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 近年はアジアからの発見で、ケラトプシア(角竜)の起源や初期進化も少しずつ判明してきています。プシッタコサウルスの分岐時期や系統的な位置関係も、気になるところです。

 プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシア/モザイケラトプス(2015年9月)では、プシッタコサウリダエは、ネオケラトプシアの位置づけで、比較的派生的なクレードと紹介しました。

 しかし、分岐時期とされるジュラ紀後期と、化石が見つかっている白亜紀前期の間には、空白期間があり、特にジュラ紀の地層からの、さらなる発見が必要とされていました。

 今回、中国・ジュンガル盆地にあるジュラ紀後期早期(オックスフォーディアン、約1億6000万年前)の地層(Shishugou Formation)で発見された基盤的ケラトプシアが記載されています。

 その中で、プシッタコサウルスの系統は、ネオケラトプシアではなく、基盤的なケラトプシアの系統で、約1億6000万年前の、ジュラ紀後期になる前には分岐したとされています。


 学名は、Hualianceratops wucaiwanensis (フアリアンケラトプス・ウカイワネンシス)で、頭部骨のほとんどに、織目構造の装飾(textured ornamentation)があることから、属名の意味は、"装飾的な顔"です。

 PLOS Paleoで、Andrew Farke は、いぼいぼ顔(warty face)と紹介しています。もちろん、骨の表面の模様であって、実際の顔ではありませんね。

 全長は1メートルほど、基盤的なケラトプシアだけに、2足歩行だったようです。

 図は、今回示されている分岐図(Fenglu Han et al.,2015)。系統的には、基盤的ケラトプシアの位置づけで、チャオヤンゴサウリダエ(Chaoyangsauridae、科)の系統です。

 チャオヤンゴサウリダエの中で、フアリアンケラトプスは、基盤的なケラトプシアであるインロング(Yinlong downsi ) 、チャオヤングサウルス(Chaoyangsaurus youngi)、シュアンフアケラトプス(Xuanhuaceratops niei )の3種と多系統をなしています。

 また、このチャオヤンゴサウリダエは、プシッタコサウルス属とは姉妹群をなすという新しい仮説を提唱しています 。


Hualianceratops wucaiwanensis.jpg


 今回の結果は、ネオケラトプシアが基盤的な位置で、幾つかの系統に分岐したとされ、下図に示すように、その分岐は、約1億6000万年前の、ジュラ紀後期になる前に始まったとされています。

 プシッタコサウルスやネオケラトプシアの出現が白亜紀前期なことから、ジュラ紀後期前に分岐してから、約1億2500万年前の白亜紀前期まで、化石が見つかっていない長い空白期間が存在します。

 下図で、灰色の線がその系統で、ゴースト系統(ghost lineage)とされています。

 ただ、分岐図に地質年代を当てはめたりすると、多くの場合、こういう空白期間は出てきそうですが。



Ghost lineages.jpg


 フアリアンケラトプスの記載は、主に頭部化石標本 (IVPP V18641) に基づいたもので、Shishugou Formation 上部からは、インロングに続いて、2種目の基盤的ケラトプシアです。  

 プシッタコサウルスと共通した派生的な特徴と、基盤的なケラトプシアであるインロング、チャオヤングサウルス、シュアンフアケラトプスと共通の特徴を持つとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Fenglu Han, Catherine A. Forster, James M. Clark & Xing Xu (2015) 
  4. A New Taxon of Basal Ceratopsian from China and the Early Evolution of Ceratopsia. 
  5. PLoS ONE 10(12): e0143369 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0143369
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 アルヴァレスサウロイデア(Alvarezsauroidea、アルヴァレスサウルス上科)といえば、派生的なタイプになると、モノニクスのように、鳥に似た小型獣脚類です。

 今回、基盤的アルヴァレスサウロイデアである Haplocheirus sollers(ハプロケイルス・ソレルス)の頭部構造について報告されています。AMNHからは全文が読めます。

 ジュラ紀のアルバレッツサウルス類(2010年1月)で紹介しているように、中国新疆ウイグル自治区にあるジュラ紀後期早期(Oxfordian) の地層(Shishugou Formation)で発見されたもの。

 この時期の基盤的なアルヴァレスサウロイデアは、ほとんどが頭部を欠いてるため、頭部の進化の解明には貴重な標本とされています。   

 
 脳函の向きなど、派生的なアルヴァレスサウロイデアに見られる進化の最初の段階は、既にジュラ紀後期までに開始していたとされています。

 なお、アルヴァレスサウロイデアの系統的な位置づけについては議論がありましたが、マニラプトラの基盤的な位置です。  



  1. References:
  2.  
  3. Jonah N. Choiniere, James M. Clark, Mark A. Norell, and Xing Xu (2014) 
  4. Cranial Osteology of Haplocheirus sollers Choiniere et al., 2010 (Theropoda: Alvarezsauroidea) 
  5. American Museum Novitates Number 3816 :1-44. 2014 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1206/3816.1
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 保存状態の良い化石を産出するラーゲルシュテッテ(Lagerstätte)としては、中国では熱河生物相が有名です。

 今回、中国内モンゴル自治区にある道虎溝 (Daohugou)生物相についての論文が報告されています。オープンアクセスで、ホロタイプなどの映像が多数あります。

 道虎溝はジュラ紀中期-後期(Bathonian- Oxfordian)の生物相で、Guardianでは、1億6000万年前としています。 

 始祖鳥より古い時代の羽毛恐竜/道虎溝 生物相(2012年2月)で紹介していますが、羽毛恐竜(Epidexipteryx hui)が見つかっています。

 映像は、そのホロタイプ(IVPP V15471)です(Corwin Sullivan et al., 2014)。Bは紫外線を照射しています。

 また、滑空する哺乳類、Volaticotherium antiquum(ボラティコテリウム)や、泳ぎに適したビーバーのような尾を持つ Castorocauda lutrasimilis(カストロカウダ)なども発見されています。

 羽毛恐竜や哺乳類などの初期進化を解明するには貴重な場所ですね。





Epidexipteryx hui.jpg

 
 道虎溝生物相は保存状態がよく、羽毛や軟組織などが、きめ細かい湖沼の地層に残されています。  

 現在のところ、5種の恐竜、13種の翼竜など、30のタクサの脊椎動物が見つかっており、熱河生物相とは著しく異なるとされていますが、羽毛恐竜などは共通して見つかっています。  

 いずにしても、2つの生物相は、時代が連続する例外的に保存状態のよい場所(ラーゲルシュテッテ)であり、アジア北東部の中生代の世界の解明に役立ちそうです。



  1. References:
  2.  
  3. Corwin Sullivan, Yuan Wang, David W. E. Hone, Yuanqing Wang, Xing Xu & Fucheng Zhang (2014) 
  4. The vertebrates of the Jurassic Daohugou Biota of Northeastern China. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 34(2): 243-280 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.787316
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フランスの恐竜足跡化石

 フランスにあるジュラ紀後期の地層で発見された恐竜の足跡化石について報告されています。 

  ジュラ山脈で2006年に発見された、竜脚類と獣脚類の足跡で、4つのタイプが同定されています。

 水の深さの異なる干潟環境でつけられた足跡と考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. E. Cariou, N. Olivier, B. Pittet, J.-M. Mazin & P. Hantzpergue (2013) 
  4. Dinosaur track record on a shallow carbonate-dominated ramp (Loulle section, Late Jurassic, French Jura). 
  5. Facies (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s10347-013-0368-y
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 モロッコにあるジュラ紀後期の地層で発見された4本指の獣脚類の足跡化石について報告されています。 

 43のサイトに1500以上の足跡化石が残され、最近の調査でその時代は、Oxfordian-Kimmeridgian とされています。

 足跡につけられる学名、Boutakioutichnium atlasicus が提唱されています。2足歩行で足跡の幅は狭いとされています。

 以前つけられた名称 "Eutynichnium atlasipodus"は、正式な記載が無く無効名としています。

 

Boutakioutichnium_atlasicus.jpg 

 図は、Boutakioutichnium atlasicus のホロタイプ。 ハラックス(hallux、右下にある第1指)が特徴です。

 長さは45cmで、幅は30cm。ハラックスは第2指ほどの長さで、パッドが2つあります。

 通常、ハラックスが残された足跡化石には、中足骨の跡を伴います。ハラックスは比較的高い位置にあり、軟らかい地盤を深く踏んだ場合についた跡が多いからです。

 しかし、今回の足跡には中足骨の跡はありません。 足跡をつけた恐竜、第1指の位置が低かったのでしょうか。

 

 

  1. References:
  2.  
  3. Nouri, J., Díaz-Martínez, I.& Pérez-Lorente, F. (2011)
  4. Tetradactyl Footprints of an Unknown Affinity Theropod Dinosaur from the Upper Jurassic of Morocco.
  5. PLoS ONE 6(12): e26882.
  6. doi:10.1371/journal.pone.0026882
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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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