Maastrichtianの最新ニュース

パキスタンの恐竜

 パキスタンの恐竜についての論文が報告されています。年号は、2010年ですが、実際の発行は今年のようです。

 いずれも、白亜紀後期(Maastrichtian) のVitakri Formationからの発見です。  
 
 最初は、ティタノサウルス類のバロキサウルス類(Balochisauridae )とパキサウルス類(Pakisauridae)のオステオダーム(皮骨)についての報告です。
 マダガスカルやアルゼンチンなどで見つかっている皮骨との関連情報を提供するとしています。

 次は、2006年に記載されたアベリサウルス類、Vitakrisauridae 類の獣脚類、vitakridrinda sulaimani の新しい標本についてです。

 

  1. References:
  2.  
  3.  
  4. M. Sadiq Malkani (2010)
  5. Osteoderms of Pakisauridae and Balochisauridae (Titanosauria, Sauropoda, Dinosauria) in Pakistan. 
  6. Journal of Earth Science 21 (Supplement 1): 198-203 
  7. DOI: 10.1007/s12583-010-0212-z
  8.   
  9. M. Sadiq Malkani (2010)
  10. Vitakridrinda (Vitakrisauridae, Theropoda) from the latest Cretaceous of Pakistan. 
  11. Journal of Earth Science 21 (Supplement 1): 204-212 
  12. DOI: 10.1007/s12583-010-0213-y 



 およそ7000万年前、一部のエドモントサウルスは、渡りではなくて長い間極地方にいたと、 ScienceDailyが紹介しています。  

 比較的暖かい地方と、極地方で、年間を通して棲み分けていたようです。 2月に、エドモントサウルスは1年中極地方にいた で紹介しました。

 アラスカから発見された化石は、この地方で春先に雪解け水で起こる洪水に似た洪水堆積物から見つかっているそうです。 

 つまり、恐竜が冬の期間移動して、低緯度地方にいたのなら、洪水に巻き込まれてなかったと考えられています。  

 一方、温暖だったカナダ・アルバータで見つかる骨の微細構造は、木の年輪にあたる成長線が一様なことから、年間を通して厳しい環境にいたというわけではないとしています。  



ボナパルテニクスの卵化石

 昨年12月に、新種のアルヴァレスサウルス/アルゼンチンで紹介したBonapartenykus ultimus (ボナパルテニクス・ウルチムス)について、特に卵化石がニュースになっています。 

  ウプサラ大プレスリリースが紹介しています。 MSNBCに化石の映像があります。  

 復元イラストでは、複数の卵が描かれていますが、見つかったのは2個。アルヴァレスサウルス類の骨格付近からは初めての発見で、その卵殻は既存種にはない構造とされています。

 パタゴニアにある白亜紀後期(約7000万年前)の地層から発見されたアルヴァレスサウルス類(Alvarezsauridae)で、系統的にはパタゴニクス(Patagonykus)に近く、新たに Patagonykinae というクレードが提唱されています。   

 アルヴァレスサウルス類は、最も謎の多い恐竜とされ、ボナパルテニクスは、体長2.6mで、中でも最大級とされています。  

 直径7センチほどの2つの卵が関節した脛骨付近から見つかっており、アルヴァレスサウルス類の骨格付近からは初めての発見とされています。  
 
 表面には小さなコブがあり、また卵殻の微細構造は、既存のどのカテゴリーにも属さず、Arraigadoolithidae という卵化石につけられる新しいタクソン名を提唱しています。  

 電顕で観察した結果、卵殻には穴が開いており、現生鳥類と同じように、孵化の最終段階において菌類のコンタミ(汚染)に悩まされていたようです。 これは、恐竜の卵に菌類がコンタミした初めての証拠とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Federico L. Agnolin et al., 2012 
  4. New alvarezsaurid (Dinosauria, Theropoda) from uppermost Cretaceous of north-western Patagonia with associated eggs Cretaceous Research, 35, June 2012, Pages 33-56 
  5. doi:10.1016/j.cretres.2011.11.014



 当時、多島海に浮かぶ島々の一つで、棲んでいた恐竜が小型なことで知られるルーマニア産の恐竜、その卵化石について報告されています。  

 "島効果(island effect)"に対する生殖適応について議論されています。卵の特徴には変化はなく、卵の数を減らすことで、小型化に適応していたようです。 


 白亜紀後期(Maastrichtian)の地層(Sanpetru Formation)から発見されたもので、派生したティタノサウルス類であるリソストロティア類(lithostrotian)とされています。 この種の小型恐竜としては初めての完全な卵化石だそうです。  

 大陸の恐竜と卵の特徴は似ており、生殖の型はかなり保守的であったとされています。 ただ、巣あたりの卵の数は減っており、これは島効果によってより小型化していたことへの適応とされています。  

 当時、ティタノサウルス類がこのあたりを通って行ったようで、ヨーロッパの多島海とアジアの間には、白亜紀遅くまで、時々は陸続きとなる陸橋があったことが示唆されています。



  1. References:
  2.  
  3. Grellet-Tinner G, Codrea V, Folie A, Higa A, Smith T (2012) 
  4. First Evidence of Reproductive Adaptation to "Island Effect" of a Dwarf Cretaceous Romanian Titanosaur, with Embryonic Integument In Ovo. 
  5. PLoS ONE 7(3): e32051. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0032051



 モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見された、ティラノサウルス類(Tyrannosaurid)、Alioramus altai(アリオラムス・アルタイ)のタイプ標本の骨学について報告されています。 

 若い個体で、比較的小型です。鼻先が長く、細長い顔つきなどの特徴があります。 同じ場所(Tsaagan Khuushu)からは、タルボサウルスも発見されており、当時、大型ティラノサウルス類が棲み分けていたようです。 

  ネメグト層(Maastrichtian)で完全な骨格が発見され、2009年に記載された Alioramus altai の詳細についての報告です。タイプ標本は若い個体で、別種の A. remotus との違いは、成長段階の違いではないかとされています。

  成体が見つかっていないことから、同時代に同じ場所から産出するのタルボサウルスの亜成体とする説もあるようです。 しかし、タルボサウルスは大型でがっしりしており、サイズを考慮しても、形態が異なる関連種としています。 

  鼻先が長く、細長い顔つきなどの特徴から、筋肉の付き具合などを考慮すると、成体の大型ティラノサウルス類に特徴的な、"強く噛んで引っ張る(puncture-pull)"といった食餌スタイルは、この若い個体では取れなかったようです。 

 成体の食餌様式については、成体化石の発見が待たれています。


  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Thomas D. Carr, and Mark A. Norell (2012) 
  4. The Osteology of Alioramus, A Gracile and Long-Snouted Tyrannosaurid (Dinosauria: Theropoda) from the Late Cretaceous of Mongolia. 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History:1-197. 2012 doi: 10.1206/770.1



 モンゴルにある白亜紀後期のネメグト盆地で発見された、Nemegtomaia barsboldi (ネメグトマイア・バルスボルディ)の新しい2つの標本が報告されています。  

 ネメグトマイアは、2004年に記載されたオヴィラプトル類で、属名は、"ネメグトの良い母"の意味です。  

 今回の標本を含めた系統解析から、ネメグトマイアは、インゲニア類(Ingeniinae)とされ、 Heyuannia の姉妹群とされています。  

 オヴィラプトル類の中では、前肢が短く、またその第1指が太く長く、ツメは強力です。一方、第2、3指は短めといった特徴があります。前肢は卵を守るために使ったようです。  



 図は、ネメグトマイアの骨格図。グレイの部分が見つかっている部分です。

 頭部などが見つかっているホロタイプと、今回発見された2つの標本からの両足などをまとめています。



ネメグ.jpg

  1.  最初は、バルウンゴヨット層(Baruungoyot Formation 、Campanian-Maastrichtian) 上部で発見された標本です。  

     卵化石の上に、その親と思われる成体化石があり、巣の化石ととも発見された4番目のオヴィラプトル属とされ、また、インゲニア類(Ingeniinae )では初めてとされています。  

     2番目は、数km離れたネメグト層の基底層で発見されたより小型の標本です。  

     オヴィラプトル類は、白亜紀後期の中国やモンゴルの、乾燥から半乾燥環境で発見される最もありふれた恐竜とされています。  

     今回は、乾燥し風の強い環境のバルウンゴヨット層と、より湿度が高い河川環境のネメグト層の両方で発見されており、営巣地は河川の近くだったようです。  



  2. References:
  3.  
  4. Fanti, F., Currie, P.J. & Badamgarav, D. 2012
  5. New Specimens of Nemegtomaia from the Baruungoyot and Nemegt Formations (Late Cretaceous) of Mongolia. 
  6. PLoS ONE 7(2): e31330 
  7. doi:10.1371/journal.pone.0031330




 アルゼンチン北部にある白亜紀後期( Campanian-Maastrichtian ですから晩期) の地層で発見されたアルヴァレスサウルスが記載されています。

 正式記載は来年ですが、Bonapartenykus ultimus (ボナパルテニクス・ウルチムス)と命名されています。

 系統的には、パタゴニクス(Patagonykus)に近く、新たに Patagonykinae というクレードが提唱されています。 1本指の、鳥に近い恐竜なんでしょう。

 

 また、骨格付近で卵化石や多数の卵殻が見つかっています。

 その卵化石には、新たな学名、Arraigadoolithus patagoniensis と、新タクソン Arraigadoolithidae が提唱されています。

 要旨には、微細構造が特徴的な卵殻で、菌類のコンタミもあるようなことが書いてあります。

 

  1. References:
  2.  
  3. Federico L. Agnolin, Jaime E. Powell, Fernando E. Novas & Martin Kundrát (2011 [2012])
  4. New alvarezsaurid (Dinosauria, Theropoda) from uppermost Cretaceous of north-western Patagonia with associated eggs.
  5. Cretaceous Research (advance online publication)
  6. doi:10.1016/j.cretres.2011.11.014



 北米最大とする恐竜化石について、モンタナ州立大が伝えています。2月に、アラモサウルスは世界最大級に成長 した論文(電子版)が出版されたもの

 新種ではなくて、既知のアラモサウルス(Alamosaurus sanjuanensis)です。

 アラモサウルスは、以前考えられていたよりも大型化し、他の大型竜脚類に匹敵するほどに成長したとされています。

 そもそもが未成熟な固体についての記載で、成長段階の違いを考慮すると、種の記載は十分に成熟した個体ですべきとの意見があります。

 

 化石は、2003年から2006年にかけて、ニューメキシコ州にある白亜紀後期(約6900万年前)の地層で発見された脊椎と大たい骨のみ。

 部分的な化石からの推定ですが、ニュースでは、体長18メートルほどで推定体重は30トンとされています。

 南米のアルゼンチノサウルスに比べてそれほど大きくないようですが。

  

  1. References:
  2.  
  3. Denver W. Fowler and Robert M. Sullivan (2011)
  4. The first giant titanosaurian sauropod from the Upper Cretaceous of North America.
  5. Acta Palaeontologica Polonica 56 (4), 2011: 685-690
  6. doi:10.4202/app.2010.0105



 カナダにある白亜紀後期の地層で、基盤的鳥脚類、テスケロサウルス(Thescelosaurus )属の新種化石が発見され、記載されています。

 約6600万年前の、 T.rex やトリケラトプスと同時代の小型植物食恐竜で、かつて、"心臓"が残るとされたのもこの恐竜です。

 ROM's Blog によると、Brown, C. M. Boyd の修士課程の研究で、新種の堅頭竜の報告も予定されているそうです。

 

 化石自体は、1968年に、アルバータ州の東にあるサスカチュワン(Saskatchewan)州で発見されたもの。

 シカほどの大きさで、Thescelosaurus assiniboiensis と命名されています。他のThescelosaurus よりも、姉妹群であるParksosaurus に近い特徴があるとされています。

   

  1. References:
  2.  
  3. Brown, C. M. Boyd, C. A., Russell, A. P. 2011.
  4. A new basal ornithopod dinosaur (Frenchman Formation, Saskatchewan, Canada), and implications for late Maastrichtian ornithischian diversity in North America.
  5. Zoological Journal of the Linnean Society. 163: 1157-1198.
  6. DOI: 10.1111/j.1096-3642.2011.00735.x



 獣脚類や鳥脚類の成長速度に関する報告はありますが、角竜についてはほとんど報告されていませんでした。

 今回、北極圏で発見されたパキリノサウルスの骨化石の組織科学的分析から、その成長などについて考察した論文が報告されています。

 Discovery News が紹介しています。

 

 アラスカ北部にあるノーススロープの白亜紀後期(early Maastrichian )の地層(Prince Creek Formation)で発見された大たい骨の成長線を解析したもの。

 高緯度で発見される化石のほうが、成長線がはっきりしているそうです。成長の速い時期と遅い時期の違いがはっきりしていたのでしょうか。

 8月にアラスカからパキリノサウルス属の新種 で紹介した同じ地層からの発見です。ただし、今回の化石は、Pachyrhinosaurus sp. で、種は未定です。

 

 9歳で性的に成熟し、死んだのは19年だったとされています。1例だけのようですが、寿命はともかく、極地方では幼体の成長は早かったとされています。

 またそこでは、カメやクロコダイルなど普通発見される化石は見つかっていないそうです。厳しい環境の極地方まで移動するのが困難だったのでしょうか。

 

 

  1. References:
  2.  
  3. Gregory M. Ericksona & Patrick S. Druckenmillerb, 2011
  4. Longevity and growth rate estimates for a polar dinosaur: a Pachyrhinosaurus (Dinosauria: Neoceratopsia) specimen from the North Slope of Alaska showing a complete developmental record
  5. Historical Biology, 23(4), p. 327-334, 2011
  6. DOI:10.1080/08912963.2010.546856



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2012年4月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

アーカイブ


カテゴリ  ▼(広げる)▲(たたむ)