三畳紀後期の最新ニュース

 基盤的竜脚形類、Melanorosaurus thabanensis (メラノロサウルス・タバネンシス)について再記載されています。

 その結果、メラノロサウルスではなく、新たに、Meroktenos(メロクテノス)属が提唱され、Meroktenos thabanensisとされています。

 メロクテノスは2足歩行と考えられていますが、その大腿骨の断面は偏心しており、これは、後に、大型竜脚類としてが獲得する特徴です。

 つまり、竜脚類として重量が増える前から、重力移動(graviportalism)と4足歩行へのカギとなる適応が見られるわけです。

 この「竜脚類様」大腿骨は、三畳紀としては初めてで、メロクテノスはこの特徴を持つ初めての基盤的竜脚形類のひとつとされています。

 南アフリカの近く、レソト王国にあるエリオット層(Elliot Formation)で発見されたのですが、層序位置が見直され、下部エリオット層からであり、ジュラ紀初期ではなくて、三畳紀後期とされています。  

 ホロタイプの大腿骨は、そのサイズから、幼体のものではないかとされています。  


 


  1. References:
  2.  
  3. Claire Peyre de Fabrègues &, Ronan Allain (2016) 
  4. New material and revision of Melanorosaurus thabanensis, a basal sauropodomorph from the Upper Triassic of Lesotho. 
  5. PeerJ 4:e1639
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 イギリスで魚竜といえば、メアリー・アニングが有名ですが、彼女が化石をハンティングしていたのは、南部沿岸ドーセット州でのこと。
 今回、多くの魚竜化石を産出しながら、その記録が乏しいイギリス中央部ノッティンガムシャー州からの標本が報告されています。

 もっとも、現在では近づくことができないそうで、全て、博物館や大学に保管されていた67標本です。

 三畳紀後期からジュラ紀前期の地層で発見されたもので、中には保存状態が良く、3次元的に保存されている標本もあります。

 今回、初めてとなる、Ichthyosaurus (イクチオサウルス)属と、Temnodontosaurus(テムノドントサウルス) 属が見つかっています。  

 テムノドントサウルスといえば、ジュラ紀初期のトッププレデターだった大型魚竜で、歯がないテムノドントサウルスの新種(2012年9月)では、歯がない種類も紹介しています。
 




  1. References:
  2.  
  3. Dean R. Lomax & Benjamin J.A. Gibson (2015) 
  4. The first definitive occurrence of Ichthyosaurus and Temnodontosaurus (Reptilia: Ichthyosauria) in Nottinghamshire, England and a review of ichthyosaur specimens from the county. 
  5. Proceedings of the Geologists' Association (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.pgeola.2015.05.006
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 かつて、直立歩行は恐竜の大きな特徴の一つとされたものですが、その先祖にも直立歩行の仲間がいました。

 意外と時間がかかった恐竜誕生(2007年7月)で紹介している恐竜形類の Dromomeron romeri や、 Dromomeron gregorii もその仲間です。

 それらは全て北米産でしたが、今回、南半球では初めてとなる基盤的な恐竜形類が記載され、 Dromomeron gigas (ドロモメロン・ギガス)と命名されています。

 先の2種に続いて、ドロモメロン属としては3種目ですね。

 系統解析の結果では、単系統のラゲルペチダエ(Lagerpetidae)の系統で、 D. romeri の姉妹群とされています。

 ラゲルペチダエの系統に含まれることから、以前、恐竜型類で示されたように、この系統では時間とともにボディサイズが増加したことを示しています。

 また、ラゲルペチダエの恐竜は、以前考えられていたよりも大型サイズに到達したようです。

 2007年に紹介したように、基盤的恐竜形類は、1500-2000 万年ほど恐竜類と共存したとされ、基盤的恐竜形類が衰退して恐竜類が繁栄したわけではありません。

 今回の発見は、恐竜が誕生したとされる南米での発見であり、恐竜と共存した恐竜形類の初期放散についての新たな知見を与えるとされています。


 恐竜と翼竜をを含むオルニソディラ(Ornithodira、鳥頸類)の系統は、恐竜形類(dinosauromorph)、恐竜型類(dinosauriform)、恐竜と続きます。  

 三畳紀後期ノーリアンの、恐竜ではない恐竜形類(non-dinosaurian dinosauromorph)は世界のいくつかの場所で発見されていますが、恐竜型類でもない恐竜形類(non-dinosauriform dinosauromorph)は、北米大陸の Dromomeron romeri Dromomeron gregorii のみです。  

 なお、新種の竜脚"型"類/南アフリカ(2015年6月)で紹介しているように、-morph(s)を「形類」、-form(es) を「型類」と区別して訳しています。  

 今回のドロモメロン・ギガスは、アルゼンチン北西部にある三畳紀後期の地層(Quebrada del Barro Formation,)で発見されたもので、南半球では初めてとなる恐竜型類ではない恐竜形類です。  



  1. References:
  2.  
  3. Ricardo N. Martínez, Cecilia Apaldetti, Gustavo A. Correa & Diego Abelín (2015) 
  4. A Norian lagerpetid dinosauromorph from the Quebrada del Barro Formation, northwestern Argentina. 
  5. Ameghiniana (advance online publication) 
  6. doi:10.5710/AMGH.21.06.2015.2894
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 恐竜が出現したのは、三畳紀後期(カーニアン)、パンゲア大陸の南西部からです。最初期の確実な恐竜化石については、恐竜の起源(2014年6月)で紹介しています。   

 初期の恐竜研究は、アルゼンチンのイスキグアラスト層(Ischigualasto Formation)やブラジル南部の Santa Maria 層での発見により、最近の四半世紀で、ずいぶん進んだとされています。

 一方、南米に比較して、北米大陸での三畳紀後期の恐竜の化石記録は乏しく、コエロフィシス(Coelophysis bauri) とタワ(Tawa hallae)が記載されているのみです。

 このあたり、高代謝がアダに/三畳紀後期の低緯度で恐竜が少なかった理由(2015年6月)で大陸図を示していますが、北米も南米も、パンゲア大陸の一部であり、陸続きだったのですが、北米大陸はより低緯度で、恐竜には厳しい環境だったようです。

 今回、テキサス西部にある三畳紀後期の地層(Dockum Group )で発見された新種の新獣脚類が記載されています。

 北米大陸からの、三畳紀後期の恐竜としては、3種目になりますね。

 学名は、Lepidus praecisio (レピドゥス・プラエシシオ)で、"Lepidus"と" praecisio"は、それぞれラテン語で"魅惑的な"と"断片的な"という意味です。

 系統的には、最古の新獣脚類のひとつとされ、コエロフィソイデア(Coelophysoidea、コエロフィシス上科)の位置づけです。

 図は、初期の獣脚類の系統関係(Sterling J. Nesbitt and Martín D. Ezcurra, 2015)。Coelophysis bauri と近縁ですね。

 なお、この図では、最も基盤的な獣脚類は、スタウリコサウルス(Staurikosaurus pricei)と、ヘレラサウルス(Herrerasaurus ischigualastensis)です。

 Santa Maria 層でで発見されたスタウリコサウルスについては、三畳紀の恐竜、「鎖骨リング」で組立(2012年12月)で紹介しています。

 また、エオラプトル(Eoraptor lunensis)は、獣脚類の外群で、獣脚類はありません。このあたりは、基盤的竜脚形類、エオラプトルの骨学(2013年10月)で紹介しています。  


Lepidus.jpg
 
 見つかっているのは、脛骨と腓骨の遠位端からなる関節した足首部分と、完全な距骨踵骨(astragalocalcaneum)です。    

 同じ地域からは、このタクソンのものと思われる大腿骨や上顎骨も見つかっているそうです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Sterling J. Nesbitt and Martín D. Ezcurra (2015) 
  4. The early fossil record of dinosaurs in North America: A new neotheropod from the base of the Upper Triassic Dockum Group of Texas. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00143.2014
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 基盤的な竜脚形類(sauropodomorph)で、ニ足歩行ながら、四足歩行へとシフトしていった初期の過渡的な仲間は、竜脚型類(sauropodiform)というクレードで表されています。

 やがての竜脚類につながる系統で、過渡期の竜脚形類アンテトニトルス(2014年5月)で紹介した論文で提唱されています。

 なお、日本では、titanosauriform(es)を、ティタノサウルス「形類」と訳されたりしていますが、本来は、-morph(s)を「形類」、-form(es) を「型類」と区別して訳すべきなのかもしれません。

 今回、南アフリカにある三畳紀後期からジュラ紀前期にかけての地層(Elliot Formation)で発見された中型の基盤的竜脚形類で、竜脚型類に含まれるタクサが記載されています。

 Witwatersrand大学に復元骨格図があります。前脚が短く、4足歩行で復元されています。ガストラリア(gastralia、腹肋骨)もありますね。

 学名は、Sefapanosaurus zastronensis (セファパノサウルス・ザストロネンシス)です。

 最も顕著な特徴として、足首の骨(astragalus)が十字状なことだとされています。なので、学名の"sefapano"は、南アフリカの公用語のセソト語で、"cross(十字状)"を意味するそうです。

 系統解析では、同じく竜脚型類であるマッソスポンディルスより竜脚類に近縁ですが、先のアンテトニトルスより基盤的です。
  

 化石自体は1930年代に発見され、見つかっているのは、頸部や脊椎、尾椎に四肢など、少なくとも4個体からなる頭部より後ろの化石です。  

 アンテトニトルスも南アフリカ産であり、竜脚類の台頭に関連して、古生態の多様性や地球規模での分布、マクロ進化的変化を理解する点で、ゴンドワナのタクサの重要性を強調しています。




  1. References:
  2.  
  3. Alejandro Otero, Emil Krupandan, Diego Pol, Anusuya Chinsamy and Jonah Choiniere (2015)
  4. A new basal sauropodiform from South Africa and the phylogenetic relationships of basal sauropodomorphs. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society 174(3): 589-634
  6. DOI: 10.1111/zoj.12247
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 三畳紀後期といえば、恐竜が台頭し始めた黎明期です。 

 この時代の恐竜を語るには、大きな未解決の問題がありました。

 なぜか、低緯度地域では恐竜がまれで、種類も少なかったということです。

 今回、当時パンゲア大陸の赤道付近だった北米西部の恐竜産出地層のデータを解析し、当時の古環境を復元し、その理由を説明した論文が報告されています。  

 図は、三畳紀後期のパンゲア大陸と恐竜の分布図(Jessica H. Whiteside et al., 2015)。 

 黒い恐竜は通常みられた恐竜のクレードで、灰色はまれなクレードです。確かに、赤道付近での恐竜はまれですね。
 
 パンゲア大陸は、およそ3億年前ごろに形成され、2億年前頃に分裂を開始します。

 赤道付近には広大な大陸が広がっていながら、図に示すように、低緯度地域には、コエロフィシスのような小型獣脚類がいた程度で、ノリアン中期以降になっても、高緯度では既に支配的だった竜脚形類は、低緯度にはいなかったのです。

 これは、三畳紀後期(期間は3570万年)をとおして、最初の恐竜が誕生してから3000万年、高緯度地域で恐竜が豊富になってからも、1000万から1500万年は続いたとされています。

 今回の研究から、三畳紀後期の熱帯地域では、雨季や干ばつ、山火事など、極端な気候変動が続いたとされています。

 そのため、竜脚形類など、大量の植物を必要とする高代謝の恐竜は、劇的に変化する環境に適応できなかったというのです。 

 恐竜が繁栄したのは、直立歩行といった、既に祖先が獲得していた外見的な理由というより、高代謝といった内面的な理由なんでしょうが、代謝効率の高さが、かえってアダになったようです。

 環境が激変した時には、代謝率を下げて、じっと耐えている方が生き延びられそうですね。その点では、恒温動物は不利なのかもしれません。



Pangea_map.jpg


 最初期の確実な恐竜化石は、三畳紀後期(カーニアン)、パンゲア大陸の南西部からです。このあたり、恐竜の起源(2014年6月)で、総説を紹介しています。  

 今回の研究は、中生代初期の陸域生態系における気候と関連する、恐竜を含む広範な脊椎動物化石記録を含む動物相の変化についての、初めてのマルチプロキシな研究とされています。 多くの指標を解析して、精密に当時の古環境を復元したということなのでしょう。  

 分析したのは、花粉や山火事、有機炭素同位体、そして大気中の二酸化炭素分圧です。  

 その結果、二酸化炭素分圧が増加し、山火事が広がっていた環境であり、同位体比(δ13Corg)と花粉化石の生態系には、大規模で頻繁で、しかも綿密に関連した変動が見られたとされています。  

 このような、三畳紀後期までの極端に変動する気候条件下でも、偽鰐類(pseudosuchia)なら存続することができたとされています。  

 しかし、大型で成長が速く、より多くの食料を必要とした高代謝(tachymetabolic)だった植物食の恐竜は、不安定な環境には適応できなかったとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Jessica H. Whiteside, Sofie Lindström, Randall B. Irmis, Ian J. Glasspool, Morgan F. Schaller, Maria Dunlavey, Sterling J. Nesbitt, Nathan D. Smith, and Alan H. Turner (2015) 
  4. Extreme ecosystem instability suppressed tropical dinosaur dominance for 30 million years. 
  5. PNAS (advance online publication) 
  6. doi:10.1073/pnas.1505252112
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 Pampadromaeus barberenai (パンパドロメウス・バーベレナイ)は、ブラジルにある三畳紀後期(カーニアン)の地層で発見された初期の竜脚形類です。

 そのホロタイプの大腿骨は、不完全でしたが、今回、同じ露頭で見つかった完全な大腿骨化石が報告されています。

 系統的には、この大腿骨は、パンパドロメウスのホロタイプの姉妹群とされ、いずれも竜脚形類の位置づけです。

 なお、パンパドロメウスと、"ステム竜脚形類"という誤り(2011年11月)では、竜脚形類の外群となる"ステム竜脚形類"と紹介しました。




  1. References:
  2.  
  3. Rodrigo Temp Müller, Max Cardoso Langer, Sérgio Furtado Cabreira & Sérgio Dias-da-Silva (2015) 
  4. The femoral anatomy of Pampadromaeus barberenai based on a new specimen from the Upper Triassic of Brazil. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2015.1004329
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ブラジル最古の恐竜化石

 ブラジルにある三畳紀後期(カーニアン後期からノリアン最初期)の地層で発見された、ブラジル最古とされる恐竜化石が報告されています。

 大腿骨ヘッドの腹面に凹みがあることと、上腕骨によく発達した三角筋稜(deltopectoral crest)があることから、恐竜化石とされています。しかし、断片的であり、系統などは不明なようです。

 今までも竜脚形類の Pampadromaeus barberenai しか見つかっていなかったサイト(Sítio Janner)の多様性が高まったとされています。

 今回の標本は、ヘレラサウリダエ(herrerasaurids)をのぞいて、ほとんどの初期の恐竜よりは大きく、このグループは、すでにこのあたりのニッチを占めていたと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Flávio A. Pretto, Cesar L. Schultz & Max C. Langer (2015) 
  4. New dinosaur remains from the Late Triassic of southern Brazil (Candelária Sequence, Hyperodapedon Assemblage Zone). 
  5. Alcheringa (advance online publication) 39, xxx-xxx. ISSN 0311-5518 
  6. DOI:10.1080/03115518.2015.994114
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 ブラジル南部で発見された新しい露頭が報告されています。 

 三畳紀後期(Norian )の地層(Caturrita Formation)で、化石の保存状態が良く、少なくとも4種の竜脚形類化石が含まれているそうです。

 また、肉食系の主竜形類(archosauriform)の歯の化石も見つかっていますが、詳細な個別の解析は、これからです。




  1. References:
  2.  
  3. Rodrigo Temp Müller, Átila Augusto Stock da Rosa, Lúcio Roberto da Silva, Alex Sandro Schiller Aires, Cristian Pereira Pacheco, Ane Elise Branco Pavanatto & Sérgio Dias-da-Silva (2014) 
  4. Wachholz, A new exquisite dinosaur-bearing fossiliferous site from the Upper Triassic of southern Brazil. 
  5. Journal of South American Earth Sciences (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.jsames.2014.10.009
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 アラスカ初のオフタルモサウルス類(2013年5月)で、ジュラ紀中期の魚竜化石について紹介しました。

 今回、アラスカ北部にある三畳紀後期(Norian)の地層から発見された魚竜化石について報告されています。

 最大級で完全であり、消化管の内容物が残されているため、貴重とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Patrick S. Druckenmiller, Neil Kelley, Michael T. Whalen, Christopher Mcroberts & Joseph G. Carter (2014) 
  4. An Upper Triassic (Norian) ichthyosaur (Reptilia, Ichthyopterygia) from northern Alaska and dietary insight based on gut contents. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 34(6): 1460-1465 
  6. DOI:10.1080/02724634.2014.866573
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 ディキノドンは、その名の通り、大きな2本の牙がある基盤的な単弓類です。

 今回、ポーランドにある三畳紀後期の地層で発見された、ディプロドンのものらしきコプロライト(糞化石)が報告されています。

 内容物から、大型の植物食動物の糞化石とされ、当時の地層からはディキノドンしか見つかっていないことから、ディキノドンのコプロライトと考えられたもの。

 植物の柔らかい部分をかなり小さく処理していたことがわかり、また、木の断片も見つかっているそうです。

 なお、ディキノドン類か、最古の共同トイレ/三畳紀(2013年11月)で紹介しましたが、アルゼンチンでは、大型植物食動物の共同トイレの最初の証拠が報告されています。

 化石は、100個以上見つかっており、今回も共同トイレかもしれません。


  1. References:
  2.  
  3. Piotr Bajdek, Krzysztof Owocki & Grzegorz Niedźwiedzki (2014) 
  4. Putative dicynodont coprolites from the Upper Triassic of Poland. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1016/j.palaeo.2014.06.013
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 昨日の4翼羽毛恐竜チャンギュラプトル、尾羽や後肢の羽毛に注目がいきがちですが、興味深いのは、前肢、特に筋肉ですね。

 つまり、力強い羽ばたきができたのかどうかで、飛行機能や様式、その進化が明らかになります。

 そのためには、筋肉組織の理解が必要ですが、化石として残らないこともあってか、前肢の筋学についてはほとんど知られていないそうです。 

 そもそも恐竜の筋肉の復元、現生種を参考にするのでしょうが、どこまで科学的なのか、誤差はどの程度なのかなど、疑問が残ります。

 今回、現生鳥類やクロコダイルなど、幅広い現生種の筋肉を、統計的なフレームワーク(robust statistical framework)という方法で分析し、Tawa hallae(タワ・ハラエ)の前肢の筋学を解析した論文報告されています。

 タワは、ニューメキシコ州にある三畳紀後期の地層で発見された基盤的獣脚類で、三畳紀の堀り出し物、ダエモノサウルス(2011年4月)で、系統関係を示していますが、コエロフィシスよりはエオラプトルに近い位置です。


 これまでの解析との比較では、基盤的獣脚類の肩の筋肉組織は、ドロマエオロウリダエよりは、基盤的な鳥盤類や竜脚形類により類似しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Sara H. Burch (2014) 
  4. Complete forelimb myology of the basal theropod dinosaur Tawa hallae based on a novel robust muscle reconstruction method. 
  5. Journal of Anatomy (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/joa.12216
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 南アフリカにある三畳紀後期の地層で発見され、竜脚類への過渡期にあった三畳紀の竜脚形類、Antetonitrus ingenipes(アンテトニトルス・インゲニペス)と、当時の生態系について考察した論文が報告されています。
 
 いつでもニ足歩行できる形態ながら、竜脚類のように、ゆっくりとした四足歩行へとシフトも進んでいたとされています。

 これらの過渡期にある竜脚形類について、Sauropodiformes という名称が提唱されています。

 アンテトニトルスと近縁の竜脚形類の前足は、物をつかむ典型的な構造を保持しているのですが、後脚の方の体重支える筋肉や構造は、変化しています。

 これは、ゆっくりと移動する竜脚類への進歩的なシフトとされています。

 にもかかわらず、大腿骨に、肥大した筋肉の付着部位があることから、任意に二足歩行できる中間的な形態を維持していたと考えられています。 
 
 また、ジュラ紀最初期において、竜脚形類は偏った分布をしており、今回の再解析から、多くのジュラ紀最初期の生態系では、大型でゆっくり歩くタクサがいなかった古環境があったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Blair W. McPhee, Adam M. Yates, Jonah N. Choiniere, andFernando Abdala (2014) 
  4. The complete anatomy and phylogenetic relationships of Antetonitrus ingenipes (Sauropodiformes, Dinosauria): implications for the origins of Sauropoda. 
  5. Zoological Journal of the Linnean Society (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/zoj.12127
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シチリア島から三畳紀の魚竜

 イタリア南部にあるシチリア島といえば、風光明媚な観光地ですが、その島からは初めてとなる魚竜化石が報告されています。

 アンモナイトから三畳紀後期(カーニアン後期)の地層とされ、最大の標本は、シャスタサウルス類(Shastasauridae、種不明) とされています。

 今回の発見から、Monte Scalpello の三畳紀の動物群の多様性は、以前から知られているよりも高く、とりわけ、三畳紀の西部テチス盆地としては、最も南からの魚竜とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Cristiano dal Sasso, Gianni Insacco, Alfio Alessandro Chiarenza, Davide di Franco & Agatino Reitano (2014) 
  4. First record of ichthyosaurs in Sicily (Upper Triassic of Monte Scalpello, Catania Province). 
  5. Rivista italiana di Paleontologia e Stratigrafia 120(1): 71-82
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 恐竜が誕生した頃の三畳紀後期の化石ですが、北米西部や南米では、よく知られていますが、ヨーロッパではまれです。

 そのヨーロッパで最も多様な恐竜形類化石群集産地の一つが、ポーランドにある三畳紀後期(ノーリアン中期-後期)のポレンバ(Poręba)地域です。

 今回、恐竜形類のシレサウルス類やヘレラサウルス類、そして獣脚類(たぶん新獣脚類)からなる群集化石について、報告されています。

  ヘレラサウルス類はヨーロッパでは初めてで、世界で最も新しい時代からの発見とされています。また、シレサウルス類は、ヨーロッパでは最も最も新しい時代の発見とされています。

 今回の発見から、シレサウルス類は、ノーリアン中期から後期にかけて、恐竜のそばで生き残り、シレサウルス類、ヘレラサウルス類そして新獣脚類からなる群集は、以前考えられていたより、地理的にも緯度的にも広範囲に広がっていたとされています。


 また、これらの群集は、恐竜の初期進化においてありふれていた可能性があり、その広範囲な分布から、三畳紀後期、緯度的な偏りは少なかったと考えられています。


  1. References:
  2.  
  3. Grzegorz Niedźwiedzki, Stephen L. Brusatte, Tomasz Sulej, and Richard J. Butler (2014) Basal dinosauriform and theropod dinosaurs from the mid-late Norian (Late Triassic) of Poland: implications for Triassic dinosaur evolution and distribution. Palaeontology (advance online publication) DOI: 10.1111/pala.12107
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 湖北省にある三畳紀前期の地層で発見されたユニークな海生爬虫類が報告されています。オープンアクセスです

 系統的には、Hupehsuchia の位置づけで、Parahupehsuchus longus と命名されています。

 肋骨とガストラリア(腹肋骨)が複雑に重なりあった、長さ約50センチ、深さ6.5センチの、骨質のチューブで完全に覆われた骨壁(body wall)を持っています。

 また、肋間なしで拡大された肋骨や、非常に短い横突起、神経刺からの背側伸長と、表面的には亀のようです。 しかし、これらの機能は、カメとは構造的に異なっているとされています。

 これらの構造は、三畳紀前期、敵から見を守る機能があったと考えられています。 海洋のプレデターにとって、ペルム紀末の絶滅からの回復は、以前考えられていたよりも速く進んだとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Xiao-hong Chen, Ryosuke Motani, Long Cheng, Da-yong Jiang & Olivier Rieppel (2014) 
  4. A Carapace-Like Bony 'Body Tube' in an Early Triassic Marine Reptile and the Onset of Marine Tetrapod Predation. 
  5. PLoS ONE 9(4): e94396. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0094396
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 プラテオサウルス(Plateosaurus engelhardti)は、40箇所を超える場所で見つかっているなど、三畳紀後期のヨーロッパでは、最もありふれた恐竜です。

 また、最もよく知られた基盤的な竜脚形類でもありますが、今まで、幼体の標本を見つかっていませんでした。

 今回、スイスで発見された初めての幼体標本が報告されています。予稿ですが、オープンアクセスです。

 見つかっているのは、遊離した頸部と背面の神経弓で、形態計測分析から推定した大腿骨の長さは、479-595mmと推定され、ほとんどの成体標本より大きいとされています。

 年齢とサイズが相関していない現象は、以前から組織学的データだけに基づいていたプラテオサウルスにおける発生可塑性(developmental plasticity)仮説を支持するとしています。

 発生可塑性とは、生物が、環境条件に応じて形態などを変化させる能力のことです。 また、代替仮説として、異なる種の存在や、性的二形も示唆されています。


  1. References:
  2.  
  3. Hofmann R, Sander PM. (2014) The first juvenile specimens of Plateosaurus engelhardti from Frick, Switzerland: Isolated neural arches and their implications for developmental plasticity in a basal sauropodomorph. PeerJ PrePrints 2:e325v1
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 アエトサウルス類(Aetosauria)といえば、三畳紀後期に、広く分布していた偽鰐類(pseudosuchia)です。

 4足歩行で植物食、なんといってもヨロイで覆われた体が特徴的ですね。今回、南米大陸では5番目となる新種が記載されています。

 ブラジルにある三畳紀後期の地層(Santa Maria Formation)で、比較的小型の幼体化石が発見されたもので、Polesinesuchus aurelioi と命名されています。

 Wikipedia によると、系統的には、Aetobarbakinoides brasiliensis の姉妹群とされています。




  1. References:
  2.  
  3. Lúcio Roberto-da-Silva, Julia B. Desojo, Sérgio F. Cabreira, Alex S. S. Aires, Rodrigo T. Müller, Cristian P. Pacheco & Sérgio Dias-da-Silva (2014) 
  4. A new aetosaur from the Upper Triassic of the Santa Maria Formation, southern Brazil. 
  5. Zootaxa 3764 (3): 240-278 (pdf) 
  6. http://dx.doi.org/10.11646/zootaxa.3764.3.1
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 ポーランドにある三畳紀後期の地層で、哺乳形類(Mammaliaformes)の歯の化石が発見されています。

 今回の発見で、哺乳形類(Mammaliaformes)の記録が、約2億1500万年前までさかのぼるとされています。

 歯の特徴から、ハラウテリウム(Hallautherium)属とされ、おそらく、モルガヌコドン類(Morganucodonta) ではないかととされています。

 なお、2億2500万年前の地層から、最初の哺乳類といわれるアデロバシレウス(Adelobasileus cromptoni)の化石が見つかっています。哺乳形類のほうが、新しい時代なんですね。



  1. References:
  2.  
  3. Marlena Świło, Grzegorz Niedźwiedzki, and Tomasz Sulej (2013) 
  4. Mammal-like tooth from the Upper Triassic of Poland. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00016.2013
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 三畳紀の主竜形類、ドスウェリダエ(Doswelliidae)で、ヨロイ(オステオダーム)を持った新種が記載されています。オープンアクセスです。

 1990年に、テキサスにある三畳紀後期の地層(Chinle Group)で発見されたもので、Ankylosuchus chinlegroupensis (アンキロスクス・チンレグロウペンシス)と命名されています。

 オステオダームは大きくて密につまり、その形態は、現在までに知られているヨロイのある主竜形類とは一致せず、 ドスウェリダエ(Doswelliidae)に最もよく似ているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Spencer G. Lucas, Justin A. Spielmann and Adrian P. Hunt (2013) 
  4. A new doswelliid archosauromorph from the Upper Triassic of West Texas. in Tanner, 
  5. L.H., Spielmann, J.A. and Lucas, S.G., eds., 2013, The Triassic System. 
  6. New Mexico Museum of Natural History and Science, Bulletin 61 : 382-388 (pdf):
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2016年5月

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