ジュラ紀後期の最新ニュース

 幼体や亜成体化石で系統解析をすると、間違いが生じやすいというのは常識になってきています。成長段階の違いを、種の違いと混同しやすいからです。

 ここでは、ドイツにあるジュラ紀後期の地層で発見された基盤的マクロナリア、 Europasaurus holgeri (ヨーロッパサウルス・ホルゲリ)の報告について紹介しす。

 亜成体と幼体の頭部以降の体軸骨格から、系統関係や個体発生的な解析を示しています。 

 この恐竜も、成長段階によって、その特徴が異なることが確認されており、系統解析では成熟度の解析が重要とされています。

 
 ヨーロッパサウルスは、マクロナリアの中でも最も基盤的な竜脚類の一種で、成体と亜成体化石が見つかっているわい小化した仲間です。    

 系統的には、Camarasauromorpha の中の基盤的な位置づけです。 

 論文では、それぞれの特徴の有無や成体と亜成体の比較から、形態的に異なった個体発生の段階(morphological ontogenetic stages 、MOS)があるとしています。  

 後期の未成熟な標本では、全ての派生的な特徴が見られるそうですが、初期の段階では派生的な特徴を欠くそうです。  
 
 その結果、後期の未成熟な標本は成体標本と同じ系統的な位置づけとなるのですが、より未成熟な段階では、竜脚類の基盤的な位置づけになってしまうとしています。  

最終的に、他の成熟度の判定にも、形態的個体発生段階(MOS)を考慮するとしています。



  1. References:
  2.  
  3. José L. Carballido & P. Martin Sander (2013) 
  4. Postcranial axial skeleton of Europasaurus holgeri (Dinosauria, Sauropoda) from the Upper Jurassic of Germany: implications for sauropod ontogeny and phylogenetic relationships of basal Macronaria. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2013.764935



フランスの恐竜足跡化石

 フランスにあるジュラ紀後期の地層で発見された恐竜の足跡化石について報告されています。 

  ジュラ山脈で2006年に発見された、竜脚類と獣脚類の足跡で、4つのタイプが同定されています。

 水の深さの異なる干潟環境でつけられた足跡と考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. E. Cariou, N. Olivier, B. Pittet, J.-M. Mazin & P. Hantzpergue (2013) 
  4. Dinosaur track record on a shallow carbonate-dominated ramp (Loulle section, Late Jurassic, French Jura). 
  5. Facies (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s10347-013-0368-y



初の非鳥類型獣脚類/チェコ

 チェコでは初めてとなる非鳥類型獣脚類化石について、報告されています。全文が読めます。
 
 ジュラ紀後期(Oxfordian)の地層で発見された歯の化石で、大学の地質科学研究所に、爬虫類の"Teleosaurus"として保管されていたそうです。

 当時、ヨーロッパで豊富にいた基盤的なテタヌラエではないかとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Daniel Madzia (2013) 
  4. The first non-avian theropod from the Czech Republic. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0111



 新疆ウイグル自治区のジュンガル盆地にあるジュラ紀後期の地層で発見された大型獣脚類の中足骨化石について報告されています。 

 その形態から、アロサウルス類(Allosauroidea. )とされ、Sinraptor dongi (シンラプトル)に近い新種ではないかとされています。
 
 新種とすると、同じジュンガル盆地でも、2つの地域で異なる種がいたことになります。 

 このことから、ジュラ紀中期から後期にかけて、ジュンガル盆地は、地理的に分断されていたか、生態学的に異なっていたのではないかとされています。
 
 

  1. References:
  2.  
  3. HE Yi-Ming, James M. CLARK & XU Xing (2013) 
  4. A large theropod metatarsal from the upper part of Jurassic Shishugou Formation in Junggar Basin, Xinjiang, China.
  5. Vertebrata PalAsiatica 51: 29-42 (pdf)



 ワイオミングにあるジュラ紀後期(キンメリッジアン)のモリソン層で発見された、新種のディプロドクス類が記載されています。

 竜脚類としては珍しく、頭部と頚椎が発見されており、Kaatedocus siberi (カアアテドクス・シベリ)と命名されています。タイプ標本は亜成体ではないかとされています。 

 スイスの博物館(Sauriermuseum)で保管されているようで、ThurgauerZeitungに、映像があります。世界で最も保存状態のいい首だそうです。

 
 系統的にディプロドクス類は、フラゲリカウダタ(Flagellicaudata)、ディプロドシダエ(Diplodocidae)、ディプロドシナエ(Diplodocinae)というクレードが提唱されています。

 今回のカアアテドクスは、ディプロドシナエの基盤的な位置づけです。かつての"亜科"ですね。  また、ディンヘイロサウルス(Dinheirosaurus)とスーパーサウルスは、アパトサウルスとディプロドシナエの姉妹群とされ、最も基盤的なディプロドシダエとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Emanuel Tschopp & Octávio Mateus (2012) 
  4. The skull and neck of a new flagellicaudatan sauropod from the Morrison Formation and its implication for the evolution and ontogeny of diplodocid dinosaurs. 
  5. Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/14772019.2012.746589



小型ではなかったスーワセア

 モリソン層で発見されたジュラ紀後期のディプロドクス類、 Suuwassea emilieae (スーワセア・エミリエアエ)の骨の微細構造について報告されています。

 スーワセアとしては、初めての骨の微細構造の解析だそうです。最近、骨の組織学的研究が増えてきましたね。

 唯一の標本は、アパトサウルスなどの3分の2ほどと、小型です。 ホロタイプは、最近、亜成体とわかったそうですが、骨の組織学的には性的成熟度は、成体の75-80%程度とされています。  

 小さいのは個体発生的なもので、十分に成熟した成体は、アパトサウルスなどと同程度の大きさだったと考えられています。 また、いくつかの祖先形質は、未成熟とは無関係とされています。

 
 

  1. References:
  2.  
  3. Brandon P. Hedrick, Allison R. Tumarkin-Deratzian, and Peter Dodson 
  4. Bone microstructure and relative age of the holotype specimen of the diplodocoid sauropod dinosaur Suuwassea emilieae
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0049



 ノルウェーのスピッツベルゲン島で発見されたプレシオサウルス類について、報告されています。 比較的化石報告例の少ないジュラ紀後期の地層からの発見です。dagbladetが紹介しています。

 部分的に関節した幼体化石で、同島から発見された最も完全なプレシオサウルス類のひとつだそうです。Djupedalia engeri と命名されています。  

 
 プレシオサウルス類は、ヨーロッパのジュラ紀前期の地層と、北米大陸の白亜紀のち層から発見され、ジュラ紀後期の化石は限られるそうです。 

 最近のスバールバル島からの発見から、ジュラ紀後期、高緯度地域には、複数のプレシオサウルス類がいたと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Espen M. Knutsen, Patrick S. Druckenmiller and Jørn H. Hurum (2012). 
  4. A new plesiosauroid (Reptilia: Sauropterygia) from the Agardhfjellet Formation (Middle Volgian) of central Spitsbergen, Norway 
  5. Norwegian Journal of Geology 92 (2-3): 213-234



ディサロトサウルスの脳函

 ジュラ紀後期の基盤的イグアノドンティア、ディサロトサウルス(Dysalotosaurus lettowvorbecki)の脳函について解析し、その内耳などの構造について考察した論文が報告されています。 

 ディサロトサウルスについては、1月に、Dysalotosaurus の骨学で、骨組織研究に関する論文を紹介しています。今回は、高解像度X線マイクロCTで調べたもの。 

 うずまき管が収まる部分である蝸牛(かぎゅう、cochlea)が相対的に短いため、高周波と低周波を識別する能力に劣っていたと考えられています。

 これは、竜脚類や基盤的角竜類、そして他の基盤的主竜類でも同様だそうです。

 中耳と内耳は、原始的で派生的特徴というモザイクタイプで、その構造の進化はより複雑だったと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Gabriela Sobral, Christy A. Hipsley & Johannes Müller (2012) 
  4. Braincase redescription of Dysalotosaurus lettowvorbecki (Dinosauria, Ornithopoda) based on computed tomography. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 32 (5): 1090-1102 
  6. DOI:10.1080/02724634.2012.693554



 
 タンザニアにあるジュラ紀後期のテンダグル層で発見された竜脚類、ディクラエオサウルス類の2つの種を識別する論文が報告されています。 原稿ですが、全文が読めます。

 今までに、Dicraeosaurus hansemanni D. sattleri の2種が報告され、それらを、上腕骨と大たい骨の形態から識別するというもの。
 
 両者のサイズと形状には大きな違いがあり、一般的に、D. hansemanni の上腕骨と大たい骨は、 D. sattleri より少し長く、よりがっしりしているそうでです。  

 また、その形態の違いから、Amargasaurus cazaui (アマルガサウルス)とは明らかに異なる属としています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Daniela Schwarz-Wings and Nico Böhm (2012) 
  4. A morphometric approach to the specific separation of the humeri and femora of Dicraeosaurus from the Late Jurassic of Tendaguru/Tanzania. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: 10.4202/app.2011.0095



 ドイツ、ゾルンフォーフェンで発見された新種の翼竜が記載されています。

 ジュラ紀後期の地層ですが、従来から知られたゾルンフォーフェン層ではなく、より古い新しい場所で、2002年夏に発見されたもの。若い幼体ながら、非常に保存状態が良い標本です。 

 ランフォリンクス類(Rhamphorhynchidae)とされ、Bellubrunnus rothgaengeri と命名されています。 ランフォリンクスに似てますが、歯の数や上腕、大たい骨、四肢の配置が異なるとされています。 

 派生的な、プテロダクティルス以外の翼竜とは異なり、尾の血道弓や関節突起は伸びていないのが特徴です。

 また、他の全ての翼竜と違い、翼端(第4指骨)がゆるく前方にカーブしており、ユニークな飛行をしたと考えられています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Hone DWE, Tischlinger H, Frey E, Röper M (2012) 
  4. A New Non-Pterodactyloid Pterosaur from the Late Jurassic of Southern Germany. 
  5. PLoS ONE 7(7): e39312. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0039312



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2013年5月

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