ジュラ紀前期の最新ニュース

シノサウルスの歯槽の再構築

 哺乳類では、歯がぬけた後、歯を支えていた歯槽骨という骨の再吸収と再構築(リモデリング)が起こります。しかし、爬虫類ではまれなんだそうです。

 今回、Sinosaurus triassicus(シノサウルス)における歯槽の再構築(リモデリング)について報告されています。恐竜における歯の病理に関する最初の例とされています。論文は、全文が読めます。

 また、なお、"Dilophosaurus sinensis" は無効姪といった話題もあります。


 中国陸豊盆地にあるジュラ紀前期の地層で発見された化石で、上顎で見出された再構築は、周辺の組織に炎症がないことからすると、外傷により歯が失われたことによるものと考えられています。 

 なお、"Dilophosaurus sinensis" は、Sinosaurus triassicus のジュニアシノニム(新参異名)となっています。

 また、新しい系統解析では、Sinosaurus triassicus は、以前報告されたような最も基盤的なディロフォサウルス類ではなく、派生的で、Averostra に最も近縁とされています。


 

  1. References:
  2.  
  3. LiDa Xing, Phil R. Bell, Bruce M. Rothschild, Hao Ran, JianPing Zhang, ZhiMing Dong, Wei Zhang & Philip J. Currie (2013) 
  4. Tooth loss and alveolar remodeling in Sinosaurus triassicus (Dinosauria: Theropoda) from the Lower Jurassic strata of the Lufeng Basin, China. 
  5. Chinese Science Bulletin (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s11434-013-5765-7



最古級の胚化石/雲南省

 中国雲南省にあるジュラ紀前期(約1億9000万年前)の地層から、竜脚類の卵や胚化石などが見つかったボーンベーッドが発見され、報告されています。47News などが紹介しています。

 孵化前の恐竜化石である胚化石としては世界最古級とされ、ルーフェンゴサウルスのものではないかとされています。 

 ボーンベッドから、異なる巣からと思われる関節していていない胚の骨格化石が見つかっており、孵化過程の様々な段階を示していることから、孵化の様子がわかる貴重な発見とされています。  

 たとえば、大腿骨の比較では、発生期間を通して成長が早いことがわかり、この短い孵化時間が、竜脚形類の特徴だったと考えられています。 

 また、大腿骨幹(femoral shaft)の非対称な早い成長と第四転子の早い伸展は、この恐竜が孵化する前に、胚の筋肉の活性化が重要な役割を示していたとされています。
 



  1. References:
  2.  
  3. Robert R. Reisz, Timothy D. Huang, Eric M. Roberts, ShinRung Peng, Corwin Sullivan, Koen Stein, Aaron R. H. LeBlanc, DarBin Shieh, RongSeng Chang, ChengCheng Chiang, Chuanwei Yang & Shiming Zhong (2013) 
  4. Embryology of Early Jurassic dinosaur from China with evidence of preserved organic remains. 
  5. Nature 496: 210-214 (11 April 2013) 
  6. doi:10.1038/nature11978



 魚竜の胎児が母体の外で発見されているのは、死体の内部破壊(carcass implosion)ではないかとする論文が報告されています。

 これまでは、死後に腐敗し、体壁がガスで膨張して爆発したのではないかと考えられていました。

 この論文では、死後、魚竜の体内に水が流れ込み、生じた乱流が原因ではないかと考えられています。
 

 ドイツのホルツマーデンにあるジュラ紀前期の地層からは、保存状態の良い魚竜化石が見つかります。 中でも、長年、古生物学者を悩ませてきたのは、胎児が母体の外で発見される化石です。

 その理由として、最初は底層流が、次に、母親の死後に腐敗し、体壁がガスで膨張して爆発したためと考えられてきました。  

 今回、膨張爆発説も正しくはないとされ、死体の内部破壊ではないかとされています。  

 それは、死後の魚竜の体内に突然に水が流れ込み、生じた乱流により胎児が体外に運ばれるのではないかとされています。  

 乱流は胎児の全てを運べるわけではなく、これは、胎児の骨化石の一部が、母体の体の外だけでなく、内側でも発見されていることを説明できるとしています。

 


  1. References:
  2.  
  3. A. J. van Loon (2013) 
  4. Ichthyosaur embryos outside the mother body: not due to carcass explosion but to carcass implosion. 
  5. Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments (advance online publication) 
  6. doi: 10.1007/s12549-012-0112-6



尾に病気痕/竜脚形類

 南アフリカで発見された基盤的竜脚形類の尾に、病気の痕が見つかったとする報告があります。

 ジュラ紀前期のエリオット層上部で、発見されたもので、 外傷により切断されたのではないかとされています。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Richard J. Butler, Adam M. Yates, Oliver W. M. Rauhut & Christian Foth (2013) 
  4. A pathological tail in a basal sauropodomorph dinosaur from South Africa: evidence of traumatic amputation? 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(1): 224-228 
  6. DOI:10.1080/02724634.2012.710691



 南アフリカにあるジュラ紀前期(約2億年前)の地層で発見された新種のヘテロドントサウルス類が、セレノにより記載されています。
 
 シカゴ大ナショジオが復元イラスト共に紹介しています。オウム形のクチバシと犬歯を持ち、全長は60センチ以下、体重もネコ以下と小型です。
 また、ブラシ状の毛がはえていますが、毛の化石が見つかっているわけではなく、中国産で発見されたTianyulong に基づいているようです。

 犬歯を持つことから、バンパイア(吸血鬼)と紹介しているニュースもありますが、Fruitadens haagarorum にも犬歯があります

 また、今までに発見されている9種のヘテロドントサウルス類についてもレビューされています。


 1960年代に発見された岩から、セレノが頭部の一部を発見したそうです。学名は、Pegomastax africanus (ペゴマスタックス・アフリカヌス)で、ギリシア語で、"strong jaw(強いアゴ)"を意味します。    

 ヘテロドントサウルス類は、小型の基盤的な鳥脚類です。 その特徴は、属名("異なる歯")が示すように、その歯にあります。3種類の"異なる歯"を持っています。  
 
 Tianyulong のように単純な三角形の歯を持つ北方系の種と、Pegomastax のような南方系の朱がいたとされています。 今回の新種も植物食ながら犬歯を持っていますが、肉食というより、身を守ったり、争ったりするために使っていたとされています。  

 歯牙摩耗などから、すべてのヘテロドントサウルス類は、主に又は全く植物食のみだったとしています。 




  1. 以下は今までに発見されている9種のヘテロドントサウルス類と記載年 
  2.  
  3. ■Heterodontosauridae  
  4.   Echinodon becklesii, 1861  
  5.   Fruitadens haagarorum, 2010  
  6.   Tianyulong confuciusi, 2009 
  7.  
  8. ■Heterodontosaurinae  
  9.    Abrictosaurus consors, 1974 
  10.    Lycorhinus angustidens,1924 
  11.    Herodontosaurus tucki, 1962 
  12.    Manidens condorensis, 2011 
  13.    Pegomastax africanus, 2012 
  14.    Pisanosaurus mertii , 1967
 


  1. References:
  2.  
  3. Paul Sereno (2012) 
  4. Taxonomy, morphology, masticatory function and phylogeny of heterodontosaurid dinosaurs. 
  5. ZooKeys 224: 1-225. 
  6. doi: 10.3897/zookeys.224.2840



 フランスにあるジュラ紀前期の地層で発見された新種の魚竜が報告されています。

 ジュラ紀初期のトッププレデターだった大型の Temnodontosaurus (テムノドントサウルス)属ですが、この種は歯がなく柔らかい獲物を食べていたようです。

 ほぼ完全な化石が見つかっており、T. azerguensis と命名されています。薄くて長くおそらく歯のない吻部と、小さくなった方骨を持つのが特長とされています。


 これらのことから、大型でジュラ紀初期の海ではトップに君臨するプレデターとされていた他のテムノドントサウルスとは、食性の好みは異なっていたようです。  

 プレデターの頂点でもあり、また柔らかい獲物も採る種がいたということから、テムノドントサウルス類は、魚竜の中でも最も生態学的に異なる属とさています。  

 また、同じ地層から見つかっているアンモナイト化石から、他のテムノドントサウルスよりは若い年代とされ、 トアルシアン期の海洋無酸素事件(Toarcian Oceanic Anoxic Event)以降に登場したと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. JEREMY E. MARTIN, VALENTIN FISCHER, PEGGY VINCENT & GUILLAUME SUAN (2012) 
  4. A longirostrine Temnodontosaurus (Ichthyosauria) with comments on Early Jurassic ichthyosaur niche partitioning and disparity. 
  5. Palaeontology 55 (5): 995-1005 
  6. DOI: 10.1111/j.1475-4983.2012.01159.x



 南アフリカでジュラ紀前期の地層で、 竜脚形類(sauropodomorph) のMassospondylus(マッソスポンディルス)の営巣地の跡が発見され、PNASに報告されています。

 卵や胚の化石のほか、小さな前脚の足跡も残されているそうです。 Discovery NewsAFPPB などに映像があります。 

 年代は、約1億9000万年前とされ、恐竜の営巣地(nesting site)としては、従来を1億年以上さかのぼり世界最古としています。
 単なる卵化石は、1億年も後ではない時代の地層から見つかっていますが、巣作りをした営巣地としては最古ということでしょう。

 最も完全な巣からは、卵化石がぎっしりつまったかたまりとして、少なくとも34個の卵化石が見つかっており、それぞれの容積は180mlほど、かたまり全体で6010ml になるととしています。



  1. References:
  2.  
  3. Robert R. Reisz, David C. Evans, Eric M. Roberts, Hans-Dieter Sues, and Adam M. Yates Oldest known dinosaurian nesting site and reproductive biology of the Early Jurassic sauropodomorph Massospondylus PNAS, published ahead of print January 24, 2012, doi:10.1073/pnas.1109385109



 アルゼンチンで発見された基盤的竜脚形類が記載されています。北西部にある三畳紀後期-ジュラ紀前期の地層からの発見です。

 学名は、Leyesaurus marayensis で、属名は化石を発見した家族(Leyes family)にちなんでいます。

 系統的には、基盤的竜脚形類、プラテオサウリア(Plateosauria)、 マッソスポンディリダエ(Massospondylidae)に位置づけられ、Adeopapposaurus の姉妹群とされています。

 マッソスポンディリダエは、かつて"古竜脚類"とされていましたが、"古竜脚類"は、2007年あたりから消滅しています。

 マッソスポンディリダエは6種となり、以前考えられていたよりも、かなり多様化していたとされています。

 

 図は発見されている化石と復元イラスト。頭部や頚椎などが発見されています。

 小型で推定体長は2.5メートルほど。4足歩行で復元されています。

 

 

Leyesaurus_marayensis.jpg 次は、短くて高さが低い頭部です。つぶされたのかもしれませんが、高さは長さの40%ほどです。

  眼窩は大きく全長の30%以上もあるのですが、これは背腹方向(dorsoventral)の変形の影響も指摘されています。

Leyesaurus_marayensis_skull.jpg

 

 

  References:

  1.  
  2. Apaldetti, C,, Martinez, R,N,, Alcober, O,A,, & Po,l D, 2011
  3. A New Basal Sauropodomorph (Dinosauria: Saurischia) from Quebrada del Barro Formation (Marayes-El Carrizal Basin), Northwestern Argentina.
  4. PLoS ONE 6(11): e26964.
  5. doi:10.1371/journal.pone.0026964



南極で原始的な鳥盤類

 南極で、原始的な鳥盤類の化石が発見されたそうです。植物食恐竜ですが、およそ1億9000万年前は、森林だったとされています。

 南極は、まだまだ未開の地ですが、その厳しい環境のうえ、調査は難しいようです。Discovery News が伝えています。

 南極での化石発掘といえば、オーガスタナ(Augustana)大のウィリアム・ハンマーらです。1990年に南極で初めての恐竜、クリオロフォサウルスを発見した場所と同じ、 カートパトリック山で発見したもの。

 南極大陸を東西に分割しているトランスアンタークティック山脈(Central Trans-Antarctic Mountains) にある山で、彼らは、高度2000メートルの地で2ヶ月間キャンプを張り、3800メートルもある発掘サイトへはヘリで移動する必要があるそうです。

 足の部分が見つかっており、原始的な鳥盤類の新種ではないかとされ、ファブロサウルス(fabrosaurus )かヘテロドントサウルス に近い種と考えられています。


参考

 The Transantarctic Vertebrate Paleontology Project




カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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