義県累層(Barremian-Aptian)、遼寧省の最新ニュース

 「鳥類は恐竜から進化した」なんて簡単に語られたりしますが、鳥類は、その全ての特徴を、始祖鳥あたりで突然出現させたわけではありません。

 また羽毛だけで、空を飛べるわけでもなく、非対称の羽毛に加えて、優れた心肺・運動機能や脳機能、体を軽くする含気性構造などが必要です。

 そして、その特徴の一つ一つは、かなり前から恐竜たちが進化させ、いろいろと試行錯誤していたのです。

 今回、新たな4翼羽毛恐竜が発見され、その機能について考察されています。

 どちらかと言うと、滑空に適した形態ですが、4翼は主流とはなりません。この系統での飛行実験だったのでしょうか。

 遼寧省にある白亜紀前期(約1億2500万年前)の熱河動物相からで、 Changyuraptor yangi (チャンギュラプトル・ヤンギ)と命名されています。

 ドロマエオサウリダエのミクロラプトリナエ(microraptorinae、亜科)の系統とされ、推定全長は約1.3メートルです。

 これは、ミクロラプトリナエでは最大で、ミクロラプトルの新種(2012年5月)で紹介していますが、今までの最大種は、1メートルほどでした。飛行は、比較的大きな恐竜でも可能だったと考えられています。



 尾羽の長さが約30 cmで、骨格全体の約30%もあります。これは、非鳥類型恐竜としては最長とされています。  さらに、後肢下部には、獣脚類としては最大長の大羽を備えています。  

 尾羽は、縦に長い低アスペクト比の構造で、着陸するときに、尾羽根はピッチ制御構造体として作用し、スピードを減速させるなど、重要な区割りを果たしたと推察されています。  

 始祖鳥の大羽、飛翔は外適応/"羽毛ズボン"をはいた第11標本(2014年7月)では、始祖鳥の後肢にある大羽は、最初はディスプレイ用途で、飛行は外適応とされています。


 

  1. References:
  2.  
  3. Gang Han, Luis M. Chiappe, Shu-An Ji, Michael Habib, Alan H. Turner, Anusuya Chinsamy, Xueling Liu & Lizhuo Han (2014) 
  4. A new raptorial dinosaur with exceptionally long feathering provides insights into dromaeosaurid flight performance. 
  5. Nature Communications 5, Article number: 4382 
  6. doi:10.1038/ncomms5382
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 プシッタコサウルスは、最も種の多い恐竜の一つとされ、最新のレビューでは、プシッタコサウルス属としては、9種が有効とされています。

 今回、プシッタコサウリダエ(Psittacosauridae)のうち、中国の同一地層から発見されている3種は同一種である、とする論文が報告されています。

 違いは化石が形成される過程での変形とされていますが、タフォノミーの変形を種の変異とみなす例、他にもありそうですね。


 論文は、中国にある白亜紀前期の義県層 Lujiatun 単層から産出した3種、Psittacosaurus lujiatunensisP. majorHongshanosaurus houi(ホンシャノサウルス)の頭骨について、三次元幾何学的形態測定を行ったもの。  

 その結果、それらの違いは、化石形成過程であるタフォノミーの変形によるもので、すべて、P. lujiatunensis とされています。  とすると、P. major と、Hongshanosaurus houi は消滅でしょうね。



  1. References:
  2.  
  3. Brandon P. Hedrick & Peter Dodson (2013) 
  4. Lujiatun Psittacosaurids: Understanding Individual and Taphonomic Variation Using 3D Geometric Morphometrics. 
  5. PLoS ONE 8(8): e69265. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0069265
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 中国遼寧省にある白亜紀前期の義県累層から、 真正双子葉類 (eudicots)の化石が発見され報告されています。

 従来考えられていた時期より1500万年ほど早く、1億2500万年前には、既に花をつける被子植物の爆発的放散が始まっていたとされています。インディアナ大プレスリリースが伝えています。

 

  1990年代からの分子系統解析で、従来の双子葉類は側系統とされ、被子植物(angiosperm)は、5つの主な系統に大別されています。

 それは、初期の分岐したセンリョウ類(Chloranthaceae)とマツモ類(Ceratophyllum)、そしてモクレン類(magnoliids), 単子葉類 (monocots)、真正双子葉類 (eudicots)です。

 また、真正双子葉類 は、基盤的真正双子葉類 とコア真正双子葉類 (core eudicots)からなります。今日の被子植物の大部分(約75%)は真正双子葉類です。

 真正双子葉類の共有派生形質は、三溝型花粉 (Tricolpate pollen)を持つことで、コア真正双子葉類は花の構成が5の倍数であることです。

 

  Leefructus  mirus  (Courtesy of Indiana University)

Leefructus_mirus.jpg 

 今回新たに発見された植物化石は、系統的には、基盤的な真正双子葉類のキンポウゲ科(Ranunculaceae)に属しています。

 学名は、Leefructus mirus と命名されれています。中国名「李氏果」からわかるように、"Lee" は化石を寄贈した Li Shiming にちなみ、"fructus" は"実をつける"の意味。また、種小名は、ラテン語の"mira(美しい)"から。

 年代的には、1億2260万年前-1億2580万年前とされ、基盤的な真正双子葉類は、バレミアン最晩期からアプチアン最初期までに広がっていたとされています。

 日本の白亜紀前期の復元イラストには、モクレンに似た植物がよく描かれています。今回の地層は時代的に似ていますから、日本の恐竜時代の復元図にも、化石証拠のあるこの植物が描かれることでしょう。

 

 上の映像は、Leefructus mirus 。出典は、Indiana University

 葉の周囲が黒く縁取りされているためか、リトグラフの芸術作品のような美しさですね。

 右下のスケールは1センチで、化石全体の高さは約16センチ。1本の茎から全部で5枚の葉が伸びています。葉は3枚に分岐し、葉脈もあります。また、花びらが5枚ある小さなカップ状の花もついています。

 

 

  1. References
  2. Ge Sun, David L. Dilcher, Hongshan Wang & Zhiduan Chen, 2011
  3. A eudicot from the Early Cretaceous of China
  4. Nature, 471, p.625-628, 2011
  5. doi:10.1038/nature09811
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