三畳紀前期の最新ニュース

 中島 保寿さんらにより、三畳紀初期の魚竜、ウタツサウルス(Utatsusaurus hataii)の骨の内物構造について考察した論文が報告されています。予稿ですが、全文が読めます。

 その構造が示すように、ウタツサウルスは、最も基盤的な魚竜です。

 海綿状の骨の構造は、海洋環境での活発な遊泳への適応と考えられています。また、 外温性(変温性)の爬虫類というより、内温性(恒温性)だった可能性が示唆されています。

 陸から海へと戻った魚竜ですが、三畳紀初期には、海のライフスタイルに十分に適応していたとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Yasuhisa Nakajima, Alexandra Houssaye, and Hideki Endo (2012) 
  4. Osteohistology of Utatsusaurus hataii (Reptilia: Ichthyopterygia): Implications for early ichthyosaur biology. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0045



 三畳紀前期の滑空爬虫類、ロンギスクアマの羽根の構造についての論文が報告されています。 New Scientistや、 The Pterosaur Heresiesが紹介しています。  

 恐竜から鳥類への進化に絡めて議論があり、大多数は、ロンギスクアマは鳥類とは無関係としていますが、この構造が鳥類へとつながったとする研究者もいます。  

 論文では、別に見つかっている羽根の分析から、両者の中間のような新しい説を述べています。 これらの羽根の構造を進化させた遺伝子が、やがての恐竜や翼竜の羽毛や毛につながったのではないかというのです。 


 ロンギスクアマ(Longisquama insignis)は、四肢のほかに背中に羽根がある、三畳紀前期の滑空爬虫類です。 1960年代にキルギスタンで標本が見つかったのですが、羽根らしき構造は植物ではないかとされ、ロンギスクアマのものではないとする意見もあるそうです。  

 恐竜から鳥類への進化に絡めて、議論がある羽毛構造ですが、いずれにせよ、ロンギスクアマが鳥類へとつながったとする研究者は少数です。  

 一方、カンザス大のLarry Martinのように、鳥類がこれらの爬虫類から進化したとする研究者もいます。  

 論文では、ドイツ大のフライベルグ大のMichael Buchwitz らが、最近見つかったロンギスクアマノの羽根について述べています。 

 これは植物ではなく、ロンギスクアマのものとしています。 また、ウロコでも羽毛でもないとされ、羽毛のような分枝はないのですが、中央にフィラメントがあり、それらは羽毛の進化を彷彿とさせるものがあるそうです。  

 ロンギスクアマが直接鳥類へとつながるわけではなく、また、進化の袋小路というわけでもなく、その羽根を進化させた遺伝子が、やがての恐竜や翼竜の羽毛や毛の進化につながったとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Buchwitz M and Voigt S 2012. 
  4. The dorsal appendages of the Triassic reptile Longisquama insignis: reconsideration of a controversial integument type. Paläontologische Zeitschrift (advance online publication) 
  5. DOI: 10.1007/s12542-012-0135-3



新種のキノドン類/インド

 インドにある三畳紀前期の地層(Panchet Formation)で発見された新種のキノドン類が記載されています。  

 哺乳類の直接の祖先ではない非哺乳類型(non-mammalian)のキノドン類とされ、爬虫類(獣弓類)から哺乳類への変遷に重要な情報を与えるとされています。 全文が読めます。  

 左下顎の一部が発見されたもの。他のキノドン類とは異なる特徴があり、学名は、Panchetocynodon damodarensis とされています。    
 三畳紀のゴンドワナ大陸からのキノドン類の発見は多いのですが、今のインド亜大陸からの発見は少ないそうです。 

 今回の地層からは、1987年にThrinaxodon bengalensis が報告されているだけですが、詳細な系統的な報告は無いようです。また、他のインドのキノドン類は、三畳紀後期(Carnian)からの発見とされています。  

 系統的には、今回の P. damodarensis は、 非哺乳類型のキノドン類とされています。この 非哺乳類型のキノドン類は、爬虫類(獣弓類)から哺乳類への変遷、特に歯やあごの進化に重要な情報を与えるとされています。  

 ちなみに、最も哺乳類の直接の祖先に近縁とされているのは、より進化したタイプで三畳紀中期のProbainognathus です。

 


  1. References:

  2. D. P. Das and Abir Gupta (2012)
  3. New cynodont record from the lower Triassic Panchet Formation, Damodar valley.
  4. Earth and Environmental Science Journal of the Geological Society of India, 79(2), 175-180 
  5. DOI: 10.1007/s12594-012-0022-2



恐竜の夜明け/Science News

 Dawn of the Dinosaurs (恐竜の夜明け)は、Science News 5/21 号の記事です。副題は、ジュラシックパークではなくて、三畳紀パークです。

 セレノらは、アルゼンチンで、恐竜の共通祖先に近い化石を発掘中とか。 ニワトリに似ていて、二足歩行、"ur-dinosaur" と呼ばれているそうです。"ur" の意味は不明です。

 

 また、ポーランドで発見された足跡化石も紹介されています。

 昨年10月に、恐竜形類の出現はより早かったで紹介したProrotodactylus と名づけられた2億5000万年前の恐竜形類の足跡化石です。

 恐竜のものとする意見もあると紹介されています。

----------  コメント(3)



 ポーランドにある三畳紀初期?中期(約2億5000万年前)の地層で発見された、恐竜形類(dinosauromorph)などの足跡化石が、Proc. R. Soc. B に報告されます。

  恐竜形類の登場はペルム期末の大量絶滅の数百万年後とされ、従来考えられていたよりも早かったようです。PhysOrgなどが伝えています。

  報告されているのは、 Prorotodactylus と名づけられた2億5000万年前の恐竜形類と、最古の恐竜類とされる2億4600万年前の Sphingopus の足跡化石です。

  なお、恐竜と伝えているマスコミもありますが、最も古い足跡化石は、祖先にあたる恐竜形類(dinosauromorph)であって、恐竜(Dinosauria)ではありません。

 最古の恐竜化石は、2億4200万年前のもの。そもそも恐竜は、骨格の特徴から定義されているので、厳密には足跡だけからそれらが恐竜又は恐竜形類と結論はつけられないはずです。

 

  1. Footprints pull origin and diversification of dinosaur stem lineage deep into Early Triassic
  2. Stephen L. Brusatte et al.
  3. Proc. R. Soc. B published online before print October 6, 2010

 

  Prorotodactylus の足跡は第2-4指が平行になっており、4足歩行だったとされています。

  復元イラストでは、華奢な体で手足は長く、イエネコほどと小型です。

 年代的には、ペルム期末の大量絶滅(2億5230万年前)の数百万年後とされ、従来考えられていたよりも、500-900万年ほど出現は早かったようです。




カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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