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 鳥類などは、下アゴ以外の頭部の骨を動かすことができる頭蓋キネシス(cranial kinesis、頭部の運動性)という頭部構造を持っています。 哺乳類ではまれで、ヒトにはありません。

 今回、頭部は動かせないながら、頭蓋キネシスの前提となる特徴を既に獲得している、新種のトロオドン類化石が記載されています。
 モンゴルにある白亜紀後期(Campanian)の地層(Djadokhta Formation)で発見されたトロオドン類(Troodontidae、科)で、Wikipedia で紹介されています。

 系統的には、トロオドンなどからなるクレードの姉妹群とされています。属名が「モンゴルのハンター」を意味する Gobivenator mongoliensis (ゴビヴェナトル・モンゴリエンシス)と命名されています。

 白亜紀後期のこのクレードとしては、最も完全な骨格とされ、特に、頭蓋骨は見事に保存され、トロオドン類の口蓋の全体構成の詳細情報が得られるとされています。


 口蓋の全体的な形態は、ドロマエオサウルス類や始祖鳥の口蓋に似ており、このあたりは、基盤的なアヴィアラエに向かっていたようです。  

 口蓋構成から、ゴビヴェナトルの頭部の骨は動かせなかった(無動性)のですが、上翼状骨(epipterygoid )が消失し、口蓋骨の間の接触面積が減少するというように、既に鳥類の頭蓋キネシスが進化するのための前提となる特徴を獲得しているとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Takanobu Tsuihiji, Rinchen Barsbold, Mahito Watabe, Khishigjav Tsogtbaatar, Tsogtbaatar Chinzorig, Yoshito Fujiyama & Shigeru Suzuki (2014) 
  4. An exquisitely preserved troodontid theropod with new information on the palatal structure from the Upper Cretaceous of Mongolia. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-014-1143-9



 胚骨格からの恐竜の新種記載は初めてのようですね。恐竜といっても、鳥類(エナンティオルニス類)です。  

 よく骨化した四肢と癒合した骨格から早成とされ、孵化してすぐ歩けたということですから、幼体と成体で、それほど骨格の変化がなかったということでしょう。

 ゴビ砂漠にある白亜紀後期(カンパニアン、約8000万年前)の地層(Barun Goyot Formation)から発見された卵化石に残されていたもの。

 その骨格と肩帯から、洗練された飛行能力だったとされ、Gobipipus reshetovi (ゴビピプス・レシェトビ)と命名されています。


 この論文、随分前から原稿があったようで、ファーストオーサーは2年前に亡くなられているようです。

 系統解析の結果は、孔子鳥とともに、基盤的なエナンティオルニス類の位置づけです。  

 同じ層準から見つかっている Gobipteryx minuta (ゴビブテリクス・ミヌタ)とは、かなり特徴が異なっているとされています。




  1. References:
  2.  
  3. E. N. Kurochkin, S. Chatterjee & K. E. Mikhailov (2013) 
  4. An embryonic enantiornithine bird and associated eggs from the Cretaceous of Mongolia. 
  5. Paleontological Journal 47(11): 1252-1269 
  6. DOI: 10.1134/S0031030113110087



 ゴビ砂漠で発見された最も完全とされるアンキロサウルス類の化石、サイカニアではないとする論文が報告されています。

 ピナコサウルスの可能性も示唆されていますが、完全な化石ながら、種がはっきりしないというのは、不思議ですね。

 モンゴル古生物センターにある標本100/1305は、今まで、Saichania chulsanensis (サイカニア・チュルサネンシス)ではないかとされていました。


 しかし、肩甲骨、上腕骨、中手骨に違いがあり、サイカニアではないとされています。  

 また、発見された地層も以前と異なり、Djadokhta Formation ではないかとされています。  同層からは2種のピナコサウルス(Pinacosaurus grangeriP. mephistocephalus)が見つかっていますが、それらとは尾椎の数や烏口骨の形態が異なるとされています。  

 現時点では、標本100/1305は、種不明のアンキロサウリダエ(Ankylosauridae)又はピナコサウルスに似た種とされています。



  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour & Philip J. Currie (2013) 
  4. The taxonomic identity of a nearly complete ankylosaurid dinosaur skeleton from the Gobi Desert of Mongolia. 
  5. Cretaceous Research 46: 24-30 
  6. http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.08.008



デイノケイルスの新標本

 デイノケイルス(Deinocheirus mirificus)といえば、大きな前腕だけの、ミステリアスな恐竜でした。

 今回、モンゴルで発見された新しい標本について、先日のSVP年会で報告されました。このあたり、「未知の恐竜を求めて|Webマガジン幻冬舎」で、小林さんが紹介されています。

 基盤的なオルニトミモササウルス類とされていますが、他のオルニトミモササウルス類とはずいぶん違っていたようです。


 ホロタイプは、1965年に記載されています。今回の標本は、韓国ーモンゴル国際調査隊により、2006年と2009年に、2箇所で発見されたもの。  

 頭部はなく、脊椎中央部や遠位尾椎、右前肢などが発見されています。  系統的には、基盤的なオルニトミモササウルス類( Ornithomimosauria)の位置づけです。  

 しかし、他のオルニトミモサウルス類とは異なり、がっしりして重い骨盤や後ろ足などから、速く走ることはできなかった考えられています。  
 また、たくさんの胃石も見つかっており、植物食だったとされています。



  1. References:
  2.  
  3. NEW SPECIMENS OF DEINOCHEIRUS MIRIFICUS FROM THE LATE CRETACEOUS OF MONGOLIA LEE, 
  4. Yuong-Nam et al., 2013 Technical Session IX (Friday, November 1, 2013, 9:30 AM), 
  5. SVP Annual Meeting



 モンゴルにある白亜紀後期(約7000万年前)の地層から、テリジノサウルス類らしき巣の化石が、少なくとも18個、発見されたそうです。
 ロスで開催中のSVP年会で、北大総合博物館の小林さんらが発表したもの。NHKが紹介しています。

 肉食から植物食へと食性が変化した恐竜で、群れで暮らしていたのではないとされています。



卵殻化石から古環境の推定

 ゴビ砂漠で発見された卵殻と歯の化石から、当時の古環境を推定した論文が報告されています。

 ジャドフタ(Djadokhta)層は乾燥した砂丘(dry dunes)環境で、一方、ネメグト層は、やや湿った河川環境(mesic stream)だったとされています。

 炭素と酸素の安定同位体を解析したもの。モンゴルの白亜紀の初めての地球化学的な解析で、これらの恐竜化石は、当時の古環境を再構築できる可能性を持つとされています。
 

 モンゴル、ゴビ砂漠は、白亜紀後期の多様な化石を産出します。 堆積物の解析から、当時は、風のある乾燥した砂丘から湿った環境までと、幅広い範囲であったとされています。  

 恐竜の卵殻は、現生鳥類と同じカルサイト(炭酸カルシウム)からなり、含まれる炭素と酸素の安定同位体からは、当時の古環境の情報が得られます。  

 論文では、卵殻と歯化石のエナメル質の解析から、ジャドフタ層が堆積した当時は乾燥した砂丘環境で、一方、ネメグト層は、やや湿った河川環境だったとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. ?Shaena Montanari,Pennilyn Higgins & Mark A. Norell (2012) 
  4. Dinosaur eggshell and tooth enamel geochemistry as an indicator of Mongolian Late Cretaceous paleoenvironments.
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication)
  6. DOI:10.1016/j.palaeo.2012.12.004



 ゴビ砂漠にある白亜紀後期の地層で発見されたプロトケラトプス類(Protoceratopsidae)の標本について報告されています

 Udyn Sayr 地区からの発見で、亜成体でメスのProtoceratops andrewsi など、4つの標本が報告されています。

 フリルの形状から、3タイプに分類できるとされています。また、その形状は、ツグリキン・シレのプロトケラトプスとは異なり、この違いは、種間の変異ではないかとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Naoto Handa, Mahito Watabe and Khishigjav Tsogtbaatar (2012) 
  4. New Specimens of Protoceratops (Dinosauria: Neoceratopsia) from the Upper Cretaceous in Udyn Sayr, Southern Gobi Area, Mongolia. 
  5. Paleontological Research 16(3):179-198



 ニューヨークのオークションで落札されたタルボサウルスの全身骨格について、モンゴル政府とオークション会社とが共同で、化石の出所と所有権を調べることに合意したそうです。

 ペインター法律事務所(PAINTER LAW FIRM )が紹介していますが、Tyrannosaurus bataar となっていますね。

 モンゴルにある白亜紀末の地層で発見されたとされる化石で、全長は7.3メートルほど、全体の約75%が残されているそうです。  

 モンゴルの大統領が販売差し止めの訴えを起こしていましたが、ヘリテージがオークションを強行し、$105万ほどで落札されたもの。

 今回の調査で、モンゴルで発掘され、違法に持ち出されたことが明確になれば、返還されるのでしょう。逆に、モンゴル以外での発見となれば、大きな発見ですね。



 モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見され、Sauronithoides mongoliensis と(サウロルニトイデス・モンゴリエンシス)されていた化石が、新種として記載されています。 

 左後肢化石(IVPP V 10597)で、再調査したところ、 Linhevenator tani に近いとされています。内モンゴルにある白亜紀後期の地層で発見され、2011年に記載された前肢の短いトロオドン類です。

 しかし、特徴が異なることから、新種とされ、Philovenator curriei と命名されています。最初にこの標本を論文にしたフィル・カリーにちなんだ学名です。属名には、"狩りの愛好家"の意味もあります。
 


  1. References:
  2.  
  3. XU Xing, ZHAO Qi, Corwin Sullivan, TAN Qing-wei, Martin SANDER & MA Qing-yu (2012) 
  4. THE TAXONOMY OF THE TROODONTID IVPP V 10597 RECONSIDERED. 
  5. Vertebrata PalAsiatica 50(2):140-150



10タイプある皮骨/タルキア

 モンゴルでは初めてとなる、皮骨(osteoderm)を覆うケラチン質のウロコの印象が残されたアンキロサウルス類について、報告されています。  
 
 タルキア(Tarchia)とされています。体全体がトゲのような骨質の皮骨で覆われた恐竜です。 この皮骨には10タイプあることが示され、その形やテクスチャア、配列などの情報は、復元の参考になりそうです。  


 関節した状態で発見され、少なくとも28個の尾椎が残されており、アンキロサウルス類の中では、もっとも長い完全な尾とされています。 
 尾の長さはサイカニアの2倍以上で、ディプロサウルス (Dyoplosaurus)よりも長いそうです。  

 この標本からは、10タイプの皮骨板があるとされ、それぞれサイズや形状、表面模様が異なります。  

 タルキアとされていますが、他のタルキアとは、尾にある神経棘の分岐角度が異なるなどの特徴があり、タルキアやサイカニアとは別の種である可能性も示唆されています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour, Nicolai L. Lech-Hernes, Tom E. Guldberg, Jørn H. Hurum, and Philip J. Currie (2012) 
  4. An ankylosaurid dinosaur from Mongolia with in situ armour and keratinous scale impressions. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi:10.4202/app.2011.0081



 タルボサウルス(Tarbosaurus bataar )の幼体の頭蓋骨について解析した論文が報告されています。

 オハイオ大(pdf)に頭部のイメージなどがあります。写真や動画などが多いのですが、具体的に成体とどう違うか、比較イラストがあったほうがわかりやすいですね。そのうち、WitmerLab に情報がアップされるでしょう。

 スピードを活かして獲物を追ったなど、成体とは異なったライフスタイルであったと、ScienceDaily などが伝えています。

 幼体の頭部は、ナノティラヌスなど,他のティラノサウルス類との識別に役立つとされています。今後は、内耳や軟組織の報告も予定されています。

 

 今回の頭部は、林原自然科学博物館らが、2006年に、ゴビ砂漠にある白亜紀後期(約7000万年前)の地層で発見した全身骨格の一部。

 骨の微細構造から、年齢は2-3歳とされ、推定体長は9フィート(2.7メートル)とされています。頭部化石の全長は290mm と、ティラノサウルス類としては最小クラスとされています。

 成体のアゴは、大きな筋肉があり強く噛むことができ、また歯も特殊化しています。しかし、幼体にはそのような特色が見られないとされています。

 そのことから、より小さな獲物をその機敏さで狙い、年齢によって異なるえさを食べたことで、競合を避けたようです。

 上顎骨と歯骨の歯槽(alveoli)はそれぞれ13、14と15で、成体と変わらず、タルボサウルスでは、成長に伴って変化がなかったようです。

 

 

 以下の映像は、今回の幼体の頭部(手前)と、比較のための亜成体(奥、14歳)と成体(手前、25歳)の頭部。Courtesy of WitmerLab at Ohio University. 

 

Tarbosaurus_skulls.jpg 

  1. References:
  2.  
  3. Takanobu Tsuihiji; Mahito Watabe; Khishigjav Tsogtbaatar; Takehisa Tsubamoto; Rinchen Barsbold; Shigeru Suzuki; Andrew H. Lee; Ryan C. Ridgely; Yasuhiro Kawahara; Lawrence M. Witmer
  4. Cranial osteology of a juvenile specimen of Tarbosaurus bataar (Theropoda, Tyrannosauridae) from the Nemegt Formation (Upper Cretaceous) of Bugin Tsav, Mongolia
  5. JVP, 31(3),  p. 497 - 517, 2011
  6. DOI: 10.1080/02724634.2011.557116



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