin, and Farish A. Jenkins, Jr Nature 440, p.757-763. 2006 (pdf)   
  6.  
  7. The pectoral fin of Tiktaalik roseae and the origin of the tetrapod limb 
  8. Tiktaalik roseae の胸びれと四肢動物の肢の起源 
  9. Neil H. Shubin, Edward B. Daeschlerand Farish A. Jenkins, Jr 
  10. Nature 440, p.764-771. 2006
 
 化石はエレメア(Ellesmere)島で2004年に発見され、Tiktaalik roseae(ティクタアリク・ロゼアエ)と命名されています。属名は、イヌイット語で、"大きな浅瀬の魚"という意味です。  

 推定体長は最大で約2.7メートルで、魚ながら、胸びれには四肢動物の手首に似た関節があって、首のようなくびれもあります。
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