三畳紀の最新ニュース

 リンコサウリア(Rhynchosauria)と言えば、三畳紀の植物食の主竜形類(archosauromorph)です。

 三畳紀後期(ノーリアン)に絶滅するまで、世界中に分布していました。

 今回、南アフリカにある三畳紀中期早期(アニシアン初期)の地層(カルー超層群)で発見された1つの頭骨化石から、新種が記載されています。

 Eohyosaurus wolvaardti (エオヒョサウルス・ウォルバールデチ)と命名され、系統的には、Rhynchosauridae の姉妹群とされています。

 エオヒョサウルスが発見された場所は、かつて、層序的に最古のリンコサウリアであるMesosuchus browni Howesia browni が見つかっている場所です。

 3種になって、リンコサウリアの多様性が増したわけですが、興味深いことに、全て、三畳紀初期から三畳紀中期最早期にかけての南アフリカから見つかっていること。

 このことから、初期のリンコサウリアの古地理的分布は、相対的に制限されていたとされています。リンコサウリアが地球規模で分布するのは、三畳紀中期になってからです。


 



  1. References:
  2.  
  3. Richard J. Butler, Martín D. Ezcurra, Felipe C. Montefeltro, Adun Samathi and Gabriela Sobral (2015) 
  4. A new species of basal rhynchosaur (Diapsida: Archosauromorpha) from the early Middle Triassic of South Africa, and the early evolution of Rhynchosauria. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society 174(3): 571-588 
  6. DOI: 10.1111/zoj.12246
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 三畳紀の大量絶滅イベントは、海洋生物にも多大な影響を与え、魚竜においても、大部分が絶滅しました。  しかし、貧弱な化石記録のため、十分には解明されていたかったようです。

 今回、フランスにある三畳紀後期(レーティアン)の地域について解析した論文が報告されています。

 三畳期末、シャスタサウリダエ(shastasauridae、シャスイタサウルス科) の系統の絶滅と、ネオイクチオサウリア( neoichthyosauria)の突然の放散の両方が、短時間に起きたことを示すとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Valentin Fischer, Henri Cappetta, Peggy Vincent, Géraldine Garcia, Stijn Goolaerts, Jeremy E. Martin, Daniel Roggero & Xavier Valentin (2014) 
  4. Ichthyosaurs from the French Rhaetian indicate a severe turnover across the Triassic-Jurassic boundary. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-014-1242-7
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 現生のカイギュウ(海牛)といえばジュゴンですが、三畳紀のカイギュウといえば、海生爬虫類のプラコドンティア(Placodontia)でしょう。

 サウロプテリギア(Sauropterygia、鰭竜類) のグループで、今回、その一種、Placodus gigas (プラコダス・ギガス)についてレビューした論文が報告されています。

 現生のカイギュウのように、海藻が茂った浅い海に大量に棲息していたとされています。

 図は、プラコドン類の系統関係、左のスケールは10cm(Cajus G. Diedrich, 2013)。

 進化すると、背中などにオステオダーム(皮骨)が発達していきます。



Placodus_gigas.jpgのサムネール画像
 プラコダスは、当時のーロッパにあった盆地状のゲルマンオート地向斜(intracratonic Germanic Basin)に広がる浅い海の、海床に海藻が茂った場所に棲んでいたとされています。  

 大量の骨化石が残されていることから、ペルシャ湾に生息する現生のカイギュウ類、 dugong Sirenia のように、多数の個体が棲息していたとようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Cajus G. Diedrich, 2013 
  4. Review of the Middle Triassic "sea cow" Placodus gigas (Reptilia) in Pangea's shallow marine macroalgae meadows of Europe 
  5. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin 61, p. 104-131 (pdf)
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 図は、最古の水中飛行爬虫類とされている Pistosaurus longaevus (ピストサウルス・ロンガエブス)です(Meyer, 1839)。

 ヨーロッパの三畳紀中期の地層で発見されているサウロプテリギア(Sauropterygia、鰭竜類) の一種で、今回、レビューした論文が報告されています。

 水中をヒレで泳ぐスタイルは、このピストサウルスで始まったとされています。やがてのクビナガリュウなどで、進化したのでしよう。

 似たような4枚のヒレですが、その特徴から、メインの推進力は前ヒレで後ヒレは弱く、原始的なフリッパーだったとされています。


Pistosaurus_longaevus.jpg  また、ピストサウルスは、歯列やロコモーションから、主に魚や小型から中型サイズの爬虫類を食べていたとされています。  

 なお、この論文を含め、The Triassic System: New Developments in Stratigraphy and Paleontology(三畳紀系:層序と古生物学の新展開、ニューメキシコ自然史科学博物館紀要)には、三畳紀に関する論文が多数、報告されています。オープンアクセスです。


  1. References:
  2.  
  3. Cajus G. Diedrich ,2013
  4. The oldest "subaquatic flying" repitle in the world - Pistosaurus longaevus Meyer, 1839 (Sauropterygia) from the Middle Triassic of Europe 
  5. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin 61, p.169-215 

  6. Tanner, L.H., Spielmann, J.A. and Lucas, S.G., eds., 2013
  7. The Triassic System: New Developments in Stratigraphy and Paleontology 
  8. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin 61
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 三畳紀後期は恐竜が誕生した時代ですが、その時代区分は、海に棲息していたアンモナイトとコノドントの生物層序に基づくものだそうです。

 ですから、海でのイベントが基準であって、陸の生態系の変化を反映しているとは言えませんね。

 今回、そんな三畳紀の地質年代区分について、前期、中期、後期を用いない、新しい提案が報告されています。



 現在のところ、三畳紀は、地質年代は、3つの期と、7つの階、そして15の亜階に分けられています。  

 これらの元となるのは、アンモナイトとコノドントの生物層序に基づくものですが、今回、アンモナイトだけに基づく提案がされています。

 新しい年代層序では、今までの、前期、中期、後期という区分は、たいしたイベントがなく、それらに変わり、Scythian、Dinarian、Carnian、Norian の4つに分けられています。




  1. References:
  2.  
  3. Spencer G. Lucas, 2013 
  4. A new Triassic timescale 
  5. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin 61, p. 366-374  (pdf)
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 地球上で最初に恐竜が誕生し進化したのは、三畳紀後期に、南半球にあったパンゲア大陸でした。  そんな最古の恐竜化石産地についてレビューされています。

 今のアルゼンチン-ブラジルあたりだけかと思っていたら、ジンバブエ-インドあたりでも見つかっているのですね。

 初期の恐竜がいたのは、主に亜熱帯から冷温乾燥地域に制限されていたようです。湿度の高いところにいなかったのは、別の生物がいたからでしょうか。

 
 恐竜の進化の始まりは、2億3200万年前から2億2500万年前の、今のアルゼンチンやブラジル、ジンバブエやインドがあった南緯40-50度地帯とされています。  

 この論文では、これら最古の恐竜化石群集の分類学的な多様性についてレビューしています。  

 ブラジルの"Teyuwasu barberenarai"は、不明確な恐竜形類で無効名とされています。ジンバブエのSaturnaliaは基盤的竜盤類とされ、ヒュンネによって記載されたインドの標本のひとつのみが、明確に恐竜とされています。  

 今のアルゼンチンやブラジルがあった南西部のパンゲア群集には、初期の豊富な恐竜種が集中し、10-11種ほどが見つかっています。  

 一方、ジンバブエやインドがあった南から中央部のパンゲアからは、1-2種しか見つかっていません。  

 最近の古気候の再現によると、最古の恐竜群集は、主に亜熱帯から冷温乾燥地域に制限されているように見えるとされています。  
 
 これは、アルゼンチンのIschigualasto層上部では恐竜化石が見つからないのは、盆地で湿度が上がるという仮説と一致するそうです。  

 よって、湿度とともに気候要因が最も需要と考えられ、最古の恐竜の古地理学的分布を制御していた可能性があるそうです。  三畳紀後期に恐竜が世界的に分布するようになったのは、地球規模の気候変動の後ではないかとされています。  

 その変動とは、"カーニアンの多雨イベント"の終了や、恐竜によって、より熱帯的で多湿な気候が侵出したことです。





  1. References:
  2.  
  3. Martín D. Ezcurra (2012) 
  4. Comments on the taxonomic diversity and palaeobiogeography of the earliest known dinosaur assemblages (Late Carnian-Earliest Norian)). 
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 三畳紀は恐竜が登場した時代と思われていますが、実際に登場したのは後期になってから。

 日本でも、岡山や広島、山口には三畳紀後期の地層があるそうです。では、三畳紀の生態系はどんな環境で、どんな生物がいたのでしょう。

 Triassic Life on Land(Columbia Univ Press)は、恐竜の時代が始まった三畳紀についての著です。著者はスミソニアン自然史博物館のHans-Dieter Sues と Nicholas Fraserです。

 出版元のコロンビア大出版局で紹介されています。Google Preview をクリックすると、最初の方のページが見られます。


 

Triassic Life on Land.jpg 

 イラストは全部で115あり、骨格図が多く、引用文献も豊富です。一般書ですが、古生物学や解剖学の知識があると、よりいっそう楽しめるでしょう。

 以下に示したように、11章からなり、中期-後期の特徴的な時代を著しています。

 特に9章は、"Two Extraordinary Windows into Triassic Life" と題し、保存状態の良い2つのサイト、米国東部の Solite Quarry と中央アジアにあるマディジェン (Madygen) について紹介しています。

  その中で、マディジェンの三畳紀中期(2億2800万年前)の地層は、世界有数の昆虫化石産地として有名で、滑空爬虫類のロンギスクアマやシャロヴィプテリクスの化石も発見されています。


 

  1. 目次
  2. Introduction
    Early and early middle Triassic in Gondwana
    Early and early middle Triassic in Laurasia
    Late middle and late Triassic of Gondwana
    Late middle and late Triassic of Europe
    Late Triassic of Great Britain
    Triassic of the Central Atlantic margin system
    Late Triassic of the western United States
    Two extraordinary windows into Triassic life
    Biotic changes during the Triassic period
    The end of the Triassic : out with a bang or a whimper?

 

 


Triassic Life on Land.jpg

  1. 書名:Triassic Life on Land
  2. 出版社:Columbia Univ. Press
  3. 発売日:2010年6月30日
  4. ISBN:023113522X
  5. 価格:5,548円

 

 

 

 

 

 

 

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