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 竜脚類は、なぜあのように巨大化したのか。大雑把な説明はできそうですが、一つ一つの小さな事実を解明していくことも重要です。

 例えば、竜脚類が、高いところのエサを食べようと、食べる範囲を上へ上へと伸ばしていったことは、竜脚類のボディプランの起源という点で重要な促進要因だったとされています。  

 しかし、この仮説では、ジュラ紀初期のほとんどで、その多くが初期の竜脚類と並ぶほどのサイズであった(竜脚類ではない)竜脚形類が、数的に優位を保っていたということが説明できません。  


 竜脚類の初期進化は、まだよくわかっていないままで、特に、ジュラ紀初めの2000万年ほどは、明確な竜脚類のタクソンが不足しているのです。

 今回、南アフリカにあるジュラ紀前期(トアルシアン)の地層(Elliot Formation 上部)で発見された新種の基盤的竜脚類が記載されています。著者の一人、Matthew F. Bonnan がブログ(The Evolving Paleontologist)で紹介しています。

  図は、見つかっている化石と復元図(Blair W. McPhee et al., 2015)。推定全長が8メートルほどと比較的小型です。

 先祖が前脚を使ってエサを集めたのに対し、前脚は体重を支える4足歩行型へ。その分、首がフレキシブルに。首は比較的短めで、低い位置の植物を食べていたようです。

 この基盤的竜脚類と、高い樹木をエサとする(竜脚類以外の)竜脚形類との間で、植物を食べ分けるニッチ分割されていたのではないかとされています。




Pulanesaura eocollum.jpg


 学名は、Pulanesaura eocollum (プラネサウラ・エオコルム)です。化石発掘時は、土砂降りだったらしく、属名の"Pulane" は、"雨を降らす人(rain-maker/bringer)"の意味。もし晴れていたら、別の属名だったのでしょうね。

 ニ足歩行ながら、四足歩行へとシフトしていった初期の過渡的な仲間である竜脚型類(sauropodiform)に属する竜脚類です。

 なお、新種の竜脚"型"類/南アフリカ(2015年6月)で、同じエリオットそうで発見された竜脚型類、 Sefapanosaurus zastronensis (セファパノサウルス・ザストロネンシス)を紹介しています。


 プラネサウラにある派生的な特徴の組み合わせは、基盤的な竜脚類であり、そして、エリオット層の竜脚形類とは大きく異なるとされています。  

 これらの特徴は、歯のエナメル質のシワや体軸、前足の変化で、主にエサを採る器官の変化にみられます。これは、竜脚形類と竜脚類の境界で生じた機能的な違いではないかとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Blair W. McPhee, Matthew F. Bonnan, Adam M. Yates, Johann Neveling & Jonah N. Choiniere (2015) A new basal sauropod from the pre-Toarcian Jurassic of South Africa: evidence of niche-partitioning at the sauropodomorph-sauropod boundary? Scientific Reports 5, Article number: 13224 (2015) doi:10.1038/srep13224
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 1811年にメアリー・アニングが初めて完全な魚竜化石を見つけてから、今年で200年あまり。魚竜については、いろいろと解明されてきましたが、脳については未知でした。

 今回、英国にあるジュラ紀前期( Toarcian、約1億8000万年前)の地層で発見された頭部化石から、その脳構造について報告されています。

 3次元的に保存されており、脳函や口蓋、後頭部が残され、魚竜としては初めての頭部のデジタルエンドキャスト(雄型復元モデル)が作成されています。

 今まで、その大きな眼から優れた視覚は考えられていましたが、面白いのは、脳の視覚をつかさる部分だけではなく、嗅覚部分も大きく発達していること。

 嗅覚は、光の届かない深くて暗い海で役立ったようですが、軟組織であり、魚竜の嗅覚器の構造などは不明です。なお、元々陸上動物であり、魚類と違って、嗅覚器は呼吸器の一部です。

 ちなみに、海生哺乳類では一般的に嗅覚は退化する傾向があり、ハクジラでは、神経などの嗅覚構造はほぼ消失しているそうです。


 系統的には、Thunnosauria (ツンノサウリア)の基盤的な位置づけで、Hauffiopteryx typicus に似てはいますが、異なるとされています。  

 運動機能に関与する小脳や視覚に関与する視葉は拡張しており、これは、神経解剖学的に、素早く動くことができ、大きな目で獲物をとらえることができる視覚的な捕食者だったとされています。  

 また、嗅覚領域も大きく、魚竜の嗅覚は、今まで考えられていたよりも重要だったと考えられています。  


  1. References:
  2.  
  3. Ryan D. Marek, Benjamin C. Moon, Matt Williams and Michael J. Benton (2015) 
  4. The skull and endocranium of a Lower Jurassic ichthyosaur based on digital reconstructions. 
  5. Palaeontology (advance online publication)   全文(pdf
  6. DOI: 10.1111/pala.12174
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 現在の海底では、沈降したクジラの死骸を中心に鯨骨生物群集という特殊な生態系が形成されているところがあります。

 一方、中生代の大型海生爬虫類などの死骸も、ネクトン(遊泳生物)からなるネクトンホールコミュニティ(nekton-fall communities)を形成します。

 今回、ドイツにあるジュラ紀前期の地層での魚竜の死骸落下によるコミュニティについて報告されています。

 当時の海の底生生態系を構成するのに実質的な役割を果たしており、以前考えられていたよりも重要であるとされています。

 生態学的に、現在の鯨骨生物群集に似てますが、化学合成群集の有無という点で、大きく異なるとされています。

 化学合成群集とは、メタンや硫化水素といった化学物質からエネルギーを生み出せる化学合成細菌が存在する生態系です。


 


  1. References:
  2.  
  3. Daniel G. Dick (2015) 
  4. An ichthyosaur carcass-fall community from the Posidonia Shale (Toarcian) of Germany. 
  5. PALAIOS 30(5): 353-361 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.2110/palo.2014.095pg(s) 353-361  
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 Rhomaleosaurus thorntoni (ロマレオサウルス・ソルントニ)といえば、英国にあるジュラ紀前期の地層(Whitby Mudstone Formation)で発見されたプレシオサウリアです。 

 クビナガリュウにも尾ヒレがあった(2013年12月)では、尾椎にヒレがあったとする論文を紹介しました。
 
 今回、同じくホロタイプについて、調べた論文が報告されています。関連して、Plesiosauriaで解説されています。

 従来から、プリオサウリダエ(Pliosauridae、プリオサウルス科)と考えられていました。しかし、その系統に含まれない可能性も指摘されています。

 以前からプレシオサウリアの系統で示されていた、3つの主なクレード、ロマレオサウリダエ(Rhomaleosauridae)とプリオサウリダエ、プレシオサウリダエ(Plesiosauroidea)の関係はクリアではなく、プレシオサウリアの初期進化解明には、さらなる調査が必要としています。




  1. References:
  2.  
  3. Smith, Adam S. & Benson, Roger B.J. 2014. 
  4. Osteology of Rhomaleosaurus thorntoni (Sauropterygia: Rhomaleosauridae) from the Lower Jurassic (Toarcian) of Northamptonshire, England. 
  5. Monograph of the Palaeontographical Society London 168(642): 1-40; Plates 1-35
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 クビナガリュウの尾椎の骨自体はまっすぐですが、その末端には、筋肉などからなる縦方向のヒレがあったのではないかと考えられています。  
 
 しかし、魚竜やモササウルスなどでは確認されているヒレの軟組織は、クビナガリュウでは発見されていません。  

 今回、大型クビナガリュウでプリオサウルスの一種、Rhomaleosaurus zetlandicus の尾椎について解析し、尾にヒレがあったのではないかとする論文が報告されています。  

 図は復元イラスト(Adam, 2013)。それほど大きなヒレとしては復元されていませんね。  

 今回はプリオサウルスですが、他の報告もあわせると、クビナガリュウ類では、尾のヒレが広く普及していたとされています。 
  

 
Rhomaleosaurus zetlandicus.jpg

 サメのような尾びれを持つモササウルス(2013年9月)で紹介したように、モササウルスや魚竜、海棲クロコダイル類のタラットスクス類(Thalattosuchia)では、ヒレ状の軟組織が見つかっています。  

 クビナガリュウは、ジュラ紀前期から白亜紀後期にかけて、1億3500万年もの間生息した海棲爬虫類です。 

 今回の Rhomaleosaurus zetlandicus は、英国にあるジュラ紀前期の地層で発見されたプリオサウルス類で、論文では、尾椎を含みほほ完全なホロタイプを調べています。  

 尾椎にヒレ(dermal caudal fin)があった証拠として、2つの形態学的な特徴を示しています。  

 ひとつは、前後方向に短くなった椎骨からなるはっきりした2つのノード(こぶ)で、もうひとつは、横方向に圧縮された末端尾椎中心部です。  

 これらがヒレを示唆するのは、実際に軟組織が見つかっている魚竜などの他の海棲爬虫類が、似たような骨構造を持つことからの推定です。


 


  1. References:
  2.  
  3. Adam S. Smith, 2013 
  4. Morphology of the caudal vertebrae in Rhomaleosaurus zetlandicus and a review of the evidence for a tail fin in Plesiosauria. 
  5. Paludicola 9(3): 144-158 pdf
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ジュラ紀前期の大型翼竜

 多種多様な種類がいた翼竜ですが、ジュラ紀前期となるとまれで、2100万年間で、3属しか知られていないそうです。

 今回、英国にあるジュラ紀前期(トアルシアン)の地層で発見された標本が報告されています。

 推定翼開長は、1.6mから3.2mとされ、当時としては大型の翼竜です。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. Michael O'Sullivan, David M. Martill & David Groocock (2013) 
  4. A pterosaur from the Jurassic Whitby Mudstone Formation, and the evolution of large body size in early pterosaurs. 
  5. Proceedings of the Geologists' Association (advance online publication) 
  6. http://dx.doi.org/10.1016/j.pgeola.2013.03.002,
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