Dinosaur Park Formation(アルバータ)の最新ニュース

 カナダ・アルバータ州の恐竜州立公園にある白亜紀後期の地層(Dinosaur Park Formation)で発見されたカスモサウリナエ(亜科)の幼体化石について報告されています。

 世界で初めての、ケラトプシアの幼体の完全な骨格と、アルバータ大が紹介しています。SVPでも紹介されています。

 系統的には、基盤的なカスモサウリナエとされていますが、幼体だけに、種の同定には至っていません。

 3月に科博で開催される「大恐竜博2016」で展示される予定で、日本では、脳函などのCTスキャン解析も行われるようです。

 体長は1.5メートルで、前肢と肩帯、尾の末端が無いだけの関節した全身骨格です。皮膚印象も残され、それらは、成体と似ているそうです。  

 短くて背の高い頭蓋骨には、幅の狭い、後部が湾状にくぼんだ形態(embayment)がないフリルを持っています。




  1. References:
  2.  
  3. Philip J. Currie, Robert B. Holmes, Michael J. Ryan & Clive Coy (2016) 
  4. A juvenile chasmosaurine ceratopsid (Dinosauria, Ornithischia) from the Dinosaur Park Formation, Alberta, Canada. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication)  PDF(全文)
  6. DOI:10.1080/02724634.2015.1048348
----------  コメント(0)



 現生鳥類では、膝と腹部を結ぶ皮膜(skin web)があります。関節部分で、皮膚をより伸縮させることで、移動性を高めているようです。

 今回、オルニトミムス属でも、非鳥類型恐竜では初めてとなる皮膜が報告されています。復元イラスト等は、修正が必要になりそうですね。アルバータ大が紹介しています。

 鳥類とはやや異なり、大腿骨の中間あたりから腹部にかけての皮膜で、大腿前部皮膜(anterior femoral web)と区別されています。


 また、保存状態の良い羽毛を含む外皮構造も確認されています。現生のダチョウに似ており、体温調節に使ったようです。

 特に、尾に広範囲のダウン状の羽毛(plumaceous feathers)があり、尾に羽毛のあるオルニトミミダエ(科)は初めてとされています。


 図は、復元図(Aaron J. van der Reest et al., 2015 Artwork: Julius Csotonyi )。大腿骨の中間あたりから腹部にかけて、皮膜が描かれています。

 また、体から尾、足の一部に、びっしりと密なダウン状の羽毛があります。なお、頭部や前肢は見つかっておらず、別標本からの推定です。



Ornithomimus.jpg

 2009年に、アルバータにある白亜紀後期の地層(Dinosaur Park Formation)で、部分的に関節した化石標本(UALVP 52531)が見つかったもの。

 種名が不明の、オルニトミムス属の1種(Ornithomimus sp.)とされています。  

 尾の羽毛は、体部よりやや細長いとされています。なお、尾の下側と後足の大腿骨の中央から遠位の半分に羽毛はありません。  

 全体的に、羽毛パターンは、ダチョウ(Struthio camelus)や走鳥類(Palaeognathae)と同様とされ、その機能は体温調節の可能性が高いとされています。  

 また、足の周囲には、体の輪郭も残され、大腿骨の中間あたりから腹部にかけての皮膜(大腿前部皮膜)も確認されています。

 こういう軟組織は、非鳥類型恐竜では初めてとされています。  

 このことから、オルニトミムスの休息時の大腿骨の位置は、たいていの獣脚類よりは、前腹側だったと考えられています。  こういった姿勢は、鳥類への移行段階だったようです。




  1. References:
  2.  
  3. Aaron J. van der Reest, Alexander P. Wolfe & Philip J. Currie (2016) [2015] 
  4. A densely feathered ornithomimid (Dinosauria: Theropoda) from the Upper Cretaceous Dinosaur Park Formation, Alberta, Canada 
  5. Cretaceous Research 58: 108-117 
  6. doi:10.1016/j.cretres.2015.10.004
----------  コメント(0)



 動物の下アゴの筋肉は、歯よりも奥にあって、てこの支点となる関節に近いため、筋肉で加えられた力は、先端にある歯ではより小さな力となります。

 しかし、今回、一部の大型植物食恐竜のアゴには、特徴的な仕組みがあり、強い噛む力(咬合力)だったとする論文が報告されています。

 カナダにあるダイナソーパーク層で発見された恐竜について、下顎の生体力学的なてこのモデルを作り、下顎内転筋組織を再構築し、相対的な咬合力を系統的に推論したもの。

 その結果、特に、アケラトプシダエ(ケラトプシア科)とハドロサウリダエ(ハドロサウルス科)の特徴的なアゴには、筋肉の力を強める顕著な仕組みがあり、内転筋組織の力を2-3倍増強した咬合力だったとされています。


 図は、ケラトプシアの下顎のてこシステムを図解したもの(Jordan C. Mallon, 2015)。 筋肉のつく鈎状特機の位置を高くし、下アゴの関節位置を下げることで、筋肉の力を強めています。

 
ceratopsid mandibular lever system.jpg

 


 作用点に働く噛む力はSで、力点に働く筋肉の力はFで、支点は▲で示されています。

 第3種てこであり、支点から近い力点に加えられた力は、支点から遠い作用点においては常により小さな力(大きな動き)となります。  

 しかし、図では、筋肉が付着する鉤状突起を発達させて高くし、力点を上に上げ、また、下アゴの関節位置を下げて、支点を下げています。  

 こうすることによって、支点から作用点への距離( a+e' )はほとんど変わらずに、支点から力点への距離(m)が長くなり、より小さな筋肉の力で、大きな力を生み出すことが可能になるのです。   

 アンキロサウリアやケラトプシダエ、ハドロサウリダエでは、これらの特徴が見られ、特に、ケラトプシダエとハドロサウリダエでは顕著だったとされています。

 アンキロサウリアの鉤状突起は低く、咬合力は弱かったのです。

 これらのアゴのメカニズムは、それぞれ独立系統で、段階的に進化したと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallon & Jason S. Anderson, 2015 
  4. Jaw mechanics and evolutionary paleoecology of the megaherbivorous dinosaurs from the Dinosaur Park Formation (upper Campanian) of Alberta, 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology, 35(2) 
  6. DOI:10.1080/02724634.2014.904323
----------  コメント(0)



 T.rex の共食いの証拠(2010年10月)で紹介していますが、大型肉食恐竜の共食いについての報告は、何例かあります。

 今回、カナダ・アルバータ州にある白亜紀後期の地層(Dinosaur Park Formation)で発見されたティラノサウリナエ(亜科)、ダスプレトサウルス(Daspletosaurus)で見つかった噛み痕について報告されています。

 先のT.rex の例は、死んだ後に食いついたのか戦いの結果なのか不明だったのですが、今回は生前と死後の2つの痕が残されています。


 全長6メートルほどの亜成体化石で、頭部や下顎には多数の治癒した証拠が残る傷が残され、種の内部で争ったのではないかとされています。  

 また、下アゴに残された死後の損傷は、死体が食べられたことを示し、他の標本の状況から、単純に腐食が食べられたというより、共食い的なスカベンジとされています。  

 これは、ティラノサウリダエの共食いの新たな証拠とされています。



  1. References:
  2.  
  3. D.W.E. Hone & D. Tanke (2015) 
  4. Pre- and postmortem tyrannosaurid bite marks on the remains of Daspletosaurus (Tyrannosaurinae: Theropoda) from Dinosaur Provincial Park, Alberta, Canada. 
  5. PeerJ 3:e885 
  6. doi: https://dx.doi.org/10.7717/peerj.885
----------  コメント(0)



 恐竜が場所によって異なる分布をしていたのは、地理的な障壁や生えていた植物の違いなどの影響と考えられがちです。

 しかし、今回、恐竜の固有性は、種の競合によるのではないかとする論文が報告されています。時代や地域、また、植物食恐竜に限られる話かもしれませんが。

 論文自体は、カナダ南部、アルバータ州にある白亜紀後期(カンパニアン後期)の地層(Dinosaur Park Formation)で発見された2種の角竜を記載したもの。

 5本のツノがあったペンタケラトプス属と、フリルも含めると15本ものツノがあったコスモケラトプス属の新種です。

 
 2つの新種の一つめは、2つのフリルの断片が見つかっている、Pentaceratops aquilonius です。 Pentaceratops sternbergii Utahceratops gettyi とは異なり、それらからなるクレードの姉妹群の位置づけです。  

 2つめは、Kosmoceratops 属の新種で、以前カスモサウルスとされていた部分的な頭部です。系統的に、Kosmoceratops richardsoni とは姉妹群とされています。  

 今回の発見で、カンパニアン当時のカナダで北部と南部で動物相が異なっていたという説に異論を唱える結果だとされています。  しかし、南部とは異なる種であることから、その固有性は高かったとされています。  

 北米大陸において、恐竜が長い距離にわたって分散できたことから、恐竜の分布は、地理的な障壁や気候または植物相によって制約されなかったとされています。  

 それにかわり、恐竜の固有性は、地域の環境条件に適応し確立した集団による、移り渡ってきた集団を競合的に排除することから生じると考えられています。




  1. References:
  2.  
  3. Nicholas R. Longrich (2014) 
  4. The horned dinosaurs Pentaceratops and Kosmoceratops from the upper Campanian of Alberta and implications for dinosaur biogeography. 
  5. Cretaceous Research 51: 292-308 
  6. DOI: 10.1016/j.cretres.2014.06.011
----------  コメント(0)



 巨大植物食恐竜は、食べる植物量が大量なだけに、共存するには棲み分ける必要がありました。

 たとえば、クチバシの形態を変化させることで、食べる植物など、給餌スタイルを変え、共存できたとされています。

 今回、白亜紀後期、北米にあったララミディアの島大陸において、クチバシの形態の違いが、どの程度恐竜たちの共存を促進したのか調べた論文が報告されています。


 カナダにある白亜紀後期のダイナソーパーク層で発見された巨大植物食恐竜をモデルとし、線形及び幾何学的形態計測で解析したもの。  
 
 その結果によると、巨大植物食恐竜は、さまざまな食性スタイルを占めていたとされています。  

 たとえば、幅が広くて正方形のクチバシを持つアンキロサウルスは、以前から考えられていたより、繊維質の植物を食べるバルクフィーダーとされています。  

 逆に、狭い正方形のくちばしを持つ角竜類は、特定の植物を好む集中フィーダ(concentrate feeders)とされています。  また、ノドサウルス類とハドロサウルス類のクチバシは、サイズも形状も中間タイプで、さまざまな植物を食べたようです。  

 以前からの考えに反して、これらの恐竜の中では、給餌スタイルが異なるという証拠はほとんどど見られなかったとしています。


  1. References:
  2.  
  3. Jordan C. Mallon & Jason S. Anderson (2013) 
  4. Implications of beak morphology for the evolutionary palaeoecology of the megaherbivorous dinosaurs from the Dinosaur Park Formation (upper Campanian) of Alberta, Canada. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2013.11.014
----------  コメント(0)



 角竜といえば、成長に伴って、フリルとかが変化することが知られるようになってきました。

 今回、関節した角竜としては最小とされる、カスモサウルスの幼体化石がニュース(Livescience)になっています。SVP年会で、フィル・カリーらが報告しています。

 やはり、フリルは短くて狭いですね。この標本だけだと、別の種のようです。

 しかし、体に対する後ろ足の比率は成体と同程度とされています。 これは、成長しても後ろ足のプロポーションに変化がないことを意味していて、成体はそれほど素早く動けなかったとされています。
 

 ダイナソーパーク層で発見され、前肢以外が見つかっている関節した化石です。幼体といっても、全長は1.5メートルです。

 頭蓋のすべて特徴は、カスモサウルス属(Chasmosaurus sp.)と一致しているとされています。カスモサウルスには2種いて、ニュースでは、Chasmosaurus belli とされていますが、種までは不明のようです。


  1. References:
  2.  
  3. CURRIE, Philip et al, 2013 
  4. THE SMALLEST, ARTICULATED CERATOPSID (DINOSAURIA) 
  5. SVP Program and abstracts, 2013
----------  コメント(0)



 恐竜の体重によって、発見される化石の完全性や状態などが異なるとする論文が報告されています。

 60kg未満の小型恐竜の場合、完全な化石は少なく、大型種に較べて、その多様性や量が過小評価されがちだそうです。

 中生代の古環境を再現する場合は、このようなサイズバイアスを考慮すべきとされています。

 
 カナダ・アルバータ州南部にある白亜紀後期(Campanian)の地層、Dinosaur Park Formation (DPF)で見つかる化石について考察したもの。 

 その結果、生存時の推定体重60Kgではっきりと2分されるとされています。  

 すなわち、60kg以上のタクサの場合、化石の完全性が平均で78.2%であるのに対し、60Kg未満の場合、平均で7.6%だそうです。 また、大型タクサの場合、関節しているのに比べ、小型の場合は、バラバラで見つかります。  

 結果として、大型恐竜の場合は、当時の生物相に近い姿を表すのですが、小型種の場合、その多様性や発見される量が過小評価されがちとされています。  
 
 

  1. References:
  2.  
  3. Caleb Marshall Brown, David C. Evans, Nicolás E. Campione, Lorna J. O'Brien & David A. Eberth (2012) 
  4. Evidence for taphonomic size bias in the Dinosaur Park Formation (Campanian, Alberta), a model Mesozoic terrestrial alluvial-paralic system. 
  5. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (advance online publication) 
  6. Doi:10.1016/j.palaeo.2012.06.027
----------  コメント(0)



カテゴリーの系統関係は、概要です。詳しくは、脊椎動物の系統関係をどうぞ
 

2016年5月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アーカイブ


カテゴリ  ▼(広げる)▲(たたむ)