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 ルーマニアの白亜紀の恐竜化石といえば、島で小型化した特殊な形態が有名ですが、白亜紀の最初期の大陸塊領域の恐竜についてはほとんどど知られていません。

 今回、ルーマニアにある白亜紀前期の地層で、1世紀以上前に発見されたカルカロドントサウリダエとされる歯の化石について報告されています。

 年代は、世界的にも恐竜化石の発見が少ないバランギニアン(1億3980万?1億3290万年前)で、このクレードとしては最古の化石記録とされています。

 定量的な分析によると、派生的なカルカロドントサウリダエであるカルカロドントサウリナエ(亜科)とされています。 

 カルカロドントサウリナエは、今まで、ゴンドワナからしか見つかっていません。

 今回の発見から、カルカロドントサウリダエの起源はヨーロッパで、白亜紀中期から後期にかけて、ヨーロッパからゴンドワナ西部に放散したのではないかとされています。

 ゴンドワナのカルカロドントサウリダエ としては、パタゴニアにある白亜紀前期・アプティアン(約1億2500-1億1200万年前)の地層から、ティラノティタン・チュブテンシス(Tyrannotitan chubutensis)が見つかっています。  

 このあたり、ティラノティタン/新種のカルカロドントサウリダエ(2005年4月)で紹介しています。




  1. References:
  2.  
  3. Zoltán Csiki-Sava, Stephen L. Brusatte & Stefan Vasile (2016) 
  4. "Megalosaurus cf. superbus" from southeastern Romania: The oldest known Cretaceous carcharodontosaurid (Dinosauria: Theropoda) and its implications for earliest Cretaceous Europe-Gondwana connections. 
  5. Cretaceous Research 60: 221-238 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.12.004
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 2足歩行に、短い前肢、足には2つのカギヅメ、そして長い尾・・・、これだけを見ると、だれもこれが鳥類(アヴィアラエ、Avialae)とは思わないでしょうね。

 図は、バラウル・ボンドック(Balaur bondoc)の復元骨格図(Andrea Cau et al., 2015)です。白い部分が発見されている骨格です。

 今まで、ドロマエオサウリダエとされていた小型の獣脚類ですが、派生した鳥類のような特徴が見られることから、再解析した論文が報告されています。

 その結果、バラウルは、アヴィアラエの位置づけが最適とされています。 いわゆる鳥類ですね。

 始祖鳥よりは現生鳥類に近く、ピゴスティリア(Pygostylia)に近縁ですが、その外群です。二次的に飛ばなくなったタクソンとして、尾の長い鳥類の多系統の集合体とされています。  


 また、今回の結果から、ドロマエオサウリダエに似たタクソンは、二次的に飛べなくなった仲間ではないかと考えられています。 

  こういう考えは、1988年にグレゴリー・ポールが提唱したのですが、最近の系統解析では何度か否定されてきた経緯があります。

 今回、再度、提唱されているわけですが、鳥類に進化する途中のタクソンと、逆戻りするようなタクソンが混在するとややこしいですね。  




Balaur bondoc.jpg
 バラウルといえば、特異なドロマエオ/ルーマニアのBalaur(2013年2月)で紹介していますが、非常によく保存され、白亜紀後期のヨーロッパからの最も完全な獣脚類化石とされています。

 しかし、頭部や尾など、意外と見つかっていない部分が多いですね。 白亜紀後期のヨーロッパは、この程度なのでしょうか。

 当時のヨーロッパは、多島海であり、飛ぶ必要がなくなったのか、図のように短くなった前肢は、中生代鳥類が島環境に適応した最も説得力のある証拠のひとつとされています。  


 ドロマエオサウリダエとする位置づけは、最適以下の選択肢とはなったのですが、拒否はされなかったようです。    

 ドロマエオサウリダエと解釈すると、純肉食性(hypercarnivorous、70%以上が肉食)の捕食者で、当時の島固有種という影響を受けて特殊な形態として存在したとされています。  

 しかし、ドロマエオサウリダエ様の生態とするには、第3機能指の消失、ドロマエオサウリダエとは異なる蝶番タイプではない第2、第3中足骨の遠位端など、バラウルのいくつかの形態と矛盾するとしています。  

 逆に、その形態からは雑食性の生態が考えられ、アヴィアラエとする系統学的配置と一致するというわけです。  

 今回の再解釈から、表面的に、ドロマエオサウリダエ様のタクソンは、小型でおそらく飛行できた祖先から進化し、大型化し陸上を歩いた子孫ではないかとしています。


  1. References:
  2.  
  3. Andrea Cau, Tom Brougham & Darren Naish (2015) 
  4. The phylogenetic affinities of the bizarre Late Cretaceous Romanian theropod Balaur bondoc (Dinosauria, Maniraptora): dromaeosaurid or flightless bird? 
  5. PeerJ 3:e1032 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.1032
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 白亜紀後期の地層で、小型から中型の翼竜が少ないのは、進化のトレンドを示すとされてきました。

 今回、ルーマニアのハテグ島にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)の地層で発見された、中型の翼竜の頚椎について報告されています。

 がっしりとした第四頚椎で、アズダルキダエ(Azhdarchidae)の系統の新種のようですが、命名されていません。

 ヨーロッパ初のタラソドロミナエ新種翼竜(2014年7月)で紹介しているように、ハテグ島動物相には、より小型の翼竜は実際に存在しており、小型種は化石として保存されにくく標本が少ないため、過小評価されているのだとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Mátyás Vremir, Mark Witton, Darren Naish, Gareth Dyke, Stephen L. Brusatte, Mark Norell, and Radu Totoianu (2015) 
  4. A Medium-Sized Robust-Necked Azhdarchid Pterosaur (Pterodactyloidea: Azhdarchidae) from the Maastrichtian of Pui (Hateg Basin, Transylvania, Romania). 
  5. American Museum Novitates 3827: 1-16 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1206/3827.1
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 白亜紀後期、現在のルーマニアにあるトランシルヴァニア地方は、ヨーロッパ南東部にある島で、いわゆる島の法則で、恐竜などは矮小化していました。

 このあたりは、ハテグ島の新しい恐竜化石産地/ルーマニア(2014年4月)などで紹介しています。この島、翼竜も小型種が生息していたようで、Thalassodromeus 属の新種、T. sebesensis が記載されています。

 タペジャリダエ(タペジャラ類)の系統で、ヨーロッパでは初めてとなるタラソドロミナエ (thalassodrominae、タラソドロメウス亜科)の小型翼竜です。

 花の蜜を吸っていたのでしょうか、今回の発見から、タペジャリダエと顕花植物が共進化したことが、より裏付けられるとされています。 


 ハテグ島にある白亜紀後期(マーストヒリチアン)の地層からの発見で、ブラジルで見つかっているアプチアンのThalassodromeus sethi からは、4200万年かけ離れています。

 小型の翼竜であり、大型のアズダルコイダエ(アズダルコ類)とは競合しなかったと考えられています。  

 この島生態系での、今回の翼竜の存在は、白亜紀後期、この島に生息する動物相が、通常とは異なっていたことを示すとされています。



  1. References:
  2.  
  3. Gerald Grellet-Tinner & Vlad A. Codrea (2014) 
  4. Thalassodromeus sebesensis, an out of place and out of time Gondwanan tapejarid pterosaur. 
  5. Gondwana Research (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1016/j.gr.2014.06.002
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 ルーマニアトランシルヴァニア地方といえば、特異的に矮小化し小型な恐竜化石が見つかることで有名です。 白亜紀後期、多島海に浮かぶ島々の一つ(ハテグ島)だったためと考えられています。

 今回、カンパニアン後期からマーストリヒシアン初期の新しいサイトについて報告されています。

 見つかっている翼竜や恐竜化石は、カンパニアン後期に形成されたとされるハテグ島では最古とされています。

 個別の化石の報告はないようですが、これまで見つかっているより後期の動物相とは少し異なっているとされています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Mátyás Vremir, Ramona Balc, Zoltán Csiki-Sava, Stephen L. Brusatte, Gareth Dyke, Darren Naish & Mark A. Norell (2014) 
  4. Petresti-Arini--An important but ephemeral Upper Cretaceous continental vertebrate site in the southwestern Transylvanian Basin, Romania. 
  5. Cretaceous Research 49: 13-38 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2014.02.002
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 現在のルーマニアにあるトランシルヴァニア地方は、白亜紀後期当時はヨーロッパ南東部にある島で、いわゆる"island rule(島の法則)"で、恐竜は矮小化していました。

 このあたり、「Transylvanian Dinosaurs」/矮小化した島の恐竜(2011年11月)で紹介しています
 
 トランシルヴァニア盆地からのアンキロサウルス類としては、ノドサウルス類の Struthiosaurus transylvanicus が知られています。

 今回、白亜紀後期の地層(マーストリヒシアン)の地層で発見された新しい標本が報告されています。

 小型なのは、竜脚類のマジャーロサウルス(Magyarosaurus dacus)で議論されているような、島の法則で説明できるとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Attila Osi, Vlad Codrea, Edina Prondvai & Zoltán Csiki-Sava (2014) 
  4. New ankylosaurian material from the Upper Cretaceous of Transylvania. 
  5. Annales de Paléontologie (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.annpal.2014.02.001
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 ルーマニアにある白亜紀後期(7100万年-6600万年前)の地層で発見されたドロマエオサウルス類、 Balaur bondoc (バラウル・ボンドック)について、アメリカ自然史博物館紀要に報告されています。 100ページもあり、フリーのpdf があります。

 2010年に記載され、第1指にも第2指と同じようなカギヅメがあるのが特徴です。当時のルーマニアは、多島海に浮かぶ島々で、特に"Hateg 島"と呼ばれるような島環境で矮小化したためか、2メートルほどと小型です。

 このモノグラフでは、ホロタイプの追加のプレパレーションにより、バラウルが、ヴェロキラプトルに近い、異様で、派生的なドロマエオサウルス類であるという更なる証拠を示しています。

 一方、白亜紀後期のローラシアにみられる派生的なドロマエオサウルス類にかなり近いとされ、島という環境で特殊に進化したのかどうか、議論されています。

 
 バラウルの特徴は、著しく変形した四肢骨格、ずんぐりと重い癒合した遠位の後肢、2セットある過伸展した足ヅメ、癒合し退縮した手です。  
 これらは、派生的なコエルロサウルス類には見られない特徴とされています。 

 また、別の場所から、ホロタイプより50%ほど大きい標本が見つかっているそうです。組織学的に、ホロタイプとこの標本は成熟した成体とされ、大きい標本は、Balaur sp.とされています。  

 系統的に、バラウルは、白亜紀後期のローラシアのタクサにかなり近い派生的なドロマエオサウルス類とさ れています。  

 このことから、ルーマニアの島における動物相が、長期間、地理的な固有性を保っていたという以前の仮説とは矛盾するとしています。  
 一方、特異な姿は、現生や最近絶滅した哺乳類に似ており、これは、"島効果"ではないかとの議論もあります。


 
  1. References:
  2.  
  3. Stephen L. Brusatte, Mátyás Vremir, Zoltán Csiki-Sava, Alan H. Turner, Akinobu Watanabe, Gregory M. Erickson, and Mark A. Norell (2013) 
  4. The Osteology of Balaur bondoc, an Island-Dwelling Dromaeosaurid (Dinosauria: Theropoda) from the Late Cretaceous of Romania. 
  5. Bulletin of the American Museum of Natural History Number 374 :1-100 
  6.  (AMNH(pdf)
  7. doi: http://dx.doi.org/10.1206/798.1
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 ルーマニアにある白亜紀後期の地層で発見された新種の翼竜が記載され、Eurazhdarcho langendorfensis と命名されています。 Scientific American(blog) で、ダレン・ナイシュが紹介しています。

 系統的には、大型種が含まれるアズダルコ類とされていますが、翼開長は3メートルほどと中型です。

 既に発見されている Hatzegopteryx thambema(ハツェゴプテリクス)という最大級の大型種と一緒に棲んでいたようです。

 アズダルコ類については、陸上をうろつく動物(terrestrial stalkers)とする論文も報告されていますが、今回の論文も、かつて考えられていたような海辺ではなく、氾濫原などの陸上環境に棲んでいたとしています。


 見つかっているのは、部分的に関節した一部で、頭部はありません。しかし、翼竜の化石は保存されにくク、見つかっても断片的なのか、アズダルコ類としては、ヨーロッパでは最も完全な化石とされています。  

 中央アジアやモンゴルで発見されている lancicollis Nessov に類似しているそうですが、2000万年ほど、若いそうです。  

 サイズの異なるアズダルコ類が、恐竜や他の脊椎動物化石と一緒に発見されていることから、アズダルコ類は、氾濫原や樹木が茂った場所、低木地帯といった陸上環境に棲んでいたことを示すとされています。
 
 


  1. References:
  2.  
  3. Mátyás Vremir, Alexander W. A. Kellner, Darren Naish & Gareth J. Dyke (2013)
  4. A New Azhdarchid Pterosaur from the Late Cretaceous of the Transylvanian Basin, Romania: Implications for Azhdarchid Diversity and Distribution. 
  5. PLoS ONE 8(1): e54268. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0054268
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 当時、多島海に浮かぶ島々の一つで、棲んでいた恐竜が小型なことで知られるルーマニア産の恐竜、その卵化石について報告されています。  

 "島効果(island effect)"に対する生殖適応について議論されています。卵の特徴には変化はなく、卵の数を減らすことで、小型化に適応していたようです。 


 白亜紀後期(Maastrichtian)の地層(Sanpetru Formation)から発見されたもので、派生したティタノサウルス類であるリソストロティア類(lithostrotian)とされています。 この種の小型恐竜としては初めての完全な卵化石だそうです。  

 大陸の恐竜と卵の特徴は似ており、生殖の型はかなり保守的であったとされています。 ただ、巣あたりの卵の数は減っており、これは島効果によってより小型化していたことへの適応とされています。  

 当時、ティタノサウルス類がこのあたりを通って行ったようで、ヨーロッパの多島海とアジアの間には、白亜紀遅くまで、時々は陸続きとなる陸橋があったことが示唆されています。



  1. References:
  2.  
  3. Grellet-Tinner G, Codrea V, Folie A, Higa A, Smith T (2012) 
  4. First Evidence of Reproductive Adaptation to "Island Effect" of a Dwarf Cretaceous Romanian Titanosaur, with Embryonic Integument In Ovo. 
  5. PLoS ONE 7(3): e32051. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0032051
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白亜紀後期初の鳥のコロニー

 ルーマニアにある白亜紀後期の地層で、白亜紀後期としては初めてとなる鳥の巣コロニー(nest colony)の化石が発見されたそうです。

 エナンティオルニス類(enantiornithines)の集団繁殖地とされています。歯がある絶滅した鳥類です。MSNBC の復元イラスト(Gansus yumenensis)は、一見水鳥のようですが、クチバシは鋭いですね。

 

 北西部にあるトランシルヴァニア地方で発見され、SVP年会で報告されました。  

 当時、ルーマニアは広い島で、水辺に巣やコロニーを作り、水生動植物を食べていたと考えられています。幼鳥化石が発見されている状況から、突然の洪水で埋もれたようです。 

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