手取層群(Valanginian-Barremian)、北陸の最新ニュース

 福井にある白亜紀前期の地層(北谷層)で発見された新種の獣脚類が記載され、Fukuivenator paradoxus(フクイべナートル・パラドクサス)と命名されています。

 The Theropod Database Blog が指骨を修正するコメントを紹介しています。
 
 日本の新種恐竜で紹介していますが、日本では7種めの新種で、福井産の新種としては5種目になります。

 タイプ標本(FPDM-V8461)は、おそらく亜成体とされ、十分には成長しておらず、推定全長は245cm、体重は25.0kgとされています。

 属名は「福井のハンター」の意味。種小名は、原始的な特徴と派生的な特徴を組み合わせて持つことから。

 胃の内容物などの直接的な証拠はないのですが、円錐で鋸歯の無い前上顎歯、対象的な上顎歯、異歯性(heterodonty)、10より多い頚椎数は獣脚類の植物食と一致し、少なくとも雑食性だったとされています。

 図は骨格図(Azumae et al., 2016)。見つかっている部分は、濃い灰色です。 頭部長は234mmとされていますから、スケールバーの長さ(50mm)は間違いかも。
 

Fukuivenator paradoxus.jpg

 CTスキャンで内耳の構造も確認され、その形態は、鳥類と非鳥類型恐竜の中間とされています。  

 系統的には、コエルロサウリアの、基盤的で分岐した位置のマニラプトラとされています。コンプソグナシダエ(Compsognathidae)やオルニトミモサウリアなどど多分岐になっています。  

 しかし、基盤的な位置しながら、より進化したドロマエオサウリダエやパラヴェス(Paraves)と同じ派生的な特徴も持っています。  

 今回の発見は、コエルロサウリアの系統内での、モザイク進化とホモプラシー(独立に進化して同じ形質を獲得した現象)を強調するとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Yoichi Azuma, Xing Xu, Masateru Shibata, Soichiro Kawabe, Kazunori Miyata & Takuya Imai (2016) 
  4. A bizarre theropod from the Early Cretaceous of Japan highlighting mosaic evolution among coelurosaurians. 
  5. Scientific Reports 6, Article number: 20478 (2016) 
  6. doi:10.1038/srep20478
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 Historical Biology 28(1-2)は、科博の冨田幸光博士、退官記念論文集です。

 さすがに哺乳類の論文が多いのですが、その中から、恐竜と翼竜関係の論文を紹介します。いずれも、部分的な化石のためか、種の記載には至っていません。

 最初は、熊本の御船層群で発見されたオルニトミモサウリアについて。

 日本の白亜紀後期の地層からは、初のオルニトミモサウリアで、東アジアの半乾燥気候下で棲息していたとされています。  

 続いて、石川県白山市にある白亜紀前期の桑島層からの鳥脚類化石について。  

 イグアノドンティア(歯と頭部)やアルパロフォサウルスとは異なる小型鳥脚類(上顎)、不確定な鳥脚類化石について。  

 最後は、翼開長6.8メートルと、アジア最大の翼竜について。  

 三笠にある白亜紀後期(サントニアン-カンパニアン前期)の地層(蝦夷層群)で発見された、日本初の翼竜化石標本(NSM PV15005) を再記載したもの。プテラノドンチダエ(科)に類似しているようです。


 


  1. References:
  2.  
  3. Naoki Ikegami (2016) 
  4. The first record of an ornithomimosaurian dinosaur from the Upper Cretaceous of Japan. 
  5. Historical Biology 28(1-2): 264-269 
  6. DOI:10.1080/08912963.2015.1025389 
  7.  
  8. Paul M. Barrett & Tomoyuki Ohashi (2016) 
  9. Ornithischian dinosaur material from the Kuwajima Formation (Tetori Group: Lower Cretaceous) of Ishikawa Prefecture, Japan. 
  10. Historical Biology 28(1-2): 280-288 DOI:10.1080/08912963.2015.1032273 
  11.  
  12. Alexander W.A. Kellner, Fabiana R. Costa, Xiaolin Wang & Xin Cheng (2016) 
  13. Redescription of the first pterosaur remains from Japan: the largest flying reptile from Asia. 
  14. Historical Biology 28(1-2): 304-309 
  15. DOI:10.1080/08912963.2015.1028929
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 福井から石川、富山、岐阜にかけて分布する手取層群は、多くの恐竜化石などを産出することで有名です。

 そのうち、富山と岐阜県境に分布する、今まで手取層群とされてきた地域の一部に、手取層群とは堆積環境の異なる地層群が見出され、新たに神通層群(Jinzu group、新称)を提案する論文が報告されています。 

 富山・岐阜県境に分布する手取層群は、海成層に限るとされ、恐竜化石などを産出する陸成層は、神通層群とされています。

 例えば、新属新種の群れる恐竜足跡(1997年8月)で紹介した新種の足跡化石、Toyamasaurips masuiae が発見された地層は、手取層群ではなくて、神通層群猪谷層となります。

 
 また、神通層群は、手取層群とは異なる時代に形成された可能性が高いとされています。   

 手取層群を下位より真川層と有峰層、有峰層に対比される桐谷層に区分し、神通層群を庵谷峠層,猪谷層,白岩川層に区分しています。


 


  1. References:
  2.  
  3. 松川正樹・福井真木子・小河佑太力・田子 豪・小荒井千人・大平寛人・林 慶一(2014) 
  4. 手取層群の分布域頭部(富山・岐阜県境)の層序の再検討と神通層群(新称)の提案 
  5. 地質学雑誌,120巻,147-164頁 (pdf) 
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 福井県にある白亜紀前期の北谷層で発見された基盤的なハドロサウロイデアが報告されています。
 
 上顎骨と頸椎、恥骨と大腿骨の組み合わせがユニークとされ、Koshisaurus katsuyama (コシサウルス・カツヤマ)と命名されています。
 
 学名に地名を用いる場合、たいていは語尾に"-ensis(又は-ense)"をつけてラテン語の形容詞とするのですが、今回は地名そのままですね。

 系統的には、基盤的なハドロサウロイデアの位置づけで、同時代のフクイサウルスより派生的とされています。

 上顎骨の前眼窩窩の存在と、上顎骨歯歯冠の唇側に少なくとも3条の助峰(subsidiary ridge)があることから、最も基盤的なハドロサウルスイデアの一種とされています。

 この特徴は、甘粛省で発見された Equijubus normani (エクイジュブス・ノルマニ)に似ているそうです。




  1. References:
  2.  
  3. Masateru Shibata, Yoichi Azuma, 2015 
  4. New basal hadrosauroid (Dinosauria: Ornithopoda) from the Lower Cretaceous Kitadani Formation, Fukui, central Japan 
  5. Zootaxa, 3914(4)  Preview (pdf)
  6. Doi:10.11646/zootaxa.3914.4.3
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 福井県勝山にある白亜紀前期(upper Barremian) の北谷層で発見されていた卵殻化石が新種記載され、Plagioolithus fukuiensis と命名されています。

 3月に、世界最古の鳥類の卵化石と、ニュースになりました。しかし、論文では、鳥類の卵化石と断定されているわけではなく、鳥類(bird)に属することを示唆する、とあります。

 "bird"という表現に示されるように、卵化石としての「鳥類」が定義されているわけではなく、また、骨格化石から定義された鳥類( Avialae)と、明確に関連付けられてはいません。

 骨格化石でさえ鳥類と非鳥類型恐竜の区別が曖昧な時代でもあり、厳密には、論文に示されるように鳥類( Avialae)の卵化石と断定はできず、鳥類の特徴を持つ卵殻化石、ですね。

 
 卵殻は、0.44ミリと薄く、表面は滑らかで、分岐せず狭い細孔で、気孔が一定の幅で存在し、また、3層構造などの特徴がみられるそうです。  

 これらの特徴から、鳥類(bird)に属することを示唆するとされています。  

 このような三層の卵殻構造は、今回の卵殻と現生や絶滅鳥類、非鳥類型獣脚類でみられ、 バレミアン後期、またはそれ以前に登場した獣脚類でプレシオモルフィック(plesiomorphic)、つまり共有されていた原始形質ではないかとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Takuya Imai & Yoichi Azuma (2014) 
  4. The oldest known avian eggshell, Plagioolithus fukuiensis, from the Lower Cretaceous (upper Barremian) Kitadani Formation, Fukui, Japan. 
  5. Historical Biology (advance online publication) 
  6. DOI:10.1080/08912963.2014.934232
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 花粉はその外膜が化石として残ることから、胞子を含めた花粉分析により、当時の植生や古環境を知ることができます。

 今回、多数の恐竜化石を産出する手取層群北谷層の花粉分析に関する初めての論文が報告されています。福井新聞が伝えています。
 針葉樹やソテツなどの裸子植物の花粉、45属41種が特定された一方、被子植物の花粉化石は見つかっていないそうです。

 北谷層は、淡水二枚貝化石から、バレミアン後期からアプチアン前期(約1億2000万年前)とされ、そのほとんどが大陸起源で、河川や湖沼の堆積環境とされています。

 当時は、温暖で湿潤な環境だった一方、局地的には乾燥した環境だったと考えられています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Julien Legrand , Denise Pons , Kazuo Terada , Atsushi Yabe and Harufumi Nishida 
  4. Lower Cretaceous (Upper Barremian-Lower Aptian?) Palynoflora from the Kitadani Formation (Tetori Group, Inner Zone of Central Japan) 
  5. Paleontological Research 17(3):201-229. 2013 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.2517/1342-8144-17.3.201
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 岐阜県高山市荘川町にある白亜紀前期の手取層群で、トリティロドン(単弓類のキノドン類)の下あごの歯の化石が発見されたそうです。読売が伝えています。

 トリティロドンの化石は、かつて白山市でにある約1億3000万年前の地層で発見されています。

 今回の地層年代は、約1億1700万年前とされ、この年代まで生息していたことが確認できたとされています。

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桑島化石調査隊、隊員募集

 あなたも化石博士になりませんか。石川県の白山市では、「桑島化石調査隊」の隊員を募集しています。毎日が紹介しています。

 今年で7年目になり、年数回のクリーニングや化石のレプリカづくり、講演会などが予定されてます。

 対象は小学4年生以上で、応募は、6月1日までです。6月11日か18日の説明会へ参加は必須だそうです。詳細は、白山市をどうぞ。

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 福井県勝山市にある白亜紀前期(約1億2000万年前)の地層で、イグアノドン類のものとみられる左右の下顎などの化石が発見されたと、福井県立恐竜博物館が発表しています。

 2010年度の第3次恐竜化石発掘調査で発見された化石で、歯骨や同椎、仙椎に坐骨、尾骨です。福井県立恐竜博物館福井新聞が伝えています。化石は、23日から5月10まで、同博物館で展示されます。

 以前発見されたフクイサウルスとは違う特徴がみられ、新種の可能性が高いとされています。また、尾椎には、獣脚類に噛まれたとみられる穴や溝があるそうです。

 

 比較的小型種だったようで、Wikipedia によると、G・ポールは、 The Princeton Field Guide to Dinosaurs(Princeton University Press)で、Fukuisaurus tetoriensis の体長は4.5メートルとしています。 

 記載論文では、ハドロサウルス類には属さないイグアノドン類(non-hadrosaurid iguanodontian)とされたはずですが、ここでは、基盤的ハドロサウルス類(Hadrosauroidea)とされています。

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 丹波や鳥羽などで日本の6箇所で発見された竜脚類の歯の化石について、比較した論文が報告されています。

 単離した歯なので種類まではわかりませんが、白亜紀前期(Aptianより前)には、基盤的ティタノサウルス形類がいたのではないかとされています。ブラキオサウルス類(Brachiosauridae)が含まれている可能性も示唆しています。

 

 白亜紀前期の竜脚類の主な系統としては、新竜脚類(Neosauropoda)のうち、テイタノサウルス形類とディプロドクス類が考えられます。

 そのうち、ティタノサウルス形類とすれば、テイタノサウルスが分岐したのが、Aptian とされていますから、今回の歯の主としてはもっともなことでしょう。もうひとつの系統、ディプロドクス類の歯の可能性についても考察されています。 

 

 下は、今回分析された歯の化石の一部。

 Aは鳥羽(松尾層群)、BとCは小久(いわき、双葉層群)、DとEは丹波(篠山層群)で発見された歯の化石。その他に、論文から、瀬林(群馬、山中層群)、桑島と北谷(手取層群)のあわせて6箇所で発見された化石を分析しています。

 時代的には、鳥羽と瀬林、桑島に北谷が白亜紀前期(Aptianより前)で、丹波が Aptian から Cenomanian 、いわきが白亜紀後期(late Coniacian)です。

 "peg-like"とされていますが、丹波の歯はかなり長くて細いですね。 丹波では、竜脚類の歯は26本見つかっており、いずれもテイタノサウルス形類のものとされています。

 

saegusa_2011.jpg

 

 参考:アンゴラ初の恐竜化石、アンゴラティタンは残存種 (竜脚類の系統関係)

    歯だけの新種の危うさ

 

 

References:


  1. HARUO SAEGUSA and YUKIMITSU TOMIDA, 2011
  2. Titanosauriform teeth from the Cretaceous of Japan
  3. Anais da Academia Brasileira de Ciências (2011) 83(1): 247-265
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フクイサウルスの幼体か

 勝山市北谷町にある白亜紀前期(約1億2000万年前)の地層から、イグアノドン類とみられる化石が発見されたそうです。

 時事通信によると、孵化から数週間ほどの化石で、フクイサウルスの幼体の可能性が高いとか。
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 勝山市の北谷で発見されたイグアノドン類(Iguanodontian)が、フクイサウルス(Fukuisaurus tetoriensis)として新種記載されました。
 かつて、歯につけられていた名称(慣用名)ですが、正式記載されました。DINOSAUR Mailing List では久しぶりの名称復活にちょっと話題になっています。

 

  1. A NEW IGUANODONTIAN (DINOSAURIA: ORNITHOPODA) FROM THE LOWER CRETACEOUS KITADANI FORMATION OF FUKUI PREFECTURE, JAPAN
  2. YOSHITSUGU KOBAYASHI, YOICHI AZUMA
  3. Journal of Vertebrate Paleontology, 23(1), p. 166, 2003

 

 フクイサウルスのいくつかの特徴は、イグアノドン、オウラノサウルス、アルチリヌス(Altirhinus)に類似しているそうです。

 主に頭蓋骨の特徴による系統解析から、フクイサウルスは、ハドロサウルス類には属さないイグアノドン類(non-hadrosaurid iguanodontian)であり、イグアノドンとオウラノサウルスよりなるクレード(分類群)よりも、アルチリヌスやプロバクトサウルス、エオランビア(Eolambia)などよりなるより基盤的なクレードであることを示唆するとしています。

  広義のイグアノドン類(Iguanodontian)の、より原始的な種類のようです。Dinosauriconでは、スティラコステルナ(Styracosterna)に位置付けられています。

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カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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