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安定同位体から古環境の推定

 歯の化石に含まれる安定同位体の分析により、当時の気温などの古環境がわかります。

 今回、スペインにある白亜紀後期の地層で発見されたクロコダイル、獣脚類、竜脚類の歯の化石について解析し、白亜紀後期のイベリア半島の古気候や古環境について考察した論文が報告されています。

 エナメル質や象牙質におけるリン酸塩中の酸素安定同位体比(δ18OPO4)の違いなどを調べたもの。

 例えば、クロコダイル類と恐竜の酸素安定同位体比(δ18OH2O値)から計算された平均気温は、化石が見つかった2つの地層水準で増加傾向を示しているとしています。


 また、竜脚類の平均炭素安定同位体比(δ13C値)は、−11.1 ± 0.2‰とされています。 光合成による同位体分別で13Cの割合が減るのですが、この値は、C3型植物の予測範囲内としています。



  1. References:
  2.  
  3. Laura Domingo, Fernando Barroso-Barcenilla and Oscar Cambra-Moo (2013) 
  4. Paleoenvironmental reconstruction of the "Lo Hueco" fossil site (Upper Cretaceous, Cuenca, Spain): preliminary stable isotope analyses on crocodilians and dinosaurs. 
  5. Palaios 28(3): 195-202 
  6. doi: 10.2110/palo.2012.p12-097r



 昨日の論文で紹介したパキケファロサウリア(パキケファロサウルス類)の多様性に続いて、小型の鳥脚類についても、同程度以上に多様だったとする論文が報告されています。

 カナダにある白亜紀後期(カンパニアン)の地層で発見された新種の鳥脚類の記載論文での話です。

 小型の化石は見つかりにくく、小型鳥脚類はかなり多様で、生態系で重要な位置を占めていたとされています。

 なお、新種の鳥脚類の学名は、Albertadromeus syntarsus で、属名の意味は、"アルバータのランナー"です。脚の骨の一部が融合し、走行に適していたようです。

 系統的には、非イグアノドン系で、Thescelosauridae の Orodrominae の位置づけです。

 
 


  1. References:
  2.  
  3. Caleb Marshall Brown, David C. Evans, Michael J. Ryan & Anthony P. Russell (2013) 
  4. New data on the diversity and abundance of small-bodied ornithopods (Dinosauria, Ornithischia) from the Belly River Group (Campanian) of Alberta. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology 33(3): 495-520 
  6. DOI:10.1080/02724634.2013.746229



 北米大陸の白亜紀後期(カンパニアン後期から白亜紀末)には、さまざまな角竜がいました。しかし、より早期タイプの角竜はあまり知られていないそうです。

 今回、最古のカスモサウリネ(chasmosaurine)とされる新種が報告されています。

 眼の後にあるツノは適度に細長く、前外側に傾斜し、涙滴状の断面を持つ、ということですが、図がないと、特徴がわかりにくいですね。

 ジュディス川層(カンパニアン後期)で発見されたので、Judiceratops tigris という学名です。  このカスモサウルス類は、以前の角竜には見られない特徴の組み合わせを持つとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich (2013) 
  4. Judiceratops tigris, a New Horned Dinosaur from the Middle Campanian Judith River Formation of Montana. 
  5. Bulletin of the Peabody Museum of Natural History 54(1):51-65. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.3374/014.054.0103



 鹿児島県の下甑島(こしきじま)にある白亜紀後期の姫浦層群で発見された獣脚類の歯化石について、論文として報告されています。 

 たとえ種不明の歯1本でも、きちんと論文として報告されるというのは、大切なことですね。

 2009年6月のの古生物学会で報告された標本でしょうか。ここでは、2010年にも獣脚類の歯が見つかっています。

 時代は、中期カンバニアンとされ、特定の獣脚類のクレードにみられる特徴がないため分類不能で、単に獣脚類とされています。

 今年2月には、下甑島から、ケラトプス類の歯根化石が見つかったと報道されており、まだまだ出てくるかもしれませんね。



  1. References:
  2.  
  3. Takanobu Tsuihiji, Toshifumi Komatsu, Makoto Manabe, Yuka Miyake, Miki Aramaki, and Hiromi Sekiguchi (2013) 
  4. Theropod Tooth from the Upper Cretaceous Himenoura Group in the Koshikijima Islands, Southwestern Japan. 
  5. Paleontological Research 17(1):39-16. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.2517/1342-8144-17.1.39



 ユタ州中東部にあるカンパニアン後期の地層で発見されたティラノサウルス類化石が報告されています。

 カンパニアン後期、アルバータやモンタナ、ユタ州南部などでは、恐竜化石はよく知られていますが、ワイオミングやユタ州中東部では極めて稀だそうです。

 これは、この時期、ユタ州の北部と南部の間には、生物地理学的な境界があったためとされています。

 今回見つかったのは、部分的な足の化石で、共有派生形質から、Tyrannosauridae としています。Mesaverde 層群からは初めてのティラノサウルス類とされています。

 また、ティラノサウルス類において、北部型(モンタナやアルバータ)と南部型(ユタ州南部とニューメキシコ)を識別する形態的証拠を見出したとしています。

 今回の標本は、北部型とされ、生物地理学的境界が南寄りだったか、北方から移ってきたタイプではないかと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Tracy J. Thomson, Randall B. Irmis & Mark A. Loewen (2013) 
  4. First occurrence of a tyrannosaurid dinosaur from the Mesaverde Group (Neslen Formation) of Utah: Implications for upper Campanian Laramidian biogeography. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.02.006,



翼竜の前肢の足跡/カナダ

 カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期の地層で発見された翼竜の足跡化石について報告されています。 

 単独の足跡で、とりあえず、前肢とされています。第1指、第2指、第3指と順に長く、翼竜の条件と一致するそうです。

 足の長さは、25.5cmで、推定翼開長は7.7mと、北米最大級の翼竜とされています。

 北緯65度にある、最も近い海岸線から400kmほど離れた河成堆積物のようです。やはり、大型翼竜は、海辺ではなくて、内陸部に生息していたのでしょうか。



  1. References:
  2.  
  3. Phil R. Bell, Federico Fanti & Robin Sissons (2013) 
  4. A possible pterosaur manus track from the Late Cretaceous of Alberta. 
  5. Lethaia (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1111/let.12006



 カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期の地層で発見されたオルニトミモサウルス類のボーンベッドについて報告されています。フリーで全文が読めます。

 たくさんの恐竜化石が埋まったボーンベッドは、成長過程や行動様式など、個々の骨格からは得られない貴重な情報が得られます。

 今回の発見は、オルニトミモサウルス類のボーンベッドとしては、中国(2例)とフランスに次いで世界で4例目、北米では初めてだそうです。

 形態的に類似した3個体の部分的な骨格化石が見つかっており、オルニトミムスと ストルティオミムス(Struthiomimus)を含むクレードのタクソンと考えられています。それ以上の詳しい種は不明のようです。

 オルニトミモサウルス類が群れで暮らしていたというさらなる証拠とされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Cullen TM, Ryan MJ, Schröder-Adams C, Currie PJ, Kobayashi Y (2013) An Ornithomimid (Dinosauria) Bonebed from the Late Cretaceous of Alberta, with Implications for the Behavior, Classification, and Stratigraphy of North American Ornithomimids. PLoS ONE 8(3): e58853. doi:10.1371/journal.pone.0058853



 こんな小さな骨に、はっきりした噛み跡があるとは驚いた・・・。

 小型のクロコダイル形類が、ヒプシロフォドン類の幼体を食べていたとする直接の証拠が示されています。 NBCが、CTスキャン映像と共に紹介しています。

 従来から、クロコダイル形類が恐竜などを食べていたとする報告がありましたが、それは大型種に限られていました。

 襲ったのか、スカベンジなのかは不明ですが、クロコダイル形類がかなり多様だったことが、恐竜を食べるというニッチ分割(niche partitioning、すみわけ)につながったのではないかとされています。


 ユタ州南部にある白亜紀後期(カンパニアン、約7500万年前)のKaiparowits Formationで発見された化石から、噛み跡などが見つかったもの。    

 左肩甲骨と右大たい骨に噛み跡が残され、大たい骨にあけられた穿孔には、クロコダイル形類の、断面が楕円形の歯冠の一部が残されていたそうです。



  1. References:
  2.  
  3. Clint A. Boyd, Stephanie K. Drumheller & Terry A. Gates (2013) 
  4. Crocodyliform Feeding Traces on Juvenile Ornithischian Dinosaurs from the Upper Cretaceous (Campanian) Kaiparowits Formation, Utah. 
  5. PLoS ONE 8(2): e57605. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0057605



 南極大陸にある白亜紀後期の地層から、新種の鳥脚類化石が発見され、記載されています。

 ジェームスロス島にある Snow Hill IslandFormation下部層 (Campanian)から、脊椎や四肢化石が発見されたもの。

 白亜紀のパタゴニアにいた GasparinisauraAnabisetiaTalenkahuen にある特徴を組み合わせて持ち、Trinisaura santamartaensis と命名されています。


 ここからは初めての鳥脚類で、鳥盤類としてもアンキロサウルス類の、Antarctopelta oliveroi に続いて、2番めとされています。 

 もっとも他の地域からの発見からすると、白亜紀後期のジェームスロス島あたりには、鳥脚類が幅広く分布していたようです。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. ?Rodolfo A. Coria, Juan J. Moly, Marcelo Reguero, Sergio Santillana & Sergio Marenssi (2013) 
  4. A new ornithopod (Dinosauria; Ornithischia) from Antarctica. 
  5. Cretaceous Research (advance online publication) 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2012.12.004



 あけましておめでとうございます(^^)。今年もどんな恐竜ニュースが出てくるか、楽しみですね。

 今年最初のニュースは、アルゼンチンにある白亜紀後期の地層で発見された新種のハドロサウルス類です。論文の印刷版の発行からすると、今年の新種になるでしょう。 

 ラ・パンパ( La Pampa)州から発見されたことから、Lapampasaurus cholinoi と命名されています。

 今回の発見から、白亜紀後期のパタゴニアには、より多様なハドロサウルス類がいたとされています。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. ?Rodolfo A. Coria, Bernardo González Riga, Silvio Casadío (2012 ?) 
  4. A NEW HADROSAURID (DINOSAURIA, ORNITHOPODA) FROM ALLEN FORMATION, LA PAMPA PROVINCE, ARGENTINA. 
  5. Ameghiniana (advance online publication)



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2013年5月

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