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 オウムガイ類に残されたモササウルスの噛み跡について報告されています。

 白亜紀後期の北米の海では、アンモナイトはありふれた存在で、モササウルスはその補食者だったとされています。

 しかし、オウムガイは稀なこともあり、それを捕食したとする報告はないそうです。現生のオウムガイから推定すると、深海や海底に生息していたためと考えられています。

 ここでは、小型のモササウルスのエサとなったオウムガイ、Eutrephoceras dekayi の標本が示されています。
 


  1. References:
  2.  
  3. Erle G. Kauffman & Jordan K. Sawdo (2013) 
  4. Mosasaur predation on a nautiloid from the Maastrichtian Pierre Shale, Central Colorado, Western Interior Basin, United States. 
  5. Lethaia 46(2): 180-187 
  6. DOI: 10.1111/j.1502-3931.2012.00332.x



 植物連鎖の関係(植物網)から、北米大陸での白亜期末の巨大隕石衝突の影響について、解析した論文が報告されています。 

 隕石衝突前に、恐竜が衰退していたという証拠はなく、逆に多すぎる恐竜が、絶滅しやすい環境を作っていたのではないかとされています。Newswise が紹介しています。


 北米大陸における、陸生の10箇所のカンパニアン地域(衝突前の1300万年間)と、7箇所のマストリヒシアン地域(衝突の200万年間)について調べ、隕石の影響による混乱が、食物網を通じてどのように広がるかをコンピュータによりシミュレーションしたもの。 

 北米大陸の一部をカバーしていた浅い海が干上がったことが、一番大きな環境への影響だったとされています。

 白亜期末のマストリヒシアンのコミュニティは、カンパニオンに比較して、植物の生産性(一次生産性)が低いため、植物食恐竜が二次的に危機にさらされ、絶滅しやすい環境だったとされています。  

 注目すべきは、恐竜が豊富になったことが、マストリヒシアンの生態系に ネガティブインパクトを与えたとされています。  




  1. References:
  2.  
  3. ?Jonathan S. Mitchell, Peter D. Roopnarine, and Kenneth D. Angielczyk (2012) 
  4. Late Cretaceous restructuring of terrestrial communities facilitated the end-Cretaceous mass extinction in North America. 
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) 
  6. doi: 10.1073/pnas.1202196109



 白亜紀後期の北米大陸で、大型植物食恐竜の多様性が顕著に増加したのは、西部内陸盆地におけるダイナミックな造山活動が原因とする論文が報告されています。

 白亜紀中期から後期にかけて、北米大陸は内海によって東西2つに分断されていました。東のアパラチア大陸と西のララミディア大陸です。

 やがて、白亜紀後期から新生代にかけて、北米大陸では、ララミー造山運動が起き、ロッキー山脈などが形成されました。

 系統解析による種の分岐年代などから、大型の角竜類やハドロサウルス類は、造山運動が盛んになったころから、その多様性が増加していったと分析されています。  

 造山活動により、内陸盆地内のそれぞれが隔離される状態となり、限られた地域で急速に多様化が進んだようです。  

 


  1. References:
  2.  
  3. Terry A. Gates, Albert Prieto-Márquez & Lindsay E. Zanno (2012) 
  4. Mountain Building Triggered Late Cretaceous North American Megaherbivore Dinosaur Radiation. 
  5. PLoS ONE 7(8): e42135 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0042135



 「Dinosaurs of the Lost Continent(失われた大陸の恐竜)」は、ScientificAmericanの記事です。イラストは、2010年9月に報告された角竜、Kosmoceratops richardsoni (コスモケラトプス)です。 

 最近の発見から、かつて北米にあったララミディア大陸の南と北では、異なる恐竜コミュニティがあったというような話です。いずれ、日経サイエンスでも紹介されるでしょう。   


 白亜紀中期から後期にかけ、海進により、北米大陸は2つの大陸に分断されていました。 西のララミディア(Laramidia)大陸と東のアパラチア(Appalachia)大陸です。 

 1980年代、ララミディアでは、数百年にわたり南と北で個別の恐竜のコミュニティがあったとされていました。しかし、大型動物が地域を棲み分けていたことに、批判もあったようです。

 記事によると、過去10年にわたるユタ州南部における発見から、北と南で異なる恐竜コミュニティがあったとする説が有力になってきているそうです。



アナトティタンが消える?

 トリケラトプスとトロサウルスが同じ種とする論文が話題になりましたが、今度は、アナトティタンはエドモントサウルスと同一種とする論文が報告されています。

 ただ、地味なハドロサウルス類だけに、トリケラトプスと比べてほとんど話題にはなっていません。

 また、北米では、ハドロサウルス類を含めて、白亜紀末にかけて、巨大隕石が衝突する前から、恐竜の多様性が減少していったとしています。

 

 23個の、今までに発見されている全てのエドモントサウルスの頭部を、詳細な形態計測的解析(morphometric analyses)で分析し、その成長とバリエーションについて考察したもの。

 その結果、5種は2種に絞り込まれ、Edmontosaurus regalis (カンパニアン後期)と、 E. annectens (マーストリヒチアン後期) だけが有効種としています。

 他は、成長段階の異なる個体としています。つまり、Thespesius edmontoni は、E. regalis の小型の個体としています。また、E. saskatchewanensisAnatotitan copei は、それぞれ、 E. annectens の若い個体と老いた個体としています。

 ちなみに、EdmontosaurusE. regalis)の記載は1917年、Anatotitan copei は、1990年です。

 

 また、北米では、ハドロサウルス類の多様性と不均衡(disparity)は、減少したとしています。

 角竜も同じパターンで、白亜紀末にかけて、巨大隕石が衝突する前に、恐竜の多様性が減少していったとしています。

 

 図は、5種のエドモントサウルスの頭部のタイプ標本。スケールは20センチ。

 有効種は下線で示しています。一見ずいぶん違うようですが、さらにその下の図で、エドモントサウルスの成長段階の違いを見るとわかります。

  1. Thespesius edmontoni (CMN 8399)
  2. Edmontosaurus regalis (CMN 2288)
  3. Edmontosaurus saskatchewanensis (CMN 8509)
  4. Edmontosaurus annectens (YPM 2182)
  5. Anatotitan copei (AMNH 5730).

 

edmontosaur_taxa.jpg 下図は、有効種とした残った2種の成長段階の違いによるエドモントサウルスの頭部。スケールは20センチ。

 左から右へと成長しています。

 

 

Edmontosaurus_growth_series.jpg

 

  1. References:
  2. Nicolás E. Campione, David C. Evans, 2011
  3. Cranial Growth and Variation in Edmontosaurs (Dinosauria: Hadrosauridae): Implications for Latest Cretaceous Megaherbivore Diversity in North America
  4. Plos One 6(9): e25186
  5. doi:10.1371/journal.pone.0025186



 ユタ州にある白亜紀後期(late Campanian、約7500万年前)の地層(Kaiparowits Formation)で発見された新種のトロオドン類が記載されています。Science Daily などが伝えています。

 学名は、Talos sampsoni で、属名はギリシャ神話に登場するクレタ島に棲む青銅の巨人"Talos"から。また、"talon"には英語で、"鋭くフックしたツメ(sharply hooked claw)"の意味があります。

 神話の巨人と命名しながら、成体は推定体長2メートルで、体重は38kgと、トロオドンより小さいとされています。

  

 図は、Talos sampsoni の復元イラスト。北米で発見されているトロオドン類では最も完全な化石のひとつとされていますが、発見されたのは赤い部分(腰と両足など)だけです。

 不明な箇所は、 Troodon formosus Saurornithoides mongoliensis に基づいて復元されています。

 系統的には、派生的なトロオドン類の位置づけです。

 

 

Talos_sampsoni.jpg

 

 下の図は関節した左足。

 第II指の指節骨は先端に向かい、PII-2、PII-3(カギヅメ)の合計3個からなります。第III指(DIII)には4個、第IV指(DIV)には5個あります。

 赤く示したように、カギヅメとして使っていた足の指(第II指の第1指節骨)には折れたような外傷の痕があります。

 ミクロCTスキャンで調べたところ、感染症にかかり長い間わずらっていた証拠が残っているそうです。

 カギヅメだったこの指は傷つきやすく、仲間同士のバトルか獲物を狙ったときに負傷したのではないかとされています。

 また、足跡化石からもわかるように、体重もそれほどかからなかったのではないかとされています。怪我をしても歩くにはそれほど影響が無かったのでしょう。

 

 

 

Talos_sampsoni_pes.jpg

 

 References:

  1.  
  2. Lindsay E. Zanno, Varricchio DJ, O'Connor PM, Titus AL, Knell MJ , 2011
  3. A New Troodontid Theropod, Talos sampsoni gen. et sp. nov., from the Upper Cretaceous Western Interior Basin of North America
  4. PLoS ONE 6(9): e24487.
  5. doi:10.1371/journal.pone.0024487



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

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