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滑空爬虫類の頭部、再記載

 Coelurosauravus elivensis (コエルロサウラヴィス・エリベンシス)といえば、ウェイゲルティサウリダエ(Weigeltisauridae、科)に属するペルム紀後期の滑空爬虫類です。

 滑空爬虫類といえば、肋骨を伸ばした飛膜が知られていますが、コエルロサウラヴィスは、肋骨ではなくて、皮骨を伸ばしています。

 図は、同属別種のCoelurosauravus jaekeli (Wikipedia)です。

 今回、その頭部について再記載されています。もっとも頭部についての報告で、滑空機能などではありません。

 東ヨーロッパ産の Rautiania 属と比較して、コエルロサウラヴィス属の識別基準が修正されています。

 
Coelurosauravus_BW.jpg



  1. References:
  2.  
  3. V. V. Bulanov & A. G. Sennikov (2015) 
  4. New data on the morphology of the Late Permian gliding reptile Coelurosauravus elivensis Piveteau. 
  5. Paleontological Journal 49(4): 413-423 
  6. DOI: 10.1134/S0031030115040048
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 四肢動物の直立歩行については、意外と早かった直立歩行(2009年9月)で紹介したように、足跡化石から、ペルム紀の大絶滅(約2億5200万年前)の後の三畳紀初期とされていました。

 しかし、今回、ペルム紀中期から後期(2億6500万年前から2億5200万年前)にかけての爬虫類が直立歩行だったとする論文が報告されています。ブラウン大が紹介しています。

 ニジェール北部にあるMoradi Formationで発見された植物食爬虫類 、パレイアサウルス(Pareiasaurs)の仲間、Bunostegos akokanensis の四肢を解析したもの。

 パラレプティラ(Parareptilia、側爬虫類)の系統で、かつては、 "無弓類(Anapsida)"とされたことからもわかるように、恐竜とは別系統です。

 興味深いことに、その前足は比較的直立型であり、パレイアサウルスとして、そしてペルム紀の羊膜全体の中でも独特だったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Morgan L. Turner, Linda A. Tsuji, Oumarou Ide& Christian A. Sidor, 2015 The vertebrate fauna of the upper Permian of Niger--IX. The appendicular skeleton of Bunostegos akokanensis (Parareptilia: Pareiasauria) JVP, Published online: 11 Sep DOI:10.1080/02724634.2014.994746
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 かつて、頭部の眼窩後方にある側頭窓(穴)の有無から、爬虫類を細かくグループ分けする時代がありました。

 その当時、穴がないカメ類は"無弓類(Anapsida)"とされていました。

 しかし、現在では、ゲノム解析から、カメ類は、恐竜や現生のワニ、鳥類などと同じく、側頭窓(穴)がある双弓類(Diapsida)とされ、穴がないのは、進化の過程で閉じたと考えられています。

 また、"無弓類(Anapsida)"というのも古い表現で、側系統群であり、系統関係を示すクレードとしては消滅しています。


 カメ類へとつながるグループ、ステム・タートル(stem-turtle)については、腹甲の代わりにガストラリア/三畳紀中期のカメの祖先(2015年7月)で、新種記載のPappochelys rosinae(パッポケリス・ロシナエ)とともに紹介しています。

 下のステムータートルの系統図(Rainer R. Schoch et al., 2015 、一部追加)に示すように、ステム・タートルは、カメ類の祖先のみのグループであって、カメ類そのものではありません。

 ここでは、最も古い系統のEunotosaurus africanus(エウノトサウルス・アフリカヌス)を紹介しています。南アフリカのカルー盆地にある2億6000万年前の地層で発見され、1892年に記載された、こちらも甲羅を持たないステム・タートルです。


 今回、そのエウノトサウルスの頭部化石について解析した論文が報告されています。Phys.org などが紹介しています。ただ、この論文が投稿された時点で、パッポケリスの論文は公表されていません。


Pantestudines-2.jpg



 エウノトサウルスには、目の後ろに穴があるのですが、成長するにつれて閉じていくそうです。このことから、エウノトサウルスは、二次的に穴がなくなる移行段階にある双弓類とされています。

 なお、先のパッポケリスの論文によると、より新しい系統であり、約2億4000万年前のパッポケリスには、2つの側頭窓があるとされています。 一方的に側頭窓が消失していったわけではないようです。 
 




  1. References:
  2.  
  3. G. S. Bever, Tyler R. Lyson, Daniel J. Field & Bhart-Anjan S. Bhullar (2015) 
  4. Evolutionary origin of the turtle skull. 
  5. Nature (advance online publication) 
  6. doi:10.1038/nature14900 Rainer R. Schoch & Hans-Dieter Sues (2015) 
  7. A Middle Triassic stem-turtle and the evolution of the turtle body plan. 
  8. Nature (advance online publication) 
  9. doi:10.1038/nature14472
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 双弓類のクラウングループであるサウリア類(Sauria )は、ヘビなどにつながる鱗竜形類(Lepidosauromorpha) と、恐竜の系統の主竜形類(Archosauromorpha) に分岐します。

 しかし、分岐した時代に相当するペルム紀の化石記録はほとんど無く、今回、再調査されています。

 その中で、タンザニアにあるペルム紀の地層で発見された新種の基盤的主竜形類、Aenigmastropheus parringtoni が記載されています。オープンアクセスです。

 復元イラストがありますが、同じ場所で見つかっているゴルゴノプス類やディキノドン類のエンドチオドン(Endothiodon)に比べると、 普通のトカゲのようですね。


 今回の解析で、化石記録に基づく鱗竜形類と主竜形類が分岐した最も若い年代は、2億5470万年前と示唆されています。  

 また、主竜形類の初期の成長戦略は、以前考えられていたよりも多様であったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Martín D. Ezcurra, Torsten M. Scheyer & Richard J. Butler (2014) 
  4. The Origin and Early Evolution of Sauria: Reassessing the Permian Saurian Fossil Record and the Timing of the Crocodile-Lizard Divergence. 
  5. PLoS ONE 9(2): e89165. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0089165
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 ディメトロドンといえば、獣脚類にみられるステーキナイフのような歯を持っていますが、この鋸歯を進化させた最初の陸上脊椎動物だったのです。

 最初といえば、陸上生態系で最初に登場した頂点捕食者であり、また、場所によって歯の形状が異る異歯性も最初です。

 このあたり、ペルム紀の単弓類であるスフェナコドン類(sphenacodontidae)の歯の形態が種によって、かなり多様であったとする論文で報告されています。Phys.org が紹介しています。


 走査電顕などで歯の形態や組織を調べたもの。  時間でキャリブレーションした系統解析から、歯の形態変化があっても、頭蓋骨の形態には重要な変化がなく、歯の変化は、摂食スタイルと栄養に関連しているとされています。  

 また、カーブした鋸歯のある歯(ziphodonty) は、ディメトロドン属の大型種で初めて進化し、さらに他の獣弓類で独立して進化したとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Kirstin S. Brink & Robert R. Reisz (2014) 
  4. Hidden dental diversity in the oldest terrestrial apex predator Dimetrodon. 
  5. Nature Communications 5, Article number: 3269 
  6. doi:10.1038/ncomms4269
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 恐竜ではないのですが、背中にある大きな帆などから、ディメトロドンはよく知られたペルム紀の単弓類です。

 テキサスにあるボーンベッドからは、サイズの違う化石が見つかり、3種が記載されています。しかし、同一種ではないかと疑問視する声もありました。

 今回、長骨の組織学的分析から違いが見られ、同じ場所に少なくとも2種が共存していた(同所性)とする論文が報告されています。


 テキサスにあるペルム紀前期のブリアールクリークボーンベッド(Briar Creek Bonebed)は、豊富なディメトロドン化石を産出することで知られています。  

 そのサイズにより、小型種 (Dimetrodon natalis)、中間種(D. booneorum)、そして大型種(D. limbatus) が記載されていますが、同一種の成長段階の違いによる個体発生的な違いではないかとも考えられています。  

 今回、新たに発掘された化石の組織学的な分析により、小型種は少なくともひとつのより大きな種と共存していたとされています。 ただ、中間種と大型種の違いが未解決とされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Christen D. Shelton, P. Martin Sander, Koen Stein and Herman Winkelhorst (2013) 
  4. Long bone histology indicates sympatric species of Dimetrodon (Lower Permian, Sphenacodontidae). 
  5. Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh (advance online publication) 
  6. DOI: http://dx.doi.org/10.1017/S175569101300025X
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ディメトロドンの口蓋と脳函

 ペルム紀の単弓類、ディメトロドン(Dimetrodon milleri)のホロタイプ標本の口蓋と脳函の一部の形態について報告されています。

 3次元的に保存されており、 D. limbatus 種と比較しています。 D. limbatus との違いは、頭部を構成する骨のひとつ外翼状骨(ectopterygoid)上に歯がないことや、上翼状骨(epipterygoid)基盤突起の形状などです。

 両者は、セコドントサウルス(Secodontosaurus)とスフェナコドン(Sphenacodon)を含む他のスフェナコドン類(sphenacodontid)とは著しく異なるとされています。  

 いずれも似ていますが、セコドントサウルスには背中に大きな帆があり、スフェナコドンにはありません。




  1. References:
  2.  
  3. Kirstin S. Brink & Robert R. Reisz (2012) 
  4. Morphology of the palate and braincase of Dimetrodon milleri. 
  5. Historical Biology 24(5): 453-459 
  6. DOI:10.1080/08912963.2012.704918
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 ペルム紀中期、四肢動物の化石記録がない期間とされた"Olson's Gap"は、無かったという報告です。    

 新しい化石の発見からではなくて、地層年代の再検討により、不連続とされた年代ギャップが埋められたもの。 Geosociety が紹介しています。

 ペルム記には、前半の基盤的な単弓類から、後半は獣弓類が支配的な動物相へと、四肢動物の変遷が生じました。 しかし、およそ3億-2億5000万年前のペルム紀中期において、500万年ほどは化石記録のない"Olson's Gap"があったとされていました。  

 これは、異なる大陸の岩石の年代の連続性に問題があったとされています。つまり、ペルム記前期の地層がある北米大陸と、中期以降の地層がある南アフリカとロシアの連続性です。  

 今回の再解析で、ロシアの岩石の年代が、北米大陸の記録にオーバーラップし、そのギャップはなくなったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Michael J. Benton, 2012 No gap in the Middle Permian record of terrestrial vertebrates. 
  4. Geology (advance online publication) 
  5. doi: 10.1130/G32669.1 
  6.  
  7. Spencer G. Lucas, 2004 
  8. A global hiatus in the Middle Permian tetrapod fossil record 
  9. stratigraphy,1(1), p.47-64, 2004(pdf)
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ブラジルから新種の獣弓類

 ブラジルにあるペルム紀中期の地層で、新種の獣弓類化石が発見され、PNAS に記載されています。ScienceNeswBlog の化石の映像があります。
 
 朝日には、"哺乳類型爬虫類"とありますが、「単弓類」という名も普及させてほしいですね。
 
 2008年に、32cmほどの頭部が発見され、推定体長は3メートル以上と、当時最大級の肉食獣だったとされています。

 学名は、Pampaphoneus biccai で、属名は、"Pampas Killer(パンパスの殺し屋)"の意味で、種小名は化石が発見された農地の持ち主にちなんでいます。  

 系統的には、初期の獣弓類のグループである Anteosaurida のうちのディノケファルス類(dinocephalia)とされています。


  1. References:
  2.  
  3. Juan Carlos Cisneros, 2012
  4. Carnivorous dinocephalian from the Middle Permian of Brazil and tetrapod dispersal in Pangaea 
  5. PNAS, Published online January 17, 2012
  6. doi: 10.1073/pnas.1115975109
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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