白亜紀前期の最新ニュース

 ユタ州で発見された新種のドロマエオサウルス類が記載され、尾の進化について議論されています。  

 白亜紀前期の Cedar Mountain Formation からは、3つのドロマエオサウルス類の標本が見つかり、1つは、Yurgovuchia doellingi と命名されています。

 腰に近い尾椎にある下方にカーブした前脊椎関節突起(prezygapophyses)が伸長しているのですが、普通のドロマエオサウルス類ほどではないそうです。

 その点で、Utahraptor ostrommaysorum に似ており、系統的には、Utahraptor Achillobator からなるクレードとしています。

 前脊椎関節突起が中間的な長さであるからといって、このクレードが伸長する前の進化の先駆者というわけではなく、2次的に短くなったのだとされています。

 つまり、ドロマエオサウルス類の一部に、大きくなるにつれて尾がフレキシブルになっていった傾向があったと考えられています。

 イラストは、Yurgovuchia doellingi と比較用のイエネコ。白い部分が発見されている化石です。

Yurgovuchia doellingi-2.jpg

 


  1. References:
  2.  
  3. Senter, P., Kirkland, J.I., DeBlieux, D.D., Madsen, S. & Toth, N. (2012) 
  4. New Dromaeosaurids (Dinosauria: Theropoda) from the Lower Cretaceous of Utah, and the Evolution of the Dromaeosaurid Tail. 
  5. PLoS ONE 7(5): e36790. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0036790



 レバッキサウルスとしては初めてとなる成体と幼体が一緒になった化石について報告されています。群れで暮らした証拠と考えられています。

 アルゼンチンのネウケン州にある白亜紀前期の地層から発見されたもので、2つの幼体を含む3つの標本が1つのグループを作っているそうです。
 同じ盆地で発見された Zapalasaurus bonapartei に近縁とされています。

 新竜脚類は、ディプロドクス類とマクロナリア類に大別されますが、レバッキサウルスはディプロドクス類の系統です。  

 古環境から、レバッキサウルスは、マクロナリア類の竜脚類より、極端に不毛な環境に耐えられたとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Salgado, L., J.I. Canudo, A.C. Garrido & J.C. Carballido, 2012. 
  4. Evidence of gregariousness in rebbachisaurids (Dinosauria, Sauropoda, Diplodocoidea) from the Early Cretaceous of Neuquén (Rayoso Formation), Patagonia, Argentina. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 32 (3):603-613.
  6. DOI:10.1080/02724634.2012.661004



イシャノサウルス再解析

 遼寧省にある白亜紀前期の地層で発見された小型羽毛恐竜、Yixianosaurus longimanus(イシャノサウルス・ロンギマヌス)について、再解析した論文が報告されています。
 
 種小名が示すように、長い手を持っているのが特徴です。 初めての系統的では、基盤的マニラプトル類とされ、アルヴァレスサウルス類などともに多分岐しています。 

 また、大きな正羽(contour feather、羽軸のある羽毛)の存在は、羽毛の起源が以前考えられていたよりも早いとされています。 さらに、がっしりして大きな前肢は、他の小型獣脚類とは別の機能を持ち、それらとはニッチを棲み分けていたようです。
 


  1. References:
  2.  
  3. T. Alexander Dececchi, Hans C. E. Larsson & David W. E. Hone (2012) 
  4. Yixianosaurus longimanus (Theropoda: Dinosauria) and its bearing on the evolution of Maniraptora and ecology of the Jehol fauna. 
  5. Vertebrata PalAsiatica 50(2):111-139



 ラオスにある白亜紀前期晩期の地層で発見されたスピノサウルス類(Spinosauridae)が新種記載されています。背中の帆が、前後2つにわかれているのが特徴です。
 
 歯の化石など、アジアからはスピノサウルス類の報告はありますが、初めての新種記載です。

 Savannakhet 盆地にあるから、頭部以降の腰やろっ骨など、部分的に関節した保存状態のよい化石が見つかっており、Ichthyovenator laosensis と命名されています。

 ZBrush にコンピュータ復元モデルがありますが、他のスピのサウルス類と異なり、帆は腰のあたりでいったんなくなるため、前後2つに分かれています。
 これは、メスで、オスが交尾しやすいためとする意見もあります。

 系統的には、バリオニクス類(Baryonychinae)のグループ(サブクレード)とされ、この系統は、白亜紀初期の終わりには、広く分布していたとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Ronan Allain, Tiengkham Xaisanavong, Philippe Richir and Bounsou Khentavong  
  4. The first definitive Asian spinosaurid (Dinosauria: Theropoda) from the early cretaceous of Laos
  5. Naturwissenschaften, Online First, 18 April 2012 
  6. DOI: 10.1007/s00114-012-0911-7



 遼寧省にある白亜紀前期(約1億2000万年前)の地層(Jiufotang Formation)で発見された翼竜化石について報告されています。

 タペジャラ類などはアジア起源ではないかとされています。WIRED NEWS が紹介しています

 細くて長い歯が口から飛び出し、コプロライトや頭部の形状から、魚を食べていたとされています。学名はGuidraco venator で、"ghost dragon hunter"の意味です。

  ブラジル産のLudodactylus sibbicki に似ており、タペジャラ類(Tapejaridae)やアンハングエラ類(Anhangueridae)の白亜紀初期の翼竜はアジア起源ではないかとされています。



  1. References:

  2. Xiaolin Wang, Alexander W. A. Kellner, Shunxing Jiang and Xin Cheng, 2012
  3. New toothed flying reptile from Asia: close similarities between early Cretaceous pterosaur faunas from China and Brazil 
  4. NATURWISSENSCHAFTEN, 99(4), 249-257
  5. DOI: 10.1007/s00114-012-0889-1



 ドイツにある白亜紀初期の地層(Bückeberg Formation)で発見された恐竜などの足跡化石について報告されています。 フリー(pdf)で、全文が読めます。 

 13のトラックサイトがあって、そのうち、5つが調査可能とされています。 鳥脚類や獣脚類、竜脚類やアンキロサウルス類などの足跡のほか、カメやクロコダイルの足跡も残されているそうです。

 アンキロサウルス類の足跡化石は、Metatetrapous valdensis とされるなど、いずれもすでに報告されている足跡化石で、新種は無いようです。 


  1. References:
  2.  
  3. Jahn J. Hornung, Annina Böhme, Torsten van der Lubbe, Mike Reich and Annette Richter (2012) 
  4. Vertebrate tracksites in the Obernkirchen Sandstone (late Berriasian, Early Cretaceous) of northwest Germany-- their stratigraphical, palaeogeographical, palaeoecological, and historical context. 
  5. Paläontologische Zeitschrift (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s12542-012-0131-7



 タイでは初めてとなるマメンチサウルス類(Mamenchisaurus sp.)の化石が発見され、生物地理学的に考察されています。  
 
 北東部カーラシン県にあるジュラ紀後期-白亜紀前期の地層(Phu Kradung Formation )から、後部頸椎が見つかったもの。同じ地層からは、スパチュラ様の歯も見つかっています。  

 タイにある白亜紀の最も早い時代に発見されたことから、ジュラ紀後期には、アジア中央部と東部、南東部が地理的に隔離していた仮説を支持するとしています。  

また、恐竜の集合体(dinosaur assemblages)が主に変化したのは、ジュラ紀-白亜紀境界ではなくて、白亜紀前期だったとしています。 




  1. References:
  2.  
  3. Suravech Suteethorn, et al., 2012 
  4. First evidence of a mamenchisaurid dinosaur from the Late Jurassic/Early Cretaceous Phu Kradung Formation of Thailand. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:10.4202/app.2009.0155



 和歌山県有田市にある白亜紀前期(1億3000万年前)の湯浅層で発見されたワニの歯の化石、和歌山県立自然博物館朝日が写真とともに紹介しています。  

 昨年5月、小学生が遠足で見つけたもの。歯冠部分で、大きさは7ミリほど。今日から、同博物館で展示されます。

 化石を発見した桑山君、恐竜化石発見が夢だそうですが、福井県勝山市の恐竜化石を多産する露頭も、ワニ化石発見がきっかけ。付近で見つかるかも知れませんね。



韓国最古の鳥類の足跡化石

 韓国永同郡で、韓国で最古とされる鳥類の足跡化石が発見されたそうです。約1億4000万年前-1億3000万年前と、従来より、1000-2000万年ほど古いとされています。

 Ariang が伝えています。獣脚類の足跡と、尾を引きずったとされる3.6メートルの跡も残されているとか。

 写真がないので詳細は不明ですが、以前から足跡化石がよく見つかっている海岸ではなくて、絶壁からの発見のようです。




 メリーランドにある白亜紀前期の地層で発見された新種のアンキロサウルス類が記載されています。 

 ホロタイプは、孵化したての幼体の、しかも印象化石(natural casts and molds)で、骨化石が見つかっているわけではありません。

 多くの恐竜化石を産出する米国ですが、東部沿岸からは初めての孵化したばかりの化石とされています。

 系統的には、ノドサウルス類とされ、Propanoplosaurus marylandicus と命名されています。 

 

 要旨だけから詳細は不明ですが、北米大陸にある白亜紀後期の地層から、Panoplosaurus mirus という最も派生的なノドサウルスが1919年に記載されています。

 この学名の意味は、 "completely armoured lizard(完全にヨロイに覆われたトカゲ)"です。

 今回のPropanoplosaurus は、学名や地層年代からして、この系統の祖先型でしょうか。

 

References:

  1.  
  2. Ray Stanford, David B. Weishampel and Valerie B. Deleon, 2011
  3. The First Hatchling Dinosaur Reported from the Eastern United States: Propanoplosaurus marylandicus (Dinosauria: Ankylosauria) from the Early Cretaceous of Maryland, U.S.A.
  4. Journal of Paleontology 85(5):916-924. 2011
  5. doi: 10.1666/10-113.1



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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