Hell Creek Formation(Maastrichtian), モンタナの最新ニュース

トロサウルスの新標本

 やはり別の種/トロサウルスとトリケラトプス(2013年11月)などで紹介していますが、トロサウルスとトリケラトプスの議論は続いています。
 トロサウルスは成長したトリケラトプスで両者は同一種なのか、それとも、異なる種なのか、という話です。

 今回、モンタナにある白亜紀後期のヘルクリーク層で発見されたトロサウルス(Torosaurus latus)の新標本について報告されています。

 最も保存状態の良い標本の一つとはされていますが、議論に参考となるデータは見つかっていないようです。



  1. References:
  2.  
  3. Andrew T. McDonald, Carl E. Campbell & Brian Thomas (2016) 
  4. A New Specimen of the Controversial Chasmosaurine Torosaurus latus (Dinosauria: Ceratopsidae) from the Upper Cretaceous Hell Creek Formation of Montana. 
  5.   PLoS ONE 11(3): e0151453. 
  6. doi:10.1371/journal.pone.0151453
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 ドラコレックス・ホグワーツィア(Dracorex hogwartsia) といえば、ハリー・ポッター絡みでつけられた学名です。

 しかし、ドラコレックスは、パキィの子?(2007年12月)で紹介したように、パキケファロサウルスの幼体とされていました。

 今回、それを支持するような論文が報告されています。頭部の装飾が成長段階で大きく変化するのは、それらの社会での地位の確認にあったと考えられています。

 モンタナにある白亜紀後期のヘルクリーク層で発見されたパキケファロサウルスの幼体標本から、頭部のドームの後ろにある鱗状骨ノード、頭頂装飾、頬骨表現の初期の発現が確認されたもの。  

 標本は、幼体の最終段階で、最小で、おそらく最も若い個体とされています。

 かなり装飾的な隔壁(septum)形態や独特な縫合線のある頭頂骨は、ドラコレックスのホロタイプとほとんど同じとされています。

 つまり、ドラコレックスは、パキケファロサウルス (Pachycephalosaurus wyomingensis)の幼体というのです。  今回、タクソンに特異的な形態変化に対して、「semaphoront」の代用として、「ontogimorph」という表現が提案されています。  

 パキケファロサウルスの頭骨が成長段階によって異なることは、この「ontogimorph」の視覚的識別で、変化していく生物社会での地位のシグナルであったとされています。


 


  1. References:
  2.  
  3. Mark B. Goodwin & David C. Evans (2016) 
  4. The early expression of squamosal horns and parietal ornamentation confirmed by new end-stage juvenile Pachycephalosaurus fossils from the Upper Cretaceous Hell Creek Formation, Montana. 
  5. Journal of Vertebrate Paleontology (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1080/02724634.2016.1078343
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 5m超では3種めの大型ドロマエオ、ダコタラプトル(2015年11月)で、、ユタ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)のヘル・クリーク層から発見されたドロマエオサウリダエ(科)、Dakotaraptor steini (ダコタラプトル・ステイニ)を紹介しました。
 
 今回、ダコタサウルスのホロタイプは、異なった種が混ざったキメラとする論文が報告されています。

 なお、PrePrints(レビュー前の原稿)で、修正の可能性もあります。

 記載論文で叉骨とされた標本は、ホロタイプも含め3つあるのですが、それらは、スツポン科(trionychidae)のカメの内腹甲(entoplastron、腹側の甲羅)骨というのです。

 こういう間違いは過去にもあって、例えば、ズニケラトプスの 鱗状骨、実は、ノスロニクスの坐骨だったという話(Wikipedia)もあります。
 



  1. References:
  2.  
  3. Victoria M. Arbour, Lindsay E. Zanno, Derek W. Larson, David C. Evans & Hans-Dieter Sues (2015) 
  4. The furculae of the dromaeosaurid dinosaur Dakotaraptor steini are trionychid turtle entoplastra. 
  5. PeerJ PrePrints 3:e1957 
  6. doi: https://doi.org/10.7287/peerj.preprints.1570v1
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 "ラプトル"の名で知られる、ほとんどのドロマエオサウリダエ(Dromaeosauridae、科)は、比較的小型から中型の獣脚類です。

 デイノニコサウリア(Deinonychosauria)の系統であり、鳥類へと進化したアヴィアラエ(Avialae)とは、既にジュラ紀後期に分岐している(分岐図 )のですが、小型化と羽毛は、この系統でも空へとチャレンジしていたようように思えます。

 一方、小数ですが、先祖返りしたような大型種も知られています。「大型」の基準があいまいですが、論文では、4種とあります。推定全長を5メートル超に絞ると、2種ですね。

 今回、ユタ州にある白亜紀後期(マーストリヒチアン)のヘル・クリーク層から、推定全長5.5メートルほどの大型種が発見・記載され、Dakotaraptor steini (ダコタラプトル・ステイニ)と命名されています。

 ヘルクリーク層には、小型のマニラプトラと大型のティラノサウリダエがいたわけですが、ダコタラプトルは、そのギャップを埋めるボディサイズです。

 系統的には、ヘル・クリーク層でもっとありふれたドロマエオサウリダエ、(Dromaeosaurus albertensis)の姉妹群とされ、両者からなる群がユタラプトル(Utahraptor ostrommaysorum )の姉妹群の位置づけです。

 ユタラプトルは、ユタ州にある白亜紀前期(バレミアン、約1億2500万年前)の地層(Cedar Mountain Formation)で発見されており、系統的には近いのですが、時代はずいぶん違います。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起(quill knob)があり、前肢に長い羽毛があった証拠とされています。

 しかし、飛べそうにはない大型種であり、ディスプレイか、二次的に飛ばなくなった羽根の名残りとも考えられます。

 また、大腿骨が脛骨より短めで、そのプロポーションから、走るスピードは速く、大きなカギツメなどとあいまって、手ごわいプレデターだったようです。

 図は、ホロタイプ(PBMNH.P.10.113.T)からの復元骨格。右上は見つかっている部分で、その他は、他の近縁種からの推定です。

Dakotaraptor steini.jpg

 論文はカンザス大が発行するオンライン専用のオープンアクセスの雑誌です。  

 論文で示されている4種の大型ドロマエオサウリダエは以下のとおり。推定全長はWikipedia などから。全長1.5メートルのブイトレラプトルは大型といえるのかどうか、微妙です。


  1. Buitreraptor gonzalezorum (ブイトレラプトル、南米、白亜紀後期、全長1.5メートル)
  2. Deinonychus antirrhopus (デイノニクス、北米、白亜紀前期、推定全長3.4メートル)
  3. Achillobator giganticus (アキロバトル、モンゴル、白亜紀後期、全長5から6メートル)
  4. Utahraptor ostrommaysorum (ユタラプトル、北米、白亜紀前期、全長7メートル)
 
 なお、ユタラプトルの種小名、記載論文ではostrommaysi でしたが、複数形に改められています。  

 図は、ドロマエオサウリダエの分岐図(Robert A. DePalma et al., 2015)。5種の大型種は赤線で示しています。 


Dakotaraptor steini-2.jpg

 今回の標本は、2005年に四肢や尾の一部が発見されたもの。歯などは別の場所から見つかっています。同時に、サウロルニトレステス(Saurornitholestes)やアケロラプトル(Acheroraptor)といった他のドロマエオサウレダエの標本も見つかっています。

 尺骨には、大型種としては初めての羽軸突起があります。羽軸突起は、腰にコブのあるカルカロドントサウルス類(2010年9月)で紹介していますが、飛ぶことができる現生鳥類にみられ、次列風切羽が、靭帯により骨に固定されていた時の小さな突起です。  

 大型のドロマエオサウリダエでも、ユタラプトルは大腿骨:脛骨比が1:1で、中足骨は短く、がっしりした骨格あり、獲物を追いかけるプレデターとしての能力は劣っていたようです。  

 一方、ダコタサウルスの大腿骨は脛骨より17%短く、小型種に比べて相対的に中足骨は長めです。よりスピードが出せそうなプロポーションだったわけですね。


 


  1. References:
  2. Robert A. DePalma, David A. Burnham, Larry D. Martin†,Peter L. Larson and Robert T. Bakker (2015) 
  3. The first giant raptor (Theropoda: Dromaeosauridae) from the Hell Creek Formation. 
  4. Paleontological Contributions 14 (16 pp.) PDF 
  5. URI: http://hdl.handle.net/1808/18764
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 「トリケラトプスと現生鳥類の・・・」、最近は、こういう恐竜の定義が一人歩きをしているようですが、理解するには分岐学の基本知識が必要ですね。

 例えば、図の分岐図(クラドグラム)で、AとBの祖先子孫関係はどうなるでしょうか。
 
 系統樹と勘違いして、共通祖先から、AとBが進化したと思われてる方も多いようですが、それだけではありませんね。答えは、中程で。

 分岐学的系統解析では、種やクレード間の集合包含関係が示されるだけで、祖先子孫関係や時間の概念はありません。 例えば、姉妹群や同一属内の種では、どちらが祖先(子孫)とはいえないのです。

 そて、今回、トリケラトプス属の2種について、化石が産出された層序を解析し、祖先子孫関係を示した論文が報告されています。 分岐学では解決できない祖先子孫関係を層序で解明したわけです。

 その結果、地層の下の方から産出するタイプ標本の Triceratops horridus が祖先的位置と考えられています。

 また、過渡的な形態が層の真ん中あたりで見られ、この属の進化は、おそらく、単一系統内で、分岐せずに形質を変化させた向上進化(anagenesis、アナゲニシス)とされています。

 進化の解明には層序データが重要な役割をはたし、恐竜化石がどこから産出されたか正確に知ることは重要とされています。

 
cladgram.jpg
 図の分岐図から導かれる祖先子孫関係は、以下の3つです。共通祖先や子孫A、Bがどのように生き延びるかによって、それぞれに複数の進化樹が描かれます。


  1. 共通祖先から、子孫Aと子孫Bが生まれた
  2. 子孫Aが最初に生まれ、次に子孫Bが生まれた
  3. 子孫Bが最初に生まれ、次に子孫Aが生まれた

 さて、トリケラトプスには、 Triceratops horridus T. prorsus の2種が知られ、その違いは、性差なのか、成長に伴う変化なのか、議論があります。   

 T. horridus は 1889年に記載されたタイプ標本で、 T. prorsus は1990年に記載されました。  

 論文は、モンタナにあるヘルクリーク層で産出した50例以上と、大量の標本を、層序的、個体発生的に解析したもの。  その結果、T. prorsus は層の上部3分の1から産出し、T. horridus は下の方から産出するそうです。  

 層序的に上下異なる位置で産出されることから、2種は、単一種の性差や個体発生的な変化ではなく、祖先子孫関係を示すとされています。  

 また、層序でみられる標本間のばらつきは、トリケラトプスの系統における分岐イベントを示しているとされています。 



  1. References:
  2.  
  3. John B. Scannella, Denver W. Fowler, Mark B. Goodwin, and John R. Horner (2014) 
  4. Evolutionary trends in Triceratops from the Hell Creek Formation, Montana. 
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) doi: 
  6. 10.1073/pnas.1313334111
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 既に被子植物は進化していたはずの白亜期末(約6600万年前)の北米大陸、背の高い木は針葉樹が多くて、被子植物は草本性だったようです。

 花粉化石を調べることで、当時の植物などの古環境を推定できますが、今回、3次元的に保存され、軟組織も残されたEdmontosaurus annectens (エドモントサウルス・アンネクテンス)の標本を調べた論文が報告されています。

 
 ヘル・クリーク層からの岩石で、保存状態の良い花粉化石群集は、シダ類とコケ類の胞子が多く、少なめながら、裸子植物と被子植物花粉も見出されているそうです。  

 ハドロサウルス類(Hadrosauridae)が棲息していた6600万年前は、松杉類などで支配された針葉樹で覆われ、水生のコケ類やシダ類、草本性の被子植物が茂っていたとされています。  

 これらから、当時は、暖かく湿った気候だったとされています。

 


  1. References:
  2.  
  3. Vivi Vajda, Tyler R. Lyson, Antoine Bercovici, Jessamy H. Doman & Dean A. Pearson (2013) 
  4. A snapshot into the terrestrial ecosystem of an exceptionally well-preserved dinosaur (Hadrosauridae) from the Upper Cretaceous of North Dakota, USA. 
  5. Cretaceous Research 46: 114-122 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.08.010
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Anzu-1.jpg 全長3.5メートルほど、恐竜が絶滅する直前の北米大陸には、大型のオヴィラプトロサウリアが棲んでいたのですね。

 今回、ヘルクリーク層の白亜紀後期(マーストリヒチアン後期)の地層で発見された新種が記載されています。

 派生的なオヴィラプトロサウリアの2つのグループのうちのひとつ、カエナグナシダエ(Caenagnathidae、カエナグナトゥス科)で、この系統では最も若いタクソンです。

 この仲間は、右図のように、頭部にある大きな三日月状のトサカが特徴の一つです。

 このトサカ、前上顎骨から長い突起が伸びているのです(Lamanna MC et al., 2014、スケールは10cm)。

 なんだか弱々しい感じですが、ディスプレイの役割だったようですね。

 1990年代から見つかっている3体の化石を合わせたものですが、カエナグナシダエとしては、初めての保存状態の良い骨格とされています。

 学名は、Anzu wyliei (アンズ・ワイリエイ)で、属名は、古代メソポタミアの神話に登場する羽根のある悪魔に由来しています。  

 推定全長は3.5メートル、腰の高さは1.5メートルとされ、推定体重は、200-300kgです。

 白亜紀前期のオヴィラプトロサウリアには、歯を持つ仲間もいましたが、白亜紀後期になると、全ての仲間が歯を失います。アンズについても同様で、雑食性であったと考えられています。


 下の図は、系統関係に時間軸を当てはめたもの(Lamanna MC et al., 2014))。  

 アンズは、赤の矢印で示した位置で、カナダにあるカンパニアンの地層から発見されている Caenagnathus collinsi に最も近縁とされています。  


Azu-2_edited-1.jpg


 カエナグナシダエの新種と多様化の理由(2013年5月)でも紹介したように、白亜紀前期に起源を有するオヴィラプトロサウリアのカエナグナソイデア(Caenagnathoidea)は、白亜紀前記のアプチアンにカエナグナシダエ(Caenagnathidae)とオヴィラプトリダエ(Oviraptoridae)に分岐しています。  

 また、今回の解析では、ミクロヴェナトル(Microvenator )とギガントラプトル(Gigantoraptor)は、基盤的カエナグナシダエとされています。




  1. References:
  2.  
  3. Lamanna MC, Sues H-D, Schachner ER, Lyson TR (2014) 
  4.  A New Large-Bodied Oviraptorosaurian Theropod Dinosaur from the Latest Cretaceous of Western North America. 
  5. PLoS ONE 9(3): e92022
  6. doi:10.1371/journal.pone.0092022
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 北米大陸の白亜紀末の地層から発見されるドロマエオサウルス類といえば、遊離した歯など、たいした化石が見つかっていないそうです。

 今回、モンタナにある白亜紀後期末(マーストリヒチアン)のヘルクリーク層で発見された、新種のドロマエオサウルス類が記載されています。

 北米よりもアジアの系統に近く、当時、両大陸間で複雑な交流があったと考えられています。


 保存状態の良い、歯列が残された、ほぼ完全な上顎骨が見つかったもので、学名は、Acheroraptor temertyorum(アケロラプトル・テメルチョラム)です。  

 ドロマエオサウルス類(dromaeosauridae、かつての科)は、ドロマエオサウリナエ(Dromaeosaurinae、亜科 )とヴェロキラプトリナエ(velociraptorinae、亜科)の2系統に分岐します。    

 アケロラプトルは、基盤的なヴェロキラプトリナエの位置づけで、アジアの系統に近いことから、白亜紀後期当時、アジアと北米で、複数の双方向の動物相の交流があったと考えられています。



  1. References:
  2.  
  3. David C. Evans, Derek W. Larson & Philip J. Currie (2013)
  4. A new dromaeosaurid (Dinosauria: Theropoda) with Asian affinities from the latest Cretaceous of North America. 
  5. Naturwissenschaften (advance online publication) 
  6. DOI: 10.1007/s00114-013-1107-5
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 全身骨格の研究に注目されがちですが、歯のような小さくて断片的な化石の解析も、当時の生態系の多様性の解読には重要です。 

 今回、有名なT.rex、スーの化石が発見されたヘルクリーク層の発掘場で発見された獣脚類の遊離歯(脱落歯)化石について報告され、科レベルまで同定されています。

 日本で見つかる恐竜化石の多くが遊離歯ですから、その解析は参考になりそうです。 予稿ですが、全文フリーです。 


 発見された歯の形態には8つあり、そのうち3つは未報告とされています。それらは、Tyrannosauridae、Dromaeosauridae、Troodontidae、そして Avialae の歯とされています。  

 もちろん、歯のみで系統的な位置が決まるわけではなく、それらの系統の特徴を持つ歯ということでしょう。  

 特に、この層からのドロマエオサウルス類については、2つのユニークな特徴があり、以前考えられていたより、多くの種がいて、より多様性があったのではないかとされています。


  1. References:
  2.  
  3. Terry A. Gates, Lindsay E. Zanno, and Peter J. Makovicky (2013) 
  4. Theropod teeth from the upper Maastrichtian Hell Creek Formation "Sue" Quarry: New morphotypes and faunal comparisons. 
  5. Acta Palaeontologica Polonica (in press) 
  6. doi: http://dx.doi.org/10.4202/app.2012.0145
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 T.rex がハイエナのように腐肉を漁っていたなんて・・。  スカベンジャー説が出た時は、映画の獰猛なイメージを再考させるインパクトでした。

 しかし、直接的な証拠がなく、その後続く、ハンターかスカベンジャーかの議論も食傷気味ですね。

 今回、ハンターだったとする直接的な証拠が報告されています。AFPBBが紹介しています。

 ハドロサウルスの尾椎に埋め込まれたT.rex の歯冠化石が見つかったものです。その傷は治癒し成長した骨に囲まれていることから、獲物は生きていたわけで、決定的なハンターの証拠とされています。

 もっとも、よれよれの獲物を襲ったのかもしれません。時にはスカベンジャーだった可能性が否定されたわけではなく、この議論、まだまだ続くことでしょう。


 かつて、獲物に残された歯型の報告は何例かありますが、歯型だけからは獣脚類の種類を特定することは難しかったようです。  

 また、治癒した痕がなければ、死後に付けられた痕でも、生きていた時につけられた痕と区別がつきません。    

 論文では、サウスダコダのヘルクリーク層で発見されたハドロサウルスの尾椎に埋め込まれたT.rex の歯冠化石そのものが報告しています。  

 治癒し成長した骨に囲まれていることから、ハドロサウルスは噛まれ傷ついた後、しばらく生存していたことになります。  これが、T.rex がハンターだった直接的な証拠としています。

 

  1. References:
  2.  
  3. Robert A. DePalma II, David A. Burnham, Larry D. Martin, Bruce M. Rothschild, and Peter L. Larson (2013) 
  4. Physical evidence of predatory behavior in Tyrannosaurus rex
  5. Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication) 
  6.  doi: 10.1073/pnas.1216534110
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ナノティラヌスは有効な属

 ナノティラヌスは、1946年に、Gorgosaurus lancensisとして記載され、1988年に、Nanotyrannus lancensisとして再記載されたティラノサウルス類です。

 成体の化石が見つかっていないことなどから、最近では、T.rex の幼体とする説が有力です。

 今回、ウィットマーらが、ナノティラヌス属は有効とする論文を報告しています。 まだ未発表の標本もあるとされています。

 

Nanotyrannus skull.jpg

 クリーブランド自然史博物館に保管されているナノティラヌスの標本 (CMNH 7541)を頭部をCTスキャンし、コンピューター解析したもの。

 ヘルクリーク層で見つかった標本です。

 

 その結果、頭部、特に脳函のいくつかの特徴は、 T.rex と共通ですが、より基盤的な特徴もあるそうです。

 また、 幼体とするのは難しく、ナノティラヌスは有効な属としています。 

 

 図は、今回の標本。CTスキャンイメージを、異なる角度から見たもの。スケールは10センチ。

 クリックすると拡大します。

 

 

 

 

  1. References:

  2. Lawrence M. Witmer & Ryan C. Ridgely, 2011
  3. The Cleveland tyrannosaur skull (Nanotyrannus or Tyrannosaurus): new findings based on ct scanning, with special reference to the braincase.
  4. Kirtlandia 37: 61-81.
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